国会質問議事録

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拉致問題特別委員会(北東アジア地域の平和体制構築ビジョンをもった外交交渉、北朝鮮制裁監視「専門家パネル」の活動停止について)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 国連安全保障理事会は三月二十八日に、対北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネルの任期を延長する決議案を否決しました。ロシアが拒否権を行使し、中国が棄権をしました。
 専門家パネルは、資産凍結や渡航禁止などの制裁対象となる個人、団体を指定する北朝鮮制裁委員会の下部組織で、二〇〇九年に安保理決議に基づいて設置をされております。国連加盟国、関係機関などから安保理決議に基づく制裁措置の履行状況に関する情報収集、そして審査、分析をし、北朝鮮制裁委員会の任務遂行支援をしてきたわけであります。加盟国によるこの制裁措置の履行状況等については、年二回報告書を作成し、安保理に提出をしてきたわけですね。
 この一年ごとの任期を延長する決議案は、これまで全会一致で採択をされてきたわけでありますが、今回、この約十四年間続いてきた活動が止まるということになります。拉致問題の解決にも悪い影響があるんじゃないかと憂慮の声も上がっておりますが、日本政府としてはこの事態をどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 三月二十八日に、国連安保理におきまして、北朝鮮制裁委員会専門家パネルのマンデートに関します安保理決議案がロシアの拒否権行使によりまして否決されたことは、誠に遺憾でございます。
 本パネルは、二〇〇九年の設置以来、毎年全会一致でマンデートを延長し、その調査活動を通じまして関連の安保理決議の実効性を向上させるための重要な役割を果たしてきたものでございます。
 常任理事国として、国際の平和と、そして安全の維持に大きな責任を負うべきロシアが拒否権を行使するという選択をしたことは、国連及び多国間主義の軽視でありまして、また、グローバルな核不拡散体制を維持するという安保理理事国としての重責に反する行為であり、残念であります。
 我が国といたしましては、安保理理事国として、引き続き、北朝鮮制裁委員会での議論を含めまして、北朝鮮への対応に関する議論に積極的に関与をし、他の理事会国等と緊密に意思疎通を行いつつ、安保理が本来の役割を果たすよう尽力してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 非常任理事国のスイスの国連大使は、制裁違反の記録という重要な作業ができなくなると指摘をし、制裁を監視する代わりの組織や方法などの検討も訴えております。アメリカの国連大使は、訪日中の四月十九日の会見で、三つの代替案を検討しているということも明らかにしております。
 こうしたことも含めて、政府もこの専門家パネルが安保理決議の実効性向上のために重要な役割を確保してきた、それを今後も同様に確保していくためにどういうふうに対応をされていくつもりでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 政府といたしましては、この関連の安保理決議の完全な履行に向けまして、米国、韓国を始めとする同志国とこれまで以上に緊密に連携をしながら、更なる対応につきましても検討をしているところでございます。
 また、安保理理事国として、引き続き、この北朝鮮制裁委員会での議論を含めまして、北朝鮮への対応に関する議論に積極的に関与をし、他の理事国等と緊密に意思疎通を行いつつ、安保理が本来の役割を果たすことができるよう尽力してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 岸田首相は施政方針演説で、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決するためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めてまいりますと、こう述べられました。
 一方、一月一日の能登半島地震について金正恩氏が見舞い電を送ってきたこと、その後、金与正氏からの談話などのやり取りについて、先ほど来いろんな委員が触れました。
 こうした一連の北朝鮮の動きをどう評価しているのか、そしてこうした動きの下でこの日韓首脳会談実現に向けたハイレベル協議をどのように進めていくのかということなわけでありますけど、先ほど来、北朝鮮の意図について述べる立場にない、評価は差し控えると、こういう発言が、答弁が続きました。
 私たち、この間、委員会として、拉致をされた現場にも行って、関係自治体の首長の皆さんであるとか、そして御家族の皆さんともいろいろお話ししてきましたけど、口そろえて言われるのは、政府から何の情報もないということなんですよ。これ何とかしてくれと、こういうことを私たちみんな聞いてきたんですよ。その私たちが、ここでこうやって聞いて、その述べる立場にないと、これをそのまま見過ごすわけにいかないんですよ。ですから、今この局面で、関係者の皆さんはああいう報道を見ていろいろ心配されているんです。不安に思っていらっしゃるんです。そういうことにきちっと応えるように、大臣、しっかり答弁をいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 政府といたしましては、北朝鮮側の意図や狙いにつきまして述べる立場にはございませんで、コメントすることについては差し控えさせていただきたいと思います。
 岸田総理も繰り返し述べているとおり、北朝鮮との間の諸懸案を解決し、日朝間の実りのある関係樹立をすることは、日朝双方の利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するとの考えの下、日朝間の諸懸案の解決に向けまして、首脳会談、これを実現すべく、総理直轄のハイレベルでの協議を進めていく考え、これについては変わりはなく、そのための働きかけにつきましては引き続き粘り強く行っていく考えでございます。
○井上哲士君 一刻も早い全員帰国を願っていらっしゃる家族を始めた関係者にもっと私は勇気を与える強いメッセージを出していただきたいなと思うんですね。
 総理が施政方針演説で日朝平壌宣言に基づきと述べました。我が党も、核、ミサイル、拉致、過去の清算などの両国間の諸懸案を包括的に解決して国交正常化に進もうというこの日朝平壌宣言は唯一の理性的な解決の道だと考えております。その第四項で、北東アジア地域の平和と安定のために互いに協力していくとしていることも大変大事な観点だと思っております。
 北朝鮮との外交交渉に取り組む基本姿勢としても、こういう関係国やASEANと協調して、この北東アジア地域の平和体制をどのように構築していくのかと、こういうビジョンを持って臨む必要があると考えますけれども、日本政府としてはどのようなビジョンを持ってこの北東アジアの外交交渉に取り組むつもりでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 我が国が昨年三月に発表をいたしました自由で開かれたインド太平洋、FOIPの新プランにおきましては、法の支配を重視し、地域にある各国との連携を強化をし、さらに、FOIPのビジョンを共有する各国の輪を更に広げていくとの考えを明確に打ち出しているところでございます。
 そうした考えの中におきまして、このアジアにおきましてはASEANがございます。そして、そのASEANを中心に地域協力の輪が広がっているということでございます。
 東アジア首脳会議、またASEAN地域フォーラム、また拡大ASEAN国防相会議など、多層的な地域協力の枠組みが存在しておりまして、こうしたフォーラムにおいて北朝鮮を含む地域の諸課題を広く議論をしてきているところでございます。
 我が国といたしましては、このASEANが、今打ち出しているFOIPと本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPを打ち出してきておりまして、まさにFOIPの推進とAOIPの支持、これを強力に打ち出して、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く、もって地域の平和と繁栄を確保するために今後とも積極的に貢献をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 先ほど、我が国の一貫した方針でありますが、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指す、これが基本の方針でございます。これにつきまして、そうした国々ともしっかりと対話を重ねながら、そしてこの地域の平和と繁栄のための努力をしてまいる所存でございます。
 その際、まさにこの拉致被害者の御家族の方々、人道の問題であるということも踏まえて、こうした連携をばねに、また更なる取組に邁進してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、今AOIPの重要性も指摘がございました。ASEAN等とも協調してこの北東アジア地域にどういう平和体制を構築していくかと、こういうビジョンを持ってこの拉致問題の解決にも当たっていただきたいと思います。全ての被害者の一刻も早い帰国のために引き続き頑張っていきたいと思います。
 ありがとうございました。

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