国会質問

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決算委員会

  • shitsumon201111.jpg外務省からの国立国会図書館出向者による国会議員スパイ事件を取り上げた。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 今日は国立国会図書館に関連してお聞きをいたします。私どもの国会活動を常に支えていただいておりまして、大変無理な注文も聞いてもらっておりますが、今日は長尾館長に来ていただいております。

 まず、東日本大震災で国立国会図書館の蔵書も書庫から飛び出して散乱するなど相当な被害があったとお聞きしておりますが、その状況と復旧の状況についていかがでしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 お答えをいたします。

 今回の東日本大震災に際しましては、国立国会図書館の利用者や職員への人的被害や施設設備の大きな被害はございませんでした。

 ただ、東京本館の本館書庫の上層部、上層階の部分で約百八十万冊の資料が書架から落下いたしました。職員を総動員いたしまして復旧作業を開始いたしまして、復旧ができた資料から順次利用を再開いたしておりまして、四月二十五日には全ての資料が利用可能となったわけでございます。

井上哲士君

 日常の業務をやりながら百八十万冊の復旧という困難な作業に敬意を表したいと思います。

 同時に、今回の震災で東日本の各地の図書館でも被災をしております。学問研究への支障、そして利用者の困難などいろいろ生じているわけですが、国会図書館としてそういう被災した図書館に対しての専門性を生かした支援を行っているとお聞きしておりますけれども、それはどういうものでしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 今回の震災により被災されました地方の方々や図書館からの要望を受けまして、各種の資料や情報をお届けしておるところでございます。また、既に宮城、岩手、福島のそれぞれの地域に職員を派遣いたしまして、被災した図書館の被災状況を確認しております。今後、そうした各地の図書館の復旧に当たり、国立国会図書館の専門的知見を生かしながら協力していく所存でございます。

 また、この未曽有の災害についての記録を収集、保存し、次の世代に長く伝えていくことも国立国会図書館の責務であると考えているところでございます。

井上哲士君

 国会図書館ならではの支援や、そして記録の保存、是非全力を挙げていただきたいと思います。

 そういう大きな役割を果たしている国立国会図書館であります。国立国会図書館法の前文は、国立国会図書館は、真理は我らを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和に寄与することを使命として、ここに設立されると高らかに述べております。そして、この使命の下に、国会議員の職務遂行に資することを第一の任務として設置されました。

 ところが、この使命を揺るがす重大な事件が発覚をいたしました。お手元に外務省の官房総務課が作成した一九九八年一月七日付けの文書を配付をしております。外務省が今年二月に公開した外交文書の中にあったものであります。

 当時、外務省から国会図書館に出向していた元カザフスタン大使の松井啓専門調査員が、国会議員等からの調査依頼について、どの議員からどのような依頼を受けているかということを出向元である外務省に報告をし、そして報告を受けた外務省が省内の関係部署に回覧していたというものであります。二枚目、三枚目に報告の文書が付けてありますが、個人情報保護のために発表されたものは名前は黒塗りにされておりますけれども、報道によりますと、共産党の議員が五人、自民党の議員が三人、社民党の議員の方もいらっしゃったというふうに言われているわけですね。

 極めて重大だと思いますが、まず、この専門調査員というのはどういう役職で、なぜ外務省から出向していたのか。いかがでしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 専門調査員は、国立国会図書館の調査及び立法考査局の各調査室において、それぞれの所掌分野について高度に専門的な調査を行う職務としてあるわけでございます。

 専門調査員につきましては、国立国会図書館の内外からふさわしい人物を任用しておりますけれども、外交分野について、その当時は館内に適任者がおらず、外務省に適任者がいるということで出向をお願いした次第でございます。

井上哲士君

 我々が調査を依頼する調査及び立法考査局の各分野のトップに立つ方がこの専門調査員なわけですね。この方は外交防衛分野の専門調査員だったわけで、ですから、国会議員からの調査、どういう調査依頼が来ているかというのは全部把握する位置にありますし、そして回答の中身もこの方がチェックをしていたわけですから、全部掌握する立場にいた人なんですね。この方がその中身を古巣である、出向元である外務省に報告していたと。

 先ほど述べましたこの国会図書館の使命から見て、こういう国会議員等からの調査依頼の内容が漏えいするということはどういう問題だと国会図書館はお考えでしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 国立国会図書館の国会への奉仕は、調査を依頼される議員の先生方との信頼関係の下に行っているところでございます。今回のような行為は、国立国会図書館の信用を著しく失墜させ、国会への奉仕自体を危うくするゆゆしき問題であると認識しているところでございます。

井上哲士君

 国会という立法府、そして行政府である外務省、私は、国会議員のこういうことが行政府である外務省に言わば筒抜けになっているというのは三権分立すら危うくする、そういうものだと思うんですね。

 この松井氏の行為というのは国会職員法十九条の守秘義務違反に当たると、こういう認識でしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 これは、明らかに国会職員法の守秘義務違反に当たると認識しているところでございます。

井上哲士君

 まさに守秘義務違反の犯罪行為でありますし、国会議員の調査活動の自由を侵害をして、そして国会の独立を揺るがす私は許し難い行為だと思いますし、本当に真面目にやっておられる職員の皆さんの誇りをも傷つけることだと思うんですね。

 国会図書館としては、この問題が発覚して以来どのように対処をしてこられたんでしょうか。

国立国会図書館長(長尾真君)

 調査に従事しております職員のみならず、全ての職員に対しまして改めて守秘義務を徹底いたしたところでございます。

 また、今回と同様な行為がなかったかどうか現職及び過去の行政府省等出身の専門調査員に対して調査を行うとともに、それぞれの出身の行政府省等への調査の依頼も行いました。その結果、同様の行為があったという事実はございませんでした。

 なお、外務省に対しましては、厳重に抗議するとともに、事実関係の徹底的な調査を求めたところでございます。

井上哲士君

 今、図書館長からこの情報漏えい問題の重大性について語られたわけであります。

 外務省は二月の二十五日の参議院の議院運営委員会に経緯を文書で提出をされておりますが、その中でこの行為を遺憾かつ不適切としておられますが、何がどういう意味で不適切と外務省は受け止めているんでしょうか。

副大臣(外務副大臣 高橋千秋君)

 まさに議員との信頼関係を損なうものということでございますけれども、具体的には三つございまして、平成十年当時、国立国会図書館に出向中の職員が国会議員等による照会状況を外務省に報告をしていたということ、二つ目に、その報告が省内の一部部局に回覧をされていたこと、それから三つ目に、本年二月に外交記録の公開を行った際、プレスに参考のため事前配付した外交記録に個人・法人情報が被覆されていない当該文書が含まれていたことについて、遺憾かつ不適切だと思っております。

井上哲士君

 遺憾かつ不適切と言われるんですが、先ほど図書館長からありましたように、この行為は国会職員法違反という犯罪行為によって出されているんですね。そういう犯罪行為によってもたらされた情報を知りながら省内で回覧をしていたと、そういう違法、不当な情報活動だと、こういう認識は外務省は持っておられないんでしょうか。

副大臣(高橋千秋君)

 当該文書は、当時の関係者により秘密保全規則に基づき秘文書と指定されていたものなんですけれども、配付先は守秘義務を有する外務省員に限定されておりまして、広く流布されることのないよう配慮をして配付したものであるということから、情報を漏らしたとまでは言えず、国家公務員法の守秘義務には違反したとまでは考えていないということでありますけれども、不適切な行為だというふうに思っております。

井上哲士君

 それはおかしいですよ。松井氏は北海道新聞の取材に、当時は国会議員がどんな質問をするか聞き出して想定問答集を作るのが一大仕事だった、古巣への報告はそんなに悪いことなのかなと、こんなのんきなことを言っているんですね。今の外務省の答弁からも松井氏本人からも、犯罪行為であり、国会議員の調査活動の自由を侵す重大な行為だという認識は全く聞かれないんですね。

 今、秘無期限という取扱いをしていると言われていましたが、こういう扱いをしたこと自身が外務省が当時違法性を認識していたと、こういうことじゃないんですか。

副大臣(高橋千秋君)

 私も外務省へ行って秘というのが多いのでびっくりいたしましたけれども、外務省では秘密保全に関する規則に基づいて秘密指定を行っておりまして、秘については、本件が発生した平成十年には極秘に次ぐ程度の秘密であって、関係者以外には知らせてはならないものということが指定されていることとされておりました。当該文書は、当時の関係者によってこうした秘区分に該当するものと判断されたものというふうに考えられると思いますけれども、本件が発生してかなり時間がたっているということから、判断に至った経緯の詳細については分かっておりません。

井上哲士君

 当時の外務省の秘密保全の規則等を見ますと、極秘というのが秘密保全の必要が高く、その漏えいが国の安全、利益に損害を与えるおそれのあるもの、秘はそれに次ぐ程度のものだと、そして関係者以外には知らせてはならないということになるわけですね。

 このお配りしている文書を見ますと、本件の取扱いについては十分御注意願いますというふうに書いておりまして、違法行為による報告だということを十分に認識をしていたと。しかも、組織的に行われていた可能性が強いわけですね。この官房総務課が出した文書を見ますと、現在国立国会図書館に出向中の松井大使より、議員からのレファレンス状況について報告を受けているところ、右は議員の関心事項を知る上で有益と考えられますので参考までに供覧しますと。つまり、この文書を受け取った方は、国会図書館に出向している人からの情報だと、つまり国会職員法違反で出てきたものだということが分かるようになっているんですよ。にもかかわらず、これを省内に平気で回覧をしていた。

 左側にあるのが回覧先でありますけれども、上から、大臣官房審議官、参事官、総務課、総合外交政策局の国連政策課、さらに国際社会協力部、アジア局、北米局、欧亜局のそれぞれの幾つかの課が続いているわけで、つまり報告内容がこれは有益だというところを選んでこのときの情報については配付をしていると。

 ですから、もらった方も出した方も、これは国会図書館に出向している人が漏らした、つまり違法な形で漏らしたという情報を分かった上で回しているんじゃないですか。それが違法行為ではないと、こういう認識なんですか。それは納得できません。いかがですか。

副大臣(高橋千秋君)

 後で聞き取りを外務省の方でこの松井専門調査員にしているわけでありますけれども、当該資料自体の記憶は定かではないけれども、当時は国会対応のための想定問答を作成することが非常に大変だったこともあって、少しでも外務省本省の役に立つのであればという考えで、本省の指示はなかったけれども、関係する情報を外務本省に送付したことがあったと思うというふうに述べております。これが違法行為だということを認識して見ていたかどうかについては定かではございません。

井上哲士君

 出向中の国会職員が秘密漏らしちゃいけないというのは常識なんです。それが違法行為でないということが分からないような職員が外務省にたくさんいるんなら本当にゆゆしきことですよ。そういうことをやられているんですね。

 しかも、これは継続的に報告されていた疑いが強いんです。報告文書、二枚目と三枚目ありますけれども、最初が九七年十二月二十四日付けの報告で、RGKK7X24とあります。二枚目が十二月二十六日付けで、RGKK7X26と、こういうふうに記号付きまして、それぞれ十二月の十九から二十二日の接受分、二十四日から二十五日の接受分と、こういうふうになっているわけですね。ですから、報告日を盛り込んだ記号を付けて報告をしていると。

 松井氏が想定問答を作るのに役立つならばという思惑で出したということになりますと、このときは国会閉会中なんですね、十二月ですから。むしろ国会の会期中にやっていた可能性が強いと思いますけれども、この前後にたくさんの文書があるんじゃないですか。

副大臣(高橋千秋君)

 当時並びに前後の関係者に外務省として聴取をしております。当時の関係文書を探した結果、本省よりの指示、それからその他の者による類似行為、本件以外の文書の存在については確認をされなかったということでございます。全部で七百冊程度のファイルを追加的にもかなり広い範囲で探索をいたしましたけれども、同様の文書は見当たっていないということでございます。

井上哲士君

 この事件というのは前政権の時代のものでありますけれども、当時の与党も対象になっているんですね、この情報漏えいというかスパイ活動の。ですから、問題は、行政府が国会に対してスパイ活動をしていたと。これ、与野党を問わず国会の独立、我々の調査活動の自由を守るという問題ですから、私は、今の外務省の官僚が書いた答弁ではなくて、やっぱり政治家としてきちっと副大臣に答弁をしていただきたいと思うんですね。

 先ほど紹介をした秘密保全に関する規則の十四条では、秘密文書は、記録文書として保存するものを除き、用済みの後は速やかに廃棄するとされておりますから、そういう処理がされているのかもしれません。しかし、第十八条では、秘密文書の管理に遺漏なきを期するために各課ごとに管理簿を備え、秘密文書の授受、回覧先につき記録をとどめるものとすると、こういう規則もあるわけですが、こういう記録が残っているんじゃありませんか。

副大臣(高橋千秋君)

 先ほど御答弁させていただいたように、かなり多くの、七百冊を超えるというファイルを調査した結果、そういうものがなかったという報告を受けております。

井上哲士君

 あの核密約のときも、半世紀にわたってないないと言いながら、調べてみたら出てきたというのがあの密約の文書だったわけでありまして、七百冊と言われましたけれども、外務省にある膨大なファイルの数からいえばごくごく一部でありまして、私はこれでは到底納得ができません。更にきちっと調査をしていただきたい。

 まずその調査の件、いかがですか。

委員長(鶴保庸介君)

 外務副大臣、時間がございますので、簡潔にお願いします。

副大臣(高橋千秋君)

 検討させていただきたいと思います。

井上哲士君

 徹底した調査を求めたいと。

 同時に、文書がないというのであれば当人たちにちゃんと聞かなければ分かりません。松井氏や、そして当時の官房総務課長、この文書にあります首席事務官ですね、秋葉氏、是非証人として委員会に招致をするということを御検討いただきたいと思います。

委員長(鶴保庸介君)

 後刻理事会で協議をさせていただきたいと思います。

井上哲士君

 終わります。

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