国会質問議事録

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議院運営委員会

shitsumon201111.jpg・岩田規久男・日銀副総裁候補に対する聴聞で、今後の金融・経済政策についての考え質す。


委員以外の議員(井上哲士君)

 日本共産党の井上哲士です。

 デフレの原因についてお聞きをいたします。

 かつて自民党政権の経済財政諮問会議の民間議員であった東大の吉川洋氏が、最近「デフレーション」という著作を出されております。その中で、なぜ日本だけがデフレなのかという問いに対する答えは、日本だけで名目賃金が下がっているからだということになると、こう述べられております。そして、名目賃金が下落した理由について、デフレ期待ではなく大企業における雇用制度の変貌であると述べられております。

 一方、岩田副総裁候補は、デフレ予想がデフレをもたらしていると、こう述べられた上で、今以上の大胆な金融緩和をすればやがて雇用需要も拡大をする、賃金も上がっていくと、こういうふうに述べられております。

 しかし、この賃金を下げてきた原因であるリストラであるとか非正規の拡大ということにメスを入れなければ、賃金が物価を上回って上がるということはないんではないかと思うわけですね。先ほど、二百二十兆円のお金が企業の中にとどまっているということ、最初の意見陳述でもございましたけれども、そういう一部を活用して賃上げや正規への転換を先行させていくと、こういう政策こそ必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

参考人(学習院大学経済学部教授=岩田規久男君)

 何か学会の論争みたいになっちゃいますけれども、簡単に言えば、デフレが先に日本で起こっています。その次です、名目賃金が下がるのは。最初は名目賃金は下がりません。これが特色です。最初の、そうですね、三年かそのぐらいは名目賃金下がっていないと思います、ほとんど。

 ですから、デフレが先で、企業収益がなくなって名目賃金も下げざるを得ないところへ企業が追い込まれるというのが、実際のデータを見るとそういうことだというふうに思います。

委員以外の議員(井上哲士君)

 そうしますと、先ほど全体、その金融緩和によって正規雇用も増えていくんだというお話がありました。一方で、労働法制は非常に非正規を増やす法制ができてきているわけですね。そういうものには手を触れなくても金融政策のみでこれらは全て解決していくと、こういうお考えでよろしいんでしょうか。

参考人(岩田規久男君)

 ほかのところがどうするかというのはちょっと、金融政策を今議論していますのでおいておきますが、金融政策というのは、要するに雇用需要全体を増やすという、それによって最終的に正規、非正規も増えていくという。

 企業は、やはりデフレの中では、収益が安定しない中ではなかなか正規雇用は採れないと思います、確かに。ですから、どうしてもデフレの中ではそうなってしまうけれども、そうでない、インフレ期待が出てきてある程度収益も長期的に上がっていくというところでは、やはり雇用形態が今までのデフレの中とは違ってくるというふうに思います。

委員以外の議員(井上哲士君)

 金融緩和の弊害についてお聞きしておきますが、緩和マネーが投機資金として、通貨、株式、債券、食料、エネルギーなどの商品価格を乱高下させるという問題もあります。それから、低金利の長期化が一般庶民の利殖手段である預貯金の金利をほとんどゼロに張り付ける一方で、大企業などは非常に低利で資金の調達ができるという点で非常に有利だということがあるわけですが、こういう弊害についてはどのようにお考えでしょうか。

参考人(岩田規久男君)

 要するに、金利が、これは名目金利ですけれども、今、金利がどれだけ結局払えるかというのは、借り手がそれを借りてどれだけ運用利益があるかに依存します。したがって、それもないのに金利を上げろというのは無理な話なんです。

 ですから、それは金融緩和を実施して企業収益を上げてやると。そうすると、金利がもっと高くても借りてもいいよとなって預金者も金利が得られると、そういう関係でございますので、デフレ脱却しないのに金利だけ上げろというのは、景気を冷やしてかえって勤労者の所得を減らしてしまうと、預金者は少し助かったかもしれないがということになって、望ましい政策じゃないということになります。

委員以外の議員(井上哲士君)

 食品価格の乱高下などの、そういう投機マネーの動きの弊害についてはどうお考えでしょうか。

参考人(岩田規久男君)

 日本でそういう投機マネーが出て食品価格が上がるというのは余りないんじゃないかと思いますが、それは海外で起こることはあるんですね。海外で、特に新興国で起こるんです。

 これはどうしてかというと、日本から、緩和すると、円よりも海外の外貨の方が有利なので、そこで外国市場で外貨を買うわけなんですね。しかし、それは外国為替市場ですので、その円が何か海外の野菜を買うから上がるんじゃございません。なぜかというと、海外は外貨、自分のところ、自国通貨高になるのを嫌がるために、外貨を、今度は自分のところの自国通貨をどんどん売るわけです。そして自分のところを通貨安にしようとする。例えば、その外国の通貨自体が外国の野菜にとか、そういうのに向かうんですね。

 ですから、ある程度、変動相場制を取る方が本当はそれを防げるんですね、海外も。ところが、海外はしないというんですが、そういうことをやってしまいますと、一国が自分のための雇用とか国民経済のために金融政策が全く使えなくなるということです、そういうことを心配する。

 ですから、海外は海外で、やはりそういう投機マネーがそういうところに来るのが嫌ならば、自分のところで金融緩和政策を自動的に取ってしまっているわけですね、それをやっぱり控えるというのが筋だという。そうじゃないと、金融政策がみんな全くできなくなっちゃう、どこの国も使えないと、日本はずっと永久にデフレだというふうになってしまいます。

委員以外の議員(井上哲士君)

 ありがとうございました。終わります。

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