国会質問

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法務委員会

shitsumon201111.jpg・性犯罪・性暴力被害者への支援について質問。「医療、カウンセリング、警察や弁護士への連絡など総合的な支援を一カ所で受けられる「ワンストップ支援センター」の設置促進を求めた。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 被害者の参加制度が制定された下で、被害者参加人に新たな経済的負担を負わさずに訴訟活動を実質的に保障するということは必要でありまして、本法案には賛成でございます。

 この法案は第二次犯罪被害者等基本計画に基づくものですが、その中では、精神的・身体的被害の回復・防止への取組の項で性犯罪被害者についての特別の施策を列挙しております。

 法改正に当たって昨年行われたヒアリングでも、性犯罪被害者支援の団体からは、性犯罪被害者は家族に言えなかったりそれから仕事も辞めざるを得なくなる人もあるという中で、旅費の支給や国選弁護人の資力要件を下げるということが求められておりまして、そういう点でも法案はそれにかなったものかと思います。

 私は、今日は、性犯罪、性暴力の被害者への支援について、この第二次計画でも掲げられていますので質問いたしますが、このように性犯罪の被害者にやっぱり特別な配慮、支援が必要であるということについて、まず法務大臣としての認識、そして法務省としての対応についてお聞きしたいと思います。

国務大臣(谷垣禎一君)

 今、井上委員おっしゃいましたように、性犯罪事件においては被害者の方が被害を申告しにくい、親にも言いにくいとかそういう心情にある、そういう特性、特殊性に十分配慮して検察官が捜査、公判を行っていくということが必要ではないかと考えております。

 それで、性犯罪被害者の方々から事情聴取を検察がしていくというのに当たりまして、プライバシーであるとか名誉であるとか心身状況あるいは社会的な立場、これは十分配慮する、可能な限りきめ細やかな取組が必要なのではないかと思っております。それから、性犯罪被害者の方が犯罪から受けた精神的なショック、そうすると短期間で告訴するかどうかというような意思決定をすることもなかなか難しい場合があると。

 そこで、平成十二年の刑訴法改正によりまして性犯罪の告訴期間は撤廃されたわけでございますが、公判段階におきましても、証人尋問の際に証言する被害者と被告人あるいは傍聴人との間につい立てを置くといったような遮蔽措置を考えるとか、あるいは証人尋問の際に法廷の外の別室に証言する被害者を在室していただいて、法廷にいる裁判官や訴訟関係人はモニターに映る証人の姿を見ながら証人尋問を行うことができるようにする、いわゆるビデオリンクでございますが、そういった方式。

 それから、昔は公判審理の中でも被害者の名前というのを出していたわけでありますが、被害者の氏名等の被害者特定事項の秘匿決定ということをして公判審理の過程で被害者の身元が明らかになることを防いでいくと、こういった制度が順次導入されてきておりますので、そういったものを適切に活用していくということが必要であろうと思います。

井上哲士君

 体への被害とともに精神的な被害の中で、うつ病になったり仕事を辞めざるを得なくなるという場合もあるわけでありますが、じゃ、被害者たちはどう対処しているのかと。

 内閣府が調査されておりますが、誰にも相談しなかったという人、また警察や医療機関に相談をしたという人の割合はどうなっているでしょうか。

政府参考人(佐村知子君)

 お答え申し上げます。

 平成二十三年に実施をした内閣府の男女間における暴力に関する調査において回答があった女性千七百五十一人について見ると、これまで異性から無理やりに性交された被害経験がある女性は回答者の七・七%、百三十四人となっております。このうち被害について相談したと答えた方は二八・四%、どこにも誰にも相談をしなかったと答えた方は六七・九%となっております。

 また、相談したと答えた方、実際は三十八人でございますが、その相談先を見ますと、友人、知人に相談したというのが一八・七%で最も多く、警察に連絡、相談したという方は三・七%、医療関係者、医師、看護師などに相談したとおっしゃった方は〇・七%になっております。

井上哲士君

 いろんな事情を取調べなどで聞かれるという二次被害への恐怖もありまして、今ありましたように性犯罪や性暴力の被害者の多くが誰にも相談をせずに悩み、そして支援につながることもなく問題を抱え込んでいるというのがやっぱり現状なわけですね。ですから、警察に相談したが三・七%ですから、犯罪統計などに現れるよりもはるかにたくさんの被害者がいるわけであります。

 こういう中で、この性犯罪や性暴力の被害者がやはり安心して相談できる専門の機関がほとんどないというのが大きな問題だと思います。特に、その被害直後から支援をするのが第二次基本計画でも挙げられているこのワンストップ支援センターでありますが、これはどういうものか、ちょっと御説明いただきたいと思います。

政府参考人(杵淵智行君)

 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにつきましては、第二次犯罪被害者等基本計画に基づき、内閣府において性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター開設・運営の手引を作成しております。

 この手引におきまして、ワンストップ支援センターとは、被害者からの相談に応じ、被害者一人一人の状態、ニーズを把握し、必要な支援を行っている関係機関、団体に確実につなぎ、支援をコーディネートする機能及び産婦人科における緊急避妊薬、性感染症等の検査などの医療機能といった二つのコア機能を可能な限り一か所で提供できるようにした支援体制を想定しております。

 その二つのコア機能の関係としては、病院内に相談センターを置く病院拠点型、病院から近い場所に拠点となる相談センターを置く相談センター拠点型、相談センターと複数の協力病院が連携する相談センターを中心とした連携型の三形態を考えることができるとしているところでございます。

井上哲士君

 非常に重要な施設だと思うんですね。

 やはり被害者に必要不可欠な医療から始まって幅広い支援につながるという点でいいますと、全ての都道府県に総合病院内に拠点を有するこの病院拠点型が少なくとも一つは必要ではないかと思うんですが、その点の認識及び今全国的な設置を促進するためにどういう取組をされているんでしょうか。

政府参考人(杵淵智行君)

 お答え申し上げます。

 手引におきましては、将来的には、各都道府県内に少なくとも一つは、地域の事業として、先ほど御説明しました形態のワンストップ支援センターが設置されることが望ましいとしているところでございます。

 また、全国的な設置促進に向けまして内閣府におきましては、我が国におけるワンストップ支援センターに関する共通認識が喚起されることで更なる開設及び運営への機運が高まることを期待し、まずは手引の形で開設及び運営のノウハウ等を情報として提供した上で、性犯罪被害者支援のための連携を強化するための事業、地域の男女共同参画センターの相談員等を対象とした研修等を実施してきているところでございます。

井上哲士君

 この手引は、性犯罪・性暴力というふうに併記をされておりますが、あえてこういうふうにしている理由はどういうことなんでしょうか。

政府参考人(杵淵智行君)

 お尋ねの手引を作成する際に、ワンストップ支援センターの主な支援対象を性犯罪被害者とし、手引の表題にもこの言葉を用いるものとしますと、被害者は警察で犯罪として扱われたもの以外は支援対象にはならないものと狭くとらえてしまうのではないかとの意見が示されたことも踏まえ、同手引では、支援対象範囲としては警察への被害届の有無や性犯罪として扱われたかどうかにかかわらないものとし、言葉としては性犯罪・性暴力被害者を用いることとしたものでございます。

井上哲士君

 非常に重要だと思うんですね。必ずしもその届出をするかしないかということにかかわらずいろんな支援が受けられると。

 そういう点でいいますと、警察だけではなくて、いろんな省庁や地方自治体自身の課題として取り組むことが一層必要だと思うんですが、日弁連が最近出した意見書を見ますと、現在設置されていますのは、病院拠点型で大阪、東京、愛知、佐賀の四か所、それ以外のものでも東京二か所、沖縄、北海道の四か所という、八か所という状況になります。昨年十一月の共同通信の調べでは、これ以外に検討しているのは三県にとどまっているという状況でありますが、なぜこういうことをやりながらこの重要な施設が広がっていないのか、その理由はどういうふうにお考えでしょうか。

政府参考人(杵淵智行君)

 ワンストップ支援センターの設置に関しましては、地域の実情に応じ、その持てる資源を有効に活用していくことが相当と考えております。

 現在、ワンストップ支援センター等の名称を掲げるか否かは別としても、複数の地域において、性犯罪・性暴力被害者の支援、診療等に当たられている支援者、医療従事者等がそれぞれの役割を担うとともに連携を深めていっていただいているものとは承知しております。

 他方、このような性犯罪被害者支援のための連携の一端を担っていただける支援者、医療従事者等の人的資源の有無は地域によって様々であり、また、必ずしも全ての地域において関係者間における連携の必要性について理解と認識を共有していただけている状態ではないものと認識しております。

 引き続き、性犯罪被害者支援の重要性について働きかけていく必要があるものと考え、そのようにやってまいりたいと考えております。

井上哲士君

 理解の問題とか産婦人科医の問題などがありましたけれども、私は、やっぱり厚労省も含めて政府を挙げてしっかり取り組むという問題と財源の問題、これが必要だと思うんですね。

 まず厚労省にお聞きしますけれども、この第二次基本計画ではこのワンストップ支援センターについて厚労省として行うのは、医療機関への啓発、それから被害者支援団体や地方自治体から相談があった場合には協力可能な医療機関の情報を収集し提供するという程度なんですね。あくまでも相談があれば情報提供と、私はこれは余りにも受け身だと思うんですね。

 今の性犯罪被害者が置かれている状況等々を考えますと、もっと厚労省が積極的に取組をすることが必要かと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

政府参考人(神田裕二君)

 性犯罪・性暴力被害者のワンストップ支援センターにとりまして、産婦人科医療は支援のコーディネートや相談と並ぶ重要な役割であるというふうに認識いたしております。

 御指摘の第二次犯罪被害者等基本計画におきましても、医療機関に対してワンストップ支援センターについての啓発を行うということとされていることから、昨年七月に医師会、病院団体等を通じまして支援センターの開設、運営の手引等の周知をお願いしているところでございます。

 それから、開設に向けた相談があった場合の協力可能な医療機関に関する情報を収集し提供するということについてでございますけれども、これにつきましては、その具体的な内容、例えばどこの地域を中心に活動をしていくのかということですとか、病院拠点型であるのか、相談支援センター拠点型であるのか、あるいは広い地域の場合には複数の協力病院による連携型を取るのかといった具体的な内容を踏まえて、関係自治体や医療関係団体とも連携しながら、対応可能な医療機関に関します情報の収集、提供をしていく必要があるというふうに考えております。

 まず、ワンストップ支援センターの活動に協力していただくために、その目的や周知をしっかりとしてまいりたいというふうに考えております。

井上哲士君

 もっと私は積極的な取組をしていただきたいと思うんですね。

 もう一つ、財政不足の問題があります。この手引では、民間助成団体による犯罪被害者支援を行っている団体に対する助成を活用し、その経費の一部を賄うこと等が考えられるとあるのみでありまして、これでは一体その助成金がいつ、幾ら得られるのか、全く不確かで進まないと思うんですね。

 韓国では、ワンストップ支援センターが二〇〇六年以降で全国十六か所に設置をされたと聞いておりますし、国と市が経費を二分の一ずつ負担をしております。それから、全国二百か所ある性暴力被害相談所にも国の援助が出ていると聞いておりますが、やはり支援センターの設置を促進をする上で私はどうしても財政支援が必要だと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

政府参考人(杵淵智行君)

 ワンストップ支援センターの設置に関しましては、地域の実情に応じて被害者に対する継ぎ目ない支援を確保し、ワンストップ支援センターの設置を促進する環境がつくられることが重要と認識しております。

 内閣府としては、引き続きワンストップ支援センターの設置を促進する環境づくりに向け、関係者の意識付けや連携を促進する取組を行ってまいりたいと考えております。

井上哲士君

 その環境づくりのポイントはやっぱり財政なんですよね。いろんな報道を見ましても、結局この財政不足ということから地方自治体もちゅうちょしていますし、それから民間団体は全部もう寄附でほとんどを賄っているという状況があるわけで、これやらなければ私は絶対進まないと思います。是非もっと踏み込んだことを政府を挙げてやっていただきたいと思うんですが。

 最後に、法務大臣、これは犯罪被害者等施策推進会議として進められているわけですが、その一員でも大臣あるわけでありまして、政府全体としてこの財政、予算の獲得も含めてこの性犯罪被害者への支援を強めていくという点での御決意をいただきたいと思います。

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