国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2013年・185臨時国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約、郵便送金業務約定の改定の内容は、いずれも国際郵便業務を円滑に進める上で必要な措置であります。また、国際郵便業務等に係る国内実施の法的根拠を確保する上でも必要なことでありますので、賛成です。
 WTOの政府調達協定の改正議定書については、アメリカ等の多国籍企業が自由貿易を政府調達の枠でも拡大しようとするもので、日本経済の自主的、平和的発展を阻害し、官公需における中小企業の受注を低下をさせ打撃を与えるものだということで、私どもは反対であります。
 この国際郵便サービスの問題は、TPPに係る日米の二国間協議でも取り上げられておりますし、TPP交渉そのものでも郵政事業の問題は一つの大きな問題になっておりまして、今日はTPPに関連をしてお聞きをいたします。
 TPP交渉の一つが競争的分野。国有企業の定義及び優遇措置の廃止が議論をされております。合意内容によっては、政府が全ての株式を持つ日本郵政が国有企業と位置付けられる可能性が非常に高いと。となりますと、非常に大きな影響があるわけですね。八月のブルネイ会合では、合意文書がまとめられたという報道もありましたけれども、議論としては進まなかったとされております。
 まず内閣官房、お聞きいたしますが、この国有企業の分野ではどういうことが議論、論点となっているんでしょうか。

○政府参考人(内閣官房内閣審議官 澁谷和久君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、競争という分野におきまして、競争促進的なビジネス環境を確保する、レベル・プレーイング・フィールドと彼らはよく呼んでおりますけれども、そういう観点からの議論の中の一つとして、国有企業に規律を設けるということについて議論がされております。
 先生御指摘の報道で、もう既に合意されたというのは、これは全く間違いでありまして、実は、内情を申し上げますと、基本的なところから含めて各国の意見が非常に大きく隔たっているという状況が現状でございます。最も難航している分野の一つというふうに言われております。

○井上哲士君 アメリカは、国有企業が民間企業と同じ条件で競うようにルールを作ろうという提案をし、一方、国有企業の多いベトナムやマレーシア、シンガポール、ブルネイ四か国などがこれに反対をして、いまだに定義すら決まっていないというふうに報道もされております。
 日本郵政がこの国有企業という定義に入って優遇措置が撤廃をされますと、かんぽ生命の新規事業の拡大や郵便局の税制優遇措置等が問題視をされる可能性があると考えますが、この点はどうお考えでしょうか。

○政府参考人(澁谷和久君) 先ほど申し上げましたとおり、この分野につきましては各国の意見が最も基本的なところから大きく隔たっている状況でございまして、まだまだ調整の相当掛かる段階でございます。
 したがいまして、個別の国の個別の法人についてこれをどうするべきだといったような議論は全くされておらない状況でございます。

○井上哲士君 そこでは議論になっていないと思うんですね。仮にそういう方途で定義に入ってしまった場合には大変大きな影響があるのではないかと、そういう可能性についてお聞きしているわけですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(澁谷和久君) そもそも定義をどうするかということだけではなくて、仮にその規律を設けるとした場合にどういう規律を設けるかということについても各国の意見が非常に隔たっている状況でございますので、ここはなかなか予見を持って申し上げにくいところでございます。

○井上哲士君 これは既にいろんなところから懸念も出されている、議論になっている問題なわけですね。この定義に入った場合には、先ほど申し上げたような、かんぽ生命の新規事業であるとか郵便局の税制優遇措置等が問題視をされることになりますと大変大きな影響があるわけです。
 そこで、基本的日本政府の立場をお聞きするんですが、政府はTPP交渉参加に際して繰り返し、守るべきものは守ると、こう言ってきたわけでありますが、この国有企業に係る議論で、日本のこの分野では、日本は守るべきものというのは一体何なんでしょうか。

○政府参考人(澁谷和久君) この国有企業につきましては、我が国としてはむしろほかの国に対して攻めているような状況でございまして、しかしながら、甘利大臣がこれは過去の閣僚会合で何度もおっしゃっておりますが、このTPPの交渉においてはバランスが大事であるということを大臣の方からも申し上げているところでございます。
 国境を越えた公正かつ自由な競争環境を確保するということだけではなくて、各国がそれぞれ経済とはまた別な観点の公共政策的な目的で国有企業の問題にアプローチするという、そのこと自体は十分確保されるべきであるという、この二つの要請について十分なバランスを持って交渉することが大事であると、こういう認識を持って交渉を行っているところでございます。

○井上哲士君 確認しますが、各国国有企業はやっぱりそれぞれの国の歴史的な背景であるとか、それから経済の発展状況があるわけですね。日本もそれこそ、遡れば富国強兵の時代などに国有企業が果たした役割と今日は変わってきているということもあるわけですが、そういうそれぞれの国の自主性や特性というものは尊重されるべきであると、こういう立場だということでよろしいんでしょうか。

○政府参考人(澁谷和久君) 甘利大臣は閣僚会議の中で、各国のそれぞれの個別の事情というものは十分配慮する必要がある、特定の国のルールを一方的に押し付けるということがあってはならないということをブルネイ及びバリの閣僚会議の場で大臣の方からも御発言されているところでございまして、日本国政府としてはそういう基本的な考えの下、交渉を行っているところでございます。

○井上哲士君 つまり、この分野で守るべきものは守るというのはそういう立場であると、こういうことで確認してよろしいですか。

○政府参考人(澁谷和久君) 各国のそうした事情、日本も含めてバランスを取った形で交渉をまとめることが大事だという認識でございます。

○井上哲士君 これまで、守るべきものは守るというのは繰り返してきたわけでありますが、より踏み込んで、こういうことをしっかり明らかにするべきだと思うんですね。
 例えば、この郵政の問題などでどういうことがあり、どういう主張をしていくのかと。やはり、国民に対して守るべきものは守ると言ってきた以上はしっかり私は示す必要があると思っておるんですが、その点、更に踏み込んで、外務大臣、やはりこの守るべきものは守るということをどういう各分野で日本としては持っているのかということを私は是非明らかにしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 守るべきことは守る、基本姿勢はもうそのとおりであります。そして、交渉の中でその基本姿勢をしっかり確認しながら、このTPP交渉、対外交渉であり、また交渉国の中で取決めがあります。そのルールの範囲内で最大限明らかにしていく、これは当然のことだと思っております。

○井上哲士君 言わばスローガンとしてそういうことが言われるわけでありますが、それぞれの分野のところで全く具体的に明らかにされておりません。
 政府はTPPについて、交渉に参加していないから中身が分からないと、こういうふうに言ってきましたし、参加すれば情報が分かると、こういうふうに言って交渉参加をし、そして、状況の進展に応じてしっかりと国民の皆さんに情報提供してまいりますと、こういうふうに総理も繰り返し答弁をされてきましたが、この間、交渉の中身は秘密にする協定があるからなかなか出せないということで具体的なことが少しも外に出てこないということで、例えば、これは北海道新聞でありますが、自民党の内部からも、何も聞かされずに黙って賛成しろというのは納得できない、農業や関税撤廃の問題も含めてこれほど大きな問題がまともに党内で話し合われないまま進められるなんて初めてだと、こういう不満の声が上がっているということが言われておりますが、現状のこのTPP交渉に対する情報の言わば国民に対する提供が、総理が言われた、しっかり国民の皆さんに情報提供してまいりますと、こういう事態に適合していると、こういうお考えでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まずTPP交渉につきましては、先ほども申し上げましたように対外交渉であり、また交渉国の間で取決めもありますので公表できない情報はあります。
 しかしながら、安倍総理自身も、このTPP交渉に関しまして国会ですとかあるいは記者会見の場を通じまして基本的な考え方を説明させていただき、また国民の理解を得るべく努力をしておりますし、また、交渉会合に際しましては、交渉会合の前後に与野党の会合において交渉状況の説明を行う、あるいは関係団体あるいは地方自治体に対しましても随時説明会を開催するなど情報提供の努力を続けていますし、そして、その場を通じまして逆に関係者の皆様方の御意見を聞く、こうした貴重な機会とさせていただいております。
 ルールの範囲内で最大限、関係者の皆さんと情報や思いを共有するべく今後とも努力をしていかなければならない、このように考えています。

○井上哲士君 多くの関係団体や自治体からも、肝心な情報がちっとも出てこないと、先ほど自民党内の議論の新聞報道も紹介しましたが、これが私は実態だと思います。
 やはり、国民にしっかりと情報提供して判断をできるようにするといいながら、秘密裏の中で行われるということはあってはならないということを改めて強調しておきます。
 その上で、TPPと並行して二国間協議が行われておりますが、その中で保険の分野も大きな焦点となっております。
 アメリカが競争力の平準化という観点から問題視をしてきたのがかんぽ生命であります。競争条件が同じになるまではかんぽ生命が新商品を開発、発売しないように求めてまいりました。その先頭に立ってきたのがアメリカンファミリー生命保険、いわゆるアフラックの日本代表のチャールズ・レイク氏、USTRの元日本部長で、在日米商工会議所の会頭も務めた人物だということは御承知のとおりでありますが、そうしますと、アフラックが既に国内で七割を占めているがん保険について、政府はかんぽ生命に新規商品の発売を認めないということにしております。
 私は、特定アメリカ企業のために保険会社の新規事業まで認めないと、これは極めて異常だと思いますが、なぜ政府はかんぽ生命にがん保険の発売というのを認めなかったのでしょうか。

○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。
 ただいまのお尋ねは、四月十二日の麻生大臣の閣議後の記者会見におきまして、記者からがん保険等の認可について質問を受けましたときに答えられた御発言についてのお尋ねだと承知をしております。
 この御発言は、かんぽ生命のがん保険と単品医療保険商品について、郵政民営化法や保険業法の枠組みの中で、かんぽ生命と他の保険会社との適正な競争関係が確立され、業務の適切な遂行体制が確保される必要があり、そのためには数年は掛かるとの大臣の御認識を示されたものだというふうに理解をしております。

○井上哲士君 アメリカの方は、まさにアメリカの要求の流れの中でこの問題を言っているんですね。アメリカ議会の調査局の今年八月二十一日付けのレポートは、日本は、民間の保険事業者とかんぽの平等な競争条件が確立されたことが認められるまで、新規の又は改良されたがん保険の商品若しくは独立した医療保険商品の販売を承認しないことを表明したと、こう言っておりますし、USTRのファクトシートは、日本が一方的に表明をしたと、こう言っております。
 先ほど述べたように、アフラックなどが同じ競争条件になるまでは販売をさせるなと、こう求めてきたことにこたえたと、こう言われても仕方がないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

○政府参考人(池田唯一君) 繰り返しになりますが、先ほどの記者会見での回答は、郵政民営化法あるいは保険業法という我が国の法律の枠組みの中で、仮にかんぽ生命から新商品の認可申請があったらどういう取扱いになるかというお考えを示されたものだというふうに理解をしております。

○井上哲士君 私は、やっぱり入口で、結局は、そうはいってもアメリカのこうした要求に日本が譲歩したと。
 これにとどまらないわけですね。八月の二国間協議の直前に日本郵政はアフラックとがん保険での提携強化を発表しておりますけれども、これはどういう内容でしょうか。

○政府参考人(池田唯一君) 御指摘のとおり、七月二十六日に日本郵政とアフラックは業務提携を行うことを発表したと承知をしております。
 日本郵政とアフラックの業務提携につきましては、これは両社の経営判断にかかわる事柄ではございますけれども、同日両社により公表された業務提携の内容は大きく三つありまして、一つは、日本郵便によるアフラックのがん保険の取扱局の拡大、二番目に、かんぽ生命におけるアフラックのがん保険の新規取扱い開始、三番目に、アフラックによる日本郵政グループ向けのがん保険の開発の検討、これら三つを内容とするものであるというふうに承知をしております。

○井上哲士君 日本郵政が日本の民間保険と提携した新商品は許されないといいながら、アメリカの保険会社の商品を扱うことは許されていくと。どうしてこういうことになるんでしょうか。

○政府参考人(池田唯一君) まず、アフラックが日本郵便又はかんぽ生命のチャネルを用いてがん保険の販売を行うに当たりましては、保険契約者保護の観点から、アフラックあるいは日本郵便、かんぽ生命、その双方におきまして適切な顧客管理、販売体制等の整備を行っていただく必要がございまして、金融庁としては、これらについて適切な審査等を行っていく考えでございます。
 その上で、このアフラックの商品を日本郵便又はかんぽ生命のチャネルで売るということにつきましては、これはあくまで、他の保険会社が保険リスクを引き受けた保険商品を日本郵便やかんぽ生命がそのチャネルで販売するというものであります。それに対しまして、仮にかんぽ生命によるがん保険等の新規商品の引受けということになりますと、その場合にはかんぽ生命自身ががん保険等の保険リスクを自ら引き受けるということになります。したがいまして、そのための相応のリスク管理体制などがかんぽ生命において必要になるということでございまして、両者にはそういった差異があるというふうに理解をしております。

○井上哲士君 いろいろ言われましたけど、結果的にはアフラックが非常に有利な状況を獲得をしているわけですね。最初のこの販売を認めないという時期、そして今回のこの合意は八月の二国間協議の直前であったと。
 このTPPの問題をやはりリンクして考えざるを得ないわけでありますが、民間の会社同士のいろんな判断だと言われますが、日本郵政は二〇〇八年から日本生命との間で包括的な提携関係にあって、このがん保険の共同開発でも商品設計を終えて、システム面でも対応は完了していたと、こういうふうに言われております。日本生命自身が、かんぽ生命とは五年以上にわたって様々な面で協力を行ってきた経緯もあり、今回の話は遺憾だというコメントを出しているわけですね。
 ここで外務大臣にお聞きいたしますが、結局、対等な競争条件ということを一方で求めながら、自分たちは、このアメリカのアフラックは日本の民間生命保険会社よりももっと有利な条件を手にすると、これは余りにも私は御都合主義だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、先ほど来御指摘があった件につきましては、先ほど金融庁から説明があったとおりであります。
 そして、日米の並行交渉ですが、これは御案内のとおり、日本がこのTPPに参加するに際して日米協議を行い、TPP交渉と並行して自動車分野、そして非関税措置の分野、この二つの分野を並行して協議していく、こういったことになった次第です。
 そして、その非関税措置に関する並行交渉の分野におきまして、この四月に公表した日米間の協議結果に従って、保険について今議論を行っている、こういった状況であります。並行協議も既に三回行っていますが、まだ議論を続けている、このように報告を受けています。

○井上哲士君 まだ議論を続けているということでありますが、TPPでのアメリカの大きな狙いがこの郵政マネーなどの日本の資金だということが繰り返し指摘をされておりましたが、この間の経過は、いとも簡単にそれを明け渡した、アメリカ企業による日本市場の強奪だという指摘もあるわけですね。
 しかも、まだ議論が二国間されておりますが、今回の日本郵政とアフラックの提携でアメリカは何かするだろうというような見方があるという報道もありましたけれども、八月会合では、アフラックはこのかんぽ生命の競争力の不平等だと、こういうことについてはどのように主張しているんでしょうか。

○委員長(末松信介君) もう一度必要ですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 済みません。八月会合でどのように......

○井上哲士君 つまり、このアフラックと提携を受けて、不平等だというような主張をアメリカは下ろしてきているのかと、こういうことです。

○国務大臣(岸田文雄君) この日米並行交渉につきましても、これは結果的に、非関税措置に関する並行交渉の部分も最終的にTPPの結論と時期を合わせて法律等において実現するという取決めになっております。
 TPPに大変関連の深い交渉でありますので、具体的な内容について明らかにすることは限界がありますが、この交渉引き続き続いておりますし、また、一つ言えることは、従来から米国はかんぽ生命と民間企業との間の対等な競争条件が確保されるよう我が国に求めてきていた、これは事実であります。

○井上哲士君 引き続き八月会合でもそういう主張がされたと報道もされておりますが、新しい保険を認める、そしてこの提携があっても引き続き日本に譲歩を求めてくると。私はやはり、結局限りない譲歩を求められて、国民の財産である全国の郵便局網をアメリカの保険会社に開放して、さらに日本市場全体が、アメリカ多国籍企業に差し出すようなことにつながっていくというのがこのTPPだと思うんですね。
 自民党のTPPでの総選挙公約の六項目めには、政府調達・金融サービス等は我が国の特性を踏まえると、こういうふうになっておりますけれども、まさに今起きている事態はこれに反している、そういう状況ではないでしょうか。

○政府参考人(澁谷和久君) 先ほど申し上げましたとおり、国有企業に対する規律の在り方についてはまだまだ調整が続いているところでございます。また、先ほど御答弁申し上げましたとおり、各国のそれぞれの固有の事情、特に公共政策目的を持って行っている個別の政策等について、それは十分配慮するという、そういう認識の下、日本は交渉を行っているというところでございます。
 また、国有企業につきましては突然今回のTPPで出てきた問題ではございませんで、一九九〇年代以降、ニュー・パブリック・マネジメントという改革の潮流の中で各国とも取り組んできた古くて新しい問題でございます。OECDなどにおいても議論されている問題でございまして、このTPPにおいて何か特定の意図を持ってこういう議論がされているということではなくて、むしろ今後の広域経済連携の新しいルールのモデルをつくるという、そういう目標の下で議論されているというふうに認識をしているところでございます。

○委員長(末松信介君) 井上委員、質疑をおまとめください。

○井上哲士君 時間ですので終わりますが、結局、日本の市場をアメリカに明け渡すことになるんじゃないかという多くの懸念がありましたが、私は、かんぽ生命をめぐって起きていることはその懸念をまさに示していると思っております。
 こういうTPPからは撤退をすべきだということを申し上げまして、終わります。

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