国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2014年・186通常国会 の中の 予算委員会

予算委員会


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 三年目の三・一一を前に、改めて犠牲者の皆さんにお悔やみを申し上げ、被害者の皆さんへお見舞いを申し上げるとともに、生活となりわいの再建のために全力を尽くすことをお誓いをしたいと思います。
 総理は八日の日に福島を訪問をされて、福島でも復興が前に進み始めたことを実感できたと述べられました。一方、これ四日に報道されました朝日新聞と福島放送による福島の県民の世論調査です。(資料提示)原発事故の被災者への関心が薄れ、風化しつつあると思うかという問いに、風化しつつあるというのが七七%。なぜ福島県の皆さんがこのようにお感じになっていると思われるでしょうか。


○内閣総理大臣(安倍晋三君) 記憶というのは時とともにだんだん薄れていくものでございますが、しかし、この三年前の出来事は我々決して忘れてはならないと、このように強く思っているわけでございます。
 その中にありまして、やはり地元の方々、福島の方々は風化していってしまうのではないかというおそれを強く持っておられると、その気持ちがこうした数字に出ているんだろうと、このように思うわけでございますが、しかし、我々安倍政権としては、福島の復興なくして日本の再生はなし、これが基本的な姿勢でございます。
 その考え方の下に、私も度々被災地に足を運んでおりますし、この一年二か月で六回福島を訪問した次第でございまして、先般は、いわき市におきまして、これは市が主体となった災害公営住宅でございますが、これがいよいよ四月から入居が可能になったということでございますし、そしてまた、いよいよ一部は避難指示の指定が解除されていくということになったわけでございまして、待ちに待った御帰還が始まる、田村市においてはそうでございますが、そういう意味におきましては、着実に復興に向けて歩みは進んでいると、このように思います。

○井上哲士君 今なお十三万五千人の方が避難をされております。実は、これと同じ世論調査の中で、福島の復興への道筋が付いていないと答えた県民は実に八二%なんですね。総理の認識とは随分違うんです。
 先日、原子力問題の特別委員会で福島第一原発の視察にも行きました。現場の懸命な努力にもかかわらず事故収束とは程遠い状況ですし、汚染水問題はむしろ収束どころか拡大をしているという状況があります。そういう中で政府がエネルギー基本計画案を出したわけでありますが、その中では、原発依存を可能な限り低減するとしつつ、重要なベースロード電源としております。これ、ベースロードとはどういうことなのか、どの水準からどこまで低減をさせるというんでしょうか。

○国務大臣(経済産業大臣 原子力経済被害担当 茂木敏充君) ベースロード電源、これは基準の問題ではございません。今回のエネルギー基本計画の政府原案におきましては、各エネルギー源の特徴、これを踏まえてその性格を明確にし、それらを電源として使用するときの特徴を整理しております。
 具体的には、エネルギー源ごとに、一つはベースロード電源、それからLNGなんかのミドル電源......(発言する者あり)ちょっと待ってください、もうすぐ終わりますから。石油などのコストが高いものの出力変動が容易なピーク電源、これを明確にしておりまして、一般的にベースロード電源とは、低廉で安定的に発電することができ、昼夜問わず継続的に稼働できる電源のことでありまして、我が国では原子力、石炭、一般水力、地熱、これがベースロード電源でありまして、これは量の問題、それから優先順位の問題、これを示す言葉ではございません。

○井上哲士君 結局、ベースで一定の割合を使い続けるという方向が示されているわけですね。
 この計画案の下で原発の建て替えとか新増設はないのか。午前中の質疑では、現時点では考えていないという答弁がありましたが、経団連の会長などは新増設の必要性について発言をされております。将来にわたってないと、こういうことが言えますか。

○国務大臣(茂木敏充君) 原発につきましては、まずは既存の原発の安全性の確認、これが最優先の課題だと思っておりまして、リプレース、さらには新増設につきましてはその次のステップということであります。現段階におきまして、新たな新増設、これを想定しているものではございません。

○井上哲士君 現段階では想定していないが、新たなステップという言葉もありました。ですから、低減するといっても何の保証もないし、一方、建て替えやそして新増設も否定をされないと。道を開く中身でありますから、事実上の私は原発永久使用宣言になっていると思うんですね。
 福島県の浪江町の馬場有町長は、浪江町民、双葉郡住民が全員避難で苦渋を味わっており、事故原因究明もされていない中、原発の再稼働は信じられません、言うべきでないし、やるべきでないと言われております。私は、もうまるで原発事故などなかったかのように再稼働を進めようとするその政府の姿勢が、福島県民の皆さんがこの原発事故が国民の中で風化しつつあると思わせる一番の要因になっていると思います。
 そこで、この再稼働と規制基準の問題についてお聞きします。
 まず規制委員長、お聞きしますが、原子力規制委員会は原発について規制基準への適合審査を行っておりますが、この基準に適合と認めた原発は安全だと、こういう判断をされるんですか。

○政府特別補佐人(原子力規制委員会委員長 田中俊一君) 私ども、その安全だという意味はいろいろあると思いますので、それについてはコメントを差し控えますけれども、私どもが行っていますのは、福島原発事故の反省を踏まえた新規制基準を作りまして、それの基準に適合しているかどうかという判断をしています。これは純粋に科学的に判断しています。その結果として稼働するかどうかということについては私どもの所掌ではないし、これはまさに、以前から申し上げていますように、地元、それから事業者、それから政府とか、そういったステークホルダーの判断によるものというふうに考えております。

○井上哲士君 いろいろなところで規制委員長は安全の判断をするわけではないんだということを言われております。
 総理にお聞きしますが、三月三日のこの当委員会の場でも、世界で最も厳しい規制の中において原子力規制委員会が判断をし、安全だと判断されたものについて再稼働していくと答弁をするなど、総理は規制委員会が安全を判断するかのような答弁を何度も繰り返されておりますが、今規制委員長の答弁もありましたように、安全を判断するわけではないんですね。だったら誰がするんですか。政府が安全だと判断をして再稼働をするということですか。総理。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 我々は、三年前の教訓から、原発については安全を確保することが大前提でありまして、原子力規制委員会においては各種の事故調査でこれまでに明らかにされた情報を踏まえまして、海外の規制基準も確認しながら世界で最も厳しいレベルの新規制基準の策定を行い、現在、厳正な審査を進めているところでありまして、原発の再稼働についても、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていくということになっているわけでございます。
 そこで、避難との関係でございますが、併せて......(発言する者あり)いいですか。じゃ、ここで終わらせていただきます。

○井上哲士君 全然答えていないんですよ。総理が繰り返し安全だと判断されたものについて再稼働していくと答弁されているから私聞いているんですね。安全だと判断をされるんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わばその安全を、安全ということにつきましては、まさに基準、これはある一定の基準を超えれば我々は安全だという判断がなされたというふうに考えているわけでございますが、その意味におきまして、最も厳しいレベルでの規制基準に基づいて徹底的な審査を行って、これに適合すると認められた原発については再稼働を進めていくということにしております。

○井上哲士君 いや、規制委員会は安全という判断はしないということを繰り返し言われているんですよ。だから、おかしいと私は言っているんですね。だから、安全と誰も責任を持って言わないのに再稼働だけは進んでいくと、こういう仕組みになっているわけですね。
 そして、総理、今も世界で最も厳しい規制基準でこれをクリアすれば大丈夫かのようなことも繰り返して言われておりますが、日本はあれだけの事故を起こして、しかも世界一の地震国なんですね、地震大国ですよ。そこで厳しい基準になるのは当たり前でありますし、福島原発事故の教訓というのは、どんなにやっても事故ゼロの原発はあり得ないということだと思うんです。しかも、今の基準が、じゃあの教訓を酌み尽くしたものになっているのかということも問われます。
 規制委員会は昨年の五月に福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会を立ち上げております。田中委員長にまず確認いたしますが、第一回目の会合で規制委員会の更田委員がこう言われています。福島第一原発事故の反省を踏まえて、それを規制に反映させていくということがこの規制委員会、規制庁の非常に大きな責任となっておりますと、こう言われていますが、同じ認識でよろしいでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) そのとおりでございます。
 それで、これまで様々な調査の結果等を踏まえ、また引き続き調査をしながら、その規制を反映させながら新たな規制基準を策定し、それでそれの適合性の審査を進めているということでございます。

○井上哲士君 この検討会は、国会の事故調や政府の事故調で引き続き検証が必要とされている項目について検討するとしております。
 これは第一回の会合で出されました主な論点でありますけれども、地震動による安全上重要な設備等への影響であるとか、格納容器の破損箇所の特定、放射性物質の漏えい経路及び放出量の評価などなど、事故分析にとって極めて重要なことがここで示されております。
 この間、五回会合が行われたと聞いておりますけれども、この問題についての検討状況はどうなっているんでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 御指摘のように、会合は五回、それから現地調査も四回出向いております。
 それで、御承知のように、原子炉の内部に入るというのは今のところ放射線量率が高いものですからある程度限界がありますが、非常に、政府事故調等、国会事故調等でも論点のありましたICという非常用の復水器の水漏れの問題、それから四号機の爆発について、それは水素爆発なのか核的な爆発なのかという議論がありましたけれども、それについてはきちっと整理しまして、ICについては地震による水漏れというか破損ではないということを確認しましたし、四号機の方については、三号機の方から水素が移動して、そこで爆発を起こしたというところまで確認しております。
 今後、中の状況を見ながら随時そういった問題点を解明していきたいと、そのように考えています。

○井上哲士君 今言われた一部論点についての報告が出るんでしょうが、それは必要な検証がされるべきだと思います。
 一方、今言われたのは大体この一番上の丸に関わる問題でありまして、格納容器の破損箇所の特定など、この問題についてはおよそまだ検討ができていないという状況だと思います。
 第一回目の会合でやはり更田委員は、事故分析は十年、二十年続けるものになるだろうと述べられております。分析は緒に就いたばかりだと思いますが、この格納容器の破損箇所の特定など、これでいいますと二つ目の丸以降の問題というのはどういう検討が今後されていくんでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 格納容器について全面的な調査は今のところまだできていません。一部ロボット等を使って水の漏えい箇所とかの特定ができるようになってきております。
 新しい規制基準では、格納容器というのは最終的に放射能を閉じ込める最終的なとりでというふうに私どもは認識しておりまして、この格納容器の、どんなシビアアクシデントが起こっても格納容器の健全性を保つということを最大の目標にしまして、フィルターベントとか水素爆発防止とか、そういった技術的な要件を課しております。

○井上哲士君 先ほどもありましたように、非常に放射線量が高いわけですから、格納容器については直接見ることができないということのわけですね。
 今、最後のとりでだと言われましたけれども、これがどういうふうに破損をしているかということは、この設計そのものにも関わるような問題になってくるわけでありますけれども、これはまさにこれからの課題であって、十年、二十年続けるものになるだろうという更田さんが言うような状況なわけですよ。
 つまり、今後も高い放射線量は相当長期に続きますから、現場検証のめどもないわけですね。事実関係の確認ができていないということですよ。にもかかわらず、既に作られているのが今の規制基準なわけですね。
 総理、お聞きしますけれども、こういう事実関係の検証も途中の下で作られた基準がどうして世界一の安全基準ということが言えるんですか。総理。

○国務大臣(茂木敏充君) 事実確認全くできていないわけではなくて、田中委員長の方からも答弁ありましたように、かなりな部分については分かっているところがあります。ただ、格納容器の中等々放射能レベルが高く、中に入れない部分について事実関係は今後という部分も出てまいります。
 ただ、全体の状況を考えて、これまでのシビアアクシデントに対する備え等々が不十分であった、また、海外の事例等々も参考にしながら世界で最も厳しい新規制基準、委員会において設定をされたと。この安全性につきましては、まさに独立しました原子力規制委員会において作ったものでありますので、政府としてはコメントを差し控えたいと思います。

○井上哲士君 更田委員は、やはり第一回目の会合でこういうふうに言っています。十分に反省するためには、何が起きたのか、そして、どのような対処がなされて、その結果、あのような事態に至ったのかということをきちんと可能な限り踏まえる必要がある、事実関係を明らかにした上で、その中から規制に反映すべきことがあれば規制に反映させていきたいと、こういうふうに言っているんですね。
 ですから、まだこれ半ばなんですよ。規制に反映させるべきものは今後もあるということですよね。その下で作られた私は基準の下で再稼働などはあり得ないと、それは新たな安全神話だと思いますよ。
 もう一つこの基準の問題についてお聞きしますが、避難計画の問題です。
 アメリカでは、スリーマイル島原発の事故の反省から、避難計画の策定を原発運転の条件にしておりますが、日本の新しい規制基準ではそうなっておりません。なぜ、しなかったんでしょうか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 先ほども私の方からと石原環境大臣の方からお答え申し上げましたけれども、いわゆる防災計画、原子力発電所の事故に限らず、防災計画は地方の状況を非常によく把握している地方公共団体が策定するということが原則になっております。その中で、原子力災害に対してもそういう対応をするということであります。ただし、原子力災害という特殊事情を踏まえて、その策定に係る指針については、私ども大きな指針については検討して出させていただいていますし、実際の策定に当たっては、内閣の防災の方を中心にして私どもも協力しながら策定、できるだけ良い避難計画が作れるようにサポートしているところでありますし、予算的にも、それに必要な予算についても政府の方でかなり相当額手当てしていただいているというふうに承知しております。

○井上哲士君 現場を知った地方自治体が作るのは必要かもしれません。しかし、それをちゃんと稼働の基準にするべきだということを言っているんですね。
 現場はどうなっているかといいますと、避難計画の策定が求められる原発三十キロ圏内の百三十五の市町村のうち、作ったのはまだ、避難計画できたのは四三%にすぎません。浜岡原発や柏崎刈羽原発の地域ではゼロなんですね。なぜかと。
 これは民間の団体である環境経済研究所が原発ごとの避難時間についてシミュレーションをしております。車両登録されているバスの三割、マイカーの五割が避難時に使われると想定をして、全住民が三十キロ圏外に出るのにどうなるか、渋滞の発生などを交通工学の手法で分析をしたものですが、それによりますと、全国で一番時間が掛かる浜岡原発の場合、地震と一緒になって、国道のみが使用できるという想定でいいますと百四十二時間半、約六日掛かるんです。高速や主要道路が使える場合でも六十三時間も掛かると。
 石原大臣、こういう地域で自治体作れと言われて、実効ある避難計画ができるんでしょうか。

○国務大臣(内閣府特命担当大臣(原子力防災) 石原伸晃君) 基本的に民間の試算について防災担当の大臣がコメントするのは差し控えさせていただきますが、やはり今委員は前提を二つぐらいおっしゃられたわけですけれども、車をどれだけ使う、あるいは集合的なものをどれを使う、道路事情がどうであるのか、そこの道路が繁忙期、繁忙期じゃないときにどのように混むのか、そういう細かい試算をしっかりしていかない限りは、その数字というものはいろんなふうな数字が出てくるものだと認識しております。

○井上哲士君 大体、地方自治体がやったシミュレーションともそう大きな違いはないということをこの会の方がおっしゃっておりました。
 既に作られている避難計画についても、基本は天気がいい昼間に原発の事故だけが起きたというものなんですね。実際には複合災害の危険が高いわけです。浜岡原発でいいますと、東海大地震の震源域の上にある世界一危険な原発であって、これはもう直ちに廃炉すべきだと思います。それを再稼働の申請をしてきたわけですね。
 静岡県民が一番恐れているのは、地震によって原発事故が起きるということです。静岡県地域防災計画地震対策の巻を見ますと、避難対策の基本方針として、避難対象地区の住民等が避難地まで避難するための方法については、徒歩によるものとすると書かれております。道も損壊していますし、緊急車両の道も空けなくちゃいけないと、こういうことだと思うんですね。一方、原子力災害に係る静岡県広域避難計画のたたき台を見ますと、避難に当たっては多くの住民が自家用車により避難することを想定をすると、こうなっているんですね。片や徒歩、片や自家用車と、全く逆の想定がされているんですね。
 大臣、地震と原発事故が同時に起きた場合には住民はどういうふうに避難をするんですか。

○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの委員の御指摘は、複合的な災害が起こったときにどうするのかということでございますが、避難計画にしても全て複合的なものを含んでおります。
 そして、先ほどのお答えに若干関連することでございますけれども、委員御指摘のとおり、やはりより短時間で避難できるためのどういう経路がいいのか、あるいは輸送手段についてもいろいろな今試算を出されましたけれども、そういう設定。あるいはもう、調べますと、道路というのはボトルネックがどこに交通量が絶対的に多くなることによって発生するかというものは大体分かっておりますので、そういうボトルネックみたいなところを交通を緩和するような手だてを設ける。
 国としても、地域ごとに、これも規制委員会の委員長からお話をさせていただきましたけれども、地域ごとにワーキングチームを設けまして、関係する省庁が協力してこの避難計画が、委員の指摘されるように、長時間あるいは混乱のないように絶えずブラッシュアップをさせていただいているというのが現状でございます。

○井上哲士君 一時間、二時間の話じゃないんですね。地震で道が困難になった場合には六日間も掛かるだろうという、こういうシミュレーションが出ているわけですよ。そういう地域の実態にあるわけです。
 しかも、例えばこのシミュレーションでは、柏崎刈羽ですね、国道のみ使用の場合では六十六・五時間、国道と高速等も使用できる場合が二十九・五時間と、こういうふうになっておりますが、これも天気が良いという条件だけなんです。柏崎刈羽の場合は十日町市など大変な豪雪地域を三十キロ圏内に含んでおりますね。先日のあの山梨など雪でもう広範囲に孤立をするという状況を見たときに、こういうときに原発事故が起きたらどうなるのかとぞっとしたわけですよね。動くことができないわけですよ。
 こういう複合災害の場合には、幾らブラッシュアップするといっても、そもそも避難できないんじゃないですか、いかがですか。

○国務大臣(石原伸晃君) 委員が御指摘されているケースは、こちら側の、というのは、国の側からの避難指示が出ていない方々もこれは大変だともう一斉にばっと避難されるようなケースにおいては、多分委員が指摘されるような事態も発生することは私も否定はできないんだと思っております。
 我々の経験からどうすればいいかということになるわけでございますけれども、やはり避難を開始する方、避難指示が出ている地域の住民の方々の避難の完了をまず最優先に行う、そういうことをやはり啓蒙していくということ、すなわち住民の方によく理解いただくことが非常に重要であるということを委員の今の御指摘は示唆しているんではないか。
 なぜこういう考えにのっとって我々がこういう避難計画等々を作っているかといいますと、IAEAの考え方で、東電のあの事故が起こって、みんな一斉にばっとSPEEDIも使わないで放射線が風に乗っていく方向に避難をしたというような教訓を踏まえて、やはりどこにどういう順番で避難をするのかということが重要であると。一斉にばっと逃げるようなことはいけない、やはり状況に応じて段階的に避難を実施し、混乱を回避する、こういう基本にのっとって、私ども、現在は自治体から御相談があるときにそういうことをお話しさせていただいて、そういうことが起こらないような避難策というものを作るように努力をさせていただいているところでございます。

○井上哲士君 五キロ圏内にだけまず避難指示を出したら、その人たちが逃げていくのに、五キロより以遠の人が自分たちはじっと待っているかと、そんなことにならないんですね。ならなかったんですよ、福島でも。だから、私はそういうのは本当に机上の空論だと思うんですね。
 二日に発表されました共同通信社のアンケートでは、本当に地方自治体は苦労されています。事故時の住民避難を尋ねたところ、三十キロ圏にある道府県も含めた百五十六の自治体のうち、半数近い七十二の自治体が困難だとしております。ですから、原子力規制委員会が審査を終えれば原発の再稼働を容認すると答えたのは、条件付でもたったの二割の三十七自治体にとどまっているんですね。元々、安全神話を基に過酷事故は起きないという前提で立地をされているんですから、後からやっぱり過酷事故を想定して計画作れといっても不可能なんですよ。客観的に無理なんですよ。だから、地方自治体はこういう悲鳴を上げているわけですね。
 総理、お聞きしますけれども、アメリカのニューヨーク州のショーラム原発は、避難計画を州知事が承認しなかったために運転開始ができずに八九年に廃炉になっております。総理が世界一厳しい基準だと言うのであるならば、アメリカのように避難計画ができない場合、作ってもそれに実効性がないと判断される場合は再稼働させないと、そういうことでよろしいですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず最初に、これ判断するのは、これは避難計画ではなくて、原子力規制委員会が世界で最も厳しい基準にのっとって審査を進め、安全であると、こう判断した段階において我々は再稼働を進めていくことになるわけでございますが、同時に、再稼働に当たっては地元の理解を得ることが重要であります。地域の防災避難計画は地域の状況に精通した自治体が策定するものでありまして、住民の安全、安心を高めるためにも継続的に改善充実を図っていくべきものであろうと、このように思います。できないという後ろ向きの発想ではなくて、どうすれば地元の理解を得られるより良いものができるかということが重要ではないかと、このように思います。
 国といたしましても、これを全面的に支援をしているところでありまして、その進捗状況などについて原子力防災会議において確認をする方針であります。また、万が一の事故の場合には、自衛隊の車両、船舶の活用を始めまして住民の避難への対応に総力を挙げて取り組んでいく考えであります。政府としては、自治体を力強く支えて、地域の防災避難計画の充実に向けて取り組んでいく考えであります。

○井上哲士君 みんな自治体は後ろ向きで言っているんじゃないんです。どう考えてもこれは避難できないと、だから、今避難計画ができてきていないわけですね。だから、そういうときはもう動かさないということをはっきり言うべきだと言ったんですね。
 アメリカでやっている規制もやらないんなら、世界一厳しい基準などとはもう二度と言わないでほしいんですね、私は。そんな下で動かすというのは、まさに福島の教訓はどこに行ったのかという話になるんです。
 しかも、これ、動かしますと核のごみが出てまいります。今各原発で使用済みの核燃料プールなどで保管されているのは、全国的に約二万トンに対して一万四千トンが貯蔵されておりまして、再稼働しますと玄海では三年、柏崎刈羽は三・一年で満杯になります。
 この対策のために核燃料サイクルということが言われてきたわけでありますが、「もんじゅ」はトラブル続き、事実上破綻しているにもかかわらず、今度の計画ではこれを進めるということが再び盛り込まれました。しかし、ここの核燃サイクルで再処理をすれば、発生する高レベル放射性廃棄物の処分については何の展望もないわけですね。
 政府は二〇〇〇年に我が国でも地層処分ができると評価をして法律も作りましたけれども、ちっとも進んでおりません。一体なぜ進んでいないんですか。

○国務大臣(茂木敏充君) まず、この高レベル放射性廃棄物の問題でありますけれど、量につきましては一万七千トン分、そしてガラス固化体にしますと大体二万五千本分ということでありまして、これやはり我々の世代の、現世代の責任として、再稼働するしないにかかわらず、きちんと解決をしなければいけない問題だと思っております。
 諸外国もこの問題、三十年近く悩んでおりまして、御指摘のように我が国でも十年間これが進んできませんでした。幾つかの背景ありますが、一つ大きな背景としては、やはり手挙げ方式で地元から応募をしてもらうと、こういうことになりますと、東洋町も最終的にはうまくいかなかったという例もあるわけでありますけど、地元の説明責任等々が余りにも大きくなり過ぎる、こういうことで、現在、総合資源エネルギー調査会におきまして検討を進めておりますが、国が科学的な根拠、こういったものを示しながら候補地、幾つかの数になると思いますけど、こういったものをお示しをする。さらには、技術も進んでまいりますから、この技術の進展に合わせて、一旦埋めたらそのままにするということではなくて、将来の世代が選択肢を持ち得る、可逆性、こういうものを持った処分の方法と、こういったことも検討してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 そもそも、地層処分が可能とした二〇〇〇年の評価自体が東日本大震災の前の話なんですね。私は、三・一一の前の古い知見によるもので、これ自体が通用しないと思っております。
 なぜ進まないのか。これ、プロセスで必ず知事や市町村の意見を聴くことになっております。福島であれだけの取り返しの付かない被害を目の当たりにして、そしてその安全神話をばらまいてきた国に対する不信は大きいわけですよ。国がここは大丈夫だと言っても住民は信用しないと。国が前面に出たからといって私は進まないと思いますけれども、茂木大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) もちろんこれまでの反省は踏まえなきゃなりません。そして、世界の英知も結集をしなければいけない問題だと思っております。その上で、進まない、できない、思考停止に陥ってはいけないんだと思います。
 先ほど申し上げたように、現にもうあるわけです。一万七千トンの高レベル放射性廃棄物というのは存在するわけです。日本で原子力を全く今までやっていなくて、これから高レベル放射性廃棄物が出始めるということだったら委員の議論というのもあるかと思いますけれど、この大量に残っている放射性廃棄物、この処分をしなければいけない、解決をしなければいけない問題だと、こんなふうに思っております。

○井上哲士君 解決もしないのに再稼働して再処分をして、どんどん増やすのが無責任だと言っているんですよ。将来にどんどんツケ回すだけじゃないですか。
 世界の知見と言われましたけれども、原子力委員会の依頼を受けて日本学術会議が震災後の二〇一二年に報告書を出しております。こう書いています。日本は火山活動が活発な地域であるとともに、活断層の存在など地層の安定には不安要素がある。さらに、万年単位に及ぶ超長期にわたって安定した地層を確認することに対して、現在の科学的知識と技術的能力では限界があることを明確に自覚する必要があるというんですね。私は、これを真摯に受け止めて、どんどん核のごみを増やして将来にツケを回す再稼働にしても核燃サイクルにしても中止をするべきだと、こう思います。
 このことを強く求めまして、質問を終わります。

○委員長(山崎力君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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