国会質問

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外交防衛委員会

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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  自衛隊でのいわゆるいじめ自殺の問題についてお聞きをいたします。  過去十年間の陸海空自衛官及び事務官の自殺者数は年間八十一人から百一人で推移をしておりますが、自殺者数の比率は一般公務員と比べますと一・五倍ぐらいになると言われておりますが、自衛隊における自殺の原因と対策はどうなっているでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) 一般的に自殺は様々な要因が複合的に影響し合って発生するものであり、個々の原因について特定することは困難な場合が多いと考えております。  なお、自殺原因の把握については、周囲の隊員や御遺族に対する聞き取り等により可能な限り特定できるよう努めているところであり、病苦、借財、家庭問題、職務、精神疾患等その他不明という区分に整理して把握をしております。  防衛省・自衛隊における自殺防止対策は、隊員のストレスを軽減するなど心理的ケアとして、メンタルヘルスに関する啓発教育の徹底、カウンセリング体制の充実強化、自殺事故発生後のアフターケアの実施などに努めております。また、これらの施策を推進するため自殺事故防止対策本部を設置し、省全体として自殺事故防止に取り組んでまいります。  いずれにしても、自衛隊員の自殺に関しては、前途ある隊員を志半ばで失うことや悲しい思いをされる御家族が生じるといったことを減らすべく、今後とも自殺防止施策を強力に推進してまいります。

○井上哲士君 専ら自殺した隊員のメンタルの問題など個人的事情が問題とされて、その対策が中心だと思うんですね。しかし、実際には職場でのいじめとかパワハラとか、そういうことによる自殺が少なくありません。  先ほど分類を挙げられましたけれども、二〇一二年では年間八十三人の自殺者のうち、精神疾患等が三十二人、その他が八人となっておりますが、この中でいわゆるいじめを理由にするものというのは何件でしょうか。    〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕

○政府参考人(防衛省人事教育局局長 豊田硬君) お答え申し上げます。  防衛省・自衛隊におきましては、先生御指摘のいじめにつきまして、特に明確な定義があるわけではございません。このため、先生の御質問に正確にお答えすることは困難ではございますけれども、特定の年度を挙げてということではございませんが、例えば過去十年間について見ますれば、直属の上司による侮辱的な言動でございますとか同僚による暴言等と自殺との因果関係が認められる旨裁判所において判断が示されたような事案につきましては、二件あるというふうに承知しております。  その一つは、平成十一年の十一月に護衛艦「さわぎり」で起こりました自殺、三等海曹の自殺の案件でございまして、もう一つは、平成十七年の十一月に航空自衛隊の浜松の第一術科学校所属の三等空曹が自宅において自殺した案件がこうしたものに該当するのではないかと承知しております。

○井上哲士君 学校でのいじめ自殺とか、そしてスポーツ界における体罰なんかについても定義が明確でないとか、いろんな複合的なことがあるといって、これもう正面から認めないということがこの間大きな社会問題になってきたと思うんですが、今の答弁を聞いておりましても、やはり正面からこのいじめの問題に向き合うということではないと思うんですね。  今、二件言われましたけれども、自衛隊内のいじめが自殺の原因だという損害賠償訴訟であるとか公務災害の申請はたくさん起こされておりますし、自殺に至らないパワハラ、セクハラという問題も起きております。私は、やっぱりそれを正面から認めないというところに事実を覆い隠そうとするのではないかと思わざるを得ないわけですね。  具体的に海上自衛隊の「たちかぜ」における自殺事件について詳しくお聞きしますが、まずこの事件の概要について述べてください。

○政府参考人(豊田硬君) 「たちかぜ」事案の概要についてでございますが、平成十六年十月、護衛艦「たちかぜ」乗員の一等海士、当時二十一歳の方が外出中に自殺をいたしました。その捜査の過程で、「たちかぜ」艦内で暴行、恐喝事案があったことが判明いたしまして、その被疑者の二等海曹が起訴され、有罪となり懲戒免職にされております。この一等海士の御遺族が、自殺の原因が元二等海曹によるいじめであるとして、同人と国に対しまして損害賠償を求め提訴をされました。平成二十三年一月、一審判決が出されましたが、原告側が控訴をされ、現在東京高裁におきまして控訴審が係属しているという、こういった事案でございます。

○井上哲士君 これ、艦内にエアガンを持ち込んでこの自殺した一士の顔を撃つなど、様々な暴行と恐喝が行われておりました。  今お話しのあった裁判については、横浜地裁は十一年の六月にこの恐喝や暴行を認定をして、その精神的苦痛への慰謝料として計四百四十万円の賠償を命じました。判決文では、元二曹からの理不尽な暴行や恐喝を受けたことが、元一士の自殺の重要な原因となったと推認できるとして、上司や国の責任を認めた非常に重要な判決であります。  一方、自殺を予見できたまでとは言えないとして賠償は認めませんでした。これを不服として遺族が控訴しているんですが、この自殺の予見性を明らかにする上でも非常に重要なのが、事故の直後に行った「たちかぜ」の乗務員に対する艦内実態調査アンケートであります。お手元にこの事件の経緯の年表をお渡ししておりますが、遺族は提訴後、このアンケートの情報公開請求をしておりますし、裁判でも証拠として提出するように求めました。ところが自衛隊は、破棄しており存在しないとして、一貫して応じなかったわけであります。  ところが、裁判は劇的な展開になりました。一審で海自の法務官として国側の代理人を務めた自衛隊の三等海佐が、二〇一二年四月に東京高裁に実はアンケートは存在していると、文書隠しがされているという陳述書を提出をしました。すると、その二か月後の六月に海上自衛隊は一転して、このアンケートがあったということを記者会見で認めたわけであります。  なぜこういうことになったのか。組織的な隠蔽が、大臣、行われてきたんじゃないですか。

○政府参考人(防衛省大臣官房長 黒江哲郎君) 「たちかぜ」事案のアンケートの発見に至る経緯の事実関係でございますので私の方から御答弁申し上げますが、本件につきましては、ただいま委員の方から御指摘ありましたように、平成二十四年の六月に、それまで防衛省として破棄済みであるとしてきました「たちかぜ」乗員の自殺事案に関します艦内生活実態アンケート、この原本の存在が明らかになったということでございます。そういう意味で、当初破棄済みとしておったものが、なぜこれが存在が明らかになったのかといった経緯を調べるということで、平成二十四年の九月及び平成二十五年の七月に海上幕僚監部が調査を行い、その結果を公表いたしておりますけれども、その過程といいますか結果の中で、原因としまして二つの点が指摘をされております。  具体的には、まずこのアンケート原本につきまして、一般事故調査報告書の作成後、横須賀地方総監部の中で行政文書として管理されずに保管されていたという意味で、極めて不適切な行政文書管理が行われていたということが第一点でございます。  また、先生御指摘の経緯の表の中でも累次にわたって情報公開の請求等があったわけでございますが、その情報公開の請求への対応に当たりまして、アンケート原本を引き継いでいた横須賀地方総監部の監察官が十分な確認作業を行わなかったと。また、海上幕僚監部の担当課室も行政文書を特定するための必要な調整業務あるいはその手続といったものを十分に踏まなかったということで、二点目の大きな原因としまして、不適切な情報公開業務への対応といったものが行われていたというのが事実関係でございます。

○井上哲士君 文書管理の不備とか不適切な処理ということにとどまる問題では私はないと思うんですね。  この一覧表にもありますように、アンケートの存在は、この一二年の四月に突然指摘をされたものではありません。この内部告発をした三等海佐は、昨年の十二月に控訴審で、法廷で証言もしておりますし、テレビでも証言をしております。  裁判の担当を外れた後のまず二〇〇八年六月に、防衛省の公益通報窓口にアンケートの存在を告発しましたけれども、海上自衛隊は否定しました。さらに、二〇一一年の一月と二〇一二年の四月にもそれぞれ裁判を担当している別々の首席法務官にアンケートの存在を認めるように進言しましたけれども、いずれもこれが入れられなかったと。一一年一月には自ら情報公開請求をしたけれども、再び海自は破棄をしたと。  こういうことをやっても、結局全部事実を認めないので、最後にはこの陳述書を出すという行動に至ったわけでありますね。ですから、きちっと対応すれば、これを発見する機会は何度もあったわけであります。  海上自衛隊がこの特命監察や特別の調査もされておりますが、この三等海佐と二人の首席法務官のやり取り、つまり、あるということを認めろということを進言をしているわけですが、これをやらなかったということについては、こうした報告ではどのように検証されているんでしょうか。

○政府参考人(黒江哲郎君) 御指摘の海上幕僚監部によります特命監察の結果の中では、今先生御指摘になられましたような進言といった経緯につきましては特段の記述というのはしてございません。  他方で、この告発といいますか、これは陳述書を訴訟の場で提起をこの方がされたわけですけれども、直接この陳述書の提起といいますか、提出が引き金となりまして特別監察が行われておりますので、この三佐の方がおっしゃりたかったこと、あるいはどういった経緯で自分がそういったものを知るに至ったのかといったことも含めて、特別監察の調査の過程では、当然これは調査の、何といいますか、対象となっておるということでございます。  ですので、調査結果、先ほど私申し上げました、二つの大きな不備があったということを申し上げましたけれども、その結果の中にはこの方の御主張といったものも当然踏まえた上での結果という形になっておるということでございます。

○井上哲士君 しかし、事実経過には全くこの二人の首席法務官の進言とその対応については書かれていないわけですね。このやり取りはICレコーダーに録音されておりまして、先日もテレビ番組の中でやっておられました。まさにこれはもう事実としてあるわけですから、きちっとこれは調査もし、そして明らかにしていただきたいと思うんですね、事実関係を。  一二年の六月にこのアンケートの存在を海幕長が会見で認めました。海上自衛隊の追加調査を見ますと、この会見で認める約半年前に、この表にもありますように、横須賀地方総監部の法務係員の二等海尉がアンケートの原本を発見して、そして係長に伝えております。ところが、海幕の法務室にも法務省にも報告しなかった。そして、その後、この事実を知った専門官が、更に上の専門官ですね、それがこの係長に対して隠密に破棄するようにという内容のメールを送っていたという驚くべき事実も調査報告書には書かれております。  こうした自衛隊の対応について、内閣府の情報公開・個人情報保護審査会が昨年十月に出した答申で触れておりますけれども、どのように指摘をしていますか。

○政府参考人(情報公開・個人情報保護審査会事務局長 菅宜紀君) お尋ねにつきましては、平成二十五年度行情答申第二百三十三号の中の付言におきまして、行政組織におけるガバナンスの体制が構築されていないことを示す点で問題である上、相談を受けた他の事務官らは報告を勧めるどころかむしろ廃棄を働きかけている、これらの経緯からすれば、個々の職員の対応にとどまらず、処分庁には組織全体として不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があったことを指摘せざるを得ないとの指摘をいただいております。

○井上哲士君 組織として不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があったと、こういう厳しい指摘でありますが、さらにこの答申では、本件のまとめ、全体としてはどういう指摘と要望を防衛省にしているでしょうか。

○政府参考人(菅宜紀君) お尋ねにつきましては、同じく答申の付言の中に、個人の資質や案件の特異性だけではなく、処分庁の組織的な傾向に関わる問題であることがうかがわれる、省略いたしますが、情報公開制度の運用全般について大きな疑念を生ずることとなる、国民に対する説明責任を進んで果たす開かれた組織として信頼を得られるよう、指摘した問題点を踏まえ、情報公開により真摯な取組をするよう要望するとの指摘をいただいております。

○井上哲士君 防衛省としての組織的な傾向に関わる問題だということを受け止めて真摯な取組をするように要望するという極めて異例な厳しい指摘がされているわけですね。  防衛大臣に伺いますが、私は、この文書管理の不備とか不徹底とかそういうことではなくて、こういう指摘をされた、組織的な傾向に関わる問題だ、私に言わせれば隠蔽体質、このこと自身に踏み込んだ対応が更に必要かと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 私も、一連のこの事案の報告を受けた中で、やはりこの問題について、文書管理だけではなくて、情報公開に関わる重要な問題についてしっかりとした対応が必要だということを認識をしております。  二十四年六月に艦内生活実態アンケートの原本の存在が明らかになったことを受けて実施した海上幕僚監部の調査の結果、部内で不適切な行政文書管理が行われていたこと及び不適切な情報公開業務が行われていたことが認められたということは委員の御指摘のとおりでございます。  防衛省としては、これらの問題を受け止め、二十四年九月に行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施を図るための通達、事務次官通達でありますが、それを発出させていただきました。防衛省として、二度と同じような問題が起きないよう、しっかりと再発防止に努めていく考えでございます。

○井上哲士君 この問題、国会でも議論になりまして、六月に認める直前の三月に、当時民主党政権でありましたけれども、神風防衛政務官が、これは廃棄されたものと承知していると、こういう答弁を行っているんですね。つまり、不都合なことを隠蔽する、組織守るために政治家に虚偽答弁を読ませているわけですよ。  私は、今の大臣の御答弁からは、やっぱりそういう深刻な事態を正すというような思いがとっても伝わってきません。  そして、これは単にその担当部署の問題ではないんですね。三等海佐による告発が報道された後に当時の上官から圧力を受けたやり取りの録音が、先ほど紹介したテレビの番組で紹介されております。お手元に配っておりますが、あなたは組織の中の一員だよねと、こういうことをやるんだったら自衛隊辞めてねと、組織を離れてやるべきだと、組織の中でやっちゃいかぬよと、こういうことを言っているわけですね。  私は、このまさに内部告発するような者は組織から出ていけというようなことが、担当部署でなくて全体としてのこの組織の傾向にあるんじゃないか、そういうことで正す必要があると思いますが、その点でも、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) この番組、たしか深夜に放送された番組だと思います。私、それを見ております。全般を通じて、やはり組織の中でしっかりと組織を正そうと思う、そういう役割を果たす隊員、職員、そういう者について、私どもとしてその意見をしっかり受け止めることは大変重要なことだと思っております。

○井上哲士君 ところが、自衛隊はこの三佐に対して懲戒処分の手続を始めているとされております。こういうやり方は内部告発を封じることによって結局こうした体質を温存することになると思いますけれども、こういうあれこれ理由を付けて別件で処分するようなやり方、これはやめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(豊田硬君) これまでの情報公開開示請求におきまして不存在とされていた護衛艦「たちかぜ」の艦内生活実態アンケートが、先ほど申し上げましたように平成二十四年六月に横須賀地方総監部監察官室で発見された事案につきましては、現在、公益通報を行った方を含めまして複数の関係職員に対しまして様々な角度から調査を実施しているところでございまして、判明した事実に基づき適切に対処する所存でございます。  いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、公益通報者保護法及び防衛省における公益通報の処理及び公益通報者の保護に関する訓令を踏まえ、公益通報をしたことを理由として公益通報者に対して不利益な取扱いを行うということはございません。

○井上哲士君 時間なので終わりますが、事実上こうした内部告発者の見せしめになるような、そういう処分は行うべきでないと、そのことを改めて強く申し上げまして、質問を終わります。

 

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