国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2014年・186通常国会 の中の 本会議

本会議

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  私は、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画について、日本共産党を代表して質問いたします。  初めて作られた国家安全保障戦略には、積極的平和主義が掲げられましたが、国の最高法規である日本国憲法への言及は一切ありません。憲法に反する集団的自衛権の行使を容認し、従来の専守防衛の建前さえ投げ捨てて海外での武力行使に踏み出すものではありませんか。  この間、総理は、集団的自衛権行使を容認するため、一九五九年の砂川事件の最高裁判決を持ち出しています。しかし、砂川判決が述べた固有の自衛権に集団的自衛権が含まれているという議論は通用しません。砂川裁判とは、在日米軍の駐留の違憲性が争われたものであり、当時、検察、弁護団、裁判官のいずれも、自衛権とは日本が侵略された場合の個別的自衛権であることを当然の前提として議論していました。  一審では違憲判決が下り、異例の最高裁への跳躍上告が行われました。その際、判決に驚愕した駐日米国大使が最高裁長官と秘密裏に話し合っていたという、司法の独立を揺るがす事実が二〇〇八年以来、アメリカの解禁文書で明らかになっています。その下での最高裁判決は、在日米軍が憲法九条二項の言う戦力に当たるかどうかを判断したものの、日本独自の自衛力の保持については判断していません。しかも、集団的自衛権は行使できないという政府の憲法解釈もこの判決以降に確立したものであります。その判決を集団的自衛権行使の容認に利用するのはもってのほかではありませんか。  戦争放棄、戦力不保持、交戦権否定を定めた憲法九条の下で、集団的自衛権行使など認められません。それを閣議決定で覆すのは立憲主義を否定するものであります。直ちに憲法解釈変更の検討を中止することを求めます。  次に、防衛大綱について伺います。  大綱は、米国の海兵隊をモデルとした水陸機動団を創設するとし、水陸両用車両やオスプレイなど、米海兵隊と同様の装備を導入するとしており、一四年度予算に経費を計上しています。既に、昨年五月には陸上自衛隊三十名が米海兵隊の研修を受け、部隊創設の準備をしていると報道されています。  そもそも海兵隊機能とは何でしょうか。モデルとしている米国の海兵隊は、過去の戦争の事例が示すように、真っ先に敵地に攻め込む殴り込み部隊です。なぜ自衛隊がそのような機能を持つことが必要なのでしょうか。島嶼防衛といいますが、軍事には軍事というのは、軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらすものでしかないのではありませんか、お答えください。  敵基地攻撃能力の保有の検討について聞きます。  新大綱は、いわゆる敵基地攻撃能力の保有の在り方について、検討の上、必要な措置を講ずるとしています。日米間でどのような役割分担をし、我が国がどのような攻撃能力を保有しようというのですか。  そもそも、敵基地攻撃能力は憲法の下に認められるはずがありません。政府も、従来、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの方針の下、攻撃的兵器、侵略的兵器は持たないとしてきたのであります。仮定の事態を想定して、その危険があるからといって、平生から他国を攻撃するような攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは、憲法の趣旨とするところではない、これが政府の見解です。  もし日本が敵基地攻撃能力を保有することになれば、周辺諸国は日本の方針の大転換だとみなすのではありませんか。憲法に反して軍事的緊張を高める危険な検討は直ちにやめるべきではありませんか。明確な答弁を求めます。  新大綱は、グレーゾーンの事態に度々言及し、シームレスかつ機動的に対応し、持続的に対応し得る態勢を確保するとしています。グレーゾーンとは一体何ですか。  総理も出席した安保法制懇の会合では、潜水艦の領海侵入で退去要求に応じないケースや、領海内の海上や離島で武装集団が船舶や民間人に不法行為に及んだケースを議論したといいますが、実際に一体どのような事態があるというのですか。仮定の事態を基に自衛隊の軍事的対応を広げることなど許されません。周辺諸国との様々な問題は、話合いによる平和的、外交的手段で解決を図るべきではありませんか。    〔副議長退席、議長着席〕  今必要とされているのは、北東アジアに平和的環境をつくる外交努力です。日本は、元々、中国、韓国とは経済的にも文化的にもつながりの深い、切っても切れない関係です。にもかかわらず、総理の歴史認識に端を発する問題で両国とは十分に話合いもできない事態に陥っていることをどう認識され、どう打開するつもりですか、お答えください。  政府は、一日、武器輸出を全面的に禁じてきた武器輸出三原則等を廃止し、武器輸出を包括的に推進する防衛装備移転三原則を閣議決定しました。武器輸出三原則は、政府も、憲法の平和主義にのっとったものと繰り返し答弁し、一九八一年の衆参本会議で日本国憲法の平和理念に基づくものと決議し、国是としてきたものです。  総理は、新原則で平和国家の理念は変わらないと言いますが、新原則では、基本理念から日本国憲法が消え、国連憲章を遵守するとなっています。これは国連加盟国として当然のことであり、日本は、単に国連憲章を守るだけでなく、更に先駆的な憲法九条に基づく平和国家として武器輸出を禁止してきました。基本理念は根本的に変わっているのではありませんか。  新原則では、紛争当事国や国連決議に違反する場合は輸出を認めないとしています。この新原則で輸出が禁止されるのはどの国ですか。一方、従来の三原則では輸出が禁止されてきた国際紛争のおそれのある国が削除されたのはなぜですか。世界各地で武力行使をしてきたアメリカや軍事紛争を繰り返してきたイスラエル等にも、現に国連決議がないとして輸出を可能にするためではありませんか。  総理は、これまでの三原則に例外が認められ、穴が空いてきたと予算委員会で答弁されました。新原則では、これまで積み重ねてきた例外の実例を踏まえ、新たなルールを決めたといいます。しかし、やるべきことは、抜け穴を塞ぎ、国際紛争を助長しないために武器輸出を禁止するという原則に立ち戻ることです。  武器輸出三原則の撤廃は、財界の一貫した要求でした。政府は、昨年、初めて防衛産業の国際競争力の強化を掲げました。この間、例外措置も積み重ねながら、F35戦闘機の共同開発への参加、イギリスの艦船へのエンジンの提供、インドへの救難飛行艇の輸出を進め、トルコ軍戦車のエンジンの共同開発も浮上しました。新原則による武器輸出の解禁は、防衛産業の要求に応え、武器輸出で成長する国を目指すものにほかならないのではありませんか。  日本は、戦後、武器を輸出してこなかったことで小型武器の輸出規制の論議でも国際社会をリードしてきたと外務省自身が繰り返し強調してきました。防衛産業の要求に応え、武器輸出を拡大することは、こうした積極的役割や国際的信頼を掘り崩すことになるのではありませんか。答弁を求めます。  憲法の平和原則を乱暴に踏みにじり、軍拡と海外派兵を推し進め、海外で戦争をする国をつくろうとする時代錯誤のこの危険な戦略と計画に厳しく反対し、その撤回を強く求め、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えをいたします。  国家安全保障戦略と集団的自衛権に関するお尋ねがありました。  集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えます。  いずれにせよ、我が国は、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本方針を堅持してきました。国家安全保障戦略にも明記しているとおり、このような平和国家としての歩みは引き続き堅持していきます。  集団的自衛権に関するお尋ねがありました。  昭和三十四年のいわゆる砂川事件に関する最高裁判所判決は、憲法第九条の規定によって我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとり得ることは、国家固有の権能の行使として当然であるということを明白に認めたものであり、政府としてもこのような見解を従来から取ってきたところであります。  集団的自衛権等と憲法との関係については、現在、安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会において検討が行われており、まずはこの懇談会における議論を待ちたいと考えます。  政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党とも相談の上、対応を検討した後、仮に憲法解釈の変更を行うこととなる場合には、閣議決定を行い、国会で御議論いただくことと考えております。  水陸機動団と島嶼防衛についてお尋ねがありました。  数多くの島嶼を有する我が国にとって、島嶼防衛態勢の強化は極めて重要な課題であり、新防衛大綱、中期防においては、万が一島嶼への侵攻があった場合の対処に不可欠な水陸両用作戦能力を有する水陸機動団を創設することとしています。  この水陸機動団の創設を含め、島嶼防衛のための施策は、安全保障環境が一層厳しさを増す中、あくまでも我が国防衛を目的とするものであり、敵地に攻め込む殴り込み部隊であるとか、軍事的緊張をもたらすといった御指摘は当たりません。  敵基地攻撃能力の保有についてお尋ねがありました。  新防衛大綱においては、弾道ミサイル攻撃への対応について、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえ、我が国の対処能力の総合的な向上を図ることとしております。  弾道ミサイルの発射手段等に対する対応能力の在り方についても、日米間の適切な役割分担に基づき、日米同盟全体の抑止力の強化のため、我が国自身の抑止・対処能力の強化を図るよう、様々な観点から検討を行った上で、必要な措置を講じてまいります。  こうした検討は、専守防衛の範囲内で、国民の生命、財産を守るために行うものであり、もとより憲法に反するものではなく、また、軍事的緊張を高める危険な検討であるとの御指摘は当たりません。  グレーゾーン事態についてお尋ねがありました。  新防衛大綱におけるグレーゾーンの事態とは、純然たる平時でも有事でもない事態を端的に表現したものです。  安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会においては、我が国に対する武力攻撃に至らない侵害に対し、警察や海上保安庁だけでは速やかに対応することが困難な場合、自衛隊が十分な権限でタイムリーに対応できるのかといった観点から、法整備において埋めるべき隙間がないのかといったことについて議論が行われています。  具体的には、例えば、我が国領海内において、外国潜水艦が水中に潜ったまま航行し、退去の要求に応じず徘回を継続する場合などに際して、どのような実力の行使が可能か、国際法の考え方も踏まえつつ検討する必要があるのではないかといった議論が行われております。このような事例は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中においては想定され得る事態であると考えています。  これらの検討は、いずれも、国民の生命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにはいかにすべきかといった観点から行われているものであります。  話合いによる問題の解決及び中国、韓国との関係についてお尋ねがありました。  周辺国との様々な問題や課題を話合いを通じて平和的、外交的に解決すべきことは言うまでもありません。  韓国の朴槿恵大統領とは、先般のハーグでの日米韓首脳会談で初めて会談することができました。これを第一歩として、未来志向の日韓関係に向けて、互いに努力していくことが重要であります。  日中関係は引き続き厳しい状況にありますが、困難な課題であるからこそ、前提条件を付することなく率直に話し合うべきです。戦略的互恵関係の原点に立ち戻り、大局的な見地から、関係の発展に互いに努力することが重要であります。私の対話のドアは常にオープンであり、中国にも同様の対応を望んでいるところでございます。  防衛装備移転三原則の基本理念に関するお尋ねがありました。  従来の武器輸出三原則等は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念に基づくものであります。新たな原則にも明記しているとおり、我が国として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することには変わりはありません。  防衛装備移転三原則の下で移転が禁止される国等に関するお尋ねがありました。  移転を禁止する場合を明確化している第一原則の下、現時点で移転が禁止される国や地域としては、国連安保理決議で武器等の移転が禁止されている北朝鮮、イラン、イラク、ソマリア、リベリア、コンゴ民主共和国、スーダン、コートジボワール、レバノン、エリトリア、リビア及び中央アフリカが挙げられます。  御指摘の国際紛争のおそれのある国については、最終的に国際紛争に至るまでの経緯は千差万別であり、おそれについての明確な判断や定義は困難であることから、移転を禁止する場合の明確化を掲げる第一原則に明記はしておりません。  ただし、第一原則で移転が禁止される場合に当たらないことをもって直ちに移転が可能となるわけではなく、第二原則の下、移転を認め得る場合には、平和貢献・国際協力の積極的な推進又は我が国の安全保障の観点から積極的意義のある場合等に限定されます。また、移転を認め得る場合であっても、移転先の適切性や安全保障上の懸念の程度を厳格に審査し、さらに、第三原則の下、目的外使用や第三国移転についても適正な管理を確保していくこととなります。  特定の国等への移転については、このような三原則の下で個別具体的に判断することとなりますが、我が国として、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することに変わりはなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針です。  防衛装備移転三原則策定の意図や日本が果たしてきた役割等への影響についてお尋ねがありました。  新たな防衛装備移転三原則は、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、武器輸出三原則等がこれまで果たしてきた役割に十分配意した上で、防衛装備の海外移転に係る具体的基準や手続、歯止めを今まで以上に明確化し、内外に透明性を持った形で明らかにしたものです。  したがって、積極的に武器輸出する方針に転換したというものではなく、これまで同様、厳正かつ慎重に対処する方針です。このため、武器輸出で成長する国を目指すといった御指摘は全く当たりません。  また、我が国は、国際平和協力や小型武器を含む軍縮・不拡散の分野において、これまで同様、主導的な役割を果たしてまいります。(拍手)

 

ページ最上部へ戻る