国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2014年・186通常国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  本協定は、両国との間で進む原発輸出に必要なものであります。総理は施政方針演説でも、過酷な事故を体験した我が国としては、事故から得られる知見と教訓を世界と共有することで世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に貢献していくと述べられました。外務大臣も同趣旨のことを答弁をされております。  しかし、福島第一原発の事故の教訓を言うならば、原発を輸出するという話に私はならないと思います。まず、福島の教訓の一つは、原発の安全性に懸念を示す住民の世論を安全神話を振りかざして抑え付けてきたということの誤りがあると思うんですね。  トルコのシノップ原発についても、今もありましたように、シノップの市長は反対を掲げて当選をされております。そして、現地の住民の皆さんから反対の署名なども私たち国会議員の元に届けられております。にもかかわらず、政府は、原発建設への現地住民の反対は一部にすぎず、おおむね支持を受けていると、こういう答弁を繰り返されておりますが、その根拠は一体何なんでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) このシノップ原発計画につきましては御指摘の建設反対の書面などが届いている、こういったことについては承知をしております。  他方、我が国政府関係者に対しましては、これまでエネルギー天然資源省あるいは原子力庁といったトルコ政府の責任ある立場の幹部から、あるいは国会議員等からも、このシノップ原発建設予定地域の住民の皆様方の意向については様々な報告、紹介がされております。こうした様々な報告においては、おおむね支持を得ている、あるいは反対は限定的である、こうした情報が寄せられているところであります。  我が国としましては、そうした情報全体を判断して、このシノップ原発における現状を判断しているというところであります。今後とも、トルコ政府、国民の理解を得るために広報、説明の取組を続けていく方針であるということも承知をしております。こういったことも総合的に判断した結果でございます。

○井上哲士君 要するに、推進している政府関係者や国会議員の情報を聞いているというだけの話なんですね。  衆議院では、トルコ国内の世論について数字を承知しているかということについて、していないという答弁でありました。しかし、例えばトルコの大手世論調査、コンサルタント企業が行った二〇一三年四月の世論調査では、建設反対派は六三・四%という数字があります。福島第一原発の事故直後は八〇%だったと。こういう数字も承知されずに、なぜおおむね支持などということが言えるのかと。  先ほどの答弁でも、シノップ市長が反対を掲げて当選したことは知っているという話ありましたが、では、市長は態度を変えられたんですか。結局、推進している関係者からの一方的な情報を聞いて言っているだけじゃないんですか。いかがですか。

○政府参考人(外務省 中東アフリカ局 局長 上村司君) お答え申し上げます。  大臣からも答弁申し上げましたとおり、シノップ市長の現職市長は野党であります共和人民党の出身でございます。去る三月三十日のトルコ地方選挙におきまして、この現職市長は再選を果たされております。この選挙期間中、我々も選挙キャンペーンというのを子細にフォローしてまいりましたけれども、我々が承知する限り、このシノップ市長は選挙キャンペーン中には、与党であります公正発展党、AKPの汚職疑惑を強く批判する一方で、原発建設に反対の主張につきましては全く展開をされていないと我々は分析をしておりまして、少なくともシノップ原発建設計画はこの地方選挙の争点にならなかったと認識をしております。  今、一例をお挙げ申し上げましたけれども、我々もトルコのシノップ地域での世論調査についての数字については我々特に承知はしておりませんけれども、我々の判断の根拠は、先ほど大臣より申し上げたとおり、責任ある様々な立場の行政府関係者あるいは立法府関係者より得ている情報によっております。

○井上哲士君 選挙にはそれぞれ、その時々のいろんな争点があるわけでありますが、賛成に転じたという話ではないわけですね。  今、様々な情報をと言いましたけれども、結局、推進側からの話を基に住民の大宗が支持をされていると。世論調査等の数字などはこれは調べれば分かる話でありますから、私は、そういうことで一方的に言われるということは余りにも御都合主義だということ、これでは福島の教訓を生かしたことにならないということをまず申し上げたいと思うんですね。  さらに、福島の教訓を挙げるならば、規制機関と推進機関が明確に分離されていなかったと、国会事故調も、規制機関が推進側のとりこになっていたと、ここまで厳しく指摘をしたわけであります。  トルコでも、規制当局であるトルコ原子力庁が原子力や放射線の研究開発推進も担当しているわけで、これではやはり福島の教訓からいっても安全が保障できないんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、トルコにおけるこの原子力関連の政府の体制ですが、まず基本的には、原子力規制当局はトルコ原子力庁、推進当局はエネルギー天然資源省であり、これはそれぞれ別組織として設置されていると考えております。  他方、トルコの原子力庁設置法を見ますと、原子力の平和利用に関する基本的な政策あるいは方針、これを定めるという規定が設けられています。トルコ国内では、こういった点が分かりにくいのではないかという指摘も受けて、この原子力庁の独立性を一層高めるために、法整備、組織改編も含め更なる検討を行っているということを承知しております。  トルコとしても、こうした規制当局と推進当局の峻別、しっかり心掛けているということであります。こうした対応についてもしっかりと考慮していきたいと考えております。

○井上哲士君 検討されているということですが、いつをめどに、どういうふうにこういう明確な分離がされるんでしょうか。

○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  私ども、いつ、いつまでにということについての情報は、今のところ、現時点ではいただいておりません。  他方で、大臣の今の答弁に若干付け加えさせていただきますと、トルコ原子力庁の規制当局としての任務としてはかなり明確なものが書かれている一方で、平和的利用に関する基本的な政策あるいは方針あるいは研究開発といったものが指定をされておりますので、この辺りを我々はトルコ政府との関係で、今までの交渉の関係で問題点を指摘し、向こうもそういう問題点を共有しているということでございます。

○井上哲士君 いつ、果たしてどのような機関になっていくのかというのは、全くまだ不透明であります。  さらに、福島事故の教訓は、地震や津波に対する知見がまだまだ不十分であるということ、そして同時に、その中で意図的過小評価が行われてきたことだと思います。  日本は地震大国でありまして、気象庁も、日本にはここで大きな地震が起きないと言える場所はないと明確にしております。ところが、電力会社と一体となった特定の研究者等によって活断層の過小評価が行われて、建設が行われてまいりました。  トルコも日本と同様に四つのプレートの境界にありまして、北アナトリア断層、東アナトリア断層という巨大活断層が存在をしております。衆議院で外務大臣は、シノップ周辺では、一九九〇年以降、マグニチュード五以上の地震はないと、こういう答弁もありました。しかし、地震の安全性で、二十五年とかというスパンで議論をするというのは、これはおよそ通用しないということは常識のことだと思うんですね。  トルコはこの半世紀だけでも一千人以上の死者が出た大地震が七回、九九年八月の北西部の地震は一万七千人の死者が出たわけでありまして、もう日本同様、ここで大きな地震がないとは言えないと、こういう地震大国なわけですね。  福島の教訓を言うならば、こういうところでの地震の建設などは到底あり得ないと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、トルコ国内全体を見た場合に過去大きな地震の経験があるということ、これは御指摘のとおりであります。  しかし、今回、トルコ首相府災害緊急事態管理庁、これはトルコ国内を地震の危険度により五つのカテゴリーに分類し、そして、シノップ地域のうち原子力発電所の建設が計画されている黒海沿岸、この地域におきましては危険度の低い方から数えて二番目に属しており、地震リスクは低い地域と承知をしております。そして、同じくこの災害緊急事態管理庁の資料によりますと、シノップ及びその周辺地域におきましては、一九〇〇年から今日までマグニチュード五以上の地震は発生していない、こうした評価になっております。  これは、日本との比較を申し上げますと、日本においては、気象庁のデータによりますと、二〇一三年だけでマグニチュード五以上の有感地震百十二回発生しているというのが日本の実情でございます。こうした日本の実情との比較においても、この地域における地震のリスクは低いという評価につながっていると考えております。  あわせて、津波につきましても、トルコの国立地震モニタリングセンターによりますと、シノップ地域に面する黒海沿岸で地震による津波が発生した記録がない、こうした報告がされております。  トルコ全体を見た場合に、地震の危険性を指摘する旨がありますが、今回対象となっている地域につきましては、ただいま申し上げましたような評価がされているところであります。  一義的には、原子力の安全につきましては、相手国政府の責任において判断する事項でありますが、我が国としましては、原子力の安全確保につきましてしっかり貢献していきたいと考えておりますし、何よりも、今回の原子力協定におきまして、定期的に、継続的に原子力安全につきまして協議を続ける、こういった規定を特に設けたわけでありますので、そういった枠組みも活用しながらトルコの原子力安全に貢献をしていきたいと考えております。

○井上哲士君 マグニチュード五以上の地震の日本との比較がありましたが、日本は日本全体の数字を言って、シノップはシノップ地域だけを比較するというのは、全くこれまた御都合主義でありまして、地震のおそれが低い方から二番目という話がありましたが、例えば政府の地震調査研究推進本部は、県庁所在地ごとの今後三十年間に震度六弱以上の揺れに見舞われる確率というのを毎年発表しているんですね。二〇一〇年の発表でいいますと、福島市は〇・九%だったんです。ところが、二〇一一年にあれだけの地震が起きて、福島市も震度六弱の地震に見舞われました。阪神大震災もそうだったんですね。ですから、地震の危険性が高いところはより安全をやらなくちゃいけませんけれども、これが今の知見で低いからといって何か安全みたいな話をするのは、これは全く教訓とも違うと思います。  そして、今、安全の確認は元々受入れ国側のということが、お話がありました。  そこで、聞くんですが、トルコの原発輸出に伴って、建設予定地の活断層や地質などを調べる事業化調査は日本原電が受注をしているわけですが、これ、現地が安全対策の責任だといいながら、なぜこの活断層や地質の調査は日本が費用も負担をして行うのか、いかがでしょうか。

○政府参考人(資源・エネルギー庁 電力・ガス事業部 部長 高橋泰三君) 御指摘の事業につきましては、平成二十五年五月にトルコ政府からFS事業の協力を盛り込んだ政府間の合意ができまして、それを踏まえて実施をしているものでございます。

○井上哲士君 じゃ、なぜ現地の責任なのに日本がやるのか、今のではよく分かりませんが。  この事業は、企画競争入札ということで行われておりますが、その調査項目には、過去に同類ないし類似の事業について十分な実績を有しているという要件があります。結局、これを国内で有しているのは、ベトナムへの原発輸出に伴う調査を実施したことのある日本原電だけではないかという指摘もあるわけでありますが、結果的にも日本原電一社しか企画書を出さなかったと。今、大変厳しい状況にある日本原電を救うためではないかという指摘もありますが、なぜこういうやり方になったんでしょうか。

○政府参考人(高橋泰三君) お答え申し上げます。  御指摘のトルコ原発でのFS事業でございますけれども、会計法等にのっとりまして、公募のプロセスで事業者を選定してございます。応募資格及び審査基準、いずれに照らしても日本原電に応募資格が限られているという事実ではございません。なお、日本原電につきましては、この公募の手続を経まして、その提案内容が事業目的に合致しているか、あるいは知見等の実績を有しているかということに照らして、外部有識者によって審査によって選定されたものでございます。  また、御指摘の関連分野における知見ということでございますけれども、審査基準によりましては、事業実績について、本事業の関連分野に関する知見を有しているか、当事業と同様若しくは類似の事業についての類似の実績を有しているかということでございまして、ここで言う類似の実績というのは、国内外を問わず、本事業で実施する予定であります例えば地震動の評価とか炉型評価等についての経験ということでございまして、日本原電だけに限られているものとは考えてございません。

○井上哲士君 この前のベトナムの場合も補助事業として行われましたけれども、日本原電だけが提案書を出して、その後二回随意契約を行っていると、こういうことになっておるわけですね。  そもそも、日本原電がこれをやることがふさわしいのかと。電力九社の電源開発が出資して設立された言わば推進勢力なわけですね。しかも、日本原電は、この事業の大半を三つの会社に再委託しておりますが、その一つにダイヤコンサルタントという会社があります。三菱重工のグループ会社なわけですね。ですから、造ろうとしている三菱重工の関係の企業がこの調査を行っていると。  日本原電が持っている原発である敦賀二号機が、敷地内に浦底断層という第一級の大断層があるというのに過小評価して造られました。この間、これが、この敦賀二号機の下に活断層があるという指摘がありまして、再調査も行われております。昨日も、原子力規制委員会の専門家調査会の評価会合でも、改めて全員が活断層は否定できないと、こういうことになっているわけですね。ところが日本原電は、こうした過去に何の反省もなく、活断層ではないということを言い続けているわけですね。この敦賀二号機も実は三菱重工が造っています。そして、この間の再調査も実はこのダイヤコンサルタントが二〇〇六年など行っているわけですね。  ですから、原発推進の原発メーカーと一緒になって、明白な活断層をそうでないと位置付けている日本原電やダイヤコンサルタントがトルコの原発輸出のための安全の確認のためのこういう調査をするというのは私は全くふさわしくないと思いますけれども、外務大臣、こういう経過を考えても大丈夫とおっしゃるんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、ただいま御審議いただいているのは、日本・トルコの原子力協定であります。  原子力協定は、我が国の原子力安全に対する技術、経験を提供する大前提として、平和利用あるいは核不拡散につきましてしっかりとした法的な枠組みを与える、そして原子力安全につきましても、国際原子力安全関連条約を遵守する、こういったものをしっかりと確認するための枠組みであります。  そして、こうした枠組みをしっかりと明らかにした上で具体的な我が国の経験や技術の貢献ということになるわけでありますが、まずもって、相手国が様々な判断の下に原子力政策を推進しようとしている、そして原子力の安全について高い技術を求めている、そして各国の比較の中で日本の高い技術を求めている、こういった要請について、日本としても原子力安全について経験や技術を提供するということは、原子力安全に対する我が国の一つの責務ではないかと考えております。  そうした考えの下に、具体的な案件を進める場合に、具体的な業者の関わり等につきましては、しっかりと国民から理解され、そして信頼性の高い、透明性の高い、こうした取組を進めていくべきものであると考えています。

○井上哲士君 トルコ原発は総理自身がトップセールスで進めてきたものでありまして、結局、もうけのために安全をおろそかにするということになれば、新たな安全神話の輸出にほかならないということを申し上げまして、質問を終わります。

 

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