国会質問議事録

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外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、前回に続いて、原発建設に関するトルコ現地の世論についてお聞きいたします。  前回の質疑の際に、シノップ市長の立場について、三月三十日の地方選挙で市長が再選された際に、選挙キャンペーン中には原発建設反対の主張は全く展開されていないと、まるで市長が反対でなくなったかのような答弁がございました。  しかし、この答弁聞いてトルコのNGOから、市長選挙直前の三月十一日付けのニュースが送られてまいりました。ラディカルというトルコの新聞で報道されております。こういう内容であります。CHP党所属のシノップ市長、パキ・エルギュル氏は、二つの大きな問題がある、一つは火力発電所で、それをやっと撃退することができたが、次は原発である、誰もシノップ市民の意見を聞いてくれない、シノップ市の未来は観光と教育にある、原発では健康的で豊かな未来が描けない、私たちには原発は不要である、シノップ市は天国のような町だが、それを壊して地獄をつくろうとしていると語ったと、こういう報道でありまして、火力発電と同様に、今、撃退をする対象として述べているわけですね。先日の答弁と全く違うんじゃないですか。

○政府参考人(外務省 中東アアフリカ局 局長 上村司君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘の報道について、私、恐縮ですが存じ上げておりませんが、私の手元にありますのは、二〇一三年十月三十日の現地報道、シノップ市長が、原子力発電自体には反対ではないが、シノップに建設されるのは反対である、水温の変化、生態系に影響を及ぼす、シノップは原子力でなく観光と教育によって発展させたいと、今御指摘のような発言を、昨年の十月三十日の現地の報道、これは我々も承知をしております。  先ほど委員の御指摘のありました一昨日の私の御説明でございますが、もし誤解がありましたらおわびを申し上げますが、まずシノップ市長が同市における原発建設に反対の立場であると、しかもそういう報道がなされているということは我々も承知をしておりまして、日本政府として、その後このシノップ市長がその立場をお変えになったと、そういう判断する何らかの情報に接しているわけではございません。  私が一昨日御説明申し上げましたのは、我々の得ている現地報道によりますと、先月末の地方選挙におきまして、シノップ市長は、与党公正発展党の汚職疑惑を第一の論点として強く批判する一方、原発建設反対に関する主張につきましては展開されなかった、したがって、シシノップ原発建設計画につきましては先月の地方選挙の争点ではなかったと承知していると御説明を申し上げた次第でございます。

○井上哲士君 これ三月十一日付けですから、選挙の直前なんです。この間の答弁は、選挙キャンペーンを子細にフォローしてきたと、そして原発反対の主張は全くないと、こう言われたんですよ。  そして、この今私紹介しましたラディカルという新聞は、在トルコ日本大使館のサイトを見ますと、トルコ国内の十二の新聞のリンクが貼ってあって、その一つにあるんです。現地で聞きますと、大体、日本でいうと毎日新聞ぐらいの位置付けの新聞だと、こういうお話でありましたが、当然、私は大使館は目を通しているはずだと思うんですね。だって、このトルコの原子力協定は現に国会で問題になっているんですよ。そういうときに、選挙の直前にシノップ市長がどんなことを発言しているかという主要紙に書いてあることを見ていないというのは私は信じ難いんです。  しかも、それだけじゃありません。この記事は更にこう報道しております。市長選挙のためにシノップ市を訪れているCHP党の国会議員、エンギン・アルタユ氏も、現代の技術で造られる原発には反対である、シノップ市で原発を建てるかどうかについて住民投票を行うべきだと語ったというものであります。これも、この間の答弁では、国会議員等からも様々な報告を受けているけれども、予定地域の住民からはおおむね支持を得ていると、こういう内容でありましたけれども、これも事実と違うんじゃないですか。

○政府参考人(上村司君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、トルコの国会議員の中で様々な意見があることは我々も承知をしております。私どもがトルコの国会の議員の方々から、全員ではございませんが、主要な方々からお伺いしたところで、現地における反対については決して大きな動きではないという説明を受けているということを御紹介したわけでございます。  なお、追加して御説明をさせていただきたいのは、この今回お諮りしております原子力協定でございますけれども、トルコの国会にかかりましたのは今年の一月の初頭のことでございます。このトルコの議会での審議が行われ、採決に付されて、賛成多数で可決をされているという事実があることも御指摘を申し上げたいと思っております。  以上、例示をいたしました事実の関係から、原発建設に関するトルコの国会議員の総体としての意思は既にこの一月の時点で示されているというのが我々の判断でございます。

○井上哲士君 いや、まあ政府が推進しているんですから、多数はそうなんでしょう。問題は現地の住民がどうなのかということなんですね。  私、先日の質問の際にも、トルコの大手世論調査が行った一三年四月の世論調査で、建設反対派が六三・四%だと指摘しましたけれども、この数字も承知していないというお話でありました。そして、今の主要紙の報道も御存じないと。私は、その一方で、政府関係者など、推進の側だけの一方的な情報を基に現地住民からおおむね賛同を得ていると、こういう答弁をされていると思うんですね。  私、紹介したのは、いずれも日本国内でも入手できる情報なんですよ。ですから、それを承知していないというのは、大使館の情報収集能力がよほど低いか、それとも都合の悪い情報を見ないようにしているのかと。大臣、こういうことで正しい判断ができるんですかね。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) 前回の委員会で委員から御指摘されましたこの世論調査につきましても、あれはたしか東日本大震災発災直後の段階での世論調査だったと承知していますが、その世論調査も、またその後、一年後の結果はこの数字が随分と変化をしている、こういったことにつきましても承知をしておりますし、それ以外にも、様々な情報につきまして我が国としまして接し、そして情報収集に努めているところであります。  こうした様々な情報、そして情報の変化、こういったものもしっかりと踏まえながら、我が国として総合的に判断し、先ほど来、領事局長から申し上げているような判断に至っているということでございます。

○井上哲士君 いや、この間の答弁、衆議院の答弁でも世論調査の数字は承知していないと答弁されたんですよ。今されていると言った。違うんじゃないですか。

○国務大臣(岸田文雄君) 前回、世論調査の指摘がございましたので、我が国としましても、政府としましても、その世論調査につきまして確認をした上で、ただいま答弁させていただいた次第でございます。

○井上哲士君 私は、大使館がきちっと正確な情報をつかみ、不都合なものも含めてちゃんと伝えているのかどうかという疑問があるということが一点と、やはりトルコの当局がこうした現地住民の反対の声に耳を傾けることも、日本側にそれも含めてきちっと伝えることもやっていないんじゃないかなと、こういう懸念を持つわけですね。  先日の質疑でも指摘しましたように、やっぱり安全神話を振りかざしていろんな住民の懸念を真摯に受け止めてこなかったということが福島の原発事故の一つの私は問題だと思います。それに反する事態ではないかと。  そして、この間の参考人の質疑でも、トルコでは民主化と逆行する状況が多々見られ、ツイッターやユーチューブが閉鎖をされ、政府に反対する意見を表明する自由が極めて制限されている状況にあると。その中で、果たして、政府の政治的意思とは異なる技術的、科学的決定ができる独立した規制当局ができるか甚だ疑問だと、こういうような趣旨の指摘もありました。  私は、こういう現地世論に対する対応や、現に今起こっている様々民主化に逆行する事態を見たときに、こういう中で原発の輸出を進めるということは福島の教訓を生かすということにならないんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) トルコ国内の動きにつきましては、民主化に逆行するような動きがあるのではないかという御指摘ですが、例えば今御指摘があったツイッターあるいはユーチューブへのアクセスの問題につきましても、三月二十日にツイッターへのアクセスが遮断されたということは事実でありますが、その後、トルコの大統領が全面的な遮断は認められないというような発言を行い、そして憲法裁判所が国内でのアクセス禁止を撤回する判決を下し、そしてこれを受けてアクセスが可能になる、こういった動きもありました。ユーチューブにつきましてもアンカラ行政裁判所が措置の解除を命令する、こういった判断をしております。  このようにトルコ国内に様々な動きがあるわけですが、それぞれ民主化に向けての努力が行われ、そして国内における制度が機能している一つの表れではないかと存じます。こうしたトルコ国内における民主化へ向けての努力につきましてもしっかりと見守っていきたいと考えています。

○井上哲士君 もう一点、聞いておきます。  使用済核燃料の取扱いについて、トルコでは最終処分がまだ検討中だと。その上で、これまでの経験に基づいて助言を行うなど可能な範囲で協力していくことはあり得ると、こういう答弁がありました。日本自身がこれできていないわけですね。一体どういう助言をし、協力をしようというんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 使用済燃料の取扱いにつきましては、現在、トルコ国内において、放射性廃棄物安全条約の締結のための国内手続を進めていると承知しておりますが、その中で、御指摘のように、我が国において高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定が進んでいない、こういったことは御指摘のとおり事実であります。  しかしながら、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関しましては、これまで、我が国としまして、調査研究等を通じまして大変高い科学的な知見を蓄積していると考えております。こうした知見はしっかりと貢献する一つの材料として尊重されなければならないと思っていますし、また、原子炉等規制法に基づいて、原子力発電所等において使用済燃料を今現在我が国は適切に管理をしております。こうした管理の在り方につきましてもしっかりとアドバイスができるのではないか、このように考えます。こういった知見、経験、これは相手国の要望に応じてしっかりと協力していくことを可能にするのではないかと考えます。

○井上哲士君 日本が助言するとすれば、処理の当てのない使用済核燃料を生み出し続けながら原発の建設をするようなことはやめるべきだと、こういうアドバイスをすることだと思います。福島の教訓を生かすというのはそういうことだということを言いまして、質問を終わります。

日本・トルコ原子力協定、日本・UAE原子力協定承認に対する反対討論


○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、議題となりました両原子力協定に断固反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、重大な事故を引き起こした日本政府が他国に原発を率先して売り込むことは無責任そのものであり、新たな安全神話の輸出にほかならないからであります。
 安倍内閣は、今月十一日に、原発のない日本を願う国民世論にも、原発依存度の低下や一年でも早く原発ゼロを目指すという与党自らの公約にも反して、原発を重要なベースロード電源と位置付けたエネルギー基本計画を閣議決定しました。そして、海外への原発輸出を成長戦略の柱に据え、首相のトップセールスによって推進しています。
 両協定は、東京電力福島第一原発事故後に日本が署名した二国間原子力協定としては初めてのものであり、国際的な原発建設計画に日本企業が参入し、積極的な原子力ビジネスの展開を可能とする業界の要求に即したものです。福島原発の現状は、事故から三年以上たった今なお汚染水問題など深刻な状況にあり、いまだに十三万五千人の被災者が避難生活を余儀なくされているなど、収束のめどすら立っておりません。原発事故の解決にこそ全力を挙げるべきです。
 第二に、世界有数の地震国のトルコへの原発輸出は、日本国民もトルコ国民も望んでおらず、国際的道義に反するからであります。
 トルコ国内の世論も建設予定地のシノップ市長も原発建設に反対しており、住民の声を安全神話で抑え付けたことによる福島事故の教訓に反して原発を輸出することは許されません。
 第三に、トルコとの協定では、両政府が書面で合意すればトルコ国内でウラン濃縮や使用済核燃料からプルトニウムを取り出す再処理が可能としていることは、核兵器への転用につながりかねない重大な問題であり、認められません。
 今、日本政府のやるべきことは、原発の輸出ではなくて脱原発を世界に発信する先頭に立つことであります。
 そのことを厳しく指摘し、反対討論を終わります。

 

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