国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2014年・186通常国会 の中の 決算委員会

決算委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。総理、四月一日から消費税が八%になりました。今、国民や中小企業、お商売の皆さんから怨嗟の声が上がっております。年金暮らしの七十二歳の女性、一番安いものを買い、他の買物はしない。三十六歳の人、ワーキングプアなので、景気の回復も実感しないまま税金だけ上がって、貧富の格差がますます開いた気がする。全国を回りますと、増税を機に店を畳んだという張り紙も随分見るわけでありますが、総理、こういう事態をどう受け止めていらっしゃるでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 四月から消費税を引き上げさせていただいたわけでありますが、これは伸びていく社会保障費に対応し、子育て支援を拡充していくためでございます。そして、今回のこの消費税の引上げにつきましては、やっとデフレから脱却できるかもしれないというこのチャンスをつかんだわけでございますので、慎重に状況を見ているところでございますが、四月に入ってから耐久消費財を中心に駆け込み需要の反動の影響も見られますが、他方、スーパーの飲食料品販売金額については前年比マイナス幅が縮小してきており、外食産業の売上げは前年比プラスとなっているなど、消費の落ち込みは一時的なものと考えているわけであります。また、雇用情勢に目を転じますと、有効求人倍率は十七か月連続で上昇をしておりまして、一・〇八と七年九か月ぶりの水準まで達したところでございまして、この春から多くの企業が賃上げを決断をいたしまして、連合の調査によりましても平均で月給が二%以上上昇と直近十年間で最も高い水準になっているわけでありまして、このように、企業収益の向上が賃金に回り、消費につながっていく経済の好循環に向けた動きは途切れていないと、このように考えておりますし、この夏のボーナスにおきましても、八・八%というのは統計を取って三十年間で最高のこれはボーナスということになるわけでありまして、それが今申し上げました経済の好循環にいい影響を与えていくことを期待したいと、このように思うところでございます。

○井上哲士君 国民に心を寄せる言葉はありませんでした。レシートを見るとため息が出ると、もう消費税を上げないで、都内の六十八歳の女性の声であります。今いろいろ言われましたけれども、厚労省の調査でも、従業員五人以上の事業所の四月の基本賃金は二十五か月連続でマイナスなんですね。そして一方、消費者物価は三・二%増、二十三年二か月ぶりの増額になっているんですよ。消費が落ち込み、景気の悪化が今懸念をされております。一方、総理は、大企業や財界の要請に応えて、サミットで法人税の減税を国際公約をされました。そして、今月中に決める骨太方針に来年度から法人税減税の、実効税率を引き下げる方針を明記するとされております。庶民には消費税を増税して、大企業にはなぜ減税なのか。(資料提示)一九八九年に消費税が増税されて以来の二十六年間、その税収の累計は二百八十二兆円、今年度分は予測であります。同じ一九八九年から法人税の減税や景気の落ち込みによって法人三税が減収をした、この累計をいたしますと二百五十二兆円になります。事実として、今まで消費税収のほとんどが法人税の減収に消えていったと、こういう実態なわけですね。今回も、消費税の増税を実施をした途端、法人税減税が打ち出されると。結局、法人税の減税のための消費税増税になってしまうのじゃありませんか。

○国務大臣(副総理 麻生太郎君) 消費税が導入されて二十六年間で、消費税の税額、税収が総額で二百八十二兆円になるが、法人三税の減収が二百五十二兆円に上るというのが、この数字のことを書いてあるんだと思いますけれども、今御指摘のまず二百五十二兆円は、平成元年の法人税と地方税の税収と、それ以降、平成二十五年までの税収の差額を積み上げたものと考えておりますが、このうち、まず法人税、国税の減収額というのは百七十七兆円です。一九八九年、平成元年からですが、二〇一四年、平成二十六年度までに実施された制度改正によります法人税、いわゆる国税ですよ、国税の減収額の合計は約七十兆円程度でありますので、この間に法人税額が減少しておりますのは制度改正よりも景気の要因という部分の方が大きいのではないかというのが私どもとしては考えられておりますので、この税収の落ち込み含めて全て法人税減税によると考えるのはちょっと無理があると思いますね。全然違います。無理がありますよ、論理の立て方に。消費税については、少子高齢化が進展していきますので、勤労世帯への税負担の偏りを改めて、社会保障などの公共サービスというものを安定的に維持していくというような観点から、その役割を高めてきたところだと思うんですが、今般のこの消費税率の五%、八%の話につきましても、これは皆さんの暮らしに関わりますいわゆる社会保障制度改革の安定財源を確保ということで、子供とか子育てとか、支援を充実していくために引き上げるということで、これは増収分は法律に基づいてそう決められておりますので、これ、ちょっと論理の立て方に無理があると思います。

○井上哲士君 私はきちんと、景気の落ち込みと法人税減税の結果、税収が減っていると、その穴埋めになっているじゃありませんかということを申し上げたんで、違うことを言わないでいただきたいと思います。社会保障のためと言いますけれども、今年度も消費税の税収五兆円のうち社会保障の充実に充てられるのは一割程度にすぎないわけですね。誰も、消費税上がってから、ああ、福祉良くなったなんて思っている人いませんよ。そして、総理は、日本の法人税の実効税率は三五%だから高いと、こういうふうに言われます。しかし、実態はどうなのかと。今、国民がびっくりしていますのは、あのトヨタ自動車が二〇〇八年度から五年間、法人税を一円も払っていなかったと、こういうことであります。トヨタ自動車の社長が五月八日の決算の記者会見で明らかにいたしました。営業利益が過去最高の二兆二千九百二十一億円になったことを発表した上で、こう述べました。一番うれしいのは納税できることだ、社長になってから国内では税金を払っていなかった、企業は税金を払って社会貢献するのが存続の一番の使命だ。五年間法人税を払っていなかった、驚くわけであります。海外子会社からの配当非課税とか研究開発減税などの様々な大企業優遇を使ったわけでありますが、その一方で、配当は行い、しかも内部留保も増やしてまいりました。総理、そのトヨタが四月二十三日の日経に掲載した広告で、こういうふうに書いております。消費税が上がった、家計のやりくりは大変だが、これを機会に生活を見直せば、無駄は幾つも見付かるはず、節約は実は生活を豊かにするのだと気が付けば、増税もまた楽しからずやだと、こう言っているんですね。トヨタは消費税全部価格に転嫁できるから負担していないんですよ。そして、一方では法人税は五年間払っていなかった。自分は払わないで、増税もまた楽しからずやと、私はよく言えたものだと思いますが、総理、感想はいかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) トヨタが税金を払っていなかったというのは、これ累積の欠損があったわけでありまして、しかし、それがやっと今度の利益によってそれが全部消えて、これからまさにどんとこれ税金を払っていただけるようになったということは大変良かったのかなと思います。また、今までは海外の会社と、子会社と国内で、トヨタの場合は国内に相当程度やはり主力を置き続けたという中において何らか苦しい状況がありそれが累積欠損になったという説明を受けたことがあるわけでありますが、今回、トヨタはまさに賃上げにおいては先鞭を着ける形で、それを思い切って賃上げのリーダーシップを取っていただいたということについては、我々は感謝しているところであります。同時に、トヨタ自動車においては関連企業にも、下請企業等々についても配慮をしていただきたいと、このように思っておりますし、事実、全てこの正社員の賃上げに回さずに、そうした関連会社、協力会社との取引の中において還元することにも留意をしたというお話も伺っております。

○井上哲士君 トヨタは、今年度は過去最高益になって法人税を納めるんですが、その前の五年間、法人税を払っていなかったわけですね。そして、その五年と合わせた過去六年で法人税と住民税、事業税の合計の税金の負担率は二二・一%にすぎません。トヨタだけなのかと、ほかの企業も調べてみました。大企業数社について、税引き前利益に対しての六年間、実際どれぐらい税負担をしたかと。各社の決算書を基に試算しますと、実効税率は三五%どころか、三菱商事で六・二%、キヤノンで二七・八%、本田技研で一八・〇%、日産自動車で一〇・九%なんですね。トヨタと同じような様々な大企業優遇を受けているわけであります。今でも低い税負担で、しかも、増税もまた楽しからずやなんて言っているところに何で法人税率を下げる必要があるのか。国の財政も庶民の暮らしも大変なときにこれ逆行しているんじゃないですか。いかがですか。

○委員長(金子原二郎君) 甘利担当大臣。

○井上哲士君 甘利大臣、甘利さん、通告していないですよ。甘利さん、通告していない。

○国務大臣(甘利明君) 経済財政担当大臣でございます。企業は日本の税制に従って納税をしているわけであります。トヨタのお話が出ました。国内で生産をして輸出をすればするほど赤字が増えてきました。それでも三百万台体制を維持する、つまり雇用は手を付けないということで赤字でありながら雇用を支えてきて、これも企業の立派な使命だったというふうに思います。それは、赤字だから税金を払わない、黒字になったから払うということでありまして、赤字のときにも税金を払えといったら、それは企業は倒産するし、雇用は維持できないということになります。そういう日本の税制に従って行っているわけであります。法人税減税は、これから投資を増やしていこうということであります。日本を世界で最も魅力のある投資対象地として環境整備するために、国内外に向かって、投資を進めてくださいと、そのために環境整備をしますという宣言をしているわけです。

○井上哲士君 トヨタが法律違反しているなんて言っていないんですよ。そういう大企業が海外で幾らもうけても国内では全然払わなくていいような、そういう仕組みでいいのかと。今盛んに、この間、競争力強化で成長する、賃金アップにもなると、こういうことを言われてきました。しかし、大企業に税金を下げても賃金に回ってこなかったというのが今までの実態であります。これは、九八年、九九年度の法人税率引下げの直前の五年間、九三年から九七年とその後の二〇〇三年から二〇〇七年の五年間を比較をしました。引下げ後、大企業の業績回復で経常利益は引下げ前の約二倍に増えました。ところが、法人税率の引下げで法人税等の負担は一・五倍弱しか増えておりません。この結果、税引き後の当期純利益は三倍以上に増えて、株主の配当それから社内留保、これは三倍前後に増えております。一方、従業員の給料は逆に減っているんですね。このように、法人税減税をやっても、大株主をもうけさせて、更に内部留保をため込ませるだけだった、賃金に回らなかった、これが実態ではないですか、なぜこれを繰り返すんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今回、特別法人税を前倒しして廃止をしたわけでございますが、その際、経営者の方々に、これを是非従業員の賃金の引上げに充当してもらいたいと、こうお願いをしたわけでありますが、多くの企業がこれに応じたわけでございまして、先ほど申し上げましたように、連合の統計においても二%引き上げているわけでございますし、夏のボーナスについては、八・八%というのは三十年間統計を取っていて最高の数値になっているということでございますから、おおむね了解をいただいている。ただ、これもやはり我々もお願いをした成果、そして組合の方々との交渉の成果もあるでしょうし、これはまた共産党もそういう主張をしていたという成果も出ているのかもしれないと、こう思うわけでありますが、今後、さらに我々、企業がやはり、法人税については、まさにこれはグローバルな中で競争している中において、日本の企業がこれは勝ち残っていかないと雇用も確保できないし、そもそも賃金が払えないということでありますから、これは国際競争に勝ち得るかどうか、グローバルな経済の中においてどうかということについて、やはりしっかりと成長していく上においては日本の企業が競争力を持って頑張っていくことが重要ではないかと、そんな観点から、成長の視点で法人税改革を行っていきたいと考えております。

○井上哲士君 賃金上昇にならなければ成長になっていかないわけですね。先ほど我々も主張しました、そのことを。多くの企業がと言いますけれども、ごく一部にとどまっているんですね。最初に申し上げましたように、厚労省の調査でも、四月の基本賃金は二十五か月連続でマイナスになっているんです。そして、私言いたいのは、トヨタは法人税を払っていないときも自民党への政治献金はきちっと払っているんですよ。二〇一〇年から三年間で、毎年五千百四十万円、計一億五千四百二十万円も献金をしております。それだけではありません。今月二日、経団連の新しい会長が政治献金のあっせんを改めて検討したいと表明しました。そしたら、その翌日に自民党の税制調査会は法人税減税を認めたわけですね。何ということなのかと。まあ、こういうのを現金な話と言うんだと思いますが。国民の税金で政党助成金を出す代わりに企業・団体献金を廃止するはずだったんじゃないですか。総理、こういうこと、国民の納得が得られると思いますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほど農協との関係についてもお話をさせていただきましたが、これは当然、法人税減税については企業献金とは全く関係のない話でありまして、まさに純粋に、これは国際競争という観点から、成長という観点から考えているところでございます。また、大企業については、これは企業側だけではなくて、これは組合も結構これ献金をしているのではないかというふうに伺っておりますし、意外とそれは大きなお金だというふうにも承知をしているところでございますが、いずれにいたしましても、我々はそうした形、献金によって政治をねじ曲げるということは決してないということは申し上げておきたいと思います。

○井上哲士君 我々は労働組合も含めて企業・団体献金は禁止を主張し、いただいておりません。今のような答弁で納得する国民がどれだけいるのかと。マスコミも、政策を金で買うのかと、こういう批判を今回いたしました。私は、こうやって大企業に応援をしながら、また消費税の一〇%増税を行うと。国民から吸い上げて大企業に減税をして、その一部のおこぼれを企業献金で懐に入れる、こういうことは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。そして、安倍内閣の成長戦略の柱は、この大企業応援とともに、原発や武器の輸出がございます。私、三月の予算委員会の質問で、総理が外遊するときにたくさん軍需産業の幹部を連れていって、そして武器輸出の条件づくりをする、これはトップセールスだと、こう申し上げました。その後、それにとどまらないわけですね。  四月に武器輸出の禁輸原則を撤廃をした。それ以降、ゴールデンウイークにかけて、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスなどと総理や防衛大臣が訪問もし、様々な声明などを上げてこられました。いずれも装備・技術協力の深化であるとか協力の強化がうたわれております。オーストラリアの場合は、潜水艦の関連技術など、この共同研究を進めていく。イギリスに関しては既に化学防護服の共同研究を進めておりますけれども、更にプロジェクトを特定していくと。フランスについても、これは無人潜水機を念頭に様々な協力を進めていくと、こういうふうになりました。マスコミも、「武器 首相が売り込み 欧州輸出、成長戦略の一環に」と、こう報じたわけでありますが、それだけじゃありませんで、フランスでこの六月十六日から開かれる世界最大規模の兵器の国際展示会に日本の企業十四社が初めて本格的に参加をすると報道されております。先日、政府も認めました。国際展示会への出品は、防衛装備移転三原則の運用指針で政府の許可が必要になると思いますけれども、経産省としてはこれを許可をされたんでしょうか。

○国務大臣(経済産業大臣 茂木敏充君) まず、数字から申し上げますと、日本企業参加予定は十四社ではなくて十三社であります。世界的には、このユーロサトリに世界百か国以上から千社を超える展示者が参加する。そこの中で、主催者によりますと日本企業は十三社が出展予定でございます。展示会への出展に当たりましては、書籍やカタログ等のみの展示にとどめ見本品の展示を伴わない場合は、外為法上の輸出許可申請は不要であります。他方、防衛装備に当たります見本品の展示を伴う場合には、輸出許可申請が必要になります。防衛装備の輸出について輸出許可申請があれば、防衛装備移転三原則及びその運用指針に沿って厳格に審査をいたします。

○井上哲士君 今回あったかどうか、明確にお答えがありませんでした。十四社というのは先日防衛省が答えた答弁でありますから、きちんと政府で統一していただきたいと思いますが。日本企業が初めて国際的な武器ビジネスに本格的に乗り出してきていると、ここに大きな問題があるんですね。総理、平和国家の理念は変わらないといって、武器の共同開発が必要だとかあれこれ理由を付けて武器禁輸政策を撤廃をしましたけれども、実際は軍需産業が世界中の顧客への武器ビジネスに走り出していると、総理もトップセールスをやっていると、これが実態じゃありませんか。どこに平和国家の理念があるんですか。総理、総理。総理の言葉なんだから。

○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) まず、先般、五月二十九日の参議院外交防衛委員会の中で、井上委員から私、質問を受けまして、十四社と言いましたが、実はその後、一社取りやめましたので、現在は十三社が正確なことであります。また、これは防衛装備の新しい原則を作る中で、委員とも議論をさせていただきましたが、やはり今、一つの新しい防衛装備を開発するのには、多国間が共同で開発することが主流となっております。その中に日本が関わっていかないと、逆に言えば、新しい装備が、日本自体、その装備を入れ得ることができません。それが日本の安全保障にとって大変大きな問題であるという共通的な認識の下、今回、防衛装備の新しい原則を出させていただいたわけでありまして、決して日本が何かこの分野でたくさん海外にいろんなものを輸出して成長するとか、そういうような考え方というよりも、むしろ私どもとしては、防衛装備をしっかりこれからも共同開発する中で、今回新しい原則に従って厳格に審査をするということになったと承知をしております。

○井上哲士君 現実に、本格的に兵器の国際見本市に日本の企業が初めて参加をするわけですよ。私はそのことを申し上げております。新しい基準になりまして、武器禁輸の撤廃後、すぐに輸出の要請があったのは、アメリカのレイセオン社から要撃ミサイルPAC2のライセンス製造をする三菱重工に対しての部品の提供でありました。このアメリカのレイセオンジャパンのCEOは、二〇一二年に都内のシンポジウムでこう言っているんですよ。武器輸出原則がなくなれば、日本の軍需産業と協力して、パトリオットシステムの生産に興味を示している世界中の新規顧客に納入したいと、こう言っているんですね。まさに日本の企業がアメリカと一体となって世界中に武器そのものを売りさばこうとしていると、こういう狙いはもう明らかじゃありませんか。今、こうやってまさに政府と企業が一体になって武器輸出で成長する国になろうとしていると。その安倍内閣が今進めているのが、集団的自衛権行使へ憲法九条解釈を変えるという道であります。総理は、集団的自衛権行使容認に関して、先日の参議院の外交防衛委員会でも、武力行使を目的として戦闘行為に参加することは検討しないと、こう述べられました。一方、与党協議の事例集には十五の事例が示されて、その一つにホルムズ海峡など海峡における機雷掃海活動が挙げられております。法制局長官に確認いたしますが、従来、武力行使の一環として敷設されている機雷の掃海活動は武力行使に当たるとされてきたんではありませんか。

○政府特別補佐人(内閣法制局長官 横畠裕介君) 一般論として申し上げますと、従来から政府は、機雷の除去について、遺棄された機雷など武力行使の一環としての意味を有しない機雷については、我が国船舶の安全確保のために必要な場合には自衛隊法第八十四条の二に基づき除去することができるが、外国による武力行使の一環として敷設されている機雷の除去は、一般に当該外国との関係で我が国による武力の行使に当たると解され、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況下でこれを行うことは憲法上許されないと考えているとお答えしてきているところでございます。

○井上哲士君 明確に、当該外国との関係で我が国による武力の行使に当たると解されると、これが従来の立場でありました。武力行使を目的として戦闘行為に参加することは検討しないと言いながら、なぜ明確な武力行使である機雷掃海への参加が事例として挙げられるんでしょうか、総理お答えください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 海洋国家である我が国にとって、国民生活に不可欠な資源や食料等を輸送する船舶の安全を確保することは極めて重要であります。そして、そこで、事例集で挙げましたシーレーンにおける機雷の掃海は、戦闘の当事者にはなり得ない我が国や外国の民間船舶を機雷の脅威から防護し、安全な航行を確保する目的で行うものでございまして、そしてその中におきまして、事例集のこうした活動は、今法制局長官が答弁をいたしましたように、確かに武力の行使に当たり得る活動ではありますが、民間船舶の航行の危険による機雷を除去するという基本的に受動的かつ限定的な行為を行うものでありまして、したがって、会見で申し上げた湾岸戦争やイラク戦争での戦闘、すなわち敵を撃破するために大規模な空爆や攻撃を加えたり敵地に攻め込んでいくというような行為とは性格を異にするわけでございまして、このようなシーレーンにおける機雷の掃海といった事例については検討していく必要があるだろうと、このように考えたところでございまして、現在与党において検討がなされているところでございます。

○井上哲士君 先ほどの答弁でも、武力行使に当たり得るじゃなくて、当たると解されると明確にこの間言ってきているんですよ。私が聞いていますのは、武力行使を目的としては戦闘行為に参加することは検討しないと言いながら、なぜ武力行使として認められてきたものには参加するという検討ができるのかと、そこの、総理が言っていることのその食い違いを問うているんですから、きちっと答えていただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 言わば、先ほど来私が答弁をしておりますのは、自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘行為に参加するようなことはないと、つまり武力行使を目的として戦闘行為に参加することはないということを申し上げているわけでございます。これは、あるいは戦闘行為を行うことを目的として武力行使をするというふうに言ってもいいのかもしれませんが。これ一般的には、例えばこれは、海外派兵はそれに当たるということで一般的にはそれは除かれているわけでありますが、一般的にはと申し上げたのは、しかし、この一般的にはという中において、今申し上げました、日本にとってこれは海外から入ってくる石油、ガス、あるいは食料、これは極めてバイタルなインタレストでもあるわけでありまして、それが断たれるということになれば日本の安全、存立に大きな影響があるという中において、そして、機雷を除去するというのは、言わば、先ほど申し上げましたような爆撃を行ったり陸上部隊を上陸をさせて戦闘をするという行為とはこれはやはり性格を異なるのではないかということから、今与党において検討をしていただいているということでございます。

○井上哲士君 いや、機雷除去は武力行使なんですよ。その機雷除去を目的として行くということは、武力行使を目的として行くということなんですよ。それがおかしいと言っているんですね。先ほど来、性格を異にすると言っていますけれども、憲法九条はそれも含めて全て海外での武力行使はできないと、こういうふうにされてきたわけですね。ですから、総理が言っているのは、武力行使をしないんじゃなくて、従来は武力行使とされてきた活動はこれからは武力行使ではないと解釈を変えるだけでしょう。白を黒と言いくるめるような、そんなことで危険な方向に行く、こんなこと許されませんよ。機雷掃海というのは武力行使なんです。相手はそう見て攻撃の対象にしてくるんです。そうすれば、日本が応戦して戦闘になるわけですね。日本が再び戦争する国になるというのは誤解だという総理の弁明も成り立たなくなるんじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほど来申し上げておりますように、機雷をある国が敷設をしたとします。しかし、その敷設した機雷がこれはその後遺棄されたものであるということになれば、それは武力行使ではないということになるわけでありますが、しかし、敷設をした国が目的を維持し続けている場合は、おっしゃるように、これは武力行使に当たるわけでありますが、ただ、その中で、先ほど来、私もまた法制局においても一般に武力行使は禁止されていると、こう申し上げているわけでございまして、この一般にという中にこれが入るかどうかということも含めて今検討している。それはまさに行為としては受動的あるいは限定的な行為であると、こういうことになるのではないかと。いずれにいたしましても、なぜ検討しているかといえば、恐らくこれは、例えばホルムズ海峡とすれば、そこから入ってくる石油、我々は石油の約八割をそのホルムズ海峡に頼っているわけでありますし、多くは日本船籍ではなくても日本に仕向地となっているというところであって、そこに専ら海外にそれは機雷の掃海活動を頼むことができるかどうかということも含めて検討していく必要があるのではないか。ただ、まだこれは結論が出ておりませんので、与党において今協議中であるということを申し上げておきたいと思います。

○井上哲士君 いや、あれこれ理由を付けて、これまでの武力行使であったものを武力行使でないと言いくるめて参加するようなことは許されないんですよ。じゃ、聞きますけど、機雷掃海に参加した場合に相手から攻撃を受けて応戦をして戦争になると、こういう可能性はないと断言できますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) どちらにしろ、今この機雷の掃海をやると決めたわけではなくて、まさに今与党において協議をしているわけでありますが、その上で、井上委員のせっかくの御質問でございますから、それを前提に、今議論をしているということを前提に答弁をさせていただきますと、資源の乏しい我が国にとっては、海洋の自由が確保され、原料や食料が輸入できることはこれ死活的な問題であることは、これは委員もお認めになるんだろうと思います。しかし、と同時に、機雷掃海があたかも宣戦布告であるかのような議論はこれは誤りであろうと思います。国際紛争を力で解決するために国際公共財である海に機雷をまいて、そして海洋の自由を、自由な利用を妨げることこそが国際法違反であるわけでありまして、機雷の掃海は船舶の自由な航行を阻む危険物を取り除く行為であり、国際法上これは合法な行為であることは論をまたないわけでありまして、何が違法で何が合法かといった基本的な事実関係をこれしっかりと押さえた上で、国民の命を守り平和な生活を守っていくために私たちは何をなすべきかということについてしっかりと今議論を行っているところでございます。

○井上哲士君 全然、すり替えないでくださいよ。機雷掃海活動は武力行使に当たるんですよ。相手はそう見るんですよ。そうしたら、結局、戦闘行為、応戦を受けて戦争になっていくじゃないですかと。それをやってはならないということが憲法九条の解釈だったんですよ。それを壊すことは絶対許されません。今、日本にとって大事だと言われましたホルムズ海峡は、実際、イランの核開発をめぐってかつて緊張が高まりました。欧米諸国によるイランの原産油の禁輸の動きに対して、イランがホルムズ海峡の機雷封鎖を言って牽制したということがありました。当時、民主党政権でありましたけれども、石油の備蓄とかそれからホルムズ海峡を迂回するパイプラインの整備などの対応を取っていると、こういう説明でありましたけれども、今この政権はそういう対応を取っていないんでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) その備蓄等については経産大臣からお答えをさせていただきますが、そもそもイランにつきましては、昨年九月、私はローハニ大統領と会談を行い、そして岸田外務大臣をイランに派遣をいたしております。つまり、日・イランの関係を、元々伝統的に友好な関係を持っておりますから、その努力をしておりますし、ダボス会議で私が講演をした際にも聴衆の一人としてローハニ大統領が私の講演を聞きに来ていただいた、そういう関係にもなっているわけでございますが、しかし、安全保障というのは先の先、これは相当、三十年、四十年先まで見据えてそれは備えをしておく必要があるんだろうということで議論をしているところでございます。

○国務大臣(茂木敏充君) 石油の備蓄についてでありますが、我が国には国家石油備蓄が九十一日分、そして民間石油備蓄が七十一日分、合わせて国内需要百六十二日分の石油を備蓄をいたしております。仮にホルムズ海峡が封鎖されるような事態が起こって世界的に供給不足が発生するおそれがある場合には、IEA、国際エネルギー機関、加盟国二十九か国になりますが、によります協調行動枠組みの下で、一つには民間石油備蓄の義務日数の引下げ、そして国家備蓄の放出等の措置を実施することとしておりまして、その具体的な措置の内容につきましては、個々の事態によりますので、石油需給への影響度合い等を検討した上で最終的に判断すると、こういうことになると思っております。

○井上哲士君 当然対応を取っていらっしゃるわけですね。ですから、安保法制懇の言う我が国の存立を脅かすと、こういう状況にはないわけですよ。そして、そもそもホルムズ海峡の閉鎖が懸念されるのは、イスラエルやアメリカの軍事行動への対抗としてイランが機雷を敷設するという事態でありますけれども、昨年の十一月のローハニ大統領に替わった下で様々な解決の流れが進んでおりますし、今総理も、この間、平和的な外交を求めてきたし、日本とイランは伝統的な友好関係があると説明をしてこられました。七九年のイラン革命以降、アメリカとイランは国交を断絶していますけれども、その間も日本はアメリカと一線を画して友好関係を結び、イランからの原油の調達を継続してきました。外務大臣、こういうイランとの関係についてどう認識をされておるでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) まず、日本とイラン、御指摘のように伝統的な友好関係を有しております。政治的な対話もずっと続けてまいりましたし、経済あるいは文化、人的交流、様々な分野で緊密な関係を有していると認識をしております。そして、昨年八月、ローハニ新政権が誕生いたしました。それから後、イランといわゆるEU3プラス3、すなわち米、EU、英、仏、独、ロ、中、こういった国々と十一月に共同作業計画が合意され、現在この最終合意に向けて交渉が行われています。こうした動きはイランの核問題解決に向けて大きな一歩であると歓迎をしております。我が国としましては、引き続き、この伝統的な友好関係に基づいて、イランに前向きな対応を働きかけていきたいと考えております。

○井上哲士君 まさにそういう友好関係がありました。ところが、今検討しているのは、欧米諸国と一体となって、機雷掃海という形でイランを想定した武力行使を検討しているわけですね。これは、この間のずっと営々としたこういう友好関係を壊して、欧米諸国にできないような、日本がこの中東地域で独自の平和外交を進める足場を崩すことになるんじゃないですか。総理、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに日本はイランと伝統的な関係にありますから、これを生かしていきたいと、こう思っておりますし、かつて、イラン・イラク戦争の最中に、当時外務大臣だった父に同行してイランとイラクを同時訪問したこともあるわけであります。あのときには米国はイランと、もちろん今でも国交は断絶をしておりますが、相当険悪な状況であったわけであります。そこで、この敷設について、日本は高い掃海能力を持っておりますから、この敷設したものを掃海するということによって、機雷を敷設することがこれは無意味になっていくということにもつながっていくわけでありまして、つまり、そういう抑止力にもなるわけですね。国際的に掃海活動を行うということですから、よって、機雷を敷設するという行為、敵対的な行為を思いとどまるということにもつながっていく可能性の方が私は高いのではないかと、このように思うわけであります。いずれにいたしましても、イランとの関係におきましては、まさに現在イランが核開発から国際的な協調にかじを切り始めている中において、その方向を確かなものにしていきたいと、国際社会と協力していきたいと、このように思っております。

○委員長(金子原二郎君) 井上君、時間が来ております。

○井上哲士君 日本政府がやっているのは逆なんですね。イスラエルとの軍事的な関係も強化をしていると言いますけれども、これをやれば日本は中東の国々からの憎悪の対象にもなりかねないわけですよ。国民の安全のためにあらゆることに備えるのが政治の役目と言いますけれども、軍事的備えをやるということは、結局、日本が中東地域で憲法の下で営々として築いてきた信頼感を壊して独自の平和外交の土台を掘り崩すことになるわけでありまして、全くやるべきことは逆であります。もっと現実政治に即した議論を行うべきだと思います。今政府がやるべきことは憲法九条を生かした平和外交であって、集団的自衛権の検討はそれに逆行するものだと述べまして、質問を終わります。

 

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