国会質問議事録

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外交防衛委員会

井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、江渡防衛大臣の政治資金の問題についてお聞きいたします。
 大臣の地元の政経福祉懇話会の問題です。大臣のホームページでは、この懇話会について、大臣の支援企業の会だと繰り返し述べられております。同会が大臣が代表を務める自民党青森県第二選挙区支部に対して、毎年三百万円の寄附を行っており、二〇〇二年からの累計でいいますと三千二百八十五万円に上ります。にもかかわらず、この懇話会が政治団体の届出をしていないということが、この間、当委員会でも問題になってまいりました。
 政治資金規正法は、政治団体に当たる団体は、「都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならない。」としております。そして、届出をしないで寄附をした場合には、「五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。」というふうになっております。
 政治団体の届けのない団体から毎年三百万円の寄附を受けていると、このことを大臣は適切とお考えでしょうか。
○国務大臣(防衛大臣 江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
 この政経福祉懇話会は、その規約によりますれば、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体であるというふうに承知しているわけであります。
 また、政治資金規正法におきましては、このような任意団体から政党への寄附が認められておりまして、同懇話会から自民党の青森県第二選挙区支部への寄附は問題がないものと考えておるところでございます。
○井上哲士君 政治団体の実質がある場合には届け出なければならないと、それをしないまま寄附をしているということが問題だと指摘をしているわけでありますが。
 総務省に来ていただいておりますが、規正法の第三条は政治団体の定義を定めております。特定の公職の候補者の推薦、支持を本来の目的とする団体だけではなくて、一項の三号のロで特定の公職の候補者の推薦、支持の活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体も政治団体だと、こうしておりますが、この特定の候補の推薦、支持の活動というのは、具体的にはどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(総務省自治行政局選挙部長 稲山博司君) お答えをいたします。
 お尋ねの政治資金規正法第三条一項におきまして、政治資金規正法の適用対象となります政治団体について定義をする規定でございます。政治団体とは、御説明がございましたように、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、あるいは特定の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること、この二つのいずれかを本来の目的とする団体、又はこれらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体をいうと、こういうふうに定義をされているところでございます。
 この条文にございます推薦とは、候補者を公認したり推薦状を発行するなど、広く特定の候補者、これは現職にある方も含みますけれども、直接援助することをいうと解されているところでございます。
 また、支持とは、これは推薦と区別する実際上の利益は余りないところでございますけれども、特定の候補者の当選を期して、これを側面から援助することをいうと従来より解されているところでございます。
○井上哲士君 政治家なら誰でも多額の寄附をしていただく方は極めて大きな支持を受けていると、こういうことは分かることだと思いますが。
 二〇一二年の官報を調べますと、この懇話会は、大臣以外の青森県の自民党国会議員に献金をしている報告はございません。自民党青森第二選挙区支部の事務所と同じ場所に事務所を置き、江渡衆議院議員という特定の候補に毎年三百万円、十年にもわたって寄附を行っていると。これ、まさに特定の候補を支持する活動を組織的かつ継続的に行っているということになりませんか。
 大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) これも何度も御質問されてお答えさせていただいているわけでありますけれども、この会というのは、規約にも明記されてありますように、あくまでも青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、実際、当該規約にあるように様々な勉強会や懇話会などを開催しているというふうにも聞いているところでございます。
 このようなことを踏まえますと、同会は政治資金規正法が規定する政治団体とは私は考えておりません。
 また、私の方の事務所に同じ住所があるということですけれども、これは企業間等の関係もあるから、特定の会社等に住所を置くといろいろ問題があるために便宜的に連絡先となってくれというふうに私は聞いているところでございまして、私の後援会とこの政経福祉懇話会は全く別個のものであります。
○井上哲士君 先ほど総務省から定義について答弁いただきましたけれども、その団体の規約などの目的とは違っていても、実際に主たる活動として特定の候補を支持することを組織的、継続的に行ったら政治団体だということなんですね。それが、届出がされていないと。
 総務省にお聞きしますけれども、この政治資金規正法が政治団体に当たる団体が届出なしに寄附をすることを禁じている、このことの立法趣旨はどういうことなんでしょうか。
○政府参考人(稲山博司君) お答えいたします。
 政治資金規正法第六条の規定によりまして、政治団体は、一定の事項を都道府県選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならないということになっておるわけでございまして、そして、第八条におきまして、この届出義務対象となる政治団体につきましては、その届出がなされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができないとされているところでございます。
 この規定は、規正法におきまして届出義務の対象となっております政治団体が、政治団体の届出をする前に政治資金が授受されることを禁ずることによりまして政治活動の公明と公正を期すると、こういうことを目的として設けられたというふうに認識をしているところでございます。
○井上哲士君 まさに、政治資金規正法の目的そのものが、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする、そのためにそうした政治資金なども報告をして、まさにありましたように公明と公正を確保すると、これが目的なわけですね。
 そうしますと、こういう懇話会を通じて寄附をするということがどういうことになるのか。
 政治団体は収支報告書の提出が義務付けられます。政治団体でなくても、企業や労働組合等が政党支部に年間五万円以上寄附をいたしますと、受けた側の政党支部の収支報告書に記載をされるわけですね。それを見て国民は、ああ、どういう企業がこの政治家が代表している支部に献金しているのかと、大型開発に熱心だなと思ったら随分建設業者から献金もらっているなとか、この人は個人献金に依拠してやっているんだなとか、そういう政治姿勢をその報告書を見て有権者が判断をすることができると。これがまさに国民の監視と批判の下に行われる公明、公正を確保するというこの法律の目的なわけですね。
 ところが、こういう懇話会のような任意団体は収支報告書の提出は必要ありません。そして、その団体にどういう企業が寄附しているか分からないわけですね。そうしますと、この懇話会を通じて政党支部に企業が献金をしてもこれは全く表に出ないということになるわけですね。
 これ、結局こういうやり方はまさに懇話会を隠れみのにした企業献金が行われているということじゃないんですか。これは政治資金規正法の透明化という法の趣旨に反すると考えますけれども、大臣いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) 繰り返しの答弁になって申し訳ございませんけれども、この上十三政経福祉懇話会のあくまでもこの規約、そこの目的にも書いてあるとおりで、あくまでもこれは、上十三地域の政治、経済、福祉等に対しての勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、実際この規約にあるように様々な勉強会とか懇話会を開催していると思っていまして、ですからこそ、これは政治資金規正法が規定する政治団体ではないというふうに私は考えております。
 また、本当に有り難いことに、私はこういう形で得たものを適正にきちんと政治活動にも活動させていただいているわけでありますし、また、この団体の中には私の支持者もそれなりの方々がおられますから、そういうことはありますけれども、具体的に全ての方々が、どれだけの会員数があるかというのは私も詳しく分かりませんけれども、百数十社の方々がこの会員の中にあって、そしていただいているということでありまして、先生がおっしゃられるようなことはないというふうに私は考えております。
○井上哲士君 質問にお答えいただいていないんですけれども。
 結果として、この懇話会を通じることによって報告書に出てこない、言わば脱法的な企業献金が行われることになるんじゃないかと、そういう透明性がないことについてどうお考えなのかということを聞いているんです。
○国務大臣(江渡聡徳君) 私はそのように考えておりません。ですから、うちの方でも、きちんといただいている部分の数字も出させていただいているわけであります。
○井上哲士君 大臣が考えようが考えまいが、現実の問題として出てこないんですよ、全然報告書には。
 じゃ、百数十の会員がいるというお話でありますが、この懇話会の会員の状況についてお聞きします。例えば、国から補助金を受けている会社、三年連続して赤字の企業、それから外国法人は会員の中にいますか。
○国務大臣(江渡聡徳君) この団体、私が関与しているわけではありませんので詳しいことは分かりませんけれども、国から補助金を得ているような団体等は入っていないというふうに私は思っているところでございます。
○井上哲士君 分からないけどそれはないというのは、どうも全くよく分からぬ答弁でありますが。
 国から補助金を受けている会社、それから三年連続赤字の企業、外国法人というのはこれは企業献金禁止されています。ところが、この任意団体である懇話会に寄附をしてそこから政党支部に寄附をすると、会社名は出てこないわけですね。そうしたらこういう事実上の違法献金をしても分からない、こういうことが問題じゃないかということを指摘しているんですが、いかがですか。
○国務大臣(江渡聡徳君) この団体のメンバー全てのことを私はつまびらかに存じているわけではありませんけれども、多くの会社の方々が赤字であるというふうなこととか、そういうことは私はないというふうに思っているところでございます。
○井上哲士君 別に多くじゃなくてもいいんですよ。一社だって三年連続赤字の企業があれば、そこは企業献金できないんです。
 つまり、そういうことが大臣にも分からない、そしたら有権者にも全然分からないわけですよ。そういうものが事実上この懇話会を通じて行われる、これが脱法ではないかと。こんなことをやっていたら、まさに国民の不断の監視と批判の下に行われるというこの規正法の趣旨が全く損なわれると。
 だから、こんなことはほかの方もやっていないんですね。私、自民党議員の何人かの議員からも年間三百万円もの寄附するような任意団体聞いたことがないと、こういう話を聞きました。余りにも法に反する行為じゃないか。
 青森県の選挙管理委員会に出ている報告を見ますと、年間百万円以上政党支部に寄附したのは、二〇一二年の場合、二十一件しかありません。そのうち、政治団体が十一、企業が九、それ以外の任意団体では政経福祉懇話会の三百万円だけなんですよ。大臣の代表の政党支部だけがこういうことをやっていると。そして、こういう任意団体から十年間で三千万円以上も寄附を受けていると。
 大臣、これ、異様だと思いませんか。なぜこういうことになっているんですか。
○国務大臣(江渡聡徳君) なぜこういうふうになっているかというよりも、我々は政治活動をするために多くの方々から浄財を得ているわけでありますけれども、そういう流れの中でいただけるということで大変有り難いことだと思っておりますし、それをしっかりとより良い形の政治活動に使わせていただいているというところでございます。
○井上哲士君 それは有り難いでしょう。しかし、それを国民の前に誰がどこにどれだけの寄附をしているかということを明らかにすることが民主主義にとって大事だと、それがこの規正法なんですね。それに反するようなことだから多くの方はやっていないんです。
 今、青森のことを言いましたけれども、私、東北六県でも調べてみましたけれども、政党支部に対して年間百万円以上の寄附をしている団体は百二十八ありました。そのうち、政治団体が五十、企業等が七十五、政経福祉懇話会のような任意団体は三つしかありません。他の二つは、一つが自民党秋田県第三選挙区支部に対する横手英信会の百二十五万円、太陽の党秋田第一支部に対する由利建設技術懇話会の三百万円と、この二つでありますが、いずれもその前の年には寄附をしておりません。ですから、政治団体でもない、企業でもない任意団体で、年間三百万円を十年以上にわたって特定の政治家に寄附しているというのはここしかないんですよ。例がないんですよ。
 そして、この大臣の青森県第二選挙区支部は、二〇一二年の届出を見ますと、企業等献金が四百五十万です。この政経懇話会が三百万なんですね。ですから、あれこれの一つの団体じゃないんですよ。相当部分を占めるところが、こういう国民の前には一体誰が寄附をしているのか分からない状況になっていると。
 これは余りにも、大臣、法に照らして不透明だとお考えになりませんか。
○国務大臣(江渡聡徳君) 確かに、委員のお考えというのもそれはそれなりにあろうかと思っておりますけれども、政治資金規正法におきましては、今委員から御指摘のこの政経福祉懇話会のようなこういう任意団体から政党への寄附というものが認められておるわけでありまして、ですからこそ、同懇話会から青森県の第二選挙区支部への寄附というものは私は問題はないというふうに思っております。
○井上哲士君 私の考えじゃないんです、これは。政治資金規正法の基本的な考え方なんですよ。それに反するような脱法行為のようなことがこれだけ広く行われていると。
 この問題だけではなくて、今日も議論になってきましたように、大臣の政治資金には私は余りにも不透明なことが多過ぎると思うんです。この問題も含めて、もっとしっかり疑惑について自ら明らかにして国民の疑念を晴らすべきだと考えますけれども、そのお考えはありませんか。
○国務大臣(江渡聡徳君) 前回も委員からも御指摘ありましたけれども、確かに、いろんな形として客観的にきちんとお示しできる資料ということに関しましては、十分お応えできていないというところもあろうかと思っております。特に私の方の元秘書の方の税務申告等々、あるいは個人的なものでありますから現時点で本人からの了承というのは得られていない状況であるわけでありますけれども、それでも平成二十四年の仮の領収書というものを提出させていただきましたし、また親族や元秘書に対しましても人件費の受領というのは改めて確認させていただいたわけでありますし、また実際に支払われている旨の回答も得たわけであります。また、当時、当該二人がいかなる仕事をしていたかということも説明させていただいたようなところでございます。
 このように、本件が単なる事務的なミスであるとの説明責任を果たすべく、私なりにはきちんとお答えしているつもりでありますけれども、これからも丁寧に繰り返し説明していきたいというふうに思っているところでございます。
 また、本来、秘書や親族から徴取すべき領収書等につきましては、現在事務所の方でも探しておりますけれども、現時点で見付かっておりません。それゆえに、引き続き探してまいりたいというふうにも考えております。
 また他方、政治資金規正法上、自身の政治資金管理団体から選挙運動に関するもの以外で寄附を受けるということは禁止されているわけでありますからこそ、私もそれは政治家といたしまして十二分に認識しているところでございます。仮に同法で禁じられているというこのような寄附行為を意図的に隠蔽しようとするならば、最初からわざわざ収支報告書に寄附というふうに記載するはずがないというふうに私は思っておりますし、また、記載するはずがありません。
 これらのことからも、本件は、本来人件費の欄に記載するべきものを寄附の欄に記載してしまったというようなことで、単なる事務的なミスでありまして、何の意図もないということを御理解いただけるのではないのかなというふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今回の政治資金収支報告書の訂正等におきましては各所に御迷惑をお掛けしてしまっておりますので、いまだ御納得いただけない点につきましては今後とも御理解を得られるように丁寧に説明をさせていただきたいと、そのように考えております。
○井上哲士君 長々と述べられましたが、結局この間の様々な指摘に対して、自ら具体的に疑惑を晴らすということにはなっていないわけでありますし、今、政経懇話会のことについても質問をいたしました。他の様々な国会議員と比べましても余りにも不透明なんですよ、中身が。国民の前に何か隠したいことがあるのか、不都合があるのかと。こういうことは、疑念が出てくるからこそ、これは政治家として晴らすべきだと、このことを繰り返し申し上げておりますけれども、そういう姿勢がないことは極めて残念であります。
 是非、国民の前に明らかにしていただきたいということを強く申し上げまして、次にガイドラインの問題でお聞きをいたします。
 ガイドラインの中間報告が発表されまして、年内にも最終報告ということが言われてまいりました。この間、外務大臣も繰り返し、そういう合意になっていると、こういう話があったわけでありますが、既に十二月目前となり、そして大臣の答弁以降も、報道などでは、もう今年度は先送りすると、こういう日米間が合意をしたというような報道すら行われております。
 大臣は年内でやるんだとこの間から答弁をされておりますが、それでは、具体的にそれに向けて、日米間はどういう協議を今されているんでしょうか。
○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) ガイドラインの見直し作業につきましては、昨年十月の日米2プラス2において本年末までに完了することで日米で合意をしています。
 そして、日米のこのやり取りの詳細については控えさせていただきますが、現在もこの日米の合意に基づいて、合意したスケジュールに基づいて、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿ってガイドラインの見直しの作業を続けているところであります。そして、その際に、このガイドラインの見直しとそして国内法整備についてしっかりと整合させていく、このことは重要だという認識の下で作業を続けているところであります。
○井上哲士君 国内法整備との整合性というお話がありました。
 与党間の自公の協議ということもあるんだと思いますが、七月以降には政府・与党の公式な協議が開かれていないと、こういう報道もありますが、実際いかがなんでしょうか。
○政府参考人(内閣官房内閣審議官 武藤義哉君) 閣議決定前には与党協議ということが行われたところでございます。与党のプロセスについて我々述べるべき立場ではないかとは思いますけれども、いわゆるその閣議決定前に行われたような形でのプロセスがその後行われたというふうには承知してございません。
○井上哲士君 ですから、年末のガイドラインの最終報告にもう間に合わせるということで極めて乱暴なやり方で閣議決定が拙速に行われたわけでありますが、その後こういう事態になっているということなわけですね。
 もう一点お聞きしますが、前回のガイドラインから十七年たっております。この間、様々な法改正も行われ、また新たな日米協力に踏み込んだ分野があるわけですが、それを踏まえて今回の中間報告に盛り込まれた内容というのは具体的にはどういうことなんでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
 今般のこの中間報告におきましては、局長級の防衛協力小委員会、SDCにおけるこれまでの作業を要約しまして見直し後のガイドラインについての枠組みの目的を示したものであるために、現行のガイドラインそのものと一概に比較するということは困難であることをまず御理解いただきたいというふうに思っております。
 その上で、あえて申し上げれば、日米両政府は、例えば次の事項の重要性につきまして共通認識に達しております。すなわち、我が国の平和と安全の確保に関しまして平時から緊急事態までのいかなる段階におきましても切れ目のない形で日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとること、また、地域の及びグローバルな平和と安全のための協力に関しましてはより平和で安定した国際的な安全保障環境を醸成するために様々な分野において協力を強化すること、そして、新たな戦略的領域であります宇宙及びサイバー空間における協力を進めていくことであります。
 いずれにいたしましても、中間報告の段階でありまして、引き続き今回の中間報告で示されました枠組みと目的に沿いましてガイドラインの見直し作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
○井上哲士君 現行指針にあった周辺事態という言葉が中間報告にはなくなりました。これ、従来は地理的概念ではなくて事態の性質に着目したものと説明がありましたけれども、おのずと日本周辺という限界があったわけでありますが、これがなくなった結果、今の中間報告の中に地理的制約や限界を示す記述というのは一体あるんでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
 今回の中間報告におきましては、この周辺事態という用語というのは用いられていません。他方、まだ現在中間報告の段階でありまして、これをもって見直し後のガイドラインにおけます周辺事態概念の扱いというのが決定されたということでもございません。
 また、今回の中間報告におきましては日米協力の地理的制約を示す文言というものは記載しておりませんけれども、いずれにいたしましても、自衛隊の派遣というものにつきましては、我が国といたしまして自らの国益に照らして主体的に判断するものでありまして、また、我が国の平和及び安全の確保や国際社会の平和と安定への貢献とおよそ関係なく自衛隊を派遣するということはあり得ないことだと思っております。
○井上哲士君 現段階の中間報告には地理的制約の記述がないということでありましたが、そうしますと、まだ検討中ということでありますが、中間報告なので、最終報告では何らかの地理的な限定などを盛り込むという方向はあるんでしょうか。
○政府参考人(防衛省防衛政策局長  黒江哲郎君) 先ほど来大臣からお答え申し上げておりますように、今回中間報告ということでございますので、最終報告がどのような形になるかというのは日米間の今後の検討によるということでございますので、現時点で特定の方向性を予断するということは差し控えるのが適当かと思っております。
○井上哲士君 まさに地理的限定を盛り込むという方向は示されませんでした。
 アセット防護についてもここに盛り込まれておりますが、このアセット防護については地理的限定はあるんでしょうか。
○政府参考人(黒江哲郎君) アセット、装備品等の防護でございますけれども、この点につきましては、安保法制に係る先般の閣議決定におきましても、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍部隊、これに対しまして武力攻撃に至らない侵害が発生した場合のこういった部隊の武器等の防護ということで言及があるわけでございます。この点につきましては、我が国の平和及び安全の確保にとって極めて重要な協力分野であると考えておるところでございます。
 他方、この点につきましても、現在のところ中間報告という段階でございますので、今後、アセット防護に関します日米協力の在り方についても、御指摘の点も念頭に置きながら更に検討してまいるということでございます。
○井上哲士君 これについても、地理的限定を付すという明言はありませんでした。
 もう一点お聞きしますけれども、この中間報告に盛り込まれた日米協力の拡大に伴って自衛隊の装備がどうなっていくのか。中期防で出されている内容でこの対応が可能だと、こういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(江渡聡徳君) お答えさせていただきたいと思います。
 見直し後のガイドラインの下におきまして自衛隊に求められる具体的な役割とか任務、これにつきましては、今回の中間報告で示された枠組みと目的に沿って、今後のガイドラインの見直し作業の中において検討していくことになってまいります。
 他方、見直し後のガイドラインは、主として運用面における日米両国の役割及び任務並びに調整及び協力の一般的な大枠及び政策的な方向性というものを更新するものであります。そのために、見直し後のガイドラインの下での日米防衛協力についても、基本的にこれまでと同様、自衛のための必要最小限の防衛力をどのように活用していくかということが問題であるというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、現時点におきましては、ガイドラインの見直しによって中期防衛力整備計画の見直しが必要になるとの認識には至っておりません。
○井上哲士君 中期防自身が従来の専守防衛の枠を超えるような、水陸両用車などが盛り込まれているということは指摘をしておきたいと思います。
 この中間報告、七月一日の閣議決定を踏まえて、やっぱり地理的制限なく地球上どこでも、戦闘地域まで行って米軍支援を行うと、こういう枠組みの方向になっている非常に危険なものだと思います。改定作業は中止するべきだということを申し上げまして、時間ですので質問を終わります。

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