国会質問

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本会議(財政演説に対して質問)

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、財政演説に関して質問します。
 質問に先立ち、いわゆるイスラム国と見られる集団による残虐非道な蛮行を厳しく非難するものです。湯川遥菜さんを殺害したとしていますが、絶対に許されません。新たな投稿があった後藤健二さんの解放を強く求め、政府に対し、人命最優先で解決するためにあらゆる努力を尽くすことを求めるものであります。
 今国会は総選挙後に初めて開かれるものでありながら、総理が国政にどう臨むかを示す所信演説が行われないことは重大です。
 そこで、私はまず、総理の基本姿勢について質問します。
 総理は、昨年の解散をアベノミクス解散と呼びました。ところが、総選挙で与党が多数を得ると、この道しかないとして、あらゆる分野で信任されたかのように進めています。しかし、自民党の比例代表での有権者比の得票は一七%にすぎず、三分の二を超える与党の議席は大政党有利に民意をゆがめる小選挙区による虚構の多数にほかなりません。
 総理は、昨日、衆議院で、選挙に白紙委任はないとし、消費税の再増税、原発再稼働、集団的自衛権の行使容認などについても選挙中に語ったと答弁されました。しかし、選挙後の世論調査は、このいずれにも国民多数が反対です。にもかかわらず数を頼んで強行するならば、白紙委任を受けたと考えているに等しいではありませんか。
 沖縄では、名護市辺野古への米軍新基地反対のオール沖縄勢力が、名護市長選挙、名護市議選、沖縄県知事選、衆議院選挙の全ての小選挙区と、四回連続して勝利し、民意が明確に示されました。ところが、総理は、県民が選んだ翁長知事とは会わず、逆に抗議する住民を排除し辺野古での海上作業を再開しています。選挙の審判も、新基地反対の圧倒的県民世論も無視することは民主主義を否定する行為だと考えないのですか。
 沖縄県は、前知事による新基地建設工事のための埋立承認に瑕疵がなかったか、検証委員会を設置しました。工事の根拠が問われ、反対の民意が明確な下、辺野古新基地建設は中止し、断念をすべきです。答弁を求めます。
 今回の補正予算案は、アベノミクスの下での実質賃金の低下に加え、昨年四月の消費税増税による深刻な景気悪化に伴う緊急経済対策です。
 一九九七年の五%への増税も消費不況の引き金になりました。同じ失敗を繰り返すのかという指摘に対し総理は、五兆円の景気対策と併せて実施するから大丈夫だとして八%へ増税しました。その結果が家計消費の落ち込みによるGDPの二期連続マイナスという重大な増税不況となり、追加の経済対策が必要となったのです。
 消費税の増税が家計消費の打撃となり、低所得者ほど重い負担となって増税不況をつくり出すことはこれまでの二度の失敗で明らかです。暮らしや景気がどうあれ、二年後には消費税を一〇%にする無謀な増税は中止すべきです。答弁を求めます。
 財政演説では、アベノミクスで経済の好循環が生まれ始めているとしています。しかし、昨年十二月の日銀のアンケート調査では、生活にゆとりがなくなってきたという人が、三月以降連続して増えて五一・一%に達しました。一方、一年後に今より景気が悪くなると答えた人は、六月以降連続して増えて三七・八%となり、良くなると答えた人は僅か七・三%にすぎません。政府の認識と国民の実感は全く懸け離れているのではないですか。
 なぜこのような乖離が生まれているのか。それは、アベノミクスが、大企業や富裕層の利益さえ増やせば、いずれ国民全体に回り経済成長につながるという破綻した古いトリクルダウンの考え方に立っているからです。
 OECDは、昨年十二月、「格差と成長」と題する報告書を発表し、所得格差が拡大すると経済成長は低下すると述べ、日本でもこの二十年間で格差拡大によりGDPが五・六%押し下げられたと分析しました。そして、同報告は、格差問題に取り組めば、社会を公平化し、経済を強固にすることができるとしています。総理は、格差の拡大が経済成長を阻害すること、逆に、格差是正のための経済政策こそ経済成長につながることを認めますか。
 政府が進めているのは格差の一層の拡大です。庶民増税の一方で、来年度から二年間で法人実効税率を三・二九%引き下げ、一・六兆円もの減税を行おうとしています。史上最高の利益を上げ、二百八十五兆円もの内部留保をため込んでいる大企業に減税しても、これまでどおり、賃上げには回らず、内部留保や株主配当に回るだけです。格差を拡大し、経済効果もない大企業減税はやめ、社会保障の充実など国民の暮らし応援にこそ転換すべきです。答弁を求めます。
 補正予算案には軍事費二千百十億円が計上され、経済対策として、在沖縄海兵隊のグアム移転など、自衛隊の安定的な運用態勢、防衛施設の円滑な運営の確保が盛り込まれました。なぜこれが地方への好循環の拡大になるのですか。
 軍事費は、第二次安倍政権発足直後の二〇一二年度補正予算に二千百二十四億円が盛り込まれ、一般会計との合計で初めて五兆円を超えました。以来、一般会計と復興特別会計、補正予算の合計で軍事費は三年連続して五兆円を超えています。国民には社会保障の切捨てなどを押し付けながら、経済対策と称して軍事費を拡大することは許されません。答弁を求めます。
 総理は、年頭会見で、平和国家としての歩みは変わらないと述べました。ところが、今、ステルス戦闘機F35、無人偵察機グローバルホーク、オスプレイ、水陸両用車両など新しい兵器調達が進められています。これによる装備体系の変更は、自衛隊を海外派兵型につくり替えるものです。
 さらに、政府は、武器輸出三原則の撤廃により武器の海外輸出を推進し、非軍事に限られていたODA大綱を改定し、他国の軍に対する支援を可能にしようとしています。平和国家としての歩みとは全く逆行するものではありませんか。
 今年は戦後七十年の節目の年です。侵略戦争で国内外に多くの犠牲を生み出した痛苦の教訓から、二度と海外で戦争しないと誓った憲法の平和主義を守り抜くことこそ求められています。憲法に反する集団的自衛権行使容認の閣議決定に伴う法改悪は中止し、閣議決定の撤回を求めるものです。
 同時に、今年は広島、長崎の被爆七十年であり、五年ぶりにNPT再検討会議が開かれます。今、世界では核兵器の非人道性、残虐性を追及し、その廃絶を求める流れが発展しています。その大きな力が、高齢の被爆者が命ある間に核兵器のない世界をと自らの被爆体験を語り広げていることです。
 ところが、昨年十二月の第三回核兵器の人道的影響に関する会議において、日本の軍縮代表部大使は、核兵器の爆発が対応できないほど悲惨な結果を招くとの見方は悲観的過ぎる、少し前向きに見てほしいと発言しました。核兵器の使用を前提とした発言であり、絶対に許されません。このような発言が政府代表からなされるのは、日本が被爆国でありながら、核抑止力論、核の傘依存の立場にあるからではありませんか。
 被爆七十年の今こそこの立場から脱却すべきです。そして、圧倒的多数で採択されている核兵器禁止条約の交渉開始を求める国連決議に対し、棄権するという被爆国として恥ずべき態度をやめ、賛成をするべきです。
 被爆七十年にふさわしい総理の決断を求め、質問を終わります。                       

〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えいたします。
 政策実行に係る政治姿勢についてお尋ねがありました。
 我が自民党は、できることしか約束しない、約束したことは必ず実行する政党であります。それなくして政治への国民の信頼はありません。
 総選挙は、それぞれの政党が公約を掲げ、それを踏まえ国民が政権選択をした結果であります。であるならば、政権与党はその国民への約束を一つ一つ実現していかなければならない、その大きな責任があると考えます。それは白紙委任とは全く違います。
 私たち自民党は、御指摘のあった消費税、安全保障政策、エネルギー政策についてその考え方を公約に明確に掲げております。これらについて、今後も国会審議などを通じ、国民の皆さんに丁寧に説明し、御理解を得る努力を続けながら確実に実現してまいりたいと考えております。
 沖縄における選挙の結果及び普天間の辺野古への移設についてお尋ねがありました。
 選挙の結果については、いずれも真摯に受け止めたいと思います。最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということであります。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様との共通認識であると思います。辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたとき、唯一の解決策です。この考え方に変わりはありません。
 これは、現在の普天間を単純に辺野古へと移す計画ではありません。普天間が有する三つの機能のうち、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみです。空中給油機は既に全機、山口県岩国基地へ移りました。緊急時の航空機受入れ機能も本土へ移します。また、オスプレイの県外訓練等も着実に進めています。埋立面積は全面返還される普天間飛行場の三分の一以下です。飛行経路は市街地の上空から海上へと変更されます。これにより、住宅防音が必要な一万以上の世帯数がゼロとなります。
 このように、辺野古への移設は沖縄の負担軽減に十分資するものであります。負担軽減に取り組む政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていません。沖縄県による第三者委員会の設置については、詳細を承知していないのでコメントは差し控えたいと思います。
 政府としては、地元の皆様の御理解を得ながら、普天間の一日も早い返還に向け、安全に留意しながら着実に移設を進めてまいります。
 消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
 消費税率の引上げは、国の信認を確保するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。その増収分は、医療、年金、介護といった社会保障の給付や子育て支援の充実に充てられ、特に、所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充などを講じております。
 他方、昨年四月の消費税率引上げが個人消費に影響を及ぼしたのも事実であり、アベノミクスの成功を確かなものとするため、一〇%への引上げを十八か月延期することとしました。平成二十九年四月の一〇%への引上げを確実に実施するため、経済運営に万全を期し、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
 景気の国民の実感についてお尋ねがありました。
 政権交代以来、三本の矢の政策を進めた結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、賃上げは平均二%以上のアップと十五年で最高、企業の経常利益は過去最高水準、企業倒産件数は二十四年ぶりに一万件を下回るなど、確実に経済の好循環は生まれ始めています。
 しかしながら、景気回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実です。今般の経済対策は個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図るものであり、これにより全国津々浦々にアベノミクスの成果を届けてまいりたいと考えています。
 また、さきの政労使会議で、経済界の皆さんが昨年に引き続き今年の賃上げにも最大限の努力を行うことを約束してくれました。今年も来年も再来年もしっかりと所得を増やしていけば、全国の方々に景気回復を実感していただくことができると考えています。
 所得格差と経済成長に関するお尋ねがありました。
 安倍政権では、経済再生に取り組む中で雇用環境の改善と社会保障や税制の見直しを行ってきているところです。特に、雇用環境については、二年連続で最低賃金の大幅引上げを実施し、パートタイム労働者について正社員との均等・均衡待遇を推進してきたところです。さらに、昨年末に取りまとめた政労使の三者の共通認識において、非正規雇用労働者のキャリアアップや処遇改善に向けた取組を今後も進めていくこととしています。このような施策を通じて、経済成長の成果が広く国民に行き渡るような取組を行ってまいります。
 なお、今回の法人税改革は、経済の好循環の定着に向けて、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げに取り組むよう促す観点から行うものであり、格差を拡大し、経済効果もない改革であるとの御指摘は全く当たりません。
 二十六年度補正予算案における防衛関係費についてお尋ねがありました。
 二十六年度補正予算案における防衛関係費については、自衛隊の活動に必要な経費に加え、緊急経済対策として、昨年末の閣議決定に基づき、多発する自然災害や一層厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境を踏まえ、円滑な社会活動、経済活動の基盤となる安全、安心な社会を実現するために緊急に必要な経費を計上するものであります。
 さらに、防衛装備品の取得や防衛施設の整備に当たっては、一般に、主契約企業を通じて地方に所在する多数の下請企業に資金が流れるため、需要を押し上げる効果も有するものであり、実効的な経済対策になるものと考えています。
 なお、補正予算を含め、一般会計及び復興特別会計に計上した防衛関係費の合計については、二十四年度と二十五年度は五兆円に達しておらず、三年連続で五兆円を超えているとの事実はありません。
 我が国の平和国家としての歩み及び安全保障法制に関する閣議決定についてお尋ねがありました。
 我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。新たな防衛装備の調達は、専守防衛の下、あくまでも我が国の防衛に不可欠な防衛力を整備するためのものであります。自衛隊を海外派兵型につくり替えるとの御指摘は全く当たりません。
 防衛装備移転三原則は、防衛装備の海外移転に係る手続や歯止めをこれまで以上に明確化したものです。新たな開発協力大綱案は、非軍事的協力による平和と繁栄への貢献を基本方針として掲げています。また、昨年七月の閣議決定は、合理的な解釈の限界を超えるような憲法解釈の変更ではなく、政府としては、閣議決定で示された基本方針の下、切れ目のない安全保障法制の整備を進めてまいります。
 核兵器をめぐる我が国の立場についてお尋ねがありました。
 我が国としては、悲惨な惨禍をもたらす核兵器は二度と使用されるようなことがあってはならないとの立場です。核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致していないと考えます。他方で、核兵器禁止のための国際約束を作成することについては、現時点で核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、直ちに交渉を開始することができる状況にはないものと認識しています。
 いずれにせよ、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて、今後とも現実的かつ実践的な取組を通じて最大限努力をしていく考えであります。(拍手)

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