国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2016年・190通常国会 の中の 政治倫理・選挙制度特別委員会(投票機会の保障)

政治倫理・選挙制度特別委員会(投票機会の保障)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 議会制民主主義にとって、国民の選挙権を保障することは根幹を成すものであります。公選法の第一条では、この法律は、日本国憲法の精神にのっとり、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長を公選する選挙制度を確立し、その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によって公明かつ適正に行われることを確保し、もって民主政治の健全な発展を期することを目的とすると、こうしているわけであります。
 憲法とこの公選法を踏まえて、選挙における投票機会の保障の意義について、まず大臣から伺いたいと思います。

○国務大臣(総務大臣 高市早苗君) 今委員が公職選挙法第一条を紹介してくださいました。もって民主政治の健全な発達を期することを目的としております。まさに投票の権利は民主主義の基礎的な部分でありまして、投票の機会を広く確保することが極めて重要だと認識しています。
 近年、投票率が低下する傾向にあります。総務省では平成二十六年度より省内に研究会を設置しまして、有権者お一人お一人に着目した更なる投票機会の創出ですとか利便性の向上の方策を検討してまいりました。そして、この夏の参院選から効果が見込まれるものとして、共通投票所の設置や期日前投票の投票時間の弾力的な設定を可能とする公職選挙法の改正案を現在御審議いただいております。
 これからも選挙人の投票機会の確保にしっかりと努めてまいります。

○井上哲士君 投票機会の確保は極めて重要だということでありますが、その保障するべき投票所の場所が減り、また閉鎖時刻を繰り上げる投票所が増えているというのは大変大きな問題だと思うんですね。
 選挙部長、お聞きしますけれども、まず投票所の数について、二〇〇一年七月の参議院選挙と直近の二〇一四年の十二月の総選挙ではどうなっているか。また、閉鎖時刻を繰り上げた投票所の割合について、九八年十月の総選挙と一四年総選挙時点ではどうなっているか。また、一四年総選挙で投票時間を繰り上げた投票所が八〇%以上の都道府県の県名と、それぞれの割合も併せてお示しいただきたいと思います。

○政府参考人(総務省自治行政局選挙部長 大泉淳一君) お答えいたします。
 二〇〇一年、平成十三年の参議院議員通常選挙の投票所数、これが一番多いときでございましたが、五万三千四百三十九か所、そして二〇一四年、平成二十六年の衆議院議員総選挙における投票所の数は四万八千六百十七か所でございました。また、投票所の閉鎖時間の繰上げについてでございますが、一九九八年、平成十年の参議院議員通常選挙、これは投票時間の二時間延長が実施されて初めての大規模な国勢調査でございましたけれども、このときには、繰上げをした投票所の割合は五・六%でございました。二〇一四年、平成二十六年の衆議院議員総選挙につきましては三五・二%でございました。
 また、二〇一四年、平成二十六年の衆議院選挙におきまして閉鎖時刻を繰り上げて八〇%を超えている都道府県名でございますが、茨城県が八〇・六%、岩手県が八三・二%、島根県が八六・三%、秋田県が八六・六%、高知県が八九・五%、鹿児島県が九一・四%、群馬県が九九%、それから福島県でございますが、これは一〇〇%となっております。これは東日本大震災の影響がございまして、平成二十七年の県議会議員選挙については五団体の全投票所、それからプラスして一団体の、一投票所が繰上げを実施しなかったということでございますので、それを見ますと八割を切っているという状況になります。

○井上哲士君 投票所の数は最高時から一割減になり、投票時間は、二〇一四年総選挙でいいますと、実に三五%の投票で繰上げ閉鎖をしております。住んでいる場所によって投票機会の保障が異なるということになっているわけですね。
 まず、投票所の減少の問題についてお聞きしますが、公益財団明るい選挙推進協会が、二〇一五年八月のアンケート調査で投票所までの距離と投票の関係について聞いております。
 これを見ますと、投票所までの距離が五分未満で投票に行った人の割合は七七・五%、十分未満では七一・六%、大体七割台であります。ところが、二十分未満だと五八・四%、二十分以上だと五六・六%と、明らかに投票所までの距離が投票行動に影響をしているわけですね。
 この間、投票所が減少し、遠くなったということが投票率の低下を招いていると考えますけれども、大臣、その点での認識と対応はいかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 投票所数につきましては、中山間地域等における過疎化による選挙人数の減少や市町村合併等を契機とした投票区の見直しなどによって減少してきていると承知をしています。投票所数の減少だけがこの投票率の低下の要因だということではないかと思いますけれども、やはり全体的に見ますと、いずれの選挙においても低下傾向にあるということは事実でございます。
 公職選挙法上、投票所の設置につきましては市町村の選挙管理委員会が地域の実情等を踏まえて決定すべきものではございますが、総務省としましては、各選挙管理委員会に対しまして、投票機会の確保を図るという観点から投票所の増設について積極的に措置するように、国政選挙や統一地方選挙の都度、要請をしてきております。また、御高齢の方など投票所への移動が困難な方々に対しまして、投票所や期日前投票所への巡回バスを運行すること、また地域の最寄りの公民館や集会所等の施設に期日前投票所を設置することについても要請をしてきておりますので、引き続きこの要請を続け、投票機会の確保に努めてまいります。

○井上哲士君 もちろん投票率の低下は様々な要因がありますけれども、先ほどのアンケートにもありますように、やはり投票所が減り、遠くなっているということは投票率低下の一つの重要な要因だと思います。総務省として増設について通知等に代わるようなものを発信をされているようでありますけれども、是非、実際に増設が進むように求めたいと思うんですね。
 同時に、今ありましたように、足の確保も大変重要であります。確かに投票所へのバスの運行など行われておりますけれども、実際聞きますと、午前、午後でそれぞれ一便など、それに乗れなければ諦めざるを得ないというような状況もありまして、やはり民主主義の根幹を成す選挙の機会が保障されているとは言い難いところもあるわけです。
 例えば、この足の確保の点で、こういうバスの増便などの措置をとった場合にもこれは執行経費からの国の負担ということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(大泉淳一君) お答えいたします。
 今回の共通投票所あるいは期日前投票所までの移動支援に関する経費につきましては、今回の改正案におきまして加算規定を新設とするということと、あと関連予算を確保しておるところでございます。
 これまでも実際に行われている例としては、送迎バスの運行や、運休日であるときに臨時バスを出したり、あるいは投票所までのバスの無料券を発行しているような団体もございます。こうしたバスの投票所への移動支援につきましてでございますけれども、その便数を増便したような場合であっても執行経費基準法の移動支援の対象となるものでありますので、その経費を基準額に加算して措置することとしたいと考えております。

○井上哲士君 もう一つは、投票所の閉鎖時間の繰上げの問題です。
 一一年の地方選挙では、二十代、三十代の四分の一は十八時以降に投票しているという調査もあるわけですね。やはり閉鎖の繰上げが投票率の低下を招くことはこの数字からも私は明らかだと思います。
 それぞれの地方の事情というふうに言われるんですが、二〇一四年総選挙で見ますと、群馬県では前橋市とか高崎市など都市部も含めて九九%が繰り上げていると。お隣、栃木県は六・七%ですね。秋田は八六・六%ですが、青森は六・四%なんです。ですから、有権者の投票の機会の保障よりももう地方自治体の事情が優先をされているのではないかとこの数字から見えるわけですね。
 そのことによってやはり投票の権利が妨げられているのではないかと考えますが、この点での認識と対策はいかがでしょうか。

○政府参考人(大泉淳一君) 投票所閉鎖時間の繰上げでございますが、公職選挙法においては、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合等に限って繰上げができるというふうに規定されております。こういう法律の趣旨を踏まえまして、地域の実情も考えながら、各選挙管理委員会において十分な検討を行った上で対応していただいているものと認識しております。
 総務省といたしましては、投票時間、閉鎖時刻の繰上げ等につきまして、これまでも各選挙管理委員会に厳正な対応を要請してきております。引き続き要請をしてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 さっきも数字言いましたけれども、群馬県では九九%、お隣、栃木では六・七%と。群馬県にだけ特別の事情があるとは私は思えないんですね。今もありましたような、やはり厳正な対応を改めて求めたいと思います。
 それから、今回の法案では開票所経費の基準額は増加をされるわけですけれども、その理由はどういうことでしょうか。

○政府参考人(大泉淳一君) お答えいたします。
 開票所経費、今回見直して増加しておりますが、基準額の積算の前提となる開票事務に要する時間、開票時間につきまして、選挙執行の実態を踏まえて、現行の四時間から三十分延ばしまして四時間半に見直すことによるものでございます。
 これにつきましては、二十五年の参議院議員通常選挙の実態を調査したところ、全体の四四%が四時間半未満で開票を終えておりまして、累計で六〇%に当たる団体が五時間未満で開票を終えておりました。それで、平均は四時間四十七分ということでございました。一方で、選挙に要する費用につきましては、これは最終的に国民の負担となるということを考慮しますれば、事務の効率化の観点も踏まえるべきであるというようなことを勘案しまして、現行の四時間から三十分延長して四時間半としたところでございます。
 この改正によりまして、幾つかの選挙管理委員会におきましてはこれまでも開票事務に関する不正が若干発生しておりました。この時間の見直しにより、過度な開票時間の短縮への動きが抑えられるのではないかなと期待しているところではございます。

○井上哲士君 前の基準削減に当たって、開票作業には何よりも正確さが求められておって、コスト削減を目標に選管をあおるということは選挙の公正さが確保できなくなると私ども指摘をしてきました。高松の選管や仙台選管の不正事件のように、指摘したとおりの問題が生じたわけですね。
 今、四・五時間以内に基準を上げたと言われました。それまでに終えたのが四四%程度と言われたわけでありますが、これも半数以下なわけでありますから、これでも私は実態に即しているとは言えないと思うんですね。
 このように、投票所の減少、それから投票所の閉鎖時間の繰上げ、また開票に当たっての様々な問題、一連の問題を生んできた一つの要因が、この法律に基づく執行経費基準の削減にあると思います。
 地方公共団体の委託費は、二〇一〇年の法改正案に基づく参議院選挙予算は前回比一七・一%減になりました。二〇一三年の法改正でこの二〇一〇年基準よりも二・五%引き上げましたけれども、この間、地方自治体は、それまで正社員が配置されていた事務を臨時職員に置き換えるなどしてぎりぎりの予算で運営をしなければならなかった。さらに、自治体職員自身のリストラも進んでおりますから、これと相まって流れが加速したと思うんですね。
 私は、選挙の機会の確保という観点からいいますと、二〇〇七年基準の水準まで基準額を回復することが必要と考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高市早苗君) 今回の予算につきましては、有権者が投票しやすい環境を整備するとともに、選挙の公正な執行を期すために実態を踏まえて必要な経費は計上していると存じます。
 一方で、先ほど選挙部長が答弁をしましたとおり、またこれも国民の皆様の御負担でもありますので、国、地方の厳しい財政状況もございますので、効率的な経費の支出という視点も持って対応しております。
 平成二十八年執行予定の参議院議員通常選挙における基準法委託費については四百七十六億円と、前回の平成二十五年の予算額に比べまして二十九億円、六・五%の増でございます。平成二十八年の参議院議員通常選挙の執行には必要な額を確保していると考えております。
 ただ、これから、地方公共団体の選挙執行の実態もしっかりと踏まえながら、投票環境の整備ですとか選挙の公正な執行の確保のために必要な予算を確保してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 前回の改正後の二〇一四年一月に都道府県の選挙管理委員会連合会が要望を出されております。国会議員の選挙等の執行経費の基準については、実情に即して基準額等改められたいとしております。理由をこう述べているんですね。改正された選挙経費基準法では単価が大幅に引き下げられたが、特に市町村交付金について一部の経費は実態と乖離しており、大きな影響が生じていると、執行経費の過度な引締めは、選挙の管理、執行に支障を及ぼすおそれがあるので、実情に即した適切な水準に見直す必要があると、こう言われております。
 今、今後も実態を踏まえていきたいということがございました。是非、こういう現場の実態、声もしっかり聞いて、私は回復をすることが必要だということを改めて求めておきたいと思います。
 もう一点、今回の法案にはいわゆる共通投票所の創設が盛り込まれました。これを可能にするためには、コンピューターによる選挙人名簿の一元管理のシステムの構築など、自治体の規模によって違いますけれども、ソフトやハードが必要であると思いますが、こういうシステム構築に資する費用というのは今回の予算には計上されているのか。また、地方の負担が生じるんでしょうか。いかがでしょうか。

○政府参考人(大泉淳一君) お答え申し上げます。
 共通投票所に関する名簿対照のオンライン関係経費につきましては、今回の法律の改正案について加算規定を新設しまして、それに必要な経費について予算を組んでいるところでございます。
 それと、あと、ただ、整備した設備が地方選挙にも活用できるような場合につきましては、その経費につきましては地方公共団体も負担すべき面もありますため、整備に係る経費の一定割合、約二分の一程度でございますが、これを国費で措置することとしております。

○井上哲士君 自治体もなかなかリストラ等で大変で、やりたくても時間も人員もいないというのが実態だと思うんですが、例えばこのモデルとなるようなシステム構築など、総務省が責任を持って開発するべきかと考えますが、この点はいかがでしょうか。

○政府参考人(大泉淳一君) 名簿対照のオンラインシステムにつきましては、総務省内の研究会において議論がなされたところでございます。昨年の三月に行われましたその中間報告においては、現在の期日前投票の実務においては二重投票の防止をするために、実効ある方法としてオンラインによる方法を、補助的な方法ですが、広く行われているということでございます。これまで重大なトラブルも発生していないということから、そのような実態も踏まえまして、名簿対照そのものについてもオンライン化を行えるようにするというような方向性がこの中間報告で出ているところでございます。
 共通投票所につきましても、市町村の選管におきまして、これと同様に行えるものと考えているところでございます。
 モデルを示すということについてでございますが、市町村選管の選挙人名簿システムは多様でございまして、一律に示すことが効率的あるいは効果的かどうかというのは一概に申し上げることは困難でございますが、今後、システムの整備事例などを収集しまして、他の市町村の選管への情報提供など必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 せっかく法改正するわけでありますから、きちっと進むように総務省として必要な責任を持って進めていただきたいと思います。
 以上、終わります。

○委員長(前田武志君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、国会議員選挙の執行経費及び公職選挙法改正案には反対、衆議院提出の公選法案には賛成の討論を行います。
 政府提出二法案に反対の理由は、これまでの選挙執行経費基準の大幅削減が国政選挙における投票所数の削減や閉鎖時間の繰上げに拍車を掛け、開票作業でのミスや不正を発生させてきたにもかかわらず、基準額の僅かな増額にとどまり、大幅削減をされた基準を抜本的に改善するものになっていないからであります。
 投票所の数は二〇〇一年以来全国で約一割減少し、投票所の三五%が閉鎖時間を繰り上げており、有権者の投票権の行使が制約をされております。法案には、投票環境の向上の一環として、共通投票所制度の創設、期日前投票時間の弾力的な設定などが盛り込まれております。これらの措置に反対するものではありませんが、実際にどれだけの地方選管が実施できるかは不透明であります。我が国の公選法は投票日当日投票所主義を取っており、さらに、公示日から投票日を選挙期間と定めて様々な制限の下で選挙運動を認めております。期日前投票を投票の柱とするのであれば、こうした選挙期間の設定の見直しなどの議論が必要と考えます。投票環境の向上というならば、地方選管がぎりぎりまで経費削減を強いられていることを改善し、投票所数の増加や規定時間どおりに投票所を開くことこそ重要であります。
 開票についても、コスト削減を目標にして選管をあおってきた下で開票作業などの選管事務のミスが増え、高松選管や仙台選管の不正事件のように、選挙の公正性、信頼性を損ないかねない事態さえ起きております。開票作業は何よりも正確さが求められており、それをなくして選挙の公正は確保されません。コスト削減をあおることをやめ、実態に合った基準にすることが必要です。
 なお、衆議院提出法案については、洋上投票の対象の拡大や要約筆記者への報酬支払の解禁をするものであり、賛成といたします。
 最後に、今年は選挙権が十八歳以上に拡大される歴史的な年です。新しい有権者への周知徹底や啓発活動など特別な努力が必要です。全ての有権者の皆さんに十分な投票が保障されるよう、必要な経費を十分に確保することが求められている、そのことを改めて強調いたしまして、討論を終わります。

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