国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2016年・190通常国会 の中の 外交防衛委員会(米軍芥川賞作家不当拘束事件)

外交防衛委員会(米軍芥川賞作家不当拘束事件)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 カンボジア、ラオスそれぞれの航空協定についてはいずれも賛成であります。
 今日は、沖縄の米軍新基地建設に抗議をしていた芥川賞作家の目取真俊さんが辺野古の米軍キャンプ・シュワブの周辺で米軍基地内に拘束をされ、その後海保に逮捕された、この問題についてお聞きいたします。
 まず海上保安庁にお聞きしますが、この事案の概要と経緯について、具体的な時刻も含めて示していただきたいと思います。

○政府参考人(海上保安庁警備救難部長 秋本茂雄君) 委員御指摘の件でございますが、本年の四月一日午前九時二十五分頃、海上保安庁に対し米軍憲兵隊から、午前九時二十二分にキャンプ・シュワブの提供施設区域内へ侵入した男性一名の身柄を拘束した旨の通知がございました。その後、憲兵隊から身柄の引渡しを受けた海上保安官により、同日午後五時二十二分頃、キャンプ・シュワブ内において同人を逮捕し、中城海上保安部へ引致いたしました。中城海上保安部では、所要の捜査を実施した後、翌四月二日午後三時五十五分頃、同人を那覇地方検察庁へ身柄付き送致し、検察官の指示により、二日午後七時十五分頃、同海上保安部にて身柄を釈放したものでございます。

○井上哲士君 朝の九時二十二分頃に身柄を拘束され、海保に引き渡され、逮捕したのが午後の五時二十二分ということですから、八時間に及ぶ長期間の拘束をされた上での逮捕ということになります。
 この目取真氏が抗議行動をしていた辺野古の基地の埋立工事の状況は一体どういうことになっていたのかということでありますが、前沖縄県知事の行った埋立承認をオール沖縄の声を代表して翁長知事が取消しをいたしました。それをめぐって国と県との間に訴訟が提起されておりましたが、裁判所の和解勧告を国と県が受け入れて三月の四日に和解し、沖縄防衛局は埋立承認取消処分の審査請求及び執行停止申立てを取り下げ、国交大臣は代執行訴訟を取り下げたということになっていますね。その結果、この埋立ての法的環境はどうなっているのかと。
 今日は公有水面埋立法を所管する国交省に確認をいたしますが、現在、沖縄県による埋立承認取消処分が効力を有しているということでよろしいですね。

○政府参考人(国土交通省水管理・国土保全局次長 野村正史君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、現在、翁長沖縄県知事が昨年十月に行った埋立承認の取消処分、その効力は有効となっております。

○井上哲士君 埋立承認の取消処分が有効となっていると。つまり、埋立承認が取り消されて、国は埋立工事を進める根拠を失っているという状態にあるわけですね。そして、和解条項では、沖縄防衛局は埋立工事を直ちに中止するとされて、現に工事は行われておりません。
 ところが、この工事の安全確保のためとして二〇一四年六月に周辺の海上に設定された常時立入りを禁止する五百六十一・八ヘクタールにも及ぶ臨時制限区域はそのままなんですね。工事が根拠を失って中止をされた下で、工事の安全のためとして立入りを禁止する理由など何もないはずなんですね。しかも、国が工事のために設置をしているフロートなどの器具も撤去をされておりません。
 県は工作物の撤去を求めているわけでありますが、今日、和解に関する協議の作業部会も行われるようでありますが、この臨時制限区域は撤回をして工作物も撤去をするべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) 先般の和解を受けまして、防衛省といたしましては、埋立工事、これを直ちに中止をすることとしたところでありまして、その他のボーリング工事、またキャンプ・シュワブの陸上部における工事など、各種の現場の作業も現時点で中止をしている状況でございます。その上で、和解に伴う防衛省の対応、具体的なところにつきましては、和解の当事者であります沖縄県側の認識と異なることがないように、よく確認をして適切に対応してまいりたいと思っております。
 本日十一時から、官邸におきまして、沖縄・政府協議会の作業部会が開催されると聞いておりますけれども、こういった機会におきまして様々な点につきまして協議がされると伺っておりますが、その内容につきましては現在承知をいたしておりません。

○井上哲士君 工事のための臨時制限区域もそのまま、フロートなども撤去しないと、こういう状態で私は和解条項にある円満解決に向けた協議を誠実に行っているとはとても言えないと思うんですね。工事の根拠が失われ、現に中止されている以上、この臨時制限区域を撤廃をし、フロートなどを直ちに撤去しろと、これ当たり前のことだと思うんです。目取真氏もそのことを求めて主張している最中でありました。
 この間、この工事に抗議する市民の海上での行動が続いてきました。それに対して海上保安庁は、安全のためと称して抗議行動を妨害し、身柄を拘束をするということはありました。しかし、逮捕はせずにすぐに釈放してきたんですね。
 海上保安庁、確認しますけれども、これまで辺野古の抗議行動で逮捕した、この海上の抗議行動でですね、これ逮捕したという例はあったのか、そして海保としてはこの問題、どういう姿勢でこの間対応をしてこられたんでしょうか。

○政府参考人(秋本茂雄君) お答え申し上げます。
 海上保安庁が辺野古周辺の海域における刑事特別法その他法令違反の疑いにより逮捕したのは今回が初めてでございます。
 海上警備の具体的な内容についてはお答えを差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、海上保安庁は、現場海域における安全の確保及び法令の遵守の観点から、個別具体的な状況に応じ適切に対応しておるところでございます。

○井上哲士君 安全の確保ということを第一だということを現場でも繰り返し言われてきたわけですよ。つまり、工事中であっても、海上保安庁は抗議行動の市民の身柄拘束をしても逮捕せずにすぐに釈放してきたと。さらに、工事が中止をされた三月以降は、海保はカヌー隊の抗議行動も遠巻きで見ているというだけだったと聞いております。
 ところが、海上保安庁などがそういう対応をしているにもかかわらず、今回は米軍が前面に出て身柄を拘束をして、そして海保に引き渡すことで初めての逮捕になったわけですね。工事中以上に身柄を拘束したり逮捕が必要な事情が一体何があるのかと。
 目取真氏は地元紙でこう言っています。基地に侵入しようとか妨害行為の意図は全くない通常の抗議行動だったと。自分から上陸したわけでもなく、軍警備員に強引に引っ張り上げられたと。そして一方、身柄拘束、確保された直後からアメリカ側に本名を呼ばれたと言っているんですね。つまり、抗議行動の中心メンバーである目取真氏を狙い撃ちにした、こういう疑いがあるわけですね。
 こういう抗議行動というのは、憲法に保障された表現の自由でもあるわけですよ。それを日本の国内で日本の市民がやっていると、それを米側が介入をすると、こういうことが、外務大臣、許されるんでしょうか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) まず、米軍は、日米地位協定第十七条十の(a)に基づいて、米軍の施設・区域において、秩序及び安全の維持を確保するため全ての適当な措置をとることができる、このようにされております。そして、今回のこの事案におきましては、米軍は同項に基づき日本人一名の身柄を拘束し、そして刑事特別法第十二条の規定に基づいて身柄を海上保安庁に移しました。その後、正当な理由がないのに、米軍の施設・区域にあって入ることを禁じた場所に入り、又は要求を受けてその場所から退去しない者に対し罰則を設ける刑事特別法第二条に基づいて、海上保安庁により同人は逮捕された、このように承知をしております。
 こうした市民の方々の抗議行動、これは関係法令に従って行われるべきであると考えております。そして、今回の事案につきましても、今申し上げましたようなこの法令に基づいて対応されたものであると承知をしております。

○井上哲士君 米軍が施設・区域の秩序や安全の維持を確保するためと判断をすれば何でもできるのかという話なんですね。
 目取真氏は、海保に引き渡されるまで八時間にわたって拘束されているんですね。地元紙でこう語っています。警備員に拘束された後、銃を腰に下げた迷彩服の米兵に監視されたと。弁護士に連絡するよう通訳に頼んだが、県警名護署に移すまでは接見できないと言われたと。いすもあったけれども、ぬれたウエットスーツの着替えができずに寒かったので立って体を動かしたと。
 外務省はこういう状況を承知しているんですかね。米側が日本人を拘束した場合に、直ちに日本の当局に引き渡すと、こういうような合意はないんですか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、今回の事案につきましては、先ほど答弁させていただきましたような法令に従って対応されたものであると承知をしております。そして、今回の身柄拘束から引渡しまでに掛かった時間については、外務省としてはこの身柄の引渡しに係る詳細を答える立場ではありませんので、また、捜査中の事件に関わることでもあります。よって、コメントすることは差し控えたいと存じます。

○井上哲士君 米軍が必要とすれば、先ほど述べたような状況に八時間も置かれるということがいいのかということが問われているんですね。
 刑事訴訟法では、逮捕後の警察による身柄拘束は四十八時間までと定めているわけですね。これ、被疑者の人権確保のためですよ。ところが、この目取真氏の場合は、身柄が海保に引き渡された時点から逮捕ですから、そこから四十八時間ですね。その前の八時間、銃を持った者に監視をされて大変な緊張状況に置かれ、寒さにも遭ったと。その後、更に四十八時間の拘束。とんでもない人権侵害ですよ。
 これ、米軍が長時間の身柄拘束をすれば、被疑者の身柄拘束時間も際限なく延びることになるんですよ。そういうことが行われない、直ちに日本に引き渡されるべきでないかと。一般論でいかがですか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的には今捜査中の事件に関わることであります。そして、身柄の引渡しに至る詳細について、外務省の立場からお答えするのは控えなければならないと思っていますが、いずれにしましても、先ほど答弁させていただきました日米地位協定、あるいはこの刑事特別法、こうした関係法令に従って適切に対応されるべきものであると認識をいたします。

○井上哲士君 その海保に引き渡されて日本の刑事手続に乗る前の話なんですよ。これはアメリカとの関係ですから、外務省ちゃんとしてもらわなくちゃ困るんですね。
 憲法三十四条は、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」と定めているんです。アメリカの施設の中では憲法は適用されないのかということなんですね。やはり長時間のこうした身柄拘束は人道上適切でないと、こういう立場をきちっと外務省がして米側と当たらなければ、私は、このようなことがまた二度と起こってはならないと思うんです。そこは立場をちゃんとはっきりさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 外務省の立場あるいは外務省の所掌から考えますに、日米地位協定において、日米両国の間において合意をされていること等、こうした事案に関わります部分につきましては、しっかりと守られ、適切に運用されるよう確認をしていく、こういったことは大事なのではないかと思います。
 いずれにしましても、今捜査中の事案でありますので、具体的な発言は控えます。

○井上哲士君 目取真氏は、海上保安庁に引き渡されるまでの約八時間は基本的人権を侵害される異常事態だった、基地の金網の向こうは治外法権であることを見せ付けられたと、こう語っております。
 私は、このような人権侵害のようなことが二度と起こってはならない、そういう立場で外務省はしっかり対応していただきたい、改めて求めまして、質問を終わります。

ページ最上部へ戻る