国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2016年・190通常国会 の中の 政治倫理・選挙制度特別委員会(衆議院定数削減法案)

政治倫理・選挙制度特別委員会(衆議院定数削減法案)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案は、アダムズ方式に基づき自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込んでおります。結局は、現行制度の根本問題には手を着けずに、小選挙区制を温存をすることになります。小選挙区の下で、現行でも少なくない有権者が行政区の単位や地域社会を分断をする、そういう線引きが押し付けられておりまして、今後も選挙のたびに不自然な選挙区変更を押し付けられることになります。
 法案は、その上で定数削減を盛り込みました。調査会の答申は、現行の衆議院の定数は、国際比較や過去の経緯からすると多いとは言えず、これを削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難いとまで述べました。その上で、衆議院の質疑では細田発議者も、四十万人に一人の小選挙区、それに伴う比例区の人数は民主主義の根本的課題として問うていかなければ、議員が少ないほど民主主義が適当であるかどうかは分からない、できるだけ多くの国会議員が選ばれて、できるだけ多くの政党が当選して、そして多彩な議論が行われる方がいい面もあるとも答弁をされております。
 にもかかわらず、なぜ定数削減なのか、これは私は論理矛盾だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○衆議院議員(細田博之君) 衆議院でも御質問がありまして、私、お答えしたわけでございますが、衆議院の場合は、御存じのように、小選挙区比例代表並立制ということで、それぞれ数多くの小選挙区、定数一の選挙に分かれているわけでございます。それは、やはり地域地域の有権者の意見を代表するのは小選挙区が適当ではないかという二十年以上前の選挙制度改革によってそうなっているわけでございます。そして、その定数を更に更に削減するということは、一選挙区当たりの人数がどんどん増えていく、いわゆる代議士と言われている代議制については少ないほどいいというものではないと、私どもはそう考えているわけでございまして、参議院の在り方、各県で選ばれる在り方、あるいは全国比例で選ばれる在り方とまた性格が違うというふうに位置付けられていると承知しております。
 しかし、定数削減をすべきであるという先ほどの御質問にもありましたが、党首討論その他でも定数を大いに減らすべきである、それから、今回も佐々木調査会の結論は、定数は削減する必要はむしろ民主主義の観点からいうと感じないけれども、国際的に見て数が多いとは言えないけれども、各党がそういう合意をしているんだから減らしなさいということを答申をいただきまして、それで今回の法案に十減を盛っておる、小選挙区六減と比例の四減を盛り込んでおるという経緯でございます。

○井上哲士君 答申は、減らしなさいと言っているわけではないと思うんですね。理論的根拠が見出し難いとしながらも、多くの党の選挙公約であるということを理由に、もし削減案を求められるとするならばという条件を付けて定数十削減を盛り込んだわけですね。
 各党が定数削減を主張する理由は、いわゆる身を切る改革論として言われてまいりました。しかし、消費税の増税と議員定数というのは本来全く別次元の話でありまして、議員定数を削減をすれば増税をしていいというわけではありません。しかも、国会の議席というのは国民を代表するものでありまして、政党や政治家の私物、持ち物ではないんですね。ですから、身を切ると言ってこれを削っても、結局切られるのは私は国民の声だと、こう思います。
 これに対して、衆議院で自民党の逢沢発議者は、身を切る改革イコール定数削減、そういう考え方にくみするべきではない、国民の声を代弁する貴重な議席は国会議員のものじゃなくて国民のものだという大前提、大認識に立たなくてはならぬと思っておりますと、こう答弁をされておりますが、これは自民党としての認識なのかということをお聞きしたいのと、公明党、北側提案者も同じ認識かどうか、それぞれお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(逢沢一郎君) 井上先生にお答えを申し上げます。
 いわゆる身を切る改革論、私なりにこの政治状況の中で、この議論の中で解釈をさせていただくといたしますと、いわゆる消費税増税によりまして国民に更なる負担を求めることになる、負担を求める以上、その前に議員自らが身を切る覚悟を示す必要がある、そのためにまず定数削減だ。そして、現状の経済状況を考えますと、国民は大変な痛みを抱えているのも事実である、議員もひとしくその痛みを共有し、そして自ら率先して身を切る必要がある、また、その覚悟や決意を示す必要がある。その一つの帰結として、議員定数の削減、そのように議論が整理をされ、国民もそのことに対してある種の期待感を持ってこられた、そのことも事実であろうかというふうに思います。
 しかし、衆議院で私も先生がお触れをいただきましたような答弁、発言をさせていただきました。しかし同時に、国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関、このことを深く認識をして、我が国議会政治の将来を考えていかなくてはならない。二院制の在り方やその役割分担、それにも深く思いを致す必要があるというふうに思います。国会がその立法機能を十分発揮をする観点、また、国内外まさに激動でございます。そういった諸課題にスピード感を持って国会が対処していかなきゃならない、また、対処ができる体制を整えていかなくてはならない、そういう観点から幅広に議員定数の在り方をしっかり議論をすることが必要である。
 もう一度申し上げますけれども、いわゆる身を切る改革イコール議員定数削減、そういった認識、前提に立つのは私は好ましいことではない、あえて申し上げれば、誤った認識であるというふうに今でも考えております。
 今申し上げたことが自民党、党としての見解かということについてもお尋ねをいただいたわけでありますけれども、この問題に長く関わってきた、私もその一人でございますけれども、我が党の多くの同僚議員が同様な認識を持っていただいているものと、そのように申し上げておきたいと思います。

○衆議院議員(北側一雄君) 今、逢沢さんの方から答弁がありましたが、認識は基本的に変わりません。
 その上で申し上げますと、昨年の国勢調査の結果で我が国は初めて人口減少時代に突入いたしました。九十万人以上五年前に比べますと人口が減る、この傾向はこれからも続いていくということでございます。そういう中にありまして、議会や行政の在り方についても、もちろん十分な役割は果たさないといけないわけでございますが、いかに効率化していくのかということについても考えなければならない時期が来ているということも確かであると思います。
 こうした観点に立ちまして、調査会答申に至った経緯を総合的に勘案し、今回、政治判断として、議員定数の削減を含む本法案の提出に至ったところでございます。

○井上哲士君 身を切る改革イコール定数削減という考え方にはくみしない、誤りでもあると、こういう答弁でありました。北側発議者も、基本的に同じ認識ということがありました。そうしますと、じゃ、今回の削減にどういう根拠があるのかということなんですね。
 答申は、この定数削減の積極的な理由や理論的根拠は見出し難いとした上で、議員数を考えるに際しては、議席は有権者にとって選ぶ権利だという視点、また、有為な人材を集めることによる国民の代表議会としての国会の機能強化、行政府との緊張関係の維持、各種委員会の機能の充実などの諸要素を考慮する必要があると、ここまで述べているわけでありますが、今回のこの削減提案に際して、この答申が述べたこれら諸要素はそれぞれどのように考慮をされたのか、両党の発議者にお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(細田博之君) 各党とも、選挙公約で八十を定数削減すべきだとか五十削減すべきだとか、皆そういう公約を掲げるわけですね。私どもから見ると、定数を削減すればするほど損をするのは少数政党である、特に小選挙区制の下では少数意見が反映しにくくなるではないかと、そういう認識に立つのが一つ。それから、いわゆる小選挙区でありますから、小選挙区の数を減らせば減らすほど、地域の代議士としての、国会議員に対する要請が届きにくくなるのではないかという考え方を政治のプロとして思っているわけです。
 しかし、世の中の動きを見ると、各党もそういう公約を掲げ、そのような党首討論や何かでのやり取りをし、そしてマスコミ報道も全て、言わば議員の数などは減らした方がいいではないかということを言っているわけですね。だから、もっと私は、政治家としては、本当にそれは民主主義なのかどうかということをそろそろ問い直さなきゃいけないんじゃないかと思っておりますが、しかし、今総理も決断をされて、じゃ、定数削減しよう、皆さんがそうおっしゃるんだからと、そういうことで、今、さんざん何十回も議論した挙げ句、この度十減になっているわけでございますから、それはそれでまず実施いたしまして、その後考えようじゃないかということを割り切って提案をしているわけでございます。

○衆議院議員(北側一雄君) 今回、十人削減する、四百六十五人の定数にしたいと、こういう提案でございます。
 答申の言っております議員数を考えるに当たって、今委員がおっしゃったような要素をしっかり踏まえてやるべきだというのは全くそのとおりでございまして、調査会もそうした要素も判断した上で十削減という結論を出していただいたものというふうに考えております。十削減、四百六十五人でございますが、それによって国会としての役割は私は果たしていけるものというふうに考えております。

○井上哲士君 いや、調査会は、「積極的な理由や理論的根拠は見出し難い。」というふうに言っているんですよ。その上で、考えるならばこういうことを示せ、考えろと言っているわけでありまして、今の御答弁からは、調査会が示したような要素について考慮された痕跡がないということだと思うんですね。本当に私は、今回、これ根拠がないと思うんですね。細田提案者も、今回の削減で日本の人口が半分だった九十年前の水準に議員数が減ってしまうということも言われておりますし、様々、先ほどもありましたように、IT問題を始め新たな政治の課題もあります。スピードも求められております。
 それから、この間、国会では、国会の機能強化として議員立法の取組が進んできました。そして、小選挙区が導入された前の、その後十九年たっていますから、その前後を比べますと、例えば導入前の議員立法は通常国会で平均三十九本ですが、今六十六本に増えているんですね。こういう努力を立法機能としてやるということをいろいろやってきました。こういう議員立法などというのは非常に手間が掛かりますから一定の議員の数が要るわけでありますが、これなども私は低下をしていくことになると思うんですね。
 改めて、最後、細田提案者に聞きますが、今回のやはり定数減は、こういう機能強化とか行政府の緊張関係の維持、各委員会の機能の充実に、これから考えようというお話でありましたけど、今やはり考えていくべきでありまして、やはりこういう方向に反しているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(細田博之君) 今後の問題としては、そもそも参議院の選挙制度も、私はあえて今参議院議員の皆様方を前に、そういうつもりもないんですが、じゃ、較差の問題を尊重して合区を導入すると、二倍未満にせよと判決が出て、そうなっていないけれども、また厳密なことを言う判決が出るかもしれない。衆議院の場合は、二倍ぎりぎりにまではカットしたけれども、またそれを、更に定数を大幅に都道府県別割合を見直せということで今見直す。そして、世の中は各党ともまだ定数をどんどん削減すべきであるということを言っているわけで、やっぱりよくこれからは、選挙制度も含めまして、衆参両院の選挙制度も含めて十分深く議論をしていかなければならない時期が来ているんじゃないかと、私はそう思っております。

○委員長(前田武志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、議題となった法案について反対の討論を行います。
 第一に、法案の柱である議員定数の十名削減に根拠がないことです。
 衆議院の参考人質疑で元衆議院選挙制度調査会座長の佐々木毅氏は、定数削減の客観的根拠を挙げるのは難しいというのが結論だったと述べました。発議者からも、ついに合理的な根拠は示されませんでした。
 主権者国民の代表者である議員の定数を削減することは国民の声を切り捨てるものにほかならず、国会の政府監視機能が低下することは明らかです。ましてや、身を切る改革と称して、消費税増税を押し付けるために定数削減を行うことは何の道理もありません。
 第二に、民意の反映を著しくゆがめる現行の小選挙区制を維持し続けることです。
 選挙制度の根本は国民の多様な民意を正確に議席に反映することですが、現行制度は民意と議席に著しい乖離があります。安倍政治の暴走は小選挙区の下で虚構の多数によるものであり、その害悪が明白となっております。
 この根本的な問題に手を着けず、アダムズ方式の採用にとどまらず、自動的に定数配分と区割りを行う仕組みを盛り込んで、将来にわたって小選挙区制を温存するものであり、認められません。
 第三に、選挙制度は民主主義の土台であり、十分な国民的な議論のないままに拙速に決められることは許されません。
 選挙制度については、政党としての責任を果たすべきであるにもかかわらず、第三者機関に丸投げをされました。その答申について全党での議論は一度も行われないまま法案が提出されたものであります。
 民主主義の根幹に関するものであるからこそ、各党が徹底して議論をし、さらに国民的な議論を尽くすべきものであります。
 最後に、小選挙区制を廃止をし、民意を反映する選挙制度へ抜本的に改革することを主張しまして、反対の討論とします。

ページ最上部へ戻る