国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外務委員会(南スーダン武器禁輸安保理決議案への対応、南スーダン情勢について)

外務委員会(南スーダン武器禁輸安保理決議案への対応、南スーダン情勢について)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 南スーダンPKOについて聞きます。
 この間、廃棄済みとされていた現地の陸自派遣部隊からの日報が統幕にあったとして開示をされまして、現地からの生々しい戦闘の報告が、国会答弁や派遣部隊家族への説明では衝突と言い換えられていることも明らかになりました。政府が派遣継続ありきという立場を取っている下で何が起きているのか。
 まず、外務大臣にお聞きいたします。
 昨年の十一月に、南スーダンに関する国連専門家パネルは中間報告を出して、南スーダンにおける治安状況、継続中の大規模な人権侵害の一層の不安定化を防止するためにとして、南スーダンへの武器、弾薬、軍事車両などの輸入禁止を国連安全保障理事会に勧告いたしました。それを受けて、十二月に、民族対立が虐殺につながりかねないとして、アメリカが主導して、安保理に南スーダンへの武器輸出禁止決議案が提出をされました。ところが、日本はこの決議に棄権をして廃案にしてしまったわけでありますが、その理由は何だったんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘の決議ですが、安保理の理事国十五か国中八か国が棄権をいたしました。我が国も棄権をしたわけでありますが、南スーダン政府がこの状況改善のための取組を進める中で、制裁に関する安保理決議が南スーダンの平和と安定に資するものであるかどうか、こういった観点から我が国として真剣に検討を行った次第であります。
 その結果、当時は、南スーダン政府は、新たに創設が決定されたPKO地域保護部隊の即時受入れを閣議決定し、そしてキール大統領が国民対話に向けてのメッセージを発信したばかり、こういったタイミングでありました。このようなタイミングで武器禁輸及び主要な当事者への制裁を行うこと、これは南スーダンの平和と安定において生産的ではない、こういった判断を行った次第であります。
 我が国としまして、その後も南スーダン政府に対して、地域保護部隊の早期展開、そして包摂的な国民対話等を実施するよう働きかけるなど、外交努力を続けている次第であります。
○井上哲士君 勧告が指摘しているような、流入した武器が大虐殺とか大規模な人権侵害に結び付く、こういう認識はなかったんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 我が国として決議に賛成するか反対するか、これは、様々な観点から物事を考え、総合的に判断するということになります。様々な点が指摘されるわけでありますが、総合的に判断して、あのタイミングでこの決議を出すことが南スーダンの平和と安定にプラスになるのかどうか、こういった判断をぎりぎりに行った次第であります。そうした判断の下に棄権という態度を選んだ次第であります。
○井上哲士君 賛成をすれば日本政府自身が現地の危機的状況を認めることになってしまうじゃないかと、これが理由ではなかったかと我々は思うんですが、アメリカのサマンサ・パワー大使は、この決議の採択前に、消極的な日本に対して大変厳しいコメントを出しておりまして、人々が飢えている国の政府に食料でなく武器になけなしの金を使わせることがPKO要員にとって大切なことなのか、重火器を少なくすることはPKO要員を含め全ての者の利益だと、こういう発言もされておりました。
 今、棄権をした理由の一つに、キール政権が国民対話の方向性を打ち出したということも言われましたけれども、これについて、南スーダンから帰国をされて、先日、衆議院の予算委員会の公述人にも来られたJVCの今井氏はこういうふうに言われております。マシャール派も含め反大統領派の武装勢力が対話の対象となっておらず、開催場所が南スーダン国内であるため、命を狙われるような反大統領派のメンバーは実質的に対話参加への道が閉ざされている、本気で和平を目指すならば、反大統領派の各勢力を交え、第三国で国民対話を行うよう日本政府も働きかけるべきだと、こういうふうにコメントされておりますが、このように、国民対話といっても、実際上、反大統領派が参加できないものになっているんじゃないか。それを改善するように日本として働きかける、そういうことはありますか。
○国務大臣(岸田文雄君) 南スーダン政府は、国外に滞在する反政府勢力を含め、国民対話に参加しようとする全ての勢力の安全と自由を保障する意向を表明しています。こうした表明も含めて包摂的な国民対話の実施に向けて取り組んでいる、このように承知をしております。現地からの情報によりますと、現政権と対立する小勢力の中には国民対話への支持や参加の意向を表明する勢力も出てきていると承知をしています。
 南スーダンの情勢改善のためには、包摂的な国民対話の実施、大変重要であると思います。全ての敵対行為の停止を始め、衝突解決合意の着実な履行、これが重要であると認識をしています。こうした取組が進むように、是非国際社会と協力して日本政府としても働きかけを行っていきたいと考えています。
○井上哲士君 対立していたマシャール派を武力でジュバから追い出したわけでありますから、参加してくださいと、門戸は開いているといっても、実際上できる条件があるのかという問題なんですね。
 これは、和平合意の履行を監視する合同監視評価委員会のモハエ議長、元ボツワナの大統領でありますが、八日、和平合意が侵害されているとした上で、対話が意味あるものになるためには政府に同意するグループ以外の参加が必要だと、こういうことも言われているわけでありまして、国民対話と言うけれども、意味あるものになっているのかということは甚だ疑問なわけですね。
 一方、南スーダン政府が今の様々な事態の解決に役割を果たしているのかという問題です。
 資料(井上質問(外防委17年3月9日)配付資料.pdf)をお配りしておりますが、資料の一、これは、国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問が七日に、南スーダン情勢について、民族間の大虐殺が発生するリスクが常に存在しているという警告をしております。そして、キール大統領は暴力を止めると約束したが、衝突が続いている、約束を果たしていないと言った上で、一月だけで隣国ウガンダに五万二千人超が逃れており、多くの避難民が、市民の殺害や性暴力、家屋の破壊、財産の収奪などを証言している、そして、決議が廃案になった下で武器の流入は続いていると、こういう指摘をしております。
 政府は、だからキール政権がきちんと対話をするということで決議に棄権をしたわけでありますけれども、全く逆の事態になっているということではないでしょうか。認識、どうでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 先ほども答弁させていただきましたが、南スーダン政府として包摂的な対話に向けて様々な努力を続けています。不十分な部分があるという指摘はあるとは思いますが、ただ、現実として、この対立する諸勢力の中には支持や参加の意向を表明する勢力も出てきている、こういった状況が報告をされています。
 この包摂的な国民対話の重要性を考えますときに、厳しい現地の治安状況が続いているのは承知しておりますが、是非この国民対話、実現に向けてしっかりと後押しをしていかなければならないのではないか、国民、社会と協力して働きかけを続けていきたい、このように考えます。
○井上哲士君 反体制派もいろいろ参加をしてきているという話でありますが、部族間の対立などがむしろ広がっているというのが現実だろうと思うんですね。
 資料二は、国連が出した機密報告の報道でありますけれども、真ん中の下辺りですね、グテレス事務総長の報告でありますが、南スーダンの国内では各地で治安状況が悪化の一途をたどっている、長引く紛争と暴力行為がもたらす影響の大きさは民間人にとって壊滅的な規模に達している、スーダンの人民解放軍や反体制派の緩い指揮命令の下で次々と民兵集団が台頭し、組織の分裂や支配地域の移動が広がっている、こういう傾向が続けばいかなる政府の統制も及ばない状態がこの先何年も続くおそれがあると、こういう極めて厳しいことを言っているわけですね。
 ところが、稲田防衛大臣、二月二十日の衆議院の予算委員会の答弁で、南スーダン政府は、問題はあるけれども、キール大統領を中心にしっかりと政府の体を成しているというふうに答弁をされました。こういう事態、何をもってしっかりと政府の体を成していると言われるんでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 一部政府要人の辞任はありますが、南スーダン政府は、キール大統領及びタバン・デン第一副大統領の下、全体として機能は維持していると認識をしています。
 例えば、キール大統領は二月二十四日にエチオピアを訪問して首相と会談し、道路、エネルギー、国境管理や安全保障協力等に係る合意文書を締結した模様です。また、タバン・デン第一副大統領も、二月十八日にミュンヘンにおいて小田原外務大臣政務官と会談し、南スーダンにおいて戦争やジェノサイドは起きていないことを説明するとともに、引き続き衝突解決合意の履行を通じて平和を実現していきたい旨、発言をしたと承知をいたしております。
 また、キール大統領は、二月二十一日、暫定国民議会での施政方針演説において、国民対話の実施、衝突解決合意の履行、経済問題の解決、外交関係の改善の四点を優先課題として取り組んでいく旨を述べたと承知をいたしております。
 このように、南スーダン政府は、内政、外面の両面において機能をしていると考えております。
 政府としては、南スーダン政府の動向を含め、現地の政治、治安状況について引き続き緊張感を持って注視していきたいと考えております。
○井上哲士君 政府が何かといえばタバン・デンさんを出して、マシャール派をちゃんと、その後の代表になっていると言うんですが、先ほど言ったように、国連の機密報告でも、既にもう民間人にとっては壊滅的な規模に達していると言っているんですよ。にもかかわらず、国連の場で虐殺は起きていないとか、そういうことをすること自身、報告していること自身が私はおよそ政府の体を成していない、全く国内の現実を発信をしていないということだと思うんですね。
 今も少しありましたけれども、この間、南スーダン政府の高官や軍の幹部の辞任が相次いでおりますけれども、外務大臣はどのように具体的に御承知されていますか、挙げていただきたいと思いますし、その事態をどう評価されているでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 二月の中旬ですが、南スーダン政府関係者として労働大臣が一名、軍関係者として参謀副長一名、准将二名、大佐一名、それぞれ辞任したと承知しています。
 どのように評価するということですが、他国の内政のことですのでお答えは控えなければならないと思いますが、この辞任の理由につきましては種々の情報があります。民族的な理由、あるいは公的横領捜査、派閥内争い、こういったものと関連する、こういった指摘もあると聞いております。
 いずれにしましても、南スーダンの情勢改善のためには衝突解決合意の着実な履行、包摂的な国民対話、これが重要であると認識をしております。
○井上哲士君 誰がどういう理由で辞任したのか、報道を国会図書館にまとめてもらって資料に配っておりますが、辞任理由の一つが、和平協定の履行を今の政府が妨害しているということなんですね。ナシケ・アラン・ロチュル労働・公共サービス副大臣、和平合意の実現に向けた政治的意志が大統領と政府高官に欠如しているとして辞任、それからラム・アコル・アジャウィン農業・食糧安全保障大臣、政府の和平合意への関与が欠如しているとして辞任、そしてトマス・シリロ・スワカ中将、大統領とその出身民族の政府軍幹部が民族浄化を行っているということを言っていますし、ここには書いていませんが、政府と軍が和平協定の履行を組織的に妨害しているということも抗議の声明で出しております。
 しっかりどころか、政府自身が和平合意を妨害していると言って政府の高官が辞任をしていると。もはや和平合意は崩壊しているということなんじゃないでしょうか。防衛大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダン政府幹部の辞任などは他国の内政に関することであって、お答えは差し控えますけれども、このような南スーダン政府の動向に関しては日々関心を持って注視しておりますし、関連の情報についても説明を受けているところです。
 南スーダン政府については、主流派を代表するキール大統領と反主流派を代表するタバン・デン第一副大統領の下、全体としては機能を維持しており、両者は衝突解決合意を履行している考えを繰り返し述べていると承知しております。
 我が国としては、現時点において衝突解決合意が崩壊したとは考えておらず、衝突解決合意の当事者が合意の履行に取り組むことが重要だと考えております。
 一方で、南スーダンにおいては現在も武力衝突や一般市民の殺傷行為が度々生じており、その治安状況は極めて厳しいものと認識をいたしております。自衛隊が展開しております首都ジュバについても、今後の状況は楽観できず、引き続き注視する必要がありますが、現在は比較的落ち着いております。
 このような我が国としての情勢認識については、国連とも基本的に異なるものではないと認識をしており、PKO参加五原則上の問題は生じていないと承知しておりますが、防衛省としては、引き続き南スーダン政府の動向を含め、現地の政治、治安情勢について緊張感を持って注視してまいります。
○井上哲士君 そのキール氏などが和平合意は維持されていると言っていますけれども、その足下から逆だと言って辞任をしているというのが実態なんです。
 そして、辞任のもう一つの理由が、そこにありますように、この大統領やその出身民族のディンカ族の幹部が民族浄化を行っていると、こういう指摘なんですね。そこにありますヘンリー・オヤイ・ニャゴ准将、大統領による戦争犯罪と民族浄化を非難して辞任。ハリド・オノ・ロキ大佐、大統領の出身民族でない民間人の犯罪を捏造して逮捕、拘束しているとして参謀総長を非難して辞任。先ほどのシリロ中将も、大統領とその出身民族の政府軍幹部が民族浄化を行っていると、こういうふうにして非難をしているわけですね。
 ですから、今やキール政権が、もう出身民族の代表としての実態を強めて、従来のこのキール派とマシャール派の対立にとどまらないと。先ほどの今井氏は、もう南スーダン政府軍に対して現地部隊の族による武装勢力が幾つも組織されていると、戦国時代のような事態だと、こうも言われておりまして、その中でキール政権がもう全土を統治できず紛争の一当事者のようになっているんじゃないかと私は思うんですが、日本のPKOの中立性はもはや崩れているんじゃないでしょうか。新任務はやめることはもちろん、撤去すべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 南スーダンPKO派遣は、スーダンと南スーダンの紛争が終結した後の、まさしく三条一号ロ号の「武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合」に当たるものでございます。したがいまして、PKO法上の中立性が問題になる紛争当事者が今南スーダンにはいない、そして昨年の七月、大きな武力衝突が起きた際の反政府軍のマシャール元第一副大統領は国外に逃亡して帰ってこれない状況にあります。
 今委員が御指摘になったように、マシャールさんの出身の北部でありますとか南部においては、部族間対立や多くの衝突事案が散見されることは事実でありますけれども、PKO法上における中立性は問題にならず、PKO五原則は維持をされている。しかしながら、PKO五原則が維持をされればいいという問題ではなくて、自衛隊が自らの要員の安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうか、この点についてもしっかりと情勢を見極めていきたいと思っております。
○井上哲士君 政府の認識は、私は実態と懸け離れていると思います。改めて撤退を求めて、時間ですので終わります。

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