国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会(大学での軍事研究)

外交防衛委員会(大学での軍事研究)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日も、稲田大臣の大臣適格性について様々議論が行われております。個人の信条と公職は別なんだと、裁判官も宗教的信条があっても法に基づいて判決を下すというお話もありました。私もそのとおりだと思うんですね。
 ただ、私、昨日紹介をした大臣の講演というのは、裁判官の中に憲法が正しいと信じていると、こういう人がいると、そう言った後に、そういう裁判官がやっぱりおかしな判決を書くと、ここまで言っているんですよ。これ、憲法解釈じゃありません。憲法を正しいと思っている裁判官がおかしな判決を書くと。これは私は、憲法尊重擁護義務を持つ国会議員の発言としても問われますし、ましてや大臣に適格性がないということを申し上げたということは改めて強調をしておきたいと思います。
 その上で、防衛省の予算には、二〇一五年に創設をされた安全保障技術研究推進制度を今年度の十八倍の百十億円に一気に拡大することが盛り込まれております。この制度の創設をきっかけに大学と軍事研究について議論が高まって、日本学術会議は昨年六月に安全保障と学術に関する検討会議を設置し、三月九日の会議で軍事的安全保障研究に関する声明案を採択しました。(井上質問(軍学共同)17年3月22日外防委 配付資料.pdf)
 お手元に配付しておりますが、この冒頭、「日本学術会議が一九四九年に創設され、一九五〇年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、一九六七年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究が学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記二つの声明を継承する。」と、こう述べております。
 この声明は、十一回の検討委員会を開いて、防衛装備庁からも直接の説明を聞いて質疑応答を行って、更に多くの学者、研究者の参加による学術フォーラムを開催するなど、議論を積み重ねて出されたものであります。自衛のための軍事研究は認められるべきだという意見も出される中で、議論を尽くした結論として軍事研究を行わないという過去の声明を継承したことには大変重いものがあると思います。
 そこで大臣にお聞きしますけれども、大臣、この声明案を読まれたのか、そしてどう受け止めていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 先般、今委員御指摘の日本学術会議の安全保障と学術に関する検討委員会が取りまとめた軍事的安全保障研究に関する声明案については承知をいたしておりますが、同声明案は同会議が独立の立場において検討しているものであり、防衛省としてコメントすることは差し控えます。
 他方、我が国の高い技術力は防衛力の基盤であり、安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障に関わる技術の優位性を維持向上していくことは、将来にわたって国民の命と平和な暮らしを守るために不可欠です。安全保障技術研究推進制度、こうした状況を踏まえ、防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な民生技術についての研究を公募するものであって、防衛省としては当該制度の積極的な活用を図る必要があるというふうに考えております。
○井上哲士君 声明のどこを読まれたのかなと思いますが、この学術会議の声明案は、科学者コミュニティーが追求すべきは何よりも学術の健全な発展であり、それを通じて社会からの負託に応えることであると強調しております。そしてその上で、安全保障技術研究推進制度、ファンディング制度について、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募、審査が行われ、外部の専門家でなく職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、学術の健全な発展という見地から問題が多いと断じました。私も同様の指摘をこの委員会でしてきたわけでありますけれども、こうしたファンディング制度への様々な根本的な問題点への批判、これをどう防衛装備庁は受け止めていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) お答えさせていただきます。
 ただいま御指摘のありました当制度につきましては、外部の研究機関や企業を対象に公募、委託をするものでございまして、応募者の自由な意思、発想で御応募いただくものでございます。また、研究プロジェクトの採択につきましては、外部の有識者で構成する委員会の判断に基づいて決定をさせておりまして、また、防衛省の職員の関与につきましては、あくまで採択されました研究計画に基づいて円滑な実施を確保するという観点から、予算執行に必要な手続などのサポートなどを行うということでありまして、研究内容等に介入するといったことはないものとしております。また、研究成果につきましては創設時から全て公表できることとしておりまして、現時点で学会などで研究成果の公表を約二十件していただいているということでございまして、引き続き、研究の自由を最大限尊重するという観点から、円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 これまでのそういう説明が通用しなかったんですよ、この声明案は。
 防衛省はこれまで何を言ってきたか。二〇一五年十一月二十五日に行われた日本防衛学会の研究大会で、当時の防衛装備庁の装備政策部長はこう言っているんですね。今までは学術研究と軍事研究が完全に分離していた、そこに大きな課題がある、防衛装備・技術基盤戦略の中に大学を巻き込んで云々というくだりを書いたが、そのときに大学の方から大変な反対があって、文部省でいろいろ荒れたけれども押し切って、文科省の了解も取って出してきている、今がまさに転換期だ、ファンディング制度、大学として排除する理由はないような状態にしているので時間の問題だと思っていると、ここまで豪語されました。
 文科省の役人は押し切ったかもしれませんけれども、科学者たちが真摯な議論を通じて、学術研究と軍事研究は分離しなければならないと、そういう声明を受け継いだわけでありますし、そして、大学として排除する理由はない、時間の問題だと言われたわけでありますが、資料の二枚目を見ていただきますと、この制度ができて以降だけでも琉球大、新潟大、東北大学、京都大学、電気通信大学、関西大学、明治大学、法政大学、信州大学などなど、大学での軍事研究を行わないという取決めが広がっているわけですね。これまで防衛省が言ってきたことが科学者に受け入れられなかったということを、私、大臣、重く受け止めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) 御指摘の点につきましては、各大学でこのような御議論がされているということは承知しておりますけれども、それぞれ各大学の中での御自由な議論というふうに考えておりますので、コメントは差し控えさせていただきます。
○井上哲士君 これまでの防衛装備庁が学術会議でも各大学でも受け入れられていないということを直視していただきたいと思うんですね。
 日本学術会議の大西隆会長が学長を務める豊橋技術科学大学は二〇一五年度に防衛省のファンディングを受けております。
 一方、その大西会長は昨年十一月二十八日付けの日経新聞で、防衛省は民生的利用へデュアルユースをもたらすとして制度を自賛しているが、科学研究費補助金など他にはるかに上回る規模の制度があり、多数の論文や特許が公開されている中、防衛省にとっては、国内外の研究成果から将来の装備のための基礎的な知見を得て、自衛装備の範囲内で応用していくことの方がはるかに効率的だと、こう述べられております。そして、その後の議論を踏まえて、大西会長も含む検討会が防衛省の制度は学術の健全な発展という見地から問題が多いという声明を出したことは重要なんですね。
 ですから、この指摘を受けた問題点をなくそうとしますと、防衛省としての独自の制度を持つ意味はなくなるわけですよ。防衛省としての制度は廃止をして、その予算は政府全体の民生分野の研究費に回してはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) ただいまの点につきまして、政府といたしまして、国家安全保障戦略に加えまして、第五期の科学技術基本計画などの科学技術政策の指針におきまして、国家安全保障上の諸課題に対し、産学官連携の下で必要な技術の研究開発を推進するということとされております。
 先ほどもございましたように、我が国をめぐる安全保障環境は厳しくなる中で、安全保障に関わる技術の優位性を維持向上していくことは引き続き重要だというふうに考えておりまして、こうした状況を踏まえまして、防衛省としては当該制度の活用を図っていくという考え方を持っております。
○井上哲士君 科学者の意見、こういうものを全く関係なくそういうものがつくられてきているわけですね。
 大学での軍事研究をめぐってもう一つ動きがあります。
 政府の総合科学技術・イノベーション会議は、軍民両用技術の研究推進に向けて本格的議論を始める方針を固めて、安全保障と科学技術に関する検討会を設置するとの方針を固めたという報道がありました。この検討会には軍民両用技術の推進を唱える学者や大手防衛企業の幹部、日本学術会議の会長などの参加を打診しているという報道もあったわけですけれども、内閣府、こうした検討をされているんでしょうか。
○政府参考人(生川浩史君) お答えいたします。
 科学技術イノベーション総合戦略二〇一六、これは昨年の五月に閣議決定をしたものでございますが、ここにおいて指摘をされておりますとおり、我が国の安全保障をめぐる環境が一層の厳しさを増す中、国及び国民の安全、安心を確保するため、テロや災害対応を含む国家安全保障に関する科学技術に関する動向を把握をし、俯瞰するための体制強化や技術力強化のための研究開発の充実を図っていくことが重要な課題となっているところでございます。
 これらの課題に対応するため、関係府省の連携の下で現在検討を行っているところでございますが、検討会の立ち上げを含め、具体的に決まっているわけではございません。
○井上哲士君 この会議には学術会議の会長も参加をしているわけですが、その学術会議が先ほどの声明案を出したわけですね。
 三月に共同通信が全国の国公私立九十五大学に行ったアンケートでは、軍事研究はしないと誓ったこれまでの学術会議の声明について四割の大学が堅持すべきだと答えました。変更してもよいという声はなかったんですね。今度の声明案を受けて、一層私は軍事研究をしないという流れが広がることになると思います。こうした科学者の皆さんが学術の健全な発展を求めているという動きと、報道されたような検討会を設置していくということは、私は逆行すると考えますけれども、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(生川浩史君) 第五期の科学技術基本計画におきましては、我が国の安全保障をめぐる環境が一層厳しさを増している中で、国及び国民の安全、安心を確保するためには我が国の様々な高い技術力の活用が重要であり、国家安全保障上の諸課題に対し、関係府省、産学官連携の下、必要な技術の研究開発を推進をするという趣旨が盛り込まれたところでございます。
 また、昨年五月に閣議決定をいたしました科学技術イノベーション総合戦略二〇一六におきましても、関係府省の連携により、国内外の科学技術に関する動向を把握をし、国及び国民の安全、安心の確保に資する技術力強化のための研究開発の充実を図ることが重要である旨指摘をされているところでございます。
 これらの政府としての計画等を踏まえて、国家安全保障上の諸課題に対し、関係府省が連携して必要な技術の研究開発を適切に進めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
 一方で、日本学術会議におきましては、政府とは独立の立場で検討が進められているというふうに承知をいたしておりまして、各大学においてどのような研究を行っていくかについては、そのような検討も踏まえながら、各大学若しくは大学の研究者によって判断されるべきものというふうに考えております。
○井上哲士君 まさに、そういう議論と今進めている方向が反しているということを改めて強調しておきたいと思いますが、この学術会議の議論では、国立大学の運営費交付金が削減をされて基礎研究分野を中心に研究資金の不足が顕著になっている実態、そういう中で、防衛省の制度で研究資金が増加することへの期待感も一部にあるということも出されたんです。しかし、それでも議論を重ねてああいう声明案になりました。その上で、「むしろ必要なのは、科学者の自主性・自律性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実である。」と述べていることは重要だと思います。
 これを受け止めて、防衛省のファンディングはやめて、むしろ民生分野の基礎研究の予算を拡充すべきと考えますけれども、最後、いかがでしょうか。
○政府参考人(生川浩史君) 御指摘のとおり、日本学術会議の声明案には、科学者の自主性、自律性、研究の公開性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実が必要であるという旨が盛り込まれていると承知をいたしております。これは、いわゆる学術研究、基礎研究の充実が重要であるという趣旨であるというふうに理解をいたしておりますけれども、第五期科学技術基本計画では、科学研究費助成事業の充実強化を図るなど基礎研究を一層推進することとしているほか、大学及び研究開発法人の運営費交付金などの基盤的経費についても確実な措置を行うこととしているところでございます。
○委員長(宇都隆史君) 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。
○政府参考人(生川浩史君) はい。
 これらを踏まえて、政府は、平成二十九年度予算案において、科研費を対前年度比十一億円増、国立大学の運営費交付金等を対前年度比二十五億円増等、必要な予算規模を確保したところでございます。引き続き、関係府省とも連携し、イノベーションの源泉である学術研究、基礎研究の予算が適切に確保されるよう努めてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 終わります。

ページ最上部へ戻る