国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会(ACSA、米軍の武力行使と自衛隊の一体化)

外交防衛委員会(ACSA、米軍の武力行使と自衛隊の一体化)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、昨日の北朝鮮のミサイル発射について、これは核兵器の開発と結び付いた軍事行動にほかならず、国連安保理決議、六か国協議の共同声明、日朝平壌宣言に反し、国際の平和と安定に脅威を及ぼす暴挙であって、強く抗議し、糾弾をいたします。
 その上で、ACSAの問題ですが、この三つのACSAは安保法制により自衛隊が海外で他国軍に行う後方支援が大幅に拡充をされたことに伴うものであります。日米ACSAの改定によって、従来は武力攻撃事態等における活動のみに可能とされていた弾薬の提供が全ての事態で可能となります。さらに、協定の適用対象を多数国間訓練、国際連携平和安全活動、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態など大幅に広がります。
 まず、この間の実績についてお聞きしますけれども、日米ACSAは一九九六年に締結をされ、二十年間たっております。本会議では、この日米間の物品、役務の提供実績について、二十年間で約八千七百件という答弁がありました。ただ、この二十年間で内容が随分大きく変化をしております。二〇〇三年とそれから直近の二〇一五年について、それぞれ日米間の提供実績数、そのうち、国内、海外、洋上の内訳についてそれぞれ述べていただけますか。
○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
 日米のACSAにおきます日米間の物品、役務の相互提供の件数につきまして、お尋ねがありました二〇〇三年度におきましては総件数が二百八件でございます。その内訳といたしまして、日本国内八十二件、日本の国外八十三件、洋上が四十三件となっております。続きまして、二〇一五年度におきましては、総件数が六百四十五件でございまして、その内訳といたしましては、日本国内三百二十件、日本国外百八十九件、洋上百三十六件となっております。
 以上です。
○井上哲士君 三倍以上に増えておりまして、この洋上の中には海賊対処活動に関わるものもかなり含まれております。
 この二〇〇三年の十二月からイラク派兵が始まりました。防衛省の資料では、二〇〇五年には七百二十八件にまで急速にこの提供が増えたわけでありますが、イラクからの撤収後も、今ありましたように、二〇一五年は六百四十五件と高止まりをしているわけですが、こういうふうにずっと多いままというのはどういう理由なんでしょうか。
○政府参考人(中村吉利君) お答え申し上げます。
 二〇〇三年度からイラクの人道復興支援特措法に基づく活動が開始をされておりますが、委員御指摘のとおり、この活動については既に終了しております。
 一方で、二〇〇四年の日米のACSAの改定によりまして、武力攻撃事態等、災害派遣、在外邦人等の輸送などの活動や日常的な活動のために、自衛隊の施設に一時的に滞在する米軍への物品、役務の提供などもACSAの適用対象に追加をされているところでございます。これによりまして、より幅広い活動がACSAの適用対象となっておりまして、二〇一五年度と二〇〇三年度を比較をいたしますと、自衛隊の施設に到着して一時的に滞在する米軍への物品、役務の提供などが加わっているほかに、従来から適用対象となっておりました共同訓練時の物品、役務の相互提供の件数も増加をしているという状況でございます。
○井上哲士君 日米の共同訓練における物品、役務の提供も増えているということでありますが、日米共同訓練は二〇一五年まで四年連続で最多を更新しております。防衛省の資料から集計をしてみますと、特に統幕が担当する統合訓練、演習は、二〇一五年は二百四十八日で、二〇一四年から百四十九日も急増しております。
 この中でも、米国における統合訓練、ドーン・ブリッツ、二〇一〇年に初めて参加をしてオスプレイの着艦訓練が行われたわけでありますが、二回目の参加の二〇一五年のときには補給支援の訓練も行っておりますけれども、どういう訓練を行ったのか、また米軍への補給という訓練もその中にはあったのかどうか、いかがでしょうか。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 ドーン・ブリッツ15は、島嶼防衛における自衛隊の統合運用能力の維持向上を図るものでございまして、水陸両用作戦に係る一連の行動の一環として、着上陸をした部隊に対する補給の継続、あるいは負傷した隊員の搬送、救護、こういった後方支援に係る訓練を実施しております。そのうち、この後方支援のうちの補給に係る訓練につきましては、着上陸部隊が上陸をした後、自衛隊部隊の拠点を開設をいたしまして、エアクッション艇あるいはヘリコプターによって当該拠点に弾薬、補給品等を集積をする、その後、着上陸部隊に対して弾薬、糧食、燃料等を補給する、こういった訓練を実施をいたしております。
 この訓練、島嶼防衛を念頭に、日米共同で着上陸作戦を行う自衛隊の部隊への後方支援、これを演練するために行ったものでございまして、米軍に対する補給訓練は行ってございません。
○井上哲士君 二〇一五年の八月末から九月でありますから、安保法制も成立する前でありますから、米軍への弾薬の補給などをしていたら大きな問題だと思いますが、しかし、共同訓練の中でこういう補給活動も訓練が行われるようになっているというのは、私は先取り的な内容になっていると思うんですね。
 この間、イラクへの派兵や海賊対処、そして日米共同訓練の増加などで大幅に増えた提供実績を更に拡大をして、アメリカの世界での戦争にいつでもどこでも切れ目なく兵たん活動を行う体制づくりにほかならないということを指摘したいと思います。
 その上で、この補給が行われる問題と武力行使の一体化の問題、この問題についてお聞きをいたします。
 そもそも戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を規定した憲法九条は、自衛隊が海外で軍事活動を行うことを想定しておりません。しかし、政府はこれまで、武力行使と一体にならなければ憲法違反でないとしてきました。そして、安保法制では、現に戦闘行為が行われている現場以外なら、それまで戦闘地域とされた地域でも米軍への兵たん活動を可能にいたしました。これに対して、安保法制の際の参議院での参考人質疑で、九九年の周辺事態法のときの内閣法制局長官だった大森元長官が参考人に来られまして、なぜこの非戦闘地域でしか後方支援活動できないことにしたか述べられております。
 こう言われています。戦闘地域は時々刻々変化するものであるということで、本当に文字どおり一線で画しますと、時には、戦闘地域以外で支援活動をやっている者が、ある日、目を開いたら戦闘地域のど真ん中にいて立ち往生してしまうことが起きるものですから、それを防ぐための立法上の工夫として二線で画する、中間にバッファーゾーンを置くということにしたんだということで、当時、非戦闘地域でしか後方支援活動できないことにした理由を述べられております。そして、その上で、戦闘現場以外なら兵たん活動を可能にするという安保法制について、文字どおり一線で画されてしまうというのは非常にまた逆の問題が出てくるのではないか、こういうふうに指摘をされました。
 日々情勢が大きく変わる戦闘現場に近いいわゆる従来の戦闘地域でも兵たん活動を可能にするということになりますと、まさに戦闘に巻き込まれると、こういうことになることが指摘されておると思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかの判断については、従来から戦闘行為が行われている又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係、当該行動等の具体的内容、他国の武力の行使の任に当たる者との関係の密接性、協力しようとする相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して個々的に判断することとしております。
 その上で、自衛隊が支援活動を実施する都度、一体化するか否かの判断をすることは実際的でないことから、平成十一年の周辺事態安全確保法において後方地域、平成十三年のテロ特措法及び平成十五年のイラク特措法においては、同様の非戦闘地域という要件を定めて、そこで実施する補給、輸送等の支援活動については類型的に他国の武力の行使と一体化するものではないと整理をしたところです。
 平和安全法制においては、その後の自衛隊の活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態、実務上のニーズの変化等を踏まえ、支援活動の実施、運用の柔軟性を確保する観点から、自衛隊が支援活動を円滑かつ安全に実施することができるように、実施区域を指定することを前提に、自衛隊の安全を確保するための仕組みとは区別して、憲法上の要請である一体化を回避するための類型として要件を再整理し、現に戦闘行為が行われている現場では支援活動を実施しないことといたしました。
 その考え方は、協力しようとする相手が現に戦闘行為を行っているものではないという相手の活動の状況を中心として、そうであるならば、地理的関係においても戦闘行為が行われる場所と一線を画する場所で行うものであることに変わりはなく、また、支援活動の具体的内容については補給、輸送といったものであり、戦闘行為それ自体とは明確に区別することができる異質の活動であり、関係の密接性については、自衛隊は他国の軍隊の指揮命令を受けてそれに組み込まれるものではなく、あくまでも我が国の法令に従い自らの判断で活動するものであるということでございます。
 以上のことから、平和安全法制の下で、現に戦闘行為が行われている現場では支援活動を実施しないこととしたことが武力の行使と一体化の危険があるとの御指摘は当たらないものと考えております。
○井上哲士君 午前中も、二十年間にわたる経験とはどういうことなのか具体的に述べよという質問に対して明確な答弁はありませんでした。
 そういう経験の上で、現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる地域を指定するから大丈夫なんだということも、この間繰り返し答弁をされてきたわけですね。しかし、そういうことが本当にできるのかと、できているのかということなんですね。
 現実はどうかといいますと、南スーダンのPKOについて言いますと、首都ジュバでは、昨年七月に政府軍と反政府勢力による大規模な戦闘が起きて、自衛隊の宿営地の周辺でも戦闘が行われて、宿営地にも銃弾が着弾をしたわけですね。この発生は、第十次隊が六か月間の任期で派遣をされた、その直後に起きているんですよ。ですから、現実に活動する期間中にそういう事態が起きないという予測をしていったって、すぐ起きているというのが実態なんですね。ですから、二十年間の活動をしてきたけれども、結局そういうことを見込んだ地域をうまく指定できないというのが私は実態だと思うんですね。
 停戦合意がなされているはずの場所ですらこういうことが起きているということについて、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) まず、南スーダンの状況に関して、南スーダンの治安情勢、極めて厳しいものであるということは認識をいたしておりますが、他方、他方ですね、武力紛争の当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておらず、いわゆるPKO参加五原則は一貫して満たされているということは申し上げておきたいと思います。
 その上で、一般論として、平和安全法制に基づく自衛隊の後方支援については、我が国の支援対象となる他国軍隊が現に戦闘行為が行われている現場では支援活動は実施しない。仮に、状況変化により我が国が支援活動を実施している場所が現に戦闘行為が行われている現場となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断するという仕組みを設けており、これにより武力の行使との一体化を回避することが可能であるというふうに考えております。
 なお、仮に万が一、状況の変化で自衛隊の部隊等が後方支援を実施している場所やその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合や付近の状況により戦闘行為の発生が予測される場合には、部隊の長等が活動の実施を一時休止し又は避難するなどして危険を回避するものといたしております。そして、このような判断は、人を殺傷し又は物を破壊する行為が行われているか否かという明らかな事実により部隊の長等が客観的に判断することができるというふうに考えているところでございます。
○井上哲士君 南スーダンについて言いますと、政府は、反政府勢力は支配地域を持っていないと、だから国に準ずる組織じゃないと言い続けてきましたよ。しかし、この間、開示された日報を見ますと、例えば、六月二日付けから二十六日まで、明確に反政府勢力支配地域というのがずっと出ているんですよ、地図に。こういう事態を全く国民に隠したまま、紛争は起きていない、紛争は起きていないと、こういうことを言い募ってきたということは指摘をしておきたいと思うんですね。
 そして、私言っていますのは、政府の言うような活動が行われている期間中に戦闘が起きないというような、戦闘行為が発生しないと見込まれる地域というものの指定というのが実際に可能なのかどうかと、できていないじゃないかという問題なんですね。
 南スーダンはこれだけじゃありませんで、二〇一三年十二月十五日に大統領派と副大統領派との戦闘が発生しましたけど、これ、第五次隊は十二月十六日から活動開始しているんですよ。六か月の活動といって行ったもうそのときからあの首都ジュバで大紛争が起きているわけですよ。
 当時、その後、陸上自衛隊の研究本部が作成した教訓要報を見ますと、緊急撤収計画を具体化したことも明らかになっていますし、改善を要する事項として、現地の情勢が急激に悪化することを考慮し、全隊員が烈度の高い状況下を想定した訓練を実施することが必要と、こういうふうに言っているわけですね。
 ですから、停戦合意があると政府がしてきた地域であっても、まさに現地の情勢が急速に悪化するということが起きているわけですから、これまで戦闘地域とされた地域まで入り込んで後方支援をするならば、まさにそういう事態の急変の中で、先ほど大森さんのことでいえば、ど真ん中で立ち往生してしまうと、こんなことが起きるのではないか。そのときになったら活動をやめると言われましたけれども、その直前まで補給活動をしていたということは、相手から見れば敵なんですよ。攻撃受けるんですよ。それに反撃すれば戦闘に入っていくんですよ。こういうことが起きないという保証がどこにあるのかということであります。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 今、井上委員はスーダンの話をおっしゃっておられるわけであります。南スーダンの治安情勢が極めて厳しいという点については、政府もそれは十分認識をいたしているわけであります。
 他方で、先ほどから大森前法制局長官の答弁を引用してなされている議論は一体化の議論であると思いますけれども、この南スーダンPKOの場合には武力紛争の当事者となり得る国家に準ずる組織が存在をしていないと、いわゆるPKO五原則の下で我々は参加をしているというところは動かないわけであります。ということで、先ほど大臣が申し上げたとおりの答弁ということになるわけであります。
○井上哲士君 PKOと事態は違うのは分かった上で言っているんですよ。
 つまり、政府は、自衛隊が活動する期間、現実に活動する期間について、戦闘行為が発生しないと見込まれる地域を実施区域にちゃんと指定できますと、二十年間の経験によってそれができるようになったと言うけれども、南スーダンは停戦合意ができていると言いながら、こうやって現に戦闘が起きているじゃないか、そんなことが指定できるんですかということを私は申し上げているんです。
 もう一点、武力行使一体化について聞きますけれども、発進準備中の給油でありますけれども、この安保法制によって戦闘作戦に発進準備中の戦闘機の給油についても可能となりましたけれども、確認しますけれども、これは、基地における給油、艦船上での給油支援、空中給油による支援、いずれも含まれると、こういうことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 発進準備中の航空機に対する給油支援の形態については様々な形態がありますが、一般的に基地におけるもの、艦船上におけるもの、空中給油機によるものなどがあると考えております。
○井上哲士君 全てできるわけですね。
 安保法制の審議の際に我が党小池議員が、海上幕僚監部防衛課、幹部学校の作戦法規室が作成した内部文書を示して質問をいたしました。この中では、実際の運用を踏まえたイメージとして図がありまして、敵の潜水艦を攻撃中の米軍のヘリが潜水艦の魚雷の射程外にいる自衛隊のヘリ空母に着艦をして給油を受けると、こういう図がありました。そして、このヘリが給油後に再びその戦闘に参加をしていくという事態も想定しているということを明らかにしたわけでありますが、この空中給油の場合でも、戦闘行動中の米軍機に給油をしてその米軍機が再び戦闘行動に参加をすると、こういう場合でも空中給油は可能だということですか。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備につきましては、平和安全法制の整備に際してニーズがあるということを前提として改めて慎重に検討した結果、現に戦闘行為が行われている現場では支援活動を実施しないという一体化回避の枠組み、この類型が適用できると判断をいたしてございます。
 すなわち、発進準備中の航空機への給油及び整備は、当該航空機によって行われる戦闘作戦行動と確かに時間的に近い場合があるとはいえ、まず地理的関係について申し上げれば、実際に戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所で行うものであること、二番目には、支援活動の具体的内容について申し上げれば、これはあくまでも補給の一種や整備でございまして、戦闘行為とは異質の活動であること、そして、他国の武力の行使の任に当たるものとの関係の密接性につきましては、自衛隊は他国の軍隊の指揮命令を受けるものではなくて、我が国の法令に従い自らの判断で活動するものであること、さらに、協力しようとする相手の活動の現況について申し上げれば、あくまでも発進に向けた準備中であるわけでありまして、現に戦闘行為を行っているものではないと、こうしたことを考慮いたしますと、一体化するものではないと言うことができるだろうと、このように考えてございます。
○井上哲士君 私が質問したのは、それはもうちょっと先の質問でありまして、戦闘行動から戻ってきた米軍機に空中給油をして、その米軍機が再び戦闘行動に突入をしていくという場合でも給油は可能かという質問です。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 いずれにいたしましても、その作戦準備中の戦闘機の給油及び整備が実際に戦闘行為が行われる場所と一線を画する場所で行われているものである限りは一体化するものではないと、このように考えてございます。
○井上哲士君 可能だということですね。
 この問題も、大森内閣法制局長官が参考人質疑で述べられました。こういうふうに言われているんですね。当時、法制局と防衛省、外務省との議論について、内閣法制局の参事官は、典型的な一体化の事例である、だから認められないということを何度も言い続けた。そして、一体化の典型的な事例だから憲法上認められないよということで議論が打ち切られたはず、しかし、実は、そういうことにされてしまうと末永くその判断は尾を引くものですから、表面上はニーズがないからということで、しかもそれを、痕跡を残すために別表の備考欄にわざわざ書き込んだのが真相というふうに明確に述べられております。
 一体化の典型的な事例とされた戦闘行為に発進準備中の給油活動がなぜ安倍内閣では合憲に変わってしまうんでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備に関しては、重要影響事態法に改正する前の周辺事態法の制定時において当時の大森法制局長官御自身が明確に答弁しているとおり、個々の戦闘行為との密接な関係があるのではないかということで慎重な検討を要する問題としつつ、米側からの要望がなかったことからこれを実施しないこととしたものでございます。このため、当該給油及び整備と武力行使との一体化の関係についてこれ以上検討は行っておらず、政府として結論を出してはいなかったということでございます。すなわち、政府として、当該給油及び整備が他国の武力行使と一体化するという理由によりこれを実施しないこととしたものではないということです。
 また、その後に制定された旧テロ対策特措法及び旧イラク特措法においても、政府として、具体的な要望がなかったためにこれを実施しないこととした旨繰り返し答弁をしてきており、政府としての考え方は一貫をしているということでございます。
 その上で、平和安全法制においては、ニーズがあるということを前提として、発進準備中の航空機への給油及び整備について改めて慎重に検討した結果、現に戦闘行為を行っている現場では支援活動を実施しないという一体化回避の考え方が適用できると判断したものでございます。
○井上哲士君 だから、そういうことになっているけど実際はこうだったということを大森さんが生々しくしゃべっているわけですね。一応ニーズはないということにしたけども、実際は、典型的な事例だけども、そういうふうにしてしまうと後々尾を引くからそういうことで収めたということなわけです。
 そして、その上で、その後検討を加えたと言われました。先ほどいわゆる大森四要素についてそれぞれ答弁がありましたけど、何か新たな検討を加えたように言われますけど、当時だって同じことを検討したわけですよ。当時は、例えば戦闘行為が行われる場所と一線を画す基地における給油も一体化になるという議論がありましたし、発進準備中であって現に戦闘行為を行っていないということだって、当時もそうだったわけですよ。だから、同じ要素を考慮しても結局典型的な一体型と述べていたものが、同じ要素を考慮してなぜ安倍内閣では百八十度違う結論になるのかと。
 大体、戦闘機というのは、燃料がなかったらただの金属の塊なんですよ、飛べないんですから。戦闘機と燃料が一体となって初めて飛行して戦闘行為ができるわけですね。にもかかわらず、なぜ戦闘準備中の戦闘機への給油は武力行使と一体でないと言えるのか、私には到底理解できませんけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 当時、様々な議論があったわけですけれども、大臣からも御答弁いたしましたように、ニーズがないという理由で法制の中には盛り込まれておらなかったわけでございます。
 少し御説明いたしますと、その後、例えば在日米軍の航空機が自衛隊施設において共同訓練を行う訓練移転等が進められている、あるいは空中給油・輸送機や複数のヘリコプターの同時発着訓練能力を有する大型の護衛艦の導入、整備、これも進められております。また、共同訓練等を通じて、状況に応じた実効的な相互運用能力、インターオペラビリティー、こういったことも向上してきているわけでございます。また、実際のオペレーションとしても、海上自衛隊、東日本大震災への対処において米軍等のヘリコプターを護衛艦に離発着させ、柔軟、効果的に救援活動を実施したところであります。こうしたことで、時代に応じてその運用の実態というのも進化をしてきているわけでおります。
 これらを踏まえて改めて検討したところ、実運用上も、他国軍隊に組み込まれる形でなく主体的に判断して実施すること、こういったニーズというのは出てきているというふうに考えているわけです。日米防衛協力が進展し、様々な共同訓練の機会、また、先般のガイドラインの見直し協議の中で、航空機のより柔軟な運用の確保の必要性について認識を共有し、米側から、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備、これも含めて幅広い後方支援の期待が示されている、こういうニーズの変化を確認した上で今回の法整備をしたということでございます。
○井上哲士君 幾らアメリカからニーズがあったって、憲法は変わっていないんですよ。憲法上、典型的な一体型と言ってきたものが、アメリカのニーズがあるからって変わるというのはおかしな話でありまして、到底納得できませんが、じゃ、もう一点聞きますが、武力行使を行う他国軍への情報提供を後方支援活動として行う場合には、武力行使と一体化の問題は生じないんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 一般的な情報交換の一環としての情報の提供は、一般論として実力の行使には当たらないため、憲法九条との関係で問題はありません。しかし、情報収集については、従来から、例えば特定の国の武力の行使を直接支援するために偵察行動を行うような情報収集を行い、これを提供する場合のように、情報提供に特定の行動が伴う場合には、例外的に他国の武力の行使と一体となると判断される可能性があると考えております。
○井上哲士君 特定の国の武力の行使を直接支援するための偵察活動を伴う情報収集、これについては一体化のおそれがあると。
 では、特定の武力行動に、今から発進をしていく飛行機に対する給油が何で、じゃ、一体化にならないんですか。同じじゃないですか。情報がなくたって、油がなくたって、戦闘行動できないんですよ。何が違うんですか、情報と給油と。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 何が違うのかというお尋ねでありますが、繰り返しになりますけれども、この情報提供が武力の行使の一体化に当たるかというこの論点につきましては、今大臣御答弁されましたように、一般的な情報交換の一環としての情報提供、これ一般論として実力の行使に当たらないために、憲法九条との関係では問題がないんだと、まずこれがあるわけでございます。
 ただ、情報収集について、特定の行動が、情報提供に特定の行動が伴う場合には例外的に武力の行使と一体となると判断される可能性がある、この答弁は確かにいたしているということであります。ただ、ここで言う特定の行動といいますのは、従来から、我が国がある国から、例えば特定の戦闘行為の実行を直接支援するために特定の情報を特に戦術的に取ってほしいと頼まれる、こういった、そのために情報収集活動を行うようなこと、これを指すというふうに解しているわけであります。
 また、別の答弁例もございます。ある目標に、方位何度何分、角度何度で撃てと、こういった行為になりますと、これは情報の提供にとどまらない軍事作戦上の指揮命令の範疇に入ってくる、こういったものでございまして、憲法上の問題を生ずる可能性があると考えておりますが、大原則、冒頭申しましたように、一般的な情報の一環としての情報提供である限り、一般論として実力の行使に当たらないと、このように整理をしているところでございます。
○井上哲士君 ですから、一般的な情報の提供は、武力、一体化にならないと。一般的なアメリカの、米軍戦闘機に対する給油も一体化にならないと。
 しかし、情報も、特定の戦闘行為に対する、偵察を伴う情報提供ですか、その場合は一体化になると。その一般的な給油じゃなくて、今から戦闘行為に行くという戦闘機に対する給油を向こうから頼まれるわけじゃないですか。先ほど確認しましたように、空中給油もやるわけでしょう。向こうから要請があるわけじゃないですか、この戦闘行為に行く部隊に対する。一緒じゃないですか、情報と。
 なぜ、その特定の戦闘行為に参加をする戦闘機への給油は一体化が生じないのに、情報の場合はなるのか。私は区別が付かないと思いますけれども、これ、大臣、法律家ですから、ちゃんとこの点はきちっと私は答えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(稲田朋美君) 先ほどの、一般的な情報交換の一環としての情報提供は、九条との関係では問題がないと。しかし、ある目標に、方位何度何分、角度何度で撃てというような、情報提供にとどまらない軍事作戦上の指揮命令の範疇に入るものは憲法上問題がある可能性があるということを答弁させていただいたところです。
 そして、発進準備中の航空機への給油及び整備は、当該航空機によって行われる戦闘作戦行動と時間的に近いものであるとはいえ、地理的関係については実際に戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所で行うものであること、支援活動の具体内容としては、船舶、車両に対するものと同様の活動であり、戦闘行為それ自体とは明確に区別することができる活動であること、他国の武力の行使の任に当たる者との関係の密接性については、自衛隊は他国の軍隊の指揮命令を受けてそれに組み込まれるというものではなく、あくまでも我が国の法令に従い自らの判断で活動するものであること、協力しようとする相手の活動の現況については、あくまでも発進に向けた準備中であり、現に戦闘行為を行っているものではないことなどを考慮すると、一体化するものではないと言うことができると考えております。
○井上哲士君 同じことの繰り返しですけど、今言われた、大森四要素について言われましたけれども、今言われたこと全部、情報提供に当てはまるでしょう。地理的にも離れているんですよ。現に戦闘行為そのものではないわけですよ。他国の指揮命令でやるわけではないわけですよ。情報提供と一緒じゃないですか。
 なぜそれは武力行使と一体化の可能性があるのに給油はならないと、納得できる説明をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今申し上げたことのエッセンスですけれども、一般的な情報交換の一環としての情報の提供は九条の問題にはなりませんと、なりませんと。しかし、ある目標に、ある目標に南緯何度何分、角度何度で撃てというような行為は、情報の提供にとどまらず軍事作戦上の指揮命令の範疇に入るもの、そういったものは憲法上問題を生ずる可能性がある、すなわち例外的に他国の武力の行使と一体となると判断される可能性があるということを申し上げているということでございます。
○井上哲士君 今言われたのは指揮命令に入るという問題。それに至らなくても、先ほど答弁あったように、特定の国の武力行使を直接支援するために偵察活動を伴うような情報収集を行い提供する場合、つまり、何度に向かって撃てとかじゃなくて、こういう情報を提供する場合も武力行使と一体化になる可能性があるというのが従来の答弁ですよ。
 そして、特定の武力行動に出動しようとしている戦闘機に対する給油は、これは一般的な給油じゃないんですね。一般的な情報活動、一般的な給油は問題ないと言うかもしれませんが、それぞれ特定の戦闘行為に関わる情報提供、そして給油、同じように武力行使と一体化の問題が生じるじゃないかと、大森四原則からいったって。そういうことなんですよ。大臣、いかがですか。
○政府参考人(前田哲君) お答えいたします。
 若干繰り返しになるかもしれませんが、従来政府は、情報交換、情報提供につきましては、先ほどからお答え申し上げていますように、一般的な情報交換の一環としての情報提供は九条との関係では問題にならないんだと。ただ、これまでの答弁の積み重ねの中で、情報提供に特定の行動が伴う場合、例外的に武力の行使と一体となる可能性がある、可能性があるでありますけれども、そういうことを申し上げております。
 他方で、先ほどから給油のお話をされているわけでありますが、給油は補給の一形態でございまして、この給油が武力行使と一体化するかどうか、これについても答弁の積み重ねがございました。それで、まさに、先ほども御説明しましたので繰り返しませんが、従来は後方地域あるいは非戦闘地域という枠組みであったものを、平和安全法制では現に戦闘を行っている現場では支援活動を実施しないと、この考え方によって一体化回避の考え方をつくったわけでございます。そして、戦闘発進中の航空機への給油、整備につきましては、この考え方を適用することで一体化の回避が十分可能であると、こういう結論を、これが政府の現在の考え方であるということをるる御説明を申し上げております。
○井上哲士君 いや、答弁の積み重ねはあったんです、確かに。答弁の積み重ねの中で、戦闘行動への発進準備中の戦闘機への給油というのは典型的な例だという積み重ねがあったんですよ。そして、その後、検討が必要だということを言われたけれども、ずうっと検討を行われてこなかった。それがあの安保法制の議論の中で突如出てきて、そして、ニーズがあるからと言われましたし検討したと言いますけれども、当時検討された要素と同じ要素を検討して、結論だけ百八十度逆になったと。それで、繰り返しますけれども、その中でも情報提供については、特定の武力行使を直接支援するためのものについては武力行使と一体化の可能性があると、こういうことは維持をしながら、特定の戦闘行為に発進をする戦闘機への給油は、これは一体化にならないと。全く従来と違う結論、ここだけ出るというのは私は本当これはおかしいと思いますよ。
 油がなくても、そして情報がなくたって戦闘作戦はできないんですよ。そういう点ではまさに一体なんですよ。それを、ニーズがあるからとかそんな理屈だけで憲法の根本に関わるようなことをねじ曲げるようなことは絶対あってはならないということを改めて申し上げておきたいと思いますし、そういう従来の議論を壊したような形で拡張されたと、それに伴うこのACSAについては到底容認できないということを申し上げまして、質問を終わります。

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