国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2017年・193通常国会 の中の 外交防衛委員会(タックスヘイブン(租税回避地)を利用した大企業と大資産家の課税逃れ)

外交防衛委員会(タックスヘイブン(租税回避地)を利用した大企業と大資産家の課税逃れ)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 租税条約に関わってこの間大きな問題となってきたのが、今もありました課税逃れ、租税回避による二重非課税の問題であります。OECDはBEPSプロジェクトを立ち上げて、多国籍企業による租税回避への対策に取り組んで、二〇一五年十月に最終報告書が出され、十一月のG7サミットで了承された、先ほどあったとおりであります。
 まず、財務省にお聞きいたしますが、この租税回避に利用されてきた一つが、外国法人が日本国内で事業を行っていても、恒久的施設、PEがなければ課税されないというこれまでのルールであります。PEなければ課税なしというものでありますが、これが租税回避に悪用されているということが問題になってまいりました。
 そこで、BEPSの最終報告では、行動七で恒久的施設認定の人為的回避の防止が盛り込まれて、OECDのモデル租税条約も改正をされました。これまでの規定がこの租税回避を防止をする上でどういう問題があって、それがどのように改正をされたんでしょうか。
○委員長(宇都隆史君) 岸田外務大臣。(発言する者あり)
○国務大臣(岸田文雄君) じゃ、まず、財務省の後、発言いたします。
○委員長(宇都隆史君) じゃ、まず先に財務省主税局吉田参事官。
○政府参考人(吉田正紀君) お答えを申し上げます。
 いわゆる多国籍企業などが進出先の国に置いている拠点が恒久的施設、いわゆるPEと認定されることを人為的に回避して、それによって進出先で生じる事業所得への課税を免れるということが問題となっているところは委員御指摘のとおりでございます。
 BEPSプロジェクトの行動七におきましては、こうした問題に対応すべく、PEの定義を拡大する方向でOECDモデルの租税条約、モデル租税条約を改定するということを勧告したところでございます。
 例えば、現行条約ではPEとみなされない一定の倉庫でありますとか代理人などをPEと認定し、そこから生ずる事業所得を進出先の国で課税できるようにすることとしているところでございます。
 これらの措置を含めまして、BEPSプロジェクトで勧告された措置の実施によりまして、人為的にPE認定を回避することをより効果的に防止することができ、租税回避行為に対して一層的確に対応することが可能になるものと考えておるところでございます。
○井上哲士君 外務大臣、また後でお聞きいたしますが。
 今、倉庫ということがありましたけれども、これ、「租税研究」という雑誌に財務省の主税局の緒方健太郎さんという方が去年書かれておりますが、もう少し明確に、従来は、倉庫や情報収集のための場所等については、外形的にそれらの形態に該当していれば準備的、補助的活動しか行っていないものとみなしてPEには該当しないと、こういうふうにしてきたけれども、今後は、そういう倉庫や情報収集のための場所についても、事業活動の本質的部分になっているか、それとも準備的、補助的性質を有しているにすぎないかを確認をすると、その上できちっと課税をできるようにするんだというような説明をされております。大体こういうことでよろしいでしょうか。
○政府参考人(吉田正紀君) お答えを申し上げます。
 倉庫についての御質問でございますけれども、現行のOECDのモデル租税条約におきましては、商品等の引渡しのみを行う倉庫のような施設についてはPEとみなされないということになっておるところでございますけれども、このモデル条約の見直しの後には、その施設が準備的、補助的な活動にとどまらずに、企業のビジネスの本質的に重要な部分を担っている場合にはPEと認定できるということにしているところでございます。
○井上哲士君 巨大倉庫があっても恒久的施設でないとして租税回避をすることは、日本では通販大手のアマゾンに関わって問題になってまいりまして、本社のアマゾン・ドット・コムの報告書を読みますと、日本の税務当局がアマゾンの子会社に対して百四十億円の追徴課税を行ったとしておりますけれども、その後、日米間の話合いの中で日本の税務当局は大部分を解除したというふうに書かれて、当時大きな問題になりました。
 今回のBEPS報告を踏まえて、多国籍企業の租税逃れ回避の対策を強化すると。体制も含めて、どういうふうに取り組んでいくのか、国税庁、いかがでしょうか。
○政府参考人(柴崎澄哉君) お答え申し上げます。
 近年、多国籍企業によります各国の税制や租税条約の違いを巧みに利用した国際的な租税回避が世界的な問題になってございまして、G20のサミットやOECDのBEPSプロジェクトによってその対策が講じられてきているところでございます。
 こうした問題への対応方針といたしまして、国税庁といたしましては、昨年の十月に国際戦略トータルプランというものを公表いたしまして対応を図ってきているところでございます。
 具体的には、情報リソースの充実ということで、国外送金等調書など、あらゆる資料、情報を収集、分析、検討し、海外取引について重点的に調査を行うこととしております。また、調査マンパワーの充実ということで、主要な国税局に国際課税を専門的に担当する部署を設置するなど、税務調査の体制の整備を進めているところでございます。さらに、グローバルネットワークの強化を図り、外国税務当局と連携して、租税条約等に基づく情報交換を積極的に実施するなどによって、問題取引の実態解明を行いまして、個別の事案に応じて、法令にのっとり、租税回避に適切に対処することとしております。
 今後は、BEPSプロジェクトの勧告を踏まえまして新たに導入されます国別報告書を始めとする多国籍企業情報が提供されてくることになりますので、国税当局といたしましては、これらの資料情報も活用して適正かつ公平な課税に努めてまいりたいと考えてございます。
○井上哲士君 是非、この点はしっかりやっていただきたいと思うんですが、このBEPSの最終報告に盛り込まれた内容を実行するには、各国と結ばれた租税条約に盛り込んでいく必要があります。
 外務大臣にお聞きしますが、今回承認が求められている四つの租税条約はどういうふうに盛り込まれているのか。それから、今後、各国と結ばれたものに盛り込んでいく上で、多国間条約が昨年十一月に採択をされております。アマゾンの本社のあるアメリカとの租税条約も含めて、今後どういうふうにそれぞれが改善をされていくのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のBEPSプロジェクトにおける行動七ですが、多国籍企業が進出先の国に置く支店等の拠点が課税対象となる恒久的施設、いわゆるPEと認定されることを人為的に回避することによって、進出先で生じる事業利益への課税を免れる行為に対処すべく、PEの定義を拡大する方向でOECDモデル租税条約を改定すること、これを勧告したものですが、今般提出しておりますスロベニア、ベルギー、ラトビア及びオーストリアとの租税条約においては、個々の規定ぶり及び規定内容は交渉の結果としてそれぞれ若干の相違はありますが、いずれもこのBEPSプロジェクトの勧告の趣旨を踏まえた内容となっております。
 そして、今後の対応ですが、我が国としては、この二重課税の除去の観点のみならず、脱税及び租税回避行為の防止の観点からも、米国を含め今後の租税条約においてBEPSプロジェクトの各勧告を踏まえた内容とするべく、しっかり対応していきたいと考えます。
○井上哲士君 先ほどありましたように、こういう税逃れによる逸失規模は世界全体で日本円で約十兆から二十五兆円という巨額になっておるわけで、日本はこうした租税回避防止の上で国際的に重要な役割を果たしてきたと思います。
 ただ、新しい対策を取れば新しい税金逃れ対策も出てくるわけでありますから、更に取組の強化が重要でありますし、是非、国内においても様々な不公平税制の是正もしていくことが大事だということも申し上げまして、質問を終わります。

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