国会質問議事録

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外交防衛委員会(沖縄県での米軍パラシュート降下訓練について)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 十五日に沖縄が復帰をして四十五周年となりました。世界中で米軍基地がこれほどの密度で集中している地域は沖縄だけであります。加えて、安倍政権の対米追従の姿勢の下で、今米軍の横暴さが増して、基地に関わる事件、事故が絶えないという事態であります。
 四月以来大きな問題になっているのが、前回も議論になりましたけれども、嘉手納基地での米軍のパラシュート降下訓練です。四月の二十四日に続き、五月の十日にも行われました。
 これ、一九九六年のSACO合意で、伊江島にパラシュート訓練は移転をしたわけであります。私たちは、これは基地のたらい回しだと反対をしたわけでありますが、この合意にすら今回の嘉手納での実施は反する事態であり、怒りの声が広がっております。
 まずお聞きしますが、このパラシュート降下訓練が伊江島に移転して以降、嘉手納で行われた訓練の回数を年ごとに示していただきたい、そのうち夜間訓練があったかどうかも示していただきたいと思います。
○政府参考人(深山延暁君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、平成八年のSACO最終報告におきまして、パラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場に移転することを日米両政府間で合意いたしました。その後、訓練移転に向けた枠組みを整えました上で、平成十二年七月に伊江島補助飛行場への移転が実現しましたが、それ以降、嘉手納飛行場では、平成十九年に二回、平成二十三年に二回、本年、平成二十九年に二回、これは五月十日の直近のものを含めまして二回、合計六回の訓練が行われているところでございます。また、夜間の訓練ですが、夜間の訓練は、今回、すなわち五月十日の訓練が初めてであると認識をしております。
○井上哲士君 つまり、これまで二十一年間で四回しかなかった。それが五年ぶりの訓練で半月の間に二回も行われて、初めての夜間訓練が行われたわけであります。今後、訓練が常態化するのではないかという不安の声が広がっているわけです。
 かつて読谷飛行場で行われた訓練でも様々な事件が起きまして、住民の抗議の声が広がる中で伊江島にSACOで移転をした。しかし、危険がなくなるわけじゃないんですね。伊江島であっても、例えば一月十日、降下訓練中の陸軍兵一人が伊江島の補助飛行場から約五十メーター離れた民間の葉たばこ畑に落下をいたしました。
 ましてや、この嘉手納のような人口密集地で夜間に行われれば危険は更に拡大をすると。十日の訓練でも滑走路を大きく外れた兵士がいたということも確認をされておりまして、これはもう国道五十八号線沿いでありますから、一歩間違えれば大惨事になるわけです。
 何でこんな危険な条件で訓練を行ったのか。特殊部隊が参加をした訓練ではなかったかと思いますが、それぞれの訓練を行った部隊と、何を想定した訓練だったのか、明らかにしていただきたいと思います。
○政府参考人(深山延暁君) 今年行われました四月二十四日と五月十日の訓練の行った部隊等でございますが、四月二十四日のパラシュート降下訓練につきましては、米側からの情報、それと目視によりまして、使用した航空機がMC130一機、陸軍及び空軍の部隊の三十名が訓練を実施したという情報を得ております。また、五月十日のパラシュート降下訓練につきましては、米側からの情報提供及び目視によりまして、使用した航空機はMC130が一機、二十名が訓練を実施したとの情報を得ております。
 御質問にありました何を想定した訓練かにつきましては、特にこの双方につきまして情報を得ていないところでございます。
○井上哲士君 どういう部隊がやったかとの答弁もありませんでしたけど、アメリカの海兵隊のニュースを見ますと、四月二十六日号でありますけれども、移動訓練チーム、米本土以外で初の自由落下降下長課程を実施と、こういう見出しで、四月に行われた沖縄の第三海兵偵察大隊主催の自由落下の降下長を認定する訓練を報道しております。
 政府支出の削減もあって、本土からこの訓練チームが来て訓練をしているようでありますけれども、こう書いています。軍の自由落下は、敵のどんな領域にも実践的に放り込む能力、総合能力を活用できるという最終目標を持って行われると。特殊部隊の相互運用性について、部隊指揮官のメッセージとともに非常に大きなことだと、こう書いてありますが、こういう特殊部隊が米国以外で初の訓練を沖縄で行っていると、こういうことは承知されていますか。
○政府参考人(深山延暁君) 米軍は我が国におきまして日米安全保障条約の目的達成のために様々な種類の訓練を行っていると承知しておりますけれども、個別具体的な訓練につきましては、その参加者、あるいは委員が御指摘になりましたような趣旨等全てを承知しているわけではございません。
 私どもといたしましては、今申し上げましたように、米軍に確認し情報を得ております。そうしたことは適宜御説明したいと考えておるところでございます。
○井上哲士君 これ、訓練、日本で行われているんですね。住民の上空で行われているんですよ。そんな無責任な話は私はないと思います。
 大臣にお聞きしますけれども、県民の怒りが大きく広がりました。地方議会の意見書も次々と上がって、沖縄県議会、五月二日に、自民、公明も含む全会一致で抗議の決議を国と米軍にそれぞれ出しております。
 ところが、政府は、四月二十四日の訓練については、これ抗議するどころか例外に当たると容認をいたしました。政府は、こういう県民の声、県議会の全会一致の決議には応えないと、こういう姿勢なんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 沖縄県議会において、四月二十四日の嘉手納飛行場におけるパラシュート降下訓練等に関する抗議決議がなされたことは委員の御指摘のとおりです。
 防衛省としては、先ほど深山局長からも御答弁をいたしましたように、日米安保条約目的達成のため、米軍が訓練を通じて即応態勢を維持する必要があると考えておりますが、パラシュートの降下訓練については、基本的に伊江島補助飛行場を使用することとされており、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用されると、このように認識をしているところでございます。
 その上で、四月二十四日の訓練については、事前に米側から、気象状況、隊員の資格を維持するためなど、あくまで例外的に嘉手納飛行場で実施するとの説明を受けているところでございます。
 他方で、米軍による訓練の実施に当たっては公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであります。防衛省としては、今後とも米軍と緊密に連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響、最小限にとどまるよう適切に対応してまいりますし、また、SACOの最終合意に沿ってパラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場において実施するよう、引き続き米側に求めていく考えでございます。
○井上哲士君 要するに、アメリカが例外だと、必要だと言えば追認をすると、そういう態度が横暴さになっているんですよ。県議会の全会一致の決議は、今後、嘉手納飛行場において降下訓練を行わないよう強く要求すると、こういうことになっているんです。
 外務大臣にお聞きしますけれども、報道ではアメリカ側は、昨年は天候不良や海の状況、落下地点の閉鎖などがあり、伊江島での訓練の機会は百三十三日失われたと、そして、この訓練については日米合同委員会で調整済みだと説明をしておりますが、こんな理由が通用すればいつでも例外としてできることになりますが、こういうことでアメリカと調整をしたと、こういうことなんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) パラシュート訓練については、先ほど来委員の方からもありましたように、平成八年のSACO最終報告に沿って基本的に伊江島補助飛行場で行うということになっておりますが、定期的に行われるものではなく、小規模なものであって、悪天候等の制約により伊江島補助飛行場で訓練が行えないものの、訓練を行う喫緊の必要がある場合等の例外的な場合には嘉手納飛行場も使用し得るというのが日米両政府の従来からの見解ですが、にもかかわらず、五月十日、降下訓練が行われました。その際に、なぜそのような例外的な場合に当たるのかについて米側から十分な説明もなく、事前に日米で認識を共有するに至らないまま、十日夜に嘉手納飛行場でパラシュート降下訓練が行われたこと、このことについては政府として遺憾に思っています。
 今御質問で、調整が行われたのか、そして百三十三日降下訓練の機会が失われたのか、こういう質問でありますが、まず、この訓練につきまして、日米間で事前に調整した上で訓練が実施されたという認識はありません。そして、日数につきましては、米軍の運用に関わる事項ということになりますので、具体的な数字等については政府としてお答えする立場にはないと考えています。
○井上哲士君 二十四日の訓練に抗議の決議が上がった。ところが、五月十日の訓練は二十四日にはあった事前の連絡すらなかったんですね。結局、地元に連絡があったのは四時間前と。ですから、無視するどころか居直っているんですよ。
 大臣、防衛大臣も遺憾の意を表したようでありますけれども、これに対してアメリカ側から謝罪はあったんでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今御指摘ありましたように、五月十日の嘉手納の飛行場で実施されたパラシュート降下訓練、これは事前の調整がなく、先日の記者会見で私から遺憾である旨申し上げております。また、地方協力局長等からも米側に対しその旨を申し入れ、さらに一昨日、五月十六日ですが、私からハリス米太平洋軍司令官とお会いした際にも本件について申入れを行ったところです。
 これに対し、米側からは、今後日本側と密接に調整していきたいという旨の回答を受けているところでございます。
○井上哲士君 抗議も中止の申入れも無視して強行したことに対して謝罪もせずに、今後密接に調整していきたいと、こんなふざけたことないんですよ。こういう通り一遍の遺憾表明でよしとするような態度が私は横暴を助長していると思うんですね。
 今、米空軍のホームページを見ますと、嘉手納空軍基地の陸・水域の降下地点はマルチパスパラシュートジャンプ訓練に適していると、こういう記述があるんですね。あんな人口密集地でやるような訓練が適していると書いてあるんですよ。これ、合意とも違うわけですね。
 私ども日本共産党の沖縄県委員会が十一日に防衛局に要請をしたら、不適切な表現であり、米側にやめるように申し入れたという回答がありましたけれども、これに対して米側はどういう対応をしているんですか。
○政府参考人(深山延暁君) 委員御指摘のホームページの記述につきましては、そうした記述があることは我々も承知をいたしました。そして、防衛省としては、パラシュート降下訓練について、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用されるとの認識でございます。
 したがいまして、御指摘のホームページの記載については、沖縄県副知事あるいはほかの方から嘉手納飛行場の訓練の常態化があってはならないとの御懸念が示されたことも踏まえまして、米側に対して当該記載の削除を求めたところでございます。この際、米側からは、嘉手納基地はパラシュート降下訓練に適しているとの記載は、必要に応じ運用を支援する上での潜在的な代替策であると説明を受けております。
 いずれにいたしましても、防衛省としては、パラシュート降下訓練はSACO最終報告に基づいて伊江島補助飛行場において実施するよう、引き続き米側に求めていく考えでございます。
○井上哲士君 つまり、米側は、これは直さないという表明でしょう。適切な表現だと言ったわけですよ。現実に今これ残っているんです、防衛局が申入れしても。先ほど質問の直前に改めて確認しました。そのまま残っているんですよ。ですから、政府のこの間の遺憾表明やこんなことを全部無視しているんですよ。
 なぜかといえば、政府自身が辺野古で県民の意思を無視をして、暴力的排除をして工事をやっていると。日本の政府が県民の声を無視しているんだったら、アメリカだってそうしますよ。だから、この間、民家の上空での物資つり上げとか、オスプレイの墜落があっても民間地に落ちたんだから県民は感謝しろとか、それから合意違反の連日の夜間飛行とか、次々行われているんですよ。
 私は、通り一遍の遺憾表明とかで済ましてそれでよしとする大臣の姿勢がこういうことを助長していると思いますよ。まず、このホームページを削らせてくださいよ。そして、こういう違法な訓練はやめさせていく、合意違反の訓練はやめさせていく。大臣、決意を示していただきたいと思います。大臣からお願いします。大臣。
○国務大臣(稲田朋美君) SACOの最終合意、すなわち伊江島補助飛行場でパラシュート降下訓練は行う、そして、例外的な場合というときにはしっかりと事前に調整をするということについて、米側からは、今後日本側と緊密に調整していきたいという旨の回答を受けております。また、ホームページの記載についても、防衛省から米側に対して申入れをしているところでございます。
 防衛省としては、今後とも、日米間の様々な会談、協議等の場において、我が方の考え方、しっかりと説明をしてまいりたいと考えております。
○井上哲士君 そんな答弁では沖縄県民は到底納得しないだろうということを申し上げまして、質問を終わります。

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