国会質問

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外交防衛委員会(安全保障技術研究推進制度について)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 三月の当委員会で、日本学術会議が軍事研究に関する新たな声明案を採択したことを示して質問をいたしました。同会議が過去二度にわたり出した軍事目的のための科学研究は行わないという声明を継承するというものでありまして、その後声明案は幹事会で決定をされました。これを受けて、防衛省の安全保障技術研究推進制度については応募をしないというこういう議論が今各地で行われております。
 そこで、この制度についてお聞きいたしますが、今年度予算で、昨年度の六億円から百十億円に大幅に増加いたしました。昨年までの小規模研究課題に加えて、大規模研究課題への資金制度がつくられたことによるわけですが、この小規模、大規模研究課題のそれぞれの概要、そして新たに大規模課題への資金制度をつくった理由について、まずお示しください。
○政府参考人(石川正樹君) お答えさせていただきます。
 ただいま御指摘のありました安全保障技術研究推進制度でございますけれども、当該制度の積極的な活用を図るという観点から、平成二十九年度には、従来から公募をしていた小規模な理論的な研究課題に加えまして、大規模な研究課題の公募を行っております。
 この大規模な研究課題につきましては、例えば、大規模な研究装置を新たに導入したり、また、実物の試作を繰り返すようなことで理論を実証するといったような大規模かつ長期間にわたる基礎研究が必要であるようなケースを対象としております。
 また、金額等につきましては、小規模な研究課題については、研究期間は三年以内、研究費の上限は約一億円としておりまして、また、大規模な研究課題については、研究期間は五年以内、研究費の上限は二十億円としております。
○井上哲士君 装備庁が発表したこの募集に係る研究テーマを見ますと、一つのテーマで小規模と大規模の両方の募集をしていますけれども、これ条件はどう違うんでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) お答えさせていただきます。
 平成二十九年度におきましては三十件の研究テーマを設定しておりまして、その中で十四件につきましては、御指摘ありましたように小規模な研究課題に加えて大規模な研究課題の方にも応募できることとさせていただいております。
 これについては、研究テーマの性格等を踏まえまして、一つには、研究成果を得るために大規模な試作や試験が必要な研究又は数多くの試作や試験を繰り返す必要がある研究のような場合、また、研究機関や分野をまたいだ研究実施体制を構築するとともに、複数の研究計画を組み合わせて実施、管理する必要のあるような研究の場合というものに該当するものについては、大規模かつ長期間にわたる研究が必要と考えられるため、こうした応募を可能としているものでございます。
○井上哲士君 より完成度の高い研究が求められるわけですね。
 学術会議の声明では、この制度について、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い。」と、こう指摘をいたしました。これを意識したのか、今年度の公募要領の表紙には、公表の制限や秘密指定はないなど四点を特記して表紙に書いております。
 その一つとして、プログラムオフィサーが研究内容に介入することはありませんと強調しているわけでありますが、これ、昨年度までとプログラムオフィサーの役割が変わったということなんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 安全保障技術研究推進制度においては、予算の適正な執行の観点から、他省庁の制度と同様に、防衛省の職員、いわゆるプログラムオフィサーが、採択された研究計画に基づく研究の円滑な実施を確保すべく、研究の進捗状況を確認し、予算執行に必要な手続などのサポートを行うことといたしております。こうした役割は、平成二十七年度の制度創設当初から何ら変わったものではありません。
 また、こうした点をより正確に御理解いただけるよう、防衛省のホームページ、また平成二十九年度公募要領において、プログラムオフィサーの役割や研究内容に介入することはないことなどを改めて明記したということでございます。
○井上哲士君 より正確に理解をしてもらう、何か学術会議が誤解しているかのような言い方でありますが。
 昨年十二月の質疑でも紹介しましたけど、防衛装備庁の担当者自身が雑誌でこの制度について説明をして、プログラムオフィサーは防衛用途への応用という出口を目指して研究委託先と調査を実施と明確に書いておりますし、調査に問題があれば資金を打ち切ることもあるということなわけでありまして、このことには何の変わりもないんだという答弁でありました。ですから、学術会議の声明が、政府による研究への介入が著しく問題が多いという実態はそのままで、新たな大規模制度でより完成度の高い研究が求められると、こういうことになっているわけであります。
 さらに、この研究の知的財産権の取扱いについてお聞きしますが、応募要領では研究成果の知的財産権については産業技術力強力法を踏まえた一定の条件を付した上で受託した研究実施機関に帰属させることができますとしております。この条件とは何かを委託契約事務処理要綱の第二十五条に示されておりますが、その一つが、防衛装備庁が自らの用に供するため又はその他特に必要があるとしてその理由を明らかにして求めた場合には、無償で当該知的財産権を利用する権利を防衛装備庁及び防衛装備庁が指定する者に許諾することを研究受託者が約束をするということになっておりますが、これ研究受託者が約束をしなかったという場合は、この知的財産権はどういう取扱いになるんでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ありましたように、国が委託した研究開発の成果等に係る知的財産権の取扱いにつきましては、産業技術力強化法によりまして条件に該当する場合には受託者の方に帰属させられるということでございまして、その条件の一つといたしまして、「国が公共の利益のために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求める場合には、無償で当該特許権等を利用する権利を国に許諾することを受託者等が約すること。」というふうに規定されております。委託契約の規定もこの条文に基づいて設定をさせていただいております。
 したがいまして、受託者が約さない場合におきましては、研究成果に係る知的財産権は受託者から防衛装備庁が譲り受け、当該知的財産権は防衛装備庁に帰属をするということになると考えております。
○井上哲士君 今、産業技術強力法に基づいてというふうになっておりますが、要するに、どんな研究成果が出るか分からないけれども、装備庁に必要な成果が出れば、装備庁やその指定する者に無償で使用する権利を認めなければ受託できないという仕組みになっているわけですね。
 この要綱でその他必要と認める場合というのは、具体的にはどういうことでしょうか。
○政府参考人(石川正樹君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がありました部分につきましては、具体的に、自らの用に供するためという場合とその他特に必要がある場合というふうに、二つの場合が設定をされております。
 ちなみに、自らの用に供するためという場合については、例えば防衛省の更なる研究の発展に向けて本制度に基づくような研究成果の知的財産権を活用していくような場合が考えられるところでございまして、さらに、御指摘のその他特に必要がある場合ということについて言えば、他の国の機関などが、例えば災害対策に向けて研究を発展させていくような場合に本制度による知的財産権を活用していくことが必要となるような場合というものが該当するものと考えております。
○井上哲士君 その場合には、防衛装備庁が指定する者にこの無償の使用を許諾することができるということでありますが、今の答弁でいいますと、そういう他の国の場合、入るわけですね。それから、いわゆる武器輸出などを行っている企業も該当をするということでよろしいですか。
○政府参考人(石川正樹君) 現時点で具体的に指定する者に使用を許諾するというような具体的な事例を想定しているところではございませんけれども、その上で、例えば防衛省の更なる研究の発展に向けて研究成果に係る知的財産権を活用していくような場合においては、指定する者として例えば防衛関連の企業を指定するという場合もあり得るとは考えております。
○井上哲士君 最初に産業技術強化法等に基づいて要綱を定めているというお話でありましたけれども、この法律の、産業技術強化法の第十九条第一項では、国が公共の利益のために特に必要がある場合というふうになっていますけれども、要綱にはこの言葉がありません。
 それから、法律では無償で利用する権利を許諾する対象は国だけです。ところが、要綱では防衛装備庁が指定する者として、今ありましたように防衛産業なども対象になっております。国の法律に基づくと言いながら、要綱ではこういうふうに変えているのは一体どういう理由ですか。
○政府参考人(石川正樹君) ただいま御指摘の点につきましては、産業技術力強化法においては、国が委託研究を例えば大学や企業等に行っていただいた場合に、その知的財産権を相手方、受託者に帰属させることを可能とする場合の最低限の条件、必要な条件を設定しているものと理解をしております。
 したがいまして、それをベースにいたしまして、さらに防衛省におきましては、例えば試作品なども含めまして、外部の方にそうした知的財産権を、また、更なる研究開発などのために外部の方に知的財産権を活用していただくケースが必要になり得るだろうという考えの下に、その上にプラスアルファという形でこうした規定を置かせていただいているということでございます。
○井上哲士君 他省庁の競争的資金を見ましたけれども、科学技術振興機構とかNEDOなどですね、いずれもこの防衛技術力強化法十九条一項を遵守すると、そのまま使っているんですよ。防衛省の制度だけ、今言ったような上乗せがされて、外国、またさらには防衛産業にも該当するというふうになっているわけでありまして、まさにこの学術会議が懸念するような方向が出ておりますが。
 さらに、防衛大臣にお聞きしますけれども、二月の日米首脳会談の共同声明では、防衛イノベーションに関する二国間の技術協力の強化についても言われておりますけれども、こうした本制度に基づく研究成果について日米間の武器の研究開発に活用すると、こういうこともあり得るということでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 我が国の高い技術力、これは防衛力の基盤であって、安全保障環境が一層厳しさを増す中で、安全保障に関わる技術についてその優位性を維持向上していくことは、将来にわたって国民の命と平和な暮らしを守るために不可欠です。とりわけ、近年の技術改革の急速な進展は防衛技術と民生技術のボーダーレス化をもたらしており、いわゆるデュアルユース技術を積極的に活用することが重要となっております。
 安全保障技術研究推進制度は、こうした状況を踏まえ、防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な民生技術について研究を公募するものです。本制度に基づく研究自体、これはあくまでも基礎研究分野に限られておりますことから、そのまま防衛装備に適用できるものではなく、したがって、本制度に基づく研究自体が日米政府間の防衛技術協力の対象となること、これは想定はされません。
 他方、政府として、本制度に基づく研究成果について将来の防衛装備の研究開発への応用を検討することは当然でございます。そのような防衛装備への応用の一環として日米間の共同研究開発に活用するか否かについては、具体的な研究成果や日米間でいかなる研究開発を行っていくべきかといったことを踏まえ、今後検討していくことになると考えているところです。
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、学術会議の声明は、研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用され、攻撃的な目的のためにも使用され得るため、まずは研究の入口で研究資金の出処等に関する慎重な判断が求められると指摘しておりますけれども、まさにこの懸念どおりの実態だということが明らかになったと思います。
 私は、この声明を重く受け止めて、こういう制度はなくすべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

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