国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 外交防衛委員会(視覚障害者等による著作物の利用促進マラケシュ条約)

外交防衛委員会(視覚障害者等による著作物の利用促進マラケシュ条約)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 質問に入る前に、先ほど来議論になっている小西議員に対する幹部自衛官の暴言について一言申し上げたいと思います。
 昨日も官房長からの説明が理事懇でありましたけれども、先ほど来の答弁では、品位を傷つけたとか不快な思いをさせたということが言われておりますが、そういうことにとどまる問題ではありません。この間、イラク日報隠蔽等を通じて、このシビリアンコントロールそのものが問われているという中で起きている問題でありますから、私は、これは事実の解明、さらには、厳正な対処とともに、一体どういう性格の問題だったかということを政府としてしっかり明らかにしていただきたいし、当委員会でもその場を持つことが必要だということを冒頭申し上げた上で、マラケシュ条約についてお聞きをいたします。
 世界の書物のうち視覚障害者向けの図書は、途上国では一%、先進国では七、八%しかない、読書の飢餓状況というふうに言われております。本条約は、点字図書、それから拡大図書、音声図書といった、読書に障害のある方々にとって利用しやすい様式の複製物の国境を越えた交換を促進するための条約であります。国内の視覚障害者は三十一万五千五百人とされますが、さらに、読字障害のある方、それから上肢障害によってページ開けないなど読書に障害のある方なども対象になりますし、高齢者も含まれると解されまして、誰もが条約の受益者となり得ます。非常に大きな数だと思うんですね。
 国内外の読書に障害のある方がより多くの図書を利用できるようになることが期待をされておりますが、この条約を受けて、国としてどのようにこの課題に取り組んでいくか、まず大臣の姿勢をお伺いしたいと思います。


○国務大臣(河野太郎君) マラケシュ条約は、各国の点字図書館などによる点字等の利用しやすい様式の複製物の国境を越える交換を促進するための協力を規定するなど、視覚障害者等の方々による著作物の利用機会を促進するための国際的な協力を行う意味で重要なものでございます。
 我が国として、この条約の締結を契機に、この分野における国際社会の取組に更に貢献するとともに、国際的な協力を一層進展させていきたいと考えております。


○井上哲士君 国際的な取組を促進しながら、是非、国内の視覚障害者の皆さんがこうした著作物の利用の機会を促進をさせていくという点で、各省とも協力しながら、しかるべき役割を果たしていっていただきたいと思うんですね。
 そのためには、読書に障害のある方が図書を利用しやすい環境の整備が求められております。一つは図書館のネットワーク化、それからもう一つは図書のテキストデータ化など、障害者が利用しやすい形式のコンテンツの充実が必要だと思います。
 まず、障害者、視覚障害者向けの図書館のネットワーク化についてお聞きしますが、国内の図書館ネットワークが整備されていなければ、外国からの請求に十分に対応することができません。また、国内の図書館に行かなくても、自宅のパソコンでインターネットからダウンロードするサービスの充実も求められております。
 国会図書館では、所蔵されている視覚障害者向けの図書をインターネットから利用するようにしておりますし、視覚障害者情報総合ネットワーク、サピエ図書館というのがありますが、全国の点字図書館が収蔵するデータを集めたITネットワークで視覚障害者に対して様々な情報を提供しております。
 今日は国会図書館長来ていただいておりますが、国会図書館の視覚障害者サービスはどのようなものがあるのか、それから、国会図書館とサピエ図書館からダウンロードできる視覚障害者向けの図書はどのぐらいあって、かつこの両図書館の連携、全国の図書館とのネットワーク化はどのようになっているでしょうか。


○国立国会図書館長(羽入佐和子君) まず、第一番目の御質問についてでございます。
 国立国会図書館が行っております視覚障害者サービスのうち、主なものを四点御紹介いたしたいと思います。一つは、来館利用者へのサービス、二つ目に、学術文献の録音図書製作、第三に、他の公共図書館等が製作いたしましたデータの収集、そして第四に、これらのデータを提供する視覚障害者等へのデータ送信サービスを行っております。
 二番目の御質問ですが、サピエ図書館のシステムと連携をいたしまして、相互にデータを検索できるようになっています。現在、録音図書で九万点、点字図書十九万点など、合計約二十八万点のデータをダウンロードすることができます。
 全国の図書館とのネットワークにつきましては、公共図書館、大学図書館、点字図書館等が参加するネットワークを構築しておりまして、各館が所蔵する点字図書、録音図書の総合目録の作成や、各館が作成したデータの収集や提供などを行っております。


○井上哲士君 是非この条約を機に更に広げていただきたいと思うんですが、特に、今の中で、大学図書館との連携についてお聞きをいたします。
 四月十一日に衆議院の文部科学委員会の参考人質疑で日本盲人会連合の竹下義樹会長が発言をされておりますが、竹下さんは、大学で学ぶ障害者が増えて、各大学ごとに一人の視覚障害者のために教材とか文献を録音、拡大文字化、データ化などをして持っているんだけれども、それがこの一人のためだけにとどまっていて大変もったいないし、残念だというふうに言われておりました。
 まず、文科省にお聞きしますけれども、こういう視覚障害者の国会図書館と連携している大学図書館の現状及び強化方向についてはいかがでしょうか。


○政府参考人・文部科学省研究振興局長(磯谷桂介君) お答え申し上げます。
 視覚障害等の方々があらゆる機会と場所におきまして自主的に読書活動を行えるような環境を整備することが大変重要だというふうに認識をしております。
 現在、国会図書館が実施いたしますサービス、例えば、視聴覚障害用データの収集及び送信サービスの送信承認、あるいは視聴覚者用データの提供、学術文献録音テープ等の貸出し承認といったサービスに参加をしている図書館は国公私立合わせて四十八館というふうになってございます。
 文部科学省としましては、現在も国立大学図書館協会総会あるいは国公私立大学図書館協力委員会などにおいて当該サービスに関する情報提供を行っておりますけれども、今後は国会図書館とも更に連携協力いたしまして、図書館関係者に対する各種研修における説明、あるいは新入生オリエンテーション、大学の図書館ガイダンスにおける周知、学内広報メディアを通じた情報発信等々を積極的に行うなど、大学図書館と国立国会図書館との連携強化を更に一層促してまいりたいというふうに考えております。


○井上哲士君 是非連携を強めていただきたいんですが、今のは主に国会図書館からのデータを受けていることだと思うんですが、国会図書館に対してデータを提供している大学図書館などの状況はどういうふうになっているでしょうか。国会図書館にお聞きします。


○国立国会図書館長(羽入佐和子君) 大学から国会図書館へのデータ提供ということでございますでしょうか。
 現在、大学からいただいているものは、視覚障害者用のデータとしていただいているものは四大学であったと思います。私どもで作成しておりますもの、それからサピエ図書館で作成しておりますもの、それらを合わせて提供先はもっと広くなっております。
 こういった取組は更に促進する必要があると考えておりますので、大学図書館に対しては更に当館の視覚障害者等へのデータ送信サービスに参加をしていただくように促してまいりたいと思います。そして、幅広い活用がいただけるように努めてまいりたいと考えております。


○井上哲士君 是非連携を強めていただきたいと思うんですが、大学の図書館でこの障害者向けの図書の製作を取り組んでいるのはどのぐらいあるか、承知されているでしょうか。


○国立国会図書館長(羽入佐和子君) 今、大学で実際に作成している、データ提供館と言われているものは四館ございます。


○井上哲士君 製作をしているところは六館とお聞きしましたが、そういうことじゃないですかね。


○国立国会図書館長(羽入佐和子君) 大変失礼いたしました。間違えました。六館でございます。


○井上哲士君 いずれにしても、非常に少ないんですね。それを広げながらネット化を広げていただきたいと思いますが、もう一つ大きな課題であるのが、図書のテキストデータ化などの障害者が利用しやすい形式のコンテンツの充実であります。
 サピエ図書館がボランティア等の手を借りて、使えるように、障害者が利用できやすいように形式変換するんですが、どうしてもこれタイムラグが生じて新しいものが読めません。なかなか、このサピエ図書館、財政が脆弱でありまして、個人利用者は無料ですけれども、施設、団体は会費が掛かります。全体としていろんな運営等に苦労されているようでありますが、是非、こういうのを促進する上でも国の支援が必要だと思います。現状の予算と今後の方向をどうお考えか。
 それから、全国の公共図書館は三千二百以上ありますけど、サピエの会員は百六十一館にとどまっているんですね。こういうところがどんどん入れば利用も促進されますし、財政的な意味でも貢献すると思うんですが、これは是非働きかけていただきたいと思いますけれども、厚労省、いかがでしょうか。


○政府参考人・厚生労働省社会・援護局障害保険福祉部長(宮嵜雅則君) お答え申し上げます。
 委員から御紹介もございましたサピエにつきましては、視覚等に障害のある方々に対して、点字、音声データ等の情報を提供するネットワークでございまして、利用者はインターネット等を利用して全国の点字図書館の蔵書の検索や貸出し依頼、データのダウンロードなどができる仕組みでございます。
 厚生労働省では、平成三十年度予算におきましては、サピエのシステムの保守や改修等のための経費として約六千万円を計上しておりまして、引き続きサピエの安定的な運営に努めてまいりたいと考えております。
 また、サピエに加入している公共図書館につきましても、委員から御紹介ありましたが、二十九年三月の時点で百六十一施設ということでございますが、これを増やしていくということは大変重要なことだと考えております。近年も、若干ではございますが、増加傾向でございます。
 今後、更なる加入の増加を目指しまして、文部科学省や関係団体とも連携して、サピエへの加入促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。


○井上哲士君 さらに、テキストデータの普及についてお聞きしますけれども、教科書バリアフリー化法によって、検定教科書は発行元がテキストデータの提供が義務付けられて、大変喜ばれております。テキストデータがあれば、点字にしたり拡大をしたり音声に変換するなど、非常に各自が利用しやすい形式で本を読むことが可能でありまして、いわゆるワンソース・マルチユースの実現が求められていると思います。現在、販売されている図書のごく一部ですけれども、視覚障害者や上肢障害者向けにPDFやテキストデータの引換券が付いているというのもあるんですね。
 これ、是非こういうものを積極的に出版社にも取り組んでいただきたいと思うんですが、こうした市場を通じて国内外の視覚障害の方々による著作物の利用促進をする取組も是非、外務省進めていただきたいと思いますけど、いかがでしょうか。


○政府参考人・外務省経済局参事官(小泉勉君) お答えを申し上げます。
 まず、一般論になりますけれども、委員からも御指摘ございましたとおり、今お諮りをしておりますこのマラケシュ条約、この締結をすることによりまして、点字図書、拡大図書等、視覚障害者の方々にとって利用しやすい様式の複製物、これを国境を越えて交換を促進するための協力の促進、また、国の中、外を問わずに視覚障害者等の方々による著作物の利用が促進されることは大いに期待されるというふうに思っております。
 その上で、御指摘いただきましたことにつきましては、外務省といたしまして、特に国内に着目しますと、直接できることには限界がございますけれども、関係の省庁、例えば文化庁、文部科学省、厚生労働省、国会図書館あるいは経済産業省辺りかと存じますが、この辺りとも認識を共有しながら、本日の委員会で御指摘いただいたことも踏まえまして、鋭意検討をいただきたいということで外務省としても働きかけをしたいというふうに考えております。


○井上哲士君 最後、国会図書館、お聞きしますが、様々なデータがありますけれども、フォーマットがPDFなどのために視覚障害者がなかなか利用できないという現状があります。このテキストデータ化を進めてほしいという要望がありますけれども、この点の取組と強化法等、いかがでしょうか。


○国立国会図書館長(羽入佐和子君) テキスト化というのは大変重要なことでございますし、またテキスト化する際には、正確性とそれから効率性も大切ではないかというふうに私どもも考えておりまして、そして、現在テキスト化を効率的に行うための実験事業を行っております。この実験結果を実現して、テキスト化を更に拡充してまいりたいと考えております。


○井上哲士君 国内外の利用者のために、国内の図書のテキストデータ化、そして、国会図書館を中心とした利用しやすいネットワーク化を更に促進をしていただきたいと求めまして、質問を終わります。

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