国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(公選法一部改正案(参議院選挙区選挙の政見放送ビデオ持込み))

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(公選法一部改正案(参議院選挙区選挙の政見放送ビデオ持込み))


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 本法案の政見放送ビデオ持込みは、前回、二年前にも議論になりました。当時は全会派一致で委員長提案でということでやったわけでありますけれども、まとまらなかったと。今回は賛成会派のみの議員立法で行われようとしておりますが、選挙戦のルールに関わることはやはり全会一致でやるべきだということをまず申し上げておきたいと思います。
 総務省の公選法の説明では、選挙運動の規制について、選挙の公正と候補者間の平等の確保のためとされておりますけれども、なぜこれが大事なんでしょうか。


○政府参考人(大泉淳一君) 選挙運動は、各政党や候補者の政策について有権者がいかなる選択をすべきかの判断材料を提供するものと考えておりますが、それを無制限に認めると、財力や権力等によって選挙がゆがめられるおそれがあるということが考えられます。
 このため、ルールに基づき選挙運動を行うという必要がございまして、金の掛からない選挙を実現し、選挙の公正と公平を確保する観点から、これまでの国会審議あるいは各党の議論を経まして、現在のような選挙運動のルールが設けられてきたものと考えております。


○井上哲士君 公正と候補者間の平等の確保のために様々な規制が掛けられてきましたが、その下で候補者個人の行える選挙活動は具体的にどういう項目があるのか、その中で候補者間に不平等がある項目があるのかどうか、お答えください。


○政府参考人(大泉淳一君) お答えいたします。
 公職の候補者個人に認められた選挙運動手段につきましては、各級選挙によって差異があるものの、おおむね、選挙運動用自動車等の使用、ビラ、ポスター等選挙運動用文書図画の頒布・掲示、演説会や街頭演説などの開催、選挙公報、政見放送、新聞広告などの手段、またインターネットによる選挙運動などが認められておるところでございます。
 御指摘の候補者の属性による選挙運動の規制の差異ということについては、一般的には、同一選挙区で立候補した候補者間で個人の選挙運動として認められる内容には差異がないと認識しております。ただし、参議院議員選挙につきましては確認団体と推薦団体の制度がございまして、その中では、所属候補者や推薦候補者について、それ以外の候補者については認められていない選挙運動ができるものということもございます。


○井上哲士君 確認団体、推薦団体の話がありましたが、あくまでも候補者個人が行うことができる選挙運動は全て平等とされてきました。
 ところが、本法案は、参議院選挙区選挙の政見放送において、一定要件を満たす政党、確認団体の所属推薦候補のみビデオ持込みを認めることになっております。支出される公的経費も、スタジオ収録の場合の候補者一人当たり七十九万円に対して、持込みビデオの場合の一人当たり四百二十八万円というふうに報告をされております。
 効果的な政見放送の方法を特定の候補だけに認めて公的な費用にも大幅な差を付けるという不平等な措置は、公職選挙法の中に初めて個人の選挙運動の差別、不平等を持ち込むことになっておりますけれども、これは公正、平等を旨とする公選法の基本に反するものではないかと考えますが、提案者、いかがでしょうか。


○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 政見放送の方法を特定の候補者だけに認める、このような措置が憲法あるいは公選法との関係でどうかというような御指摘でございました。
 そもそも憲法につきましては、各候補者が選挙運動の上で平等に取り扱われるべきことを要求してはいるというふうに承知をしておりますけれども、合理的理由に基づくと認められる差異を設けることまで禁止しているものではないということ、このことは既に最高裁判所の判決においても判示されているわけでございます。
 その上で、今回の改正でございますけれども、障害等の有無にかかわらず、できる限り多くの国民に候補者の政見がより効果的に伝わるようにしようというわけでございますが、その場合に、先ほど来出ておりますように、この品位の保持というものをどのように担保していくのかという、この対策が課題となっているというわけでございます。
 そうした観点から、今回のこの政党要件というのは、その線引き、基準といたしまして、現状、最も客観的で、また合理的と考えられる要件だというふうに我々認識をしておりまして、それを用いることによりましてその対策にしようというふうに考えているわけでございます。
 その一方で、無所属候補者の方々につきましては、先ほどもこれは答弁がございましたけれども、今回の改正後におきましても、ビデオ持込みが認められない候補者の方につきましては、これは従来どおりスタジオ録画方式による政見放送を行うことが可能であるだけでなくて、それにプラスいたしまして、この法改正を踏まえて、総務大臣が定める実施規程が改正される、そのことによりまして、スタジオ録画方式の場合であってもNHKで収録したビデオが民放でも使用できる、それと併せまして、手話通訳、これも新たに付けられるようになると、このように承知しておりまして、その差異につきましては必要最小限にとどめようと、そういった努力もさせていただくということを考えているわけでございます。
 こうしたことによりまして、この最高裁の判例に照らして考えましても、これは憲法上許容される範囲内だというふうに考えているところでございます。
 また、公選法上も、現行法で、先ほど出ておりましたが、確認団体、推薦団体の関与の有無でこの選挙運動に差異が現行法上もあるということを考えますと、これもまた許容の範囲内であると、このように認識しているところでありますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。


○井上哲士君 最小限と言われましたけれども、今までゼロだった差異が広がる、できるわけですね。
 確認団体と推薦団体のことを言われましたけれども、個人の行う選挙運動ということではこれは違う話でありまして、全く理由になりません。
 衆議院では、政党本位の選挙とする考えから候補者届出政党に様々な選挙運動を認めて、政見放送の主体も候補者届出政党といたしました。結果としては無所属候補が政見放送ができないということで問題になってきたわけですが、参議院選挙区の選挙の主体は候補者個人です。現在はもちろん、歴史的にも、政党の公認、推薦を受けない多くの議員が存在をして重要な役割を果たしてこられましたし、この委員会室にもそういう方がいらっしゃるわけですね。
 個人が主体の参議院選挙区選挙に政党本位の選挙である衆議院小選挙区における政党優位の規定を持ち込むということは、市民と政党が同じ立場で共同して候補者を擁立することを可能にしてきた参議院選挙区の選挙の基本であるとか、そして参議院の在り方や歴史等にも私は反するのではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。


○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答えを申し上げます。
 今回の改正が、これまでの参院の在り方、歴史との関係でどうかというような御指摘でございましたけれども、今回の改正後におきましても、政見放送において候補者個人の政見が放送されるということにはこれは変わりはないということでございまして、候補者個人本位の選挙の性格を変えようとするものではないということをまず御理解いただきたいと思います。
 その上で、先ほども触れましたけれども、現行におきましても、確認団体あるいは推薦団体の候補者であるかどうかによって選挙運動に差が生じていると、こういった現行法上の位置付けもあるというわけでございます。そういったことから考えますと、この確認団体、推薦団体が関与するかどうかで選挙運動に差が付くということがこの参議院選挙区制度になじまないとか、あるいはこれまでの参議院の歴史においてそごを来すとか、そういったことはないものと、このように理解をしているところでございます。
 以上でございます。


○井上哲士君 先ほど申し上げましたけれども、推薦も公認もない非常に立派な無所属議員はたくさん、現在も過去もいらっしゃいます。一部品位保持が危惧される候補者がいるからといって、そういう人たちも同列して、品位保持ができないという理由でビデオ持込みができないということに私は合理性はないと思いますけれども、最後、いかがでしょうか。


○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 今回の改正は、より多くの国民の方々に候補者の政見がより効果的に伝わるようにするということ、これが主目的であるというふうに認識しているわけでございますが、その際に発生をする懸念、品位の保持というものをどのように担保するかと、こういう発想で制度を考えているところでございます。
 その基準といたしまして、先ほども申し上げましたけれども、現状、最も客観的で合理的と考えられる政党要件、これを使用させていただくことによりましてその対策にしようとするものでございまして、何も無所属候補の方々を一律にその品位保持に懸念があるというふうに申し上げているわけではないということは是非御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。


○井上哲士君 時間で終わりますが、結果的にはしかしそういう区別になっているということを申し上げまして、質問を終わります。

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