国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・196通常国会 の中の 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(参議院選挙制度①)

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会(参議院選挙制度①)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。共産党から引き続き質疑を行います。
 参議院選挙制度をめぐる二〇一四年十一月二十六日の最高裁判決は、都道府県単位で各選挙区定数を設定する現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法措置により違憲状態にある一票の較差の是正を求めました。
 ところが、前回改正では、自民党提案の法案によって、一部合区のみで都道府県単位の仕組みが残した、そして次回選挙までに抜本改正を附則で定めたわけであります。にもかかわらず、今回の改正案では、合区も残し、基本的な制度も維持をしたままの内容でありますが、なぜこれが抜本改革と言えるんでしょうか。


○委員以外の議員(石井正弘君) お答えをいたします。
 議員御指摘のとおり、平成二十七年公選法改正附則の検討条項、そこにおいて、選挙制度の抜本的な見直しについて検討を行い、結論を得ると、このようにされているところであります。
 同時に、地方公共団体の合区解消に関する決議、あるいはまた、現時点におきまして三十五もの県議会で採択された意見書の中には全会一致というところも幾つかあるわけでございますが、こういった中で、都道府県単位の地方の声を国政に届けられる選挙制度を望む地方の声、これにどのように応えていくかと、こういう重要な観点もあるところでございます。
 合区解消の問題、これも真剣に議論をしているところでございますけれども、憲法改正の問題、なかなかこれが時間的な制約もあって難しい現状の中で、我が党は、合区対象県を、これを拡大させずに、今回一票の較差が再び以前のように大きくならないように、埼玉県の選挙区、これを定数を二増加させるといったことで三倍未満に是正する。そして、比例選挙におきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、拘束式の特定枠を設けるといったことで、人口的に少数派とも言うべき条件不利地域も含めた地域の住民の生活や安全を守るという観点などからも、国政上有為と言い得る人材の当選の機会を高めるということを可能といたしまして、合区問題にある程度対応し得るものとして活用できるようにしたところであります。
 このように見ますると、地方の声、多様な声を国政に反映させるという参議院の在り方を踏まえて一票の較差を是正している本改正案は、次の通常選挙に向けましての一つの抜本的な見直しに当たるものと、このように考えているところであります。

○井上哲士君 今答弁の中で「合区問題にある程度対応する」と言われました。「ある程度」が何で抜本的なんですかね。協議会の中で、我が党も含めて、抜本的改革を通じて合区をなくすという様々な議論をしてきたわけですよ。それを結局合区は残してある程度対応したと。総理も、先ほどありますように、党首討論のときに臨時的措置と言われたものでありまして、およそ抜本案と言えるものではありません。
 この柱の一つが各党の比例名簿の上位に拘束名簿の特定枠を設けるものであります。合区で立候補できなかった県の候補者、議員を救済するためのものだとして、マスコミも、参議院の私物化に等しい、党の事情を優先、露骨なお手盛り、党利党略、裏口入学などなど報じました。国民からも批判の声が上がっております。
 山下議員の今の質疑にもありましたように、今の非拘束名簿方式は自民党が各会派の合意を無視して強引に導入したものであります。タレント候補など大量得票する候補者の得票を自民党の得票として数えられるようにしようと、こういう党利党略だったということが当時も指摘をされました。
 当時の自民党の提案理由説明は片山虎之助さんがされております。こう言っているんですね。候補者の顔の見える、国民が当選者を決定する選挙とする改革が必要だというものでありました。なぜ自らが必要な改革として提案をした国民が当選者を決定する選挙を政党が当選者を決定する制度にまた変えようというんでしょうか。いかがでしょうか。

○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答え申し上げます。
 非拘束式を拘束式に後戻りさせるというような御指摘でございましたけれども、結論から申し上げれば後戻りさせるものではございません。
 この非拘束名簿式比例代表制は、先ほど御指摘のありましたとおり、拘束名簿式が候補者の顔の見えない選挙、あるいは過度の政党化等々の批判があったことを踏まえまして、平成十二年の公選法改正により導入されたものでございます。
 今回のこの改正も、この非拘束名簿式を基本的に維持しながら、その一部につきまして補完的に拘束式の特定枠を設けることによりまして、非拘束名簿、それから拘束式名簿、この双方のメリットを生かしまして、多様な民意を国政に反映させるという比例代表選挙の目的、意義に合致するものでございまして、何もこの非拘束式が問題があるからというわけではない改正だということでございます。
 今、るる党利党略というような御指摘もございましたけれども、今回の我が党の案というのは都道府県単位の地方の声を国政に届けるということを趣旨としていることは申し上げているところでございますけれども、このことは、単に我が党だけではなくて、これはもう党派を超えた地方の声であると我々は認識しているところでございまして、地方六団体の決議もございますし、又は全国三十五の県議会から国会等に出されている意見書によってもこれは強く求められております。
 この県議会の意見書につきましては、自民党以外の幅広い賛同を得て採択されているわけでございまして、特に八つの県議会では全会一致で採択をされている意見書でございますので、こうしたことによりまして、我々は地方の声を真摯に受け止めて今回の案を出させていただいているということを御理解いただきたいと思います。
 以上でございます。

○井上哲士君 ですから、我々も合区は解消すべきだと言っているんですよ。しかし、合区解消するということと、こういう特定枠を設けることは違うんです。
 そして、今、多様な民意を生かすというふうに言われましたけれども、これ、理由にならないんですね。先ほど紹介した当時の自民党の提案理由説明では更にこう言っているんですよ。今日、国家的課題が山積し、国民の政治意識が急速に変化する中、国民の多元的な意思を政治に反映し、参議院の独自性を十分に発揮するために、選挙制度の改革はもはや先送りできない、国民に対して責任を負うべき与党といたしましては、これに真正面から取り組むべく、ここに現行の拘束名簿式を非拘束名簿式に改め、候補者の顔の見える、国民が当選者を決定する選挙とすることを決断をしたと、こう言っているんですね。つまり、当時も民意が多様化していると、だから政党が当選者を決めるのではなくて国民が決めるという改革が必要だというのが提案理由だったんですよ。
 同じ民意の多様化を理由として、今度は政党が当選者を決める特定枠を認めるというのは全く矛盾しているんじゃないんですか。全くの御都合主義じゃないですか。いかがでしょうか。

○委員以外の議員(古賀友一郎君) お答えを申し上げます。
 今、井上議員から御指摘がございました話でございますけれども、今回のこの改正の趣旨は、特定枠につきましてでございますけれども、例えば、これまでは全国的基盤を有しないがために当選が難しかった、こうした有識者の方もこういった特定枠を用いまして当選しやすくなる、そういった制度でございまして、そういった意味では、その参議院の多様性というものにつきまして更にこれを向上させていく、そういった機能を持つものでございます。
 そういった趣旨で導入するものでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。

○井上哲士君 ですからね、前回が多様な民意を反映するために国民が選ぶ非拘束にすると言ったんですよ。今全く逆のことをおっしゃったんですね。こういう有為な人が必要だと言えば政党として責任を持ってその人の有為性というのを全国の皆さんに知らせる努力をするべきなんですよ。それを特定枠でやるというやり方は、これは本当に身勝手だと思うんですね。
 そもそも、こういう案は前回の選挙制度協議会で、二〇一四年四月二十六日に提案された当時の脇座長の試案にもありました。ところが、こういう比例名簿順位を付けることもと希望する政党に可とするこの脇さんの案は、協議会を通じて積極的に推奨する声がなかったとして、九月十一日に一旦座長調整案で撤回されたんです。ところが、その後、十一月に選挙制度協議会に示された自民党の案の一つに、合区の導入とともに、希望する政党には比例順位を付けることも可とすると再び盛り込まれました。ところが、実際には、法案は他党と共同提案になって法案には書き込まれなかった。当時、自民党は単独過半数がなかった。
 今回、結局各党が自由に活用できると先ほどからおっしゃっておりますけれども、前回の協議会、今回の専門委員会を通じて、どの党からも推奨、賛同の声がなかった。自民党のみが求めてきた、そういう制度ではありませんか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 先ほど、参考人として御出席でありました当時の脇選挙制度協議会座長がお示しになった座長私案の中に、こうした特定枠に類似をした発想の拘束式の名簿を導入するという案が盛り込まれていたことは、私も当時から承知をいたしております。
 しかしながら、これは、座長私案の中に二十二府県十一合区という大変大きな、その後二十県十合区というときもありましたけれども、大きな合区案になって、これは現状の比例代表の選挙に余りにも大きな影響を与えるということで、我が党内でもそれに賛同する声は少なくて、また各派からも積極的に推奨する声はなかったというふうに承知しております。
 しかしながら、自民党としては、その後具体案を出す中で、極めて限定的に、合区をやむなくするときは一部順位付けを可とするという案を確かに盛り込んで、それがしかし実現をしなかった、これは委員のおっしゃる経過をたどったというふうに承知をいたしております。

○井上哲士君 各会派からの推奨がなかったのは、比例順位を付けれるということを選択できるようにすることについて、なかったから座長の調整案から外れたんですよ。そこなんです、外れたのは。じゃ、一体誰がこういうことを求めてきたのかと。
 合区を導入する前回の自民党の改正案について、当時の伊達参議院自民党幹事長が自民党の高知県連に説明に行ったときのことが当時の高知新聞で報道されております。それによると、伊達さんは、自民党は参議院で単独過半数を持っていない、最終的に合意案を決定したと述べますと、高知県連側は、合区が実施された場合、参議院比例代表の候補者の当選者を事前に決めておく拘束名簿式を導入して確実に県代表を選出するように求めたと、こういうふうにされているんですよ。
 つまり、自民党の高知県連、つまり合区対象の県連が確実に県代表を選出するために求めてきたと。しかし、前回自民党は単独過半数がなかったので法案には盛り込めなかった。今回は単独過半数を持ったので、合区により立候補できなかった議員候補者の救済という自民党の都合に合わせたものを盛り込んだと、これが実際の経過じゃありませんか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) この発想の源流が、私の知る限り、先ほど、参考人であられた脇雅史自民党参議院幹事長、協議会座長の発案であったように私は思います。
 この案は、結局前回はこれ法案に盛り込まれなかったわけでありますけれども、やはり合区、特に二県合区というものの弊害というものが様々際立って感じられる中で、地域の、地方の声として強い要請を受ける中で、今回改めてその意義というものに着目をし、また、併せて多様な民意を、少数意見、マイノリティーの声、あるいは多様性、ダイバーシティー、こういった現代的な要請にも応え得る案としてこれを御提案しているところでございます。

○井上哲士君 少なくとも、脇さんが協議会で発言した中に地方の声を取り上げるなんていう言葉はありませんでした。国政上有為な人材ということはあった。
 私、正直に答えてほしいんですね。先ほど紹介した二〇一四年十一月の自民党案には、「参議院創設以来はじめて若干の二県合区を行い較差を是正する。対象県には、身を切る改革となることにかんがみ、希望する政党には比例名簿順位を付けることも可とする。」と言われています。
 そして、このときに、十一月二十一日の選挙制度協議会、実は岡田直樹さんが発言をされておりますけど、こう言っているんですよ。希望する政党については比例名簿の上位の処遇もあるべし、すなわち、選挙区で立候補できなくなる人を比例名簿の上位にすることを、希望する政党に限って一部導入することを可とする考え方を示したものであると、あなた言っているんですよ。
 まさに、この制度によって立候補できなくなる議員や候補者を救済するための制度じゃないですか。正直に言ったらどうですか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 先ほど委員のお尋ねに答えて、我が党案、前回の二十七年改正のときの我が党案に、希望する政党においてはその比例の順位付けを可能とすべしと、することも可とするというふうに記載をした、そしてそのように私が申し上げたことは事実でございます。実りはしませんでしたけれども、今、新たな形で御提案を申し上げております。

○委員長(石井浩郎君) おまとめください。

○井上哲士君 かつて多様な民意を理由にして拘束名簿を導入して、今度は自分たちの都合のためにこういう新たな特定枠を盛り込むと。本当に身勝手な理由でやるような、こういう案は絶対認めることができません。
 そのことを申し上げて、質問を終わります。

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