国会質問

ホーム の中の 国会質問 の中の 2018年・197臨時国会 の中の 本会議(日欧経済連携協定(EPA)、日欧戦略的パートナーシップ協定(SPA)、日米貿易協議)

本会議(日欧経済連携協定(EPA)、日欧戦略的パートナーシップ協定(SPA)、日米貿易協議)


○議長(伊達忠一君) 井上哲士君。

   〔井上哲士君登壇、拍手〕

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 会派を代表して、日欧経済連携協定、EPA、日欧戦略的パートナーシップ協定、SPAについて質問します。
 まず、日米通商協議についてです。
 米国第一主義を掲げるトランプ政権が一方的な制裁をちらつかせて日本と二国間FTAを結びたいと迫る中、安倍政権は、日米間の通商協議、FFRに応じました。
 この協議について、六月の本会議での私の質問に、茂木大臣は、「FTA交渉でもなければその予備交渉でもない、双方の利益となるような様々な成果が考えられる」と答弁しました。
 ところが、結果はどうか。本年九月、米国との二国間貿易協議の開始に合意しました。米国は、物品貿易のみならず、非関税障壁など他の貿易、投資に関する事項でも二国間交渉を認めさせる「成果」を手にしましたが、日本は一体どのような「成果」を得たのですか。
 トランプ大統領は、「車にすごい関税を掛けると言ったら日本はすぐに交渉を始めたいと言ってきた」と経過を明らかにしています。交渉中は自動車に対する制裁を回避できたことを「成果」だというのですか。それは、一方的な圧力に屈したことを「成果」だと誇るに等しいではありませんか。認識をお聞きします。
 日米の合意内容のうち、物品交渉だけを切り出して、TAGなる造語を掲げ、あくまでFTAでないと言い張ることは、国民に対するごまかしであるのみならず、世界に通用するかが問われます。WTOの最恵国待遇の原則では、特定の国だけの関税を撤廃することはできません。その唯一の例外が自由貿易協定です。
 そこで聞きますが、FTAでないと言うのならば、日米交渉で米国に約束する内容は、最恵国待遇の原則に従い、全てのWTO加盟国に認めるのですか。日米交渉の結果がWTOに整合するかどうかを予断できないというのならば、FTAでないと言い張るのはやめるべきです。
 以上、茂木大臣の責任ある答弁を求めます。
 次に、日欧EPAについてです。
 日欧EPAは、農産品の八二%の関税撤廃を約束するものであり、日本の農業に大きな打撃を及ぼすことが懸念をされる内容となっています。中でも、政府が農産物のうち重要としてきた米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の五項目について見ると、米こそ除外したものの、その他の品目では、パスタ、チーズなどEUの強い分野でのTPP水準以上の譲歩を行うことを含めて、関税撤廃又は大幅削減を行うものとなっています。
 この結果を見れば、日豪EPA、TPPに続いて、守るべきものは守るとしてきたものは全く守られていないと言うべきではありませんか。
 日欧EPAが農産物、加工食品の輸入と国内生産にどのような影響を及ぼすかは、生産者のなりわい、生産地域の将来を左右する問題であり、消費者も含めて当然の関心事です。ところが、その影響に関する政府の試算には大きな疑問を持たざるを得ません。
 欧州委員会は、二〇一八年七月に公表したファクトシートにおいて、日本とのEPAの締結により、加工食品の対日輸出は五一%、十億ユーロ、約千三百億円増加するとし、特に乳製品の輸出については実に二一五%、七億二千九百万ユーロ、約九百四十八億円増加するとの試算を明らかにしています。ところが、日本政府の影響試算では、乳製品の国内生産の減少額は最大でも二百三億円とされています。両者の試算は全く懸け離れたものとなっており、日本政府の試算は「あまりにも楽観的過ぎる」との指摘が出ています。この声に一体どう答えるのですか。
 乳製品の生産額への影響は、キログラム当たりの単価でどうなるのですか。乳製品の輸入が欧州委員会のファクトシートが示す水準の増加になった場合でも、国内生産の減少額が政府の試算にとどまるのですか。だとすれば、国内市場の規模そのものの拡大を見込んでいるのですか。その場合、具体的な金額は幾らなのですか。生産者にとっては死活問題です。明確に答えていただきたい。
 国内の乳牛飼育戸数は二〇一一年の二万一千戸から一万五千七百戸まで減少し、乳牛頭数も大きく減りました。日欧EPAは、国内の酪農に一層深刻な打撃となることは避けられないのではないですか。
 政府は、EU向けの農林水産品のほぼ全品目で関税が即時撤廃されると、あたかも日本からEUへの農林水産物輸出が期待できるように説明しています。しかし、EUが設ける動物検疫等により、日本から輸出が禁止されている品目が少なくありません。その品目を具体的にお答えください。
 政府は、輸出解禁に向けて協議中としていますが、農水大臣は十月二日の会見で、まだまだ輸出が可能な状況となっていないと述べています。状況はどう変わっているのですか。
 以上、農水大臣の答弁を求めます。
 日欧SPAは、共通の関心事項に関する政治的な協力、四十に及ぶ分野別協力、共同行動を促進することにより、パートナーシップを強化することを目的として枠組みを設けるものです。
 外務省は、具体的な協力の在り方について、今後双方にて検討するとしています。重要なことは、コップが立派かどうかではなくて、コップにどんな水を入れるのか、つまり、どのような協力を実際に協議するようになるのかということです。
 SPAは、外交及び安全保障に関する政策について、相互の関心事項について、対話及び協力によりパートナーシップを強化することを想定しています。
 安倍政権は、二〇一三年十二月に策定した国家安全保障戦略で、「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場」を掲げ、欧州を「共に主導的な役割を果たすパートナー」と位置付け、「我が国の政策を実現していくために、EU、NATO、OSCEとの関係を強化する」との方針を明示しました。
 これに照らせば、本協定は、安倍内閣の「積極的平和主義」に基づく外交安全保障の施策を後押しするものになるのではないですか。
 EUとの間で、安全保障分野でどのような関心事項に基づき、いかなる協力を協議するつもりなのか。あわせて、日EU間の協力に地理的な範囲はあるのか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
 EUは、共通安全保障・防衛政策、CSDPに基づいて、軍及び文民による作戦能力を用いて、域外における平和維持、紛争予防、国際的な安全保障の強化に当たるCSDPミッションを設置し、昨年までに軍事作戦十三件を含む三十五件を実施しています。
 EUは、域外国との間でCSDPミッションに要員、装備等の提供を受けるための参加枠組み協定、FPAを結んでいますが、外務省としてどの国と結んでいると承知していますか。
 EUの駐日代表部の広報誌では、日本にもFPAの締結を提案をしたことを紹介をしています。日本政府はこの提案にどう臨んでいるのですか。
 SPA協定によって設立されることとなる合同委員会は、FPAの締結についても協議を行うことになるのですか。
 以上、外務大臣に明確な答弁を求めます。
 日欧EPAは、国民生活、とりわけ農業、酪農に大きな影響を与えるにもかかわらず、衆議院では野党が求めた連合審査も行われずに採決をされました。参議院では、連合審査も含めた徹底した審議を強く求めて、質問を終わります。(拍手)

   〔国務大臣河野太郎君登壇、拍手〕

○国務大臣(河野太郎君) 日EU・SPAと積極的平和主義の関係についてお尋ねがありました。
 本協定においては、国際及び地域の平和及び安全を促進するための協力やテロ等国境を越える脅威に対する協力などを規定しており、日EU間では、今後更なる協力を追求していく考えです。
 我が国は、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、本協定の下でのEUとの協力をも通じて、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していきます。
 EUとの安全保障分野における協力についてお尋ねがありました。
 日EU間では、安全保障分野において、これまでに、日本の経済開発援助とEUの共通安全保障・防衛政策ミッションとの連携や、海賊対処活動における共同訓練の実施といった協力が行われてきています。
 今後、このような実績も踏まえつつ、相互の安全保障上の関心事項について、更なる協力の在り方を適切な形で検討していく考えです。
 日EU間の協力の地理的な範囲についてのお尋ねがありました。
 本協定は、日EU間の将来にわたる協力の在り方や方向性を規定するものですが、平和及び安全の促進の分野等における協力について、地理的な範囲は特段設けられていません。
 EUが域外国と締結している共通安全保障・防衛政策ミッションの参加枠組み協定についてのお尋ねがありました。
 EUの公開情報によれば、EUはこれまで、米国、カナダ、韓国、豪州、アルバニア、ジョージア、アイスランド、ノルウェーなど、合計十八か国との間でCSDPミッションの参加枠組み協定を締結しているものと承知しております。
 EUとの参加枠組み協定の締結についてのお尋ねがありました。
 我が国は、これまで、EUとの間で将来的な共通安全保障・防衛政策ミッションへの参加の可能性について議論を行ってきています。
 同ミッションへの参加を検討するに当たっては、派遣の枠組み、派遣ニーズ、我が国の提供し得る専門性や派遣可能性など、様々な点を検討する必要があります。
 いずれにしろ、現時点では、参加枠組み協定の締結を含め、同ミッションへの将来的な参加については何ら決まっておりません。
 日EU・SPAの下で設置される合同委員会による参加枠組み協定に関する協議についてのお尋ねがありました。
 現時点で、参加枠組み協定の締結を含め、EUの共通安全保障・防衛政策ミッションへの将来的な参加については何ら決まっておりません。また、合同委員会は、本協定によって構築されるパートナーシップを調整することなどを任務としていますが、その個別具体的な活動の内容については、現時点で何ら決まっておりません。(拍手)

   〔国務大臣茂木敏充君登壇、拍手〕

○国務大臣(茂木敏充君) 井上議員から、九月末の日米合意の成果についてお尋ねがありました。
 九月末の日米合意は、日米交渉の最終的成果というより、今後、日米交渉を進めるに当たっての基本的枠組みやお互いの立場を確認したもので、具体的交渉はまさにこれからであります。
 また、物品貿易以外で何を対象とするかについては、私とライトハイザー通商代表との間で今後交渉し、合意したもののみが入ることになるので、現時点では何ら決まっているものはありません。
 いずれにしても、我が国として、いかなる国とも国益に反するような合意をするつもりはありません。
 次に、自動車に対する追加関税の回避についてお尋ねがありました。
 九月の日米合意では、日米は今後、信頼関係に基づき議論を行うこととし、協議が行われている間は共同声明の精神に反する行動は取らないことで合意をいたしております。これは、我が国の自動車に米国通商拡大法二三二条に基づく追加関税が課されることはないという趣旨であり、この点は首脳会談でも安倍総理とトランプ大統領との間で直接確認しているものであります。
 国益を懸けた具体的な交渉はまさにこれからでありますが、交渉のスタートに当たり、首脳間でこのような確認をすることができたことは大きな意義があると考えております。
 次に、日米物品貿易協定の性格及びWTOとの整合性についてお尋ねがありました。
 日米物品貿易協定の交渉は、基本的にグッズ、物品を対象とするものであります。その上で、これと併せて、早期に結論が出るものについても交渉することで合意いたしましたが、これは、例えば通関手続など貿易円滑化に関する措置など、物品貿易と同じタイミングで結論を出せるものに限定されると考えております。したがって、今回の合意は、これまで我が国が結んできた多くの経済連携協定とは異なり、サービス貿易全般をカバーするFTA、さらには、ルール分野も含む包括的FTAを前提とした合意ではありません。
 米国との交渉は今後行われるものであり、その結果について現時点で何ら決まっているものはありませんが、国益に沿った形でしっかりと交渉を進めてまいります。その上で、我が国として、いかなる貿易協定もWTO協定と整合的である必要があると考えております。(拍手)

   〔国務大臣吉川貴盛君登壇、拍手〕

○国務大臣(吉川貴盛君) 井上議員の御質問にお答えいたします。
 日EU・EPAの合意内容についてのお尋ねがありました。
 日EU・EPAにおいては、米は関税削減、撤廃などからの除外としたほか、麦、乳製品の国家貿易制度、豚肉の差額関税制度など基本制度の維持、関税割当てやセーフガードなどの有効な措置を獲得しました。
 このように、日EU・EPAにおいても、関税撤廃の例外をしっかりと確保し、農林水産業の再生産が引き続き可能となる国境措置を確保することができたと考えています。
 日本とEUの試算の乖離についてのお尋ねがありました。
 欧州委員会が本年六月二十九日に日EU・EPAの経済効果分析を公表したことは承知していますが、試算の前提や根拠が明らかでないため、本分析にコメントすることは差し控えます。
 日EU・EPA交渉では、関税割当てやセーフガード等の処置を獲得し、それでもなお残る農林漁業者の方々の不安を受け止め、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき万全の対策を講じていきます。
 今回の農林水産省の影響試算は、こうした点を十分に勘案し、適切に評価した結果であると考えています。
 乳製品の生産減少額の単価についてお尋ねがありました。
 乳製品は、その種類ごとに取引乳価も今回の合意結果による影響も異なることから、単純に生産額への影響をキログラム当たりの単価に換算することは適当ではないと考えています。
 このため、影響試算においては乳製品の種類ごとの減少額を示しており、例えばソフト系チーズと競合する国産チーズ向け生乳価格については、キログラム当たり四から八円下落するとしております。
 欧州委員会による試算と農林水産省の影響試算の関係についてお尋ねがありました。
 欧州委員会の試算については試算の前提や根拠が明らかでないため、同試算にコメントすることは差し控えます。
 なお、農林水産省の影響試算は、輸入量が増加するかどうかではなく、国産品が輸入品によってどの程度置き換わるかどうか、それにより意欲ある農林漁業者の方々が再生産できるのかどうかという観点から試算を行ったものであり、輸入が増えることを前提として試算をしたものではありません。
 日EU・EPAの発効による酪農への影響についてお尋ねがありました。
 政府においては、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、畜産クラスター事業等の体質強化対策、生クリーム等を加工原料乳生産者補給金制度の対象に追加するなどの充実した経営安定対策等、万全の対策を講じているところです。
 引き続き、酪農家の方々の不安や懸念を払拭し、新たな国際環境の下でも安心して再生産に取り組めるよう、対応してまいります。
 EU向けの輸出が禁止されている品目及び輸出解禁協議の進捗についてのお尋ねがありました。
 EUに畜産物を輸出できるようにするため、動物検疫協議を積極的に進めております。
 例えば、牛肉については平成二十五年から輸出が可能となっていますが、豚肉、鶏肉及び鶏卵については平成二十七年に、乳製品については平成二十八年に輸出解禁を要請し、EUと協議しているところです。
 今後とも、食品衛生を担当する厚生労働省と連携しながら、輸出解禁の早期実現に向け、積極的に取り組んでまいります。(拍手)

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