国会質問議事録

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予算委員会(台風19号被災者支援)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 大型で強い台風十九号は広範囲に甚大な被害をもたらしました。犠牲になった皆様に心からお悔やみを申し上げ、避難された皆さんに心からのお見舞いを申し上げるものであります。
 多数の河川が氾濫をして濁流が住宅地に押し寄せて、土砂崩れも相次ぎました。人命を最優先に救出、救援が急がれております。日本共産党は、この十九号が近づく中で対策本部を設けまして、国会議員、地方議員先頭に、今全国で現場で活動しております。
 私は、昨日の朝から、千曲川が決壊した長野市で、藤野保史衆議院議員や武田良介参議院議員、また長野の県議団、市議団の皆さんとともに決壊現場、そして被災した地域、避難所を回ってお話を伺ってまいりました。本当に深刻な被害であります。奮闘する自治体職員や消防、医療関係者、また災害救助活動の自衛隊の皆さんなどに心から敬意を表したいと思います。
 私たちは、これに万全を、当たるために予算委のこの延期も申し入れましたけれども、今日の開催となりました。そのさなかに、先ほどありました、自民党の二階幹事長が十三日の午後に、被害はまずまずに収まったという発言をされたことは、本当に憤りを感じております。余りにも実態と懸け離れていると言わなくてはなりません。しかしながら、開かれる以上は、被災者を励まして具体的な支援が進むものにしなくてはなりません。
 台風が強い勢力のまま接近をし、上陸をし、多くの地域で観測された二十四時間雨量は観測史上最大となりました。広い地域で同時多発をしていると。私は、この災害が従来と異なる様相になっている下で、被災者支援の仕組みもこれまでの枠を超えたものが必要だと思います。被災者の命を救うことを最優先にしながら、これまでの枠を超えたきめ細やかで迅速な支援を速やかに現場に届けて、心が折れそうになっている被災者の皆さんを一日一日希望を持って生きれるようにすることが必要かと思います。
 まず、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大型の台風十九号による記録的な大雨等により、東日本を中心に広い範囲で甚大な被害が発生し、今も数多くの被災者の皆様が避難所等で不安なときを過ごされています。
 政府としては、発災後の十三日には非常災害対策本部を設置をし、災害応急対策を強力に推進しているところでありますが、極めて広範囲に及ぶ今回の台風被害を踏まえ、被災者の生活支援を更にきめ細かく迅速かつ強力に進めるために各省横断の被災者生活支援チームを設置をしたところであります。このチームを通じて、電力や水道の早期復旧、被災者ニーズの把握はもとより、水、食料、段ボールベッド等のプッシュ型支援、避難所生活の環境整備、被災自治体への職員派遣、そして住まいの確保など、必要が生じる事柄を先取りをして、被災者の生活支援を政府一丸となって、そして迅速に進めてまいります。
 国としては、できることは全てやるという方針の下に、現場主義を徹底し、被災者の皆様が希望を持って前を向いて再建に取り組むことができるように一日も早い被災地の復旧復興に全力を尽くしてまいります。

○井上哲士君 できることは全てやると。本当にやっていただきたいと思うんですね。
 長野市では、昨日もまだ午前中も、ヘリによる、ヘリコプターによる救助活動が行われておりました。千曲川が決壊した長沼地域はやっと水が引いて立ち入れるような状況になりまして、私ども行きますと、消防団の皆さんも初めて入って、安否確認の最中でありました。土台だけ残して流された家も多く、電柱が倒れ、泥が堆積して歩くのもままならないと、こういう事態だったわけであります。長野市の長沼支所も被災をして機能しない下で自治体の、自治会の皆さんが声を掛け合って奮闘されておりました。
 独り暮らしの老人など取り残されている方もいないのか心配でありますが、被害状況の把握や救命救助活動がまずは最優先かと思いますが、この点での認識及び状況について防災担当大臣からお伺いします。

○内閣府特命担当大臣(防災)(武田良太君) 台風十九号による記録的な大雨等により東日本を中心に広い範囲で甚大な被害が発生したことを受けまして、私自身、十三日に長野県に入り、上空から千曲川決壊の状況を視察し、映像で見る以上の被害の大きさを実感するとともに、長野県知事そして長野市長から被害状況や様々な御意見を頂戴してまいりました。私の方から、知事、市長そして現地の関係者の方々には、とにかく人命第一、浸水地域の避難者の救助に国としても全力を挙げて支援する旨を申し上げたところであります。
 政府としましては、発災当初より、自衛隊、警察、消防等の救助部隊が夜を徹して懸命の救命救助活動や安否不明者の捜索に当たり、要救護者の転院搬送等を実施しておるほか、浸水被害の大きい地域において、安否確認を徹底するため戸別訪問等を行うローラー作戦も実施をいたしております。
 引き続き、人命第一で災害応急対応に全力で取り組みますとともに、被災地の課題やニーズの先手先手の把握に努め、できる限り早期の復旧に全力で努めてまいりたいと思います。

○井上哲士君 九死に一生を得た被災者がこの避難の中で健康を害し、命が脅かされるようなことは絶対あってはならないと思います。
 東日本の震災などを踏まえて、内閣府が二〇一六年に避難所運営ガイドラインというのを出しておりますが、ここでは健康維持のため避難所の質の向上を目指すとしておりますけれども、この基本的な考え方とか内容はどういうことになっているでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) 避難所における生活環境の改善、政府としても、被災者を支援する上で極めて重要であると位置付けております。
 昨日、御党志位委員長からも御連絡をいただきました。直ちに担当部局に指示いたしまして、温かい食事や布団でありますとか段ボール等のニーズを把握し、プッシュ型の支援の実施を指示したところであります。
 また、内閣府としては、引き続き、ニーズの把握というものに努めて被災者へのきめ細かな支援を行ってまいりたいと、このように思っているところであります。

○井上哲士君 このガイドラインでは、避難所というのは一たび災害が起こると被災者のよりどころになり、支援拠点になるという点で様々な方策を打ち出しております。これを生かしながら発展をさせていくことが必要かと思うんですね。
 今もありましたけれども、私も昨日、長野市の豊野西小学校の体育館、行ってまいりました。三百八十人の方が避難をされて、いろんな御要望を聞いたわけでありますが、まだまだこういうガイドラインの趣旨を一層徹底させていくことが必要かと思っております。
 それを基に、先ほど答弁もありましたけれども、我が党志位委員長が武田大臣に対して、避難所の生活に関わって、温かくバランスの取れた食事や飲料水の提供、それから布団や段ボール等の提供で暖を取れるようにすること、間仕切り等のプライバシーの確保を求めたわけでありますが、これに対しては具体的にどのような対応がされておるでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) 被災者に対するきめ細やかなサービスを提供するためにそうしたチームをつくり上げておりまして、その方々を通じて的確なるプッシュ型の支援体制を進めさせていただいております。
   〔委員長退席、理事山田修路君着席〕
 昨日も私の方から直接、各関係者の方にその旨を連絡しまして、どの避難所に何人おられるのか、そして医療面、そして食料面、水、そして暖を取るための布団も含めて、どういったニーズがあるのかということを的確に上げて、すぐに対応するように、プッシュ型支援の充実を図るように指示をいたしました。また、被災者の健康確保というものがこれ最も重要になってきておりまして、直ちに担当部局に指示をしまして、医療スタッフの派遣、インフルエンザ予防など、避難者の健康管理への対応を厚生労働省と連携するように指示をいたしたところであります。

○井上哲士君 今もありました、避難所での健康の問題というのは本当に深刻なんですね。
 私ども行きますと、前の日の晩は、いろんな近隣の地域の防災情報の関係で、Jアラートがもう響き渡るという中でなかなか一晩中寝られなかったというお声もお聞きいたしました。避難されている方の血圧を測りますと二百を超えるというような方々もいらっしゃったわけでありまして、本当に医療スタッフの派遣というものが必要だと思いまして、避難所での医療や保健体制の整備による健康管理は本当に重大であります。今御答弁がありましたけれども、更にこれを強化をしていただきたいと思います。
 その際、例えば避難をする中で、薬を持って出ることもできなかったとか、これが流されたという方もいらっしゃるわけですね。こういう方々も含めて、医療のきめ細やかな体制が必要かと思いますけれども、この点、改めていかがでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) お一人お一人の状況を踏まえた的確な判断が求められるわけでありますけれども、厚生労働省と連携をしながら万全を期してまいりたいと、このように思っております。

○井上哲士君 避難所の中は、避難初日は毛布一枚、冷え込んだために寒かったというお話も聞きました。まだ段ボールベッドもありません。間仕切りのパーテーションもないと。翌日から毛布は一枚増えたといいますけれども、まだまだ大変な状況があるわけでありまして、先ほどの出されました避難所運営ガイドラインなどをしっかり生かして、本当に被災者の皆さんの健康、そして希望を持って生きれる、そういう点での支援を一層強めていただきたいと思います。
 それから、非常に住宅地に流れ込んだ泥や災害ごみが深刻であります。本当に山と積まれるというような状況があります。多くの被災者の皆さんが避難所から自宅に戻って途方に暮れるという姿も随分見てまいりました。これは行政の責任でいち早く撤去をする、このことも必要かと思いますけれども、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(武田良太君) 泥や災害ごみの件でお尋ねがありました。
 宅地に流れ込んだ泥やごみの撤去については、まず消防等におきまして人命救助のために土砂の除去を行っていると認識をいたしております。また、自治体が主体となって撤去を行う場合の経費については災害救助法の対象となってくるわけであります。このほか、環境省の災害等廃棄物処理事業、国交省の堆積土砂排除事業の対象とされておりますけれども、ちなみに昨年の西日本豪雨の際には、両省の事業については、契約業者を分けることなく、包括的かつ速やかに土砂等の排除を実施できるよう運用の明確化がなされたところであります。今回の災害におきましても、この仕組みを利用して、両省が連携して泥や災害ごみの除去に取り組まれるものと承知しております。
 被災自治体と連携しながら、宅地に流れ込んだ泥や災害ごみの除去を速やかに開始できるよう、一日も早い被災者の生活再建に向け、一丸となって取り組んでまいりたいと思います。

○井上哲士君 昨年の経験も生かされて、こういう泥や災害ごみの撤去で各省庁の力を結集しながらやっていくということは是非進めていただきたいと思います。
 長野市の場合、市役所の支所が被害に遭ったところもあって機能不足になっておりまして、既に消防や医療など他県からの応援の車もたくさん来ておりましたが、職員も疲弊をしております。まだ十分ではありません。県との協力や、そして政府の職員も派遣をしてこれをしっかり支えるという点でも、最後、御答弁いただきたいと思います。

○国務大臣(武田良太君) 被災者へのきめ細やかな支援を迅速かつ強力に進めるために、各省横断の被災者生活支援チームが設置されました。被災自治体への職員派遣を始め、電力や水道の復旧、水、食料、段ボールベッド等、プッシュ型で支援しているところであります。
 現在、長野、福島、宮城、茨城、栃木、埼玉の六県に対し内閣府調査チームを派遣しているほか、各省から専門的な知識を有する職員を派遣し、被災地の課題やニーズの把握に努めているところであります。また、地方自治体間の人的支援につきましても、現時点で被災した九の市町に対しまして応援職員の、市と町ですね、応援職員の派遣を決定し、このうち長野市と佐野市、足利市におきまして、災害マネジメント支援等のための総括支援チームが活動を展開しております。
   〔理事山田修路君退席、委員長着席〕
 引き続き、国としてできることは全てやるとの方針の下、一日も早く安心して暮らせる生活を取り戻せるよう、全力を尽くしてまいりたい所存であります。

○委員長(金子原二郎君) 井上君、質問時間は終わっています。

○井上哲士君 必要なことは全てやると、この構えでやっていただきたいことを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○委員長(金子原二郎君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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