○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
まず、この後議題になる衆議院内閣委員会提出のギャンブル依存症対策基本法改正案、いわゆるオンラインカジノ法案について伊東担当大臣に聞きます。
二〇二四年の警察庁の委託研究の報告書では、国内でのオンラインカジノの利用者は約百九十六万人、利用経験者は三百七十七万人、年間の賭け金は一兆二千四百億円になるとされております。
で、どのように増えてきたのか。二〇二一年十二月十九日の日経新聞は、民間会社の調査結果によって、オンラインカジノへの日本からのアクセス数は、二〇一八年十二月は月間七十万回だったのに対して、二〇二一年九月は月間約八千三百万回と、百十八倍に膨らんだとしております。アメリカ、ドイツに次いで日本が世界第三位の規模になった。日本から利用すれば違法となる海外のオンラインカジノへのアクセス数が、約三年で百倍以上に急増したと。
なぜこの時点で政府による防止対策の強化が行われなかったんでしょうか、お答えください。
○国務大臣(伊東良孝君) 井上議員の質問にお答えします。
ただいまありましたが、政府におきましては、平成三十一年及び令和四年に閣議決定をいたしました基本計画、これにおきましても、違法に行われるギャンブル等の取締りの強化、これを盛り込み、警察庁によるオンラインカジノ等の取締りを進めてきたところであります。
具体的には、この間、違法なギャンブル等につきましては、賭客だけではなく、決済事業者やアフィリエイターを検挙するなど取締りを強化してきており、その結果、オンライン上で行われる賭博事犯の検挙人員は、令和四年五十九名、令和五年百七名、令和六年二百七十九名と増加傾向にあるわけであります。
しかしながら、近年、サイトへのアクセス数の増加とこれに伴う依存症の問題が強く指摘されておりますことから、本年三月に変更をいたしました基本計画において一つの節を新たに設け、警察による取締りの強化に加え、SNSなどを活用したオンラインカジノの違法性の周知、またフィルタリングの導入等によるアクセス対策等を盛り込み、対策を強化することとしております。
政府といたしましては、引き続き、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、基本計画に基づく取組を各省庁が密に連携しながら着実に実行してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 いろいろ言われましたけど、私、最初に紹介したような、物すごい規模での拡大にもう全く追い付いていないというのが実態だと思うんですね。
こういう急増の一つの問題として、同じ警察庁の報告書にあるように、違法オンラインカジノ利用者の四三%は違法と認識しなかったということがあるんですね。二〇一六年に、既にもうパチンコや公営ギャンブルによるギャンブル依存症が問題になっていたのに、安倍内閣が経済成長の起爆剤だといって、IR、カジノを解禁いたしました。私はこれが、カジノは刑法の賭博罪という意識を薄れさせてしまったのではないかと思っておりまして、このギャンブル依存症を防止するためにも、IR、カジノを今からでもやめるべきだと申し上げておきたいと思います。
今度の法案は、国内のものに対して、ウェブサイトやプログラムを用いた違法オンラインギャンブルの提供や、違法オンラインギャンブルの広告や誘導する情報発信を禁止をします。野放しになっていた違法オンラインカジノを抑止するものではありますが、一方、法案には罰則やプラットフォーム事業者への規制強化などの規定がありません。これで果たして実効性が上がるのだろうかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊東良孝君) 御指摘のこの法案は、議員立法として検討されているものと承知しているところであります。
そのため、政府としてコメントは差し控えたいと思いますが、その上で一般論として申し上げれば、オンラインカジノサイトを開設、運営する行為や、オンラインカジノサイトに誘導するための広告あるいはまた書き込み等が違法化され、現在インターネット上に蔓延しているそうした情報がなくなれば、オンラインカジノサイトにアクセスする人の数は減少するものと考えております。
また、政府といたしましても、まずは警察庁や総務省において、通信事業者等と連携して、今回整備される規定を着実に実施していくことが重要であると考えております。
なお、犯罪の抑止の観点から罰則の必要性等の御指摘があることは承知しておりますが、こうした罰則の整備等には様々な論点があることから、今回は緊急的に今できることを議員立法として取りまとめいただいたものと承知しております。
○井上哲士君 是非、実効性がどう上がっているのかよく見ながら、必要な強化をすることが求められていると思います。
さらに、外国との関係なんですが、十六日の共同通信の報道では、日本政府は、日本向けにサービスを提供するオンラインカジノサイトにライセンスを発行しているオランダ領キュラソーやマルタなど八つの国や地域に対し、日本からの接続を禁止するよう、日本政府が初めて対策の実施を申し入れたとしております。
法律成立後、改めてこれらの国に対策実施を要請するとも報道されておりますが、こういうオンラインカジノを合法としている国の政府から実際に具体的な協力を得ることができるのか、坂井国家公安委員長、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂井学君) 海外のオンラインカジノサイトにつきましては、当該国においてライセンスを得るなどして適法に営まれているものであっても、日本国内からこれに接続して賭博を行うことは犯罪となるところ、日本語に対応しているなど、我が国の国民を主たるターゲットとしているようなものは悪質であると認識をしております。
警察では、オンラインカジノ対策として尽くすべき手は全て尽くすという観点から、外務省と連携の上、日本向けのサービスを提供するオンラインカジノ運営事業者にライセンスを付与している外国政府等に対して、日本からのアクセスを禁止する措置を講じること、日本語によるサービス対応を行わないことなどを要請しているところでございます。
効果があるかという話は相手のある問題でありますから、具体的にいかなる措置がとられるかは予断することはできませんが、具体的かつ効果的な措置がとられるように、引き続き、外務省との連携を密にして粘り強く何度も働きかけを進めるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○井上哲士君 是非、効果が上がるような取組を更に求めたいと思います。
もう一点、伊東大臣に今日聞きますが、公営ギャンブルである競馬、競輪、競艇、オートレースの賭け金の売上げのうち、今やもう八割から九割がオンライン購入となっています。依存症の専門家は、このオンライン化がギャンブル依存の最も強いリスク因子の一つだと指摘をしています。インターネットやスマホでいつでもどこでも利用できるし、実際にお金をその場で賭けている感覚が薄いということでのめり込んでしまう、賭け金が大きくなるということになるわけですね。
公営ギャンブルのオンライン化の見直しや規制強化が必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。
○国務大臣(伊東良孝君) 御指摘のとおり、公営競技の売上げの八、九割がインターネット投票によるものとなっている中で、オンラインで行われるギャンブルには、これ、時間や場所を選ばずにアクセスできることや、あるいは実際に金銭を賭けている感覚が乏しくなるなど、ギャンブル等依存症につながりやすい特徴があります。
若年化が進んでいる等の指摘があることは承知をいたしているところでありますが、こうした状況も踏まえ、基本計画におきましては、アクセス制限等の利便性向上及び周知、またインターネット投票データ等を分析し効果的な対策につなげること、また、クレジットカード等の後払い決済の見直しの検討など、ギャンブルのオンライン化への対応を強化することといたしております。
政府といたしましては、引き続き、依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、国民の健全な生活の確保等を実現するため、基本計画に基づく取組を、これ、各省庁が密に連携しながら着実に実行してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 オンラインギャンブルが依存症につながりやすいという認識を持ちながら、一方で公営ギャンブルではこれだけオンラインが拡大をしているのがそのままになっているというのは、私これ矛盾だと思うんですよね。これ、しっかり取組を強化をしていただきたいということを重ねて求めたいと思います。
伊東担当大臣と参考人の方、この問題はここまでですので、結構でございます。
○委員長(和田政宗君) 伊東国務大臣と関連の参考人の方は御退席なさって構いません。
○井上哲士君 次に、大川原化工機事件で、警視庁公安部と東京地検の違法捜査を認定した五月二十八日の東京高裁の判決に対して、国と都が上告を断念したという問題について聞きます。
化学機械メーカーの大川原化工機の社長ら三人が二〇二〇年三月に外為法違反で逮捕、起訴され、約一年四か月後の二〇二一年七月の初公判の前の日に起訴が取り消されたということであります。大川原化工機側は、この逮捕、起訴が違法だったとして、同年九月に東京都と国に賠償を求める裁判を起こしました。先月二十八日に、東京地裁は二審判決で、警視庁公安部と東京地検の違法捜査を認定する判決を下しました。今月十一日に国と都は上告を断念して、約一億六千六百万円の賠償を命じた高裁判決が確定をしたと、こういう経過であります。
まず、国家公安委員長と法務副大臣、お聞きしますが、この判決をどう受け止めているのか、そして原告への直接の謝罪をするべきだと思いますけれども、それぞれいかがでしょうか。
○国務大臣(坂井学君) お尋ねの件につきましては、六月十一日、本件訴訟の当事者である警視庁が、上告等を行わないこと、当事者の方々に多大な御心労、御負担をお掛けしたことについて深くおわびすること、副総監を長とする検証チームを設置したことを内容とするコメントを発表するとともに、当事者の方々に今後直接謝罪する意向を示しているものと承知しております。
国家公安委員会委員長としても、警視庁公安部の捜査によって原告の方々を始めとする当事者の方に多大なる御心労、御負担をお掛けし、警察に対する国民の信頼を損ねたことは極めて遺憾であり、本件を重く受け止めております。
○副大臣(高村正大君) お答えいたします。
御指摘の国家賠償請求訴訟については、判決内容を精査し、国として上訴しないことといたしました。検察当局においては、本年六月十一日、第一審に続き控訴審においても検察官の勾留請求及び公訴提起が違法であると判断されたことについて真摯に受け止めた上で、大川原化工機株式会社及びその関係者の皆様方に多大な御負担をお掛けしたことについておわびを表明、おわびの意向を表明するとともに、今後、最高検において検証を行う予定である旨のコメントを公表したものと承知をしております。
その上で、判決の受け止めについてのお尋ねは、検察当局の活動内容に関わる事柄であり、法務副大臣としての私としての所感は申し上げることは差し控えますが、あくまで一般論として申し上げれば、検察の活動は国民の信頼の上に成り立っており、検察権の行使の適正さに疑いが生じるようなことがあれば検察の活動の基盤を揺るがしかねない、このように考えております。検察の活動が適正に行われ、かつその適正さを国民に正しく理解、御理解いただき、国民の信頼という基盤に支えられ続けるためには、「検察の理念」を踏まえた職務の遂行が徹底される気風を保ち続ける努力をすることが重要である、このように考えております。
また、御指摘の謝罪についてでございますが、検察当局においては、原告の方々の御希望や御都合を丁寧に確認しながら、可能な限り速やかに東京地検のしかるべき立場の者において謝罪させていただきたい旨の意向を原告の方々に伝達したものと承知をしております。
今後、検察当局において原告の方々の御希望や御都合を踏まえ適切に対応するものと考えておりますが、いずれにせよ、私としては、検察当局の対応を関心を持って注視していきたい、このように考えております。
○井上哲士君 今回と同様に、公安警察が断罪された岐阜県の大垣警察による市民監視事件の名古屋高裁判決でも、県側が上告を断念し、判決が確定をしたわけですね。
私、昨年十二月十九日の当委員会でこの問題ただしましたけれども、当時の警察庁の答弁は、重く受け止めるとしつつも、何で敗訴したかという要因は、警察の情報活動、収集活動という事柄の性格上、岐阜県警察からその目的、対応などを明らかにすることができなかったことにあるという答弁だったんですよ。つまり、市民の個人情報を無断で収集し、第三者に提供したことへの違法性についての全く反省がなかったと、裁判対応の問題だったということなんですね。その公安警察がまたしても違法判決を受けたということです。
ただし、今回は、この検証チームをつくって検証するという点では問題点が大きいということを警察自身も認識をされていると思うんですが、じゃ、どういう姿勢でやるのかということが問われているんですよ。
先ほど紹介のあった警察庁の六月十一日の通達でも、緻密かつ適正な捜査の徹底についてと題しているんですね。問われているのは、緻密だったか、適正だったか、そういう問題じゃないんですよ。警察という組織全体の捜査の在り方が問われていると思うんですね。
判決では、警察庁公安部が、この噴霧乾燥機が輸出規制対象に当たるかどうか必要な追加捜査をせず、合理性を欠く法令解釈をした上、問題点を指摘されても再考しなかったなど、犯罪の成立に関する判断に問題があり、合理的根拠の欠如が明らかにもかかわらず逮捕したことは違法だと判示しました。さらに、元役員の供述を誘導し、偽計的な方法で署名させるなどした警察官の取調べについても違法としました。
国家公安委員長、お聞きしますけど、裁判では、この捜査に関わった公安警察官が事件は捏造だと裁判で証言したんですよね。これ緻密とか適正な捜査という話ではなくて、ありもしない事件を捏造したんではないかと、このことからしっかり検証しなくちゃいけないと思いますけれども、国家公安委員長、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂井学君) 六月十一日の御指摘の通達につきましては、警察庁から都道府県警察に対して、警察として今般の判決を重く受け止める必要がある旨とともに、改めて適正かつ緻密な捜査活動の必要性を職員に認識させること、捜査を行うに当たっては本部長等を始めとする幹部が十分な捜査指揮を行うことを指示したものと承知しております。
判決では捏造等の言及はないと承知しておりますが、警視庁においては、副総監を長とする検証チームを設置し、捜査上の問題点を検証し、再発防止策を取りまとめるものと承知しております。
警察庁としても、警視庁の検証の結果も踏まえ、今後の捜査における留意点や再発防止策を取りまとめ、追って各都道府県警察に対して必要な指示を行うこととしているものと承知しております。
○井上哲士君 どうも人ごとのように聞こえるんですよね。
裁判では、この犯罪事実の合理的根拠もないまま逮捕、起訴に突き進んだ背景について、捜査に関わった公安警察官が、捜査の決定権を持つ人の欲でやっていると証言をしているんですね。緻密かつ適正な捜査を検察上層部が手柄欲しさにねじ曲げたんではないかという問題なんですよ。しかも、警視庁公安部は、この件で警察庁長官賞それから警視総監賞を受賞するなど、高い評価まで当時受けたわけですよね。
私は、警察庁自身の検察、責任は免れないと思うんですね。警察庁自身がどうだったのか、自ら検証を行うべきではないでしょうか。公安委員長、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂井学君) 本件検証につきましては、捜査を行った警視庁において、東京都公安委員会の管理の下、副総監を長とし、公安部門ではなく監察部門を主体とするチームにより、公正性、中立性に十分留意して進められるものと認識しております。
もっとも、警察庁においても、警視庁における検証がしっかりと行われるよう必要な監督を行っていくとともに、警視庁における検証の結果を踏まえつつ、改めて公安部門における捜査上の留意点やこの種の事案の再発防止策を取りまとめ、都道府県警察に対する指導を更に徹底していくものと承知しております。
私、国家公安委員会委員長としても、検証の状況について必要な報告を受け、指導を徹底していくこととしております。
○井上哲士君 やっぱりそれにとどまらないと思うんですよ。
これは警察庁にお聞きしますけど、二〇二一年の七月に東京地検が起訴を取り下げた翌月に、警視庁公安部は異例の事態となった捜査の問題点を検証しようと事件を手掛けた捜査員を対象にアンケートを実施したけれども、警察庁から破棄するように命じられたと、このように報道されています。実際に破棄をされています。
警察庁としては、こういうアンケートが行われたという事実は認識しているのかが一つ。それから、その後、この警視庁の公安部は警察庁から破棄を命じられた事実はないと記者会見では説明をしておりますけれども、実際どうだったのか。警察庁がこの問題にどう関わっているのか、これはしっかり検証していただきたいと思いますけれども、警察庁はいかがでしょうか。
○政府参考人(筒井洋樹君) お答えをいたします。
お尋ねのアンケートにつきましては、本件が公訴取消しとなったことを受けまして、当時の警視庁外事第一課長が当時の捜査状況を把握するなどのために当該捜査に従事した捜査員らを対象に意見聴取を行ったものと承知をしておりますが、警視庁におきましては、昨年十二月、お尋ねのような警察庁の指示を受けて廃棄した事実はない旨、報道からの御質問にお答えする形で説明をしたものと承知をしております。
いずれにいたしましても、警視庁におきましては、副総監を長とする検証チームを設置したところでありまして、捜査上の問題点の検証や再発防止策の取りまとめを十分なものにするとの観点から、現在、具体的な進め方等について検討しているものと承知をしております。
○井上哲士君 つまり、やっぱり警視庁は、そのときにですね、問題があったということでアンケートをわざわざ取ったと。そうやってやったものを何で破棄したのかと。やっぱり上から言われたんじゃないかと、そういう疑い出るわけですよ。そして、記者会見でわざわざそういうことはなかったと言っていますけど、言わされたんじゃないかという疑念もあるわけです。それは、やはり警察庁自身の問題としてしっかり検証してもらわなければ、結局根絶することはできないということを強く申し上げたいと思います。
この問題一つ見ましても、身内による検証では警察の信頼は回復できないと思います。このような冤罪の事件を二度と再び繰り返さないために、警察の検証チームにとどまらない第三者機関による検証を行うべきではないかと思いますが、坂井国家公安委員長、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂井学君) お尋ねの件につきましては、警察の民主的運営を保障し政治的中立性を確保するため、都民を代表する独立の合議体として設置された東京都公安委員会の管理の下、警視庁において、副総監を長とし、公安部門ではなく監察部門を主体とするチームにより検証が行われるものと承知をいたしておりまして、本件調査は公正性、中立性に十分留意して進められるものと認識をしております。
○井上哲士君 監察部門といいますけれども、やはり警察庁の内部なんですね。やはり身内での検証は不十分にならざるを得ないと思います。
裁判で公安警察官が、事件は捏造だという証言に対して公安部側は壮大な虚構だと、こういうふうに裁判でも言ったわけですよ、罵ったわけですよ。しかし、それが高裁判決でまさに違法だったというふうに認定された。こういう経過を見れば、自浄能力が私はないのは明らかではないかと思います。重ねて第三者機関による検証を求めたいと思います。
最後に、もう一回法務副大臣にお聞きしますけれども、この判決は、検察官の起訴について、有罪と認められる嫌疑がなく、勾留請求も合理的根拠がないことが明らかであり違法というふうに判決を下しております。こうした違法な勾留が続けられて、その下でがんと診断をされた相嶋さんが亡くなったわけですね。
相嶋さんは東京拘置所内で体調を崩して、二〇二〇年九月十五日には拘置所内で輸血処理を受け、処置などを受けるなどしたために緊急の治療の必要性を理由に弁護側が保釈請求しましたけれども、検察官は保釈に反対しました。裁判官も保釈請求を却下しました。さらに、十月七日に、拘置所内の医師による診断検査で胃に悪性腫瘍があると判断をされました。しかし、十一月五日に勾留執行停止がされるまで入院もできずに、翌年の二月の七日に亡くなったわけですよ。
ですから、違法な勾留請求を続けたことによって、助かったかもしれない命が奪われたと、そういうことになったんだという認識が検察にあるのかと、この問題をしっかり検察が検証すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○副大臣(高村正大君) まず、相嶋静夫さんが亡くなられたことについて謹んでお悔やみを申し上げたいと、このように思います。
その上で、御指摘の勾留に関する事柄については、個別事件における検察当局の活動内容や裁判官あるいは裁判所の判断に関わる事柄であることから、法務副大臣として所見を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
本件については、今後、最高検察庁において客観的な本件の事実経過に即して所要の検証が行われ、本件の問題点等について分析がなされるものと承知をしております。そして、その検証に当たっては次長検事を実施責任者とし、最高検公安部を中心に体制をつくった上で必要な調査検討が行われるものと承知しております。
いずれにせよ、法務副大臣としての私としても、検察当局の対応について強い関心を持って注視していきたい、このように考えております。
○井上哲士君 事前に法務省から来てもらって説明聞きますと、この相嶋さんの問題で、勾留執行停止をして治療を保障したということを言われたんですね。これ、とんでもない話なんですね。十月十六日に勾留執行停止が認められて大学病院を受診して、進行胃がんと診断されたんです。しかし、勾留執行停止状態での入院、手術はこの病院では受けられなかったんですね。その後、弁護側が改めて保釈請求しましたけれども、それも認められなかったと。その後、勾留執行停止状態でも入院、手術の受入れが可能な病院を探し出して、やっとそこに入院できたけれども、その三か月後に亡くなったんですよ。
ですから、やっぱり検察の対応が治療の機会を奪ったと、これは、私は明らかだと思うんですね。そのことを、結局保釈請求を認めなかった、却下した裁判所も、私は自ら検証してもらう必要があると思うんですけれども、この大川原社長らの身柄拘束は三百三十二日間に及んでいるんです。不当な長期拘束の背景には、罪を否認すると保釈されにくいという、いわゆる人質司法という問題があるわけですよ。
私は、やっぱりこういう問題も含めてしっかりとした検証をして、がんと診断されながらこの保釈がされずに、必要な治療も受けずに命を落としたということを、深くその反省を胸に刻んだしっかりとした検証をし、人質司法そのものもただしていくということを強く求めまして、終わります。
内閣委員会(オンラインカジノ問題、大川原化工機えん罪事件)
2025年6月17日(火)