○井上哲士君 日本共産党を代表し、独立行政法人男女共同参画機構法案及び関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。
法案は、女性教育の振興を通じた男女共同参画社会の形成の促進を目的とする国立女性教育会館を廃止し、内閣府所管の男女共同参画機構を設立するものです。その際、現在の国立女性教育会館、NWECの宿泊棟、研修棟、体育施設等を撤去します。また、これまで地方自治体が条例等で設置してきた男女共同参画センターについて、その体制確保を努力義務として法定します。
NWECの教育研修事業の目的は、女性のエンパワーメントにあります。NWECで宿泊研修を受けた男女共同参画センターの職員の方々からは、自然豊かな環境の下、ゆったりと過ごす時間の中で、女性たちは自分を見詰め、他者から学び、お互いの成長を喜び合いました、宿泊棟、研修棟なくしてこの豊かな女性教育の蓄積は得られなかった、男女共同参画社会をつくるという熱い思いを持っていらっしゃる全国のセンターの人たちと出会うことで、地元に戻って、さあ仕事をしようと前向きな気持ちになりました、NWECは、全国のセンター職員の人たちが力を付けるだけでなく、元気をもらう場所とおっしゃっています。
このように、研修施設と宿泊施設が一体となったNWECならではの充実した研修が全国各地で男女共同参画の取組を進める専門人材を育ててきました。また、NWECでは、アジアの近隣諸国の女性政策担当官やリーダー層と人的ネットワークを築き、政策形成に寄与するなど、宿泊型の国際研修も行われてきました。NWECの宿泊研修施設の撤廃は、これらを困難にし、法案が掲げる機能強化に逆行するものと言わざるを得ません。
政府は、維持管理等に年間数億円掛かる一方、施設利用率が低迷していることや老朽化を理由に挙げておりますが、運営費交付金を減らし続けてきた政府の責任こそ厳しく問わなければなりません。
女性版骨太方針二〇二五や新・女性デジタル人材育成プランは、女性に対するエンパワーメントよりも経済界の求めるデジタル人材の育成に機構と男女共同参画センターを活用しようと考えているとしか思えません。法案によって機構の中期目標、中期計画が内閣府の管理監督を受けることになれば、女性教育の位置付けが後景に追いやられかねないとの懸念は拭えません。法案は、男女共同参画の促進にとって基盤となる女性教育やNWECが果たしてきた国際貢献分野の取組も後退させるものと言わざるを得ません。
なお、修正案は、機構の廃止も含めた検討規定を設けるものであり、賛成できません。
以上です。
内閣委員会(男女共同参画機構法案に対する反対討論)
2025年6月19日(木)