活動日誌

ホーム の中の 活動日誌 の中の 憲法・民主主義・政治とカネ

「憲法・民主主義・政治とカネ」の記事

 学術会議参考人.JPG午後からの内委員会で日本学術会議法案の参考人質疑。学術会議法学委員長の川嶋四郎同志社大教授はナショナルアカデミーとして必須の五要件が法案では損なわれるとし、政府から独立した今の学術会議が「存亡の危機に直面している」と強調。法案に反対だからこそ総会で修正を求める決議を上げたと述べられした。
 委員会の最後に立憲民主党から修正動議が提出され、その趣旨説明が行われました。終了後、緊急院内集会で挨拶。与党は明後日の5日にも採択する構えでしたが、今日の理事会では5時間の審議の提案のみで採決提案はなし。
IMG_3726.JPG大量のFAXをはじめ、世論と運動の広がりが採決提案を阻みました。しかし、5日の朝にいきなり提案して強行する恐れも。「採決するな」「廃案へ」と声をさらに広げようと呼びかけました。
 今朝は8時から「ミャンマー民主化を支援する議員連盟」の総会。全駐ミャンマー日本特命全権大使の丸山市郎を迎えて現地の情勢や課題をお聞きしました。前大使ならではのお話が聞けました。
〇以下、6/4しんぶん赤旗記事
参院内閣委員会は3日、日本学術会議解体法案の参考人質疑を行いました。学術会議法学委員会委員長の川嶋四郎氏は、政府から独立した現行学術会議は「存亡の危機に直面している」として抜本的修正を要求し、同会議3部(理学・工学)前部長の吉村忍氏は、修正できないのであれば「審議をいったん中断しゼロから検討すべきだ」と主張。両氏は、国を代表するアカデミーの要件を備えていない法案による「新たな学術会議」では「会員を引き受ける科学者がいるのか」と危惧し、国家的損失だと政府案を厳しく批判しました。
 法案は、国の特別の機関である学術会議を特殊法人化し、首相任命の監事など政府の監督下に置くための仕組みを新設。現行の全額国庫負担はなくなり政府裁量で補助金額が決まります。これに対し学術会議は4月の総会で懸念を表明し、活動や会員選考の独立性、国庫による安定した財政基盤などナショナルアカデミーに必須の5要件を充足する修正を求める決議と声明を採択。しかし国会審議で坂井学内閣府担当相は「学術会議は法人化や法案には反対していない」などと答弁しています。
 これに対し内閣委で川嶋氏は「私たちは5要件を具備した法人化には反対しないという立場で、(5要件を満たしていない)法案に反対しているからこそ総会で決議を可決した」と反論し、坂井担当相の答弁は「虚偽とさえ言える」と批判。吉村氏は、多忙な非常勤の会員から構成され、公益を目的とする学術会議が、企業からの資金獲得に奔走するのは「非現実的だ」と指摘しました。
 日本共産党の井上哲士議員は「平和的復興」など学術会議の使命を宣言した現行法の「前文」が削除されている問題を質問。川嶋氏は「政府依存型のナショナルアカデミーにつくりかえることが象徴的に表れている」と述べました。
 政府側が現行の設置形態のままでは「政府への忖度(そんたく)が働く」と強調していることに関し、井上氏に問われた吉村氏は、学術会議の提言や声明などに、政府は無視や反発、受容などさまざまに反応していると主張。これは「学術会議が政府への忖度なしに審議してきた結果だ」と述べました。
 501203269_2997084167116698_4370457397615837991_n.jpg内閣委員会で日本学術会議法案の質疑。首相の任命は形式的なもの」という確定した法解釈を政府が一方的に変更して六人を任命拒否した問題で、解釈変更の検討経過を示す行政文書の黒塗り部分は非開示のままです。
「国会で答弁した解釈を後から一方的に変更したら国会審議は無意味になる」と坂井大臣を追及。審議の前提として黒塗り解除を求めました。坂井大臣は「特定のイデオロギーを繰り返す会員をこの法案で解任できる」との答弁を「解任するのは学術会議。解任条項は現行法にもある」と言い訳。
501078022_2997085923783189_7368929820887799483_n.jpg「現行法の解任は『犯罪等の場合』とされてきた。政治的理由で解任できるという発言自体が、政府に気に入らない人物を排除する圧力だ」と追及。さらに「科学者の総意」、「平和的復興」などの前文が削除された問題で坂井大臣とともに光石・学術会議会長に質問しました。
 終了後、議員会館前の「人間の鎖」に参加して、今日の質疑を報告し廃案へさらに声を広げようと訴え。来訪された。京都のきょうされんの皆さんから要望書を受け取りました。
 学術会議.jpg日本学術会議法で本会議質問にたちました。まず質したのが安倍・菅政権による6人の任命拒否。その根拠となる2018年の政府内の文書は、「総理の行うのは形式的任命」という法解釈を国会にも秘密に一方的に変更したもの。東京地裁はその文書の黒塗り解除を命じました。開示もせず、任命拒否の理由も示さないまま、法案審議に入れないし、そもそも政府に法案提出の資格がないと批判しました。
 さらに坂井担当大臣の「この法案で特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる」という衆院での答弁が、政府の意にそわない学者は排除するという狙いを明らかにしたと指摘。 法案が学術会議を軍事に動員するために独立性を奪い政府の意に沿う組織に作り替えるものだとして廃案を主張しました。
 28355.jpg終了後、議員会館前での学術会議法案の廃案を目指す「人間の鎖」行動に参加し、本会議質疑の報告をしました。
 午後は、明日の内閣委員会での学術会議法案の質問のため、政府からレクをうけ原稿の仕上げ。さらに徹底追及します。
 内閣委.JPG内閣委員会でAI推進法案について、AIによる人間評価・選別でのブラックボックスやバイアスによるリスクへの認識や対応を質しました。もっぱらガイドラインによる企業任せになっていることを指摘し、EUやアメリカのいくつかの州での法規制を示し、第三者機関によるチェックや法規制の強化を求めました。
 委員会終了後、京都と富山の民医連の皆さんが来室。看護職員養成と定着のための施策の抜本的強化を求める要請書を受け取り懇談しました。多くの医療機関が経営危機に陥り、他産業平均や物価高に見合った賃金増加や処遇改善の原資が生み出せなくなっています。
 そのもとで看護職員の離職が増加するなど、慢性的な人手不足に拍車がかかり病床稼働に重大な困難をもたらしている現場の状況などお聞きしました。国の対策の転換は待ったなしです。
 IMG_3631.JPG夜は、日本学術会議法案の参院での廃案めざす緊急院内集会。閉会挨拶で紹介された「書物を焼くものはやがて人を焼くだろう」というハイネの言葉が印象的でした。政府の気に入らないものは排除して学問の自由を奪い、軍事に動員するという法案の狙いは衆院の審議の中で浮き彫りになりました。
 集会では学術会議の梶田前会長、広渡元会長、任命拒否をされた加藤東大教授ら7人がアピール。私も「今を新しい戦前にしてはなりません」と廃案に向けて奮闘することを誓いました。
IMG_3584.JPGフ~。怒涛の一日でした。午前中の本会議でAI推進法の質問と能動的サイバー防御法案の反対討論に立ち、午後には拉致問題特別委員会で質問しました。
 AI推進法の質問では、推進一辺倒でAIによる様々な問題への対策や規制がないことを指摘し「いま必要なのは、AIの発展と普及のスピードに遅れることなく、国民の権利・利益保護を強化し、AIのリスクに応じた規制を行う包括的対策法だ」と強調しました。
 反対討論では「能動的サイバー防御」の名の下に国民の個人情報を幅広く政府が収集し、先制攻撃になりかねない措置も可能にすることを批判しました。
25.5.16サイバー本会議.jpg本会議登壇二回というのは二度目ですが、さらに委員会質問というのは初めてのこと。他党の皆さんからも「今日はお疲れさまでした」と声をかけられました。
 
 昨日も内閣委で2回の質問と討論。今週は委員会質問・討論5回、本会議登壇2回でした。拉致特の後に、来週のAI推進法の委員会質問のために内閣府、厚労省、個人情報保護委員会からレクを受けました。来週は政治改革特別委もあり、委員会質問三回。土日は各地を回ります。

能動的サイバー防御法案の討論採決が内閣委員会で行われ、反対は共産党とれいわ。賛成多数で可決しました。それに先立ち、担当の平大臣への質疑と石破首相への質疑の二ラウンドが行われました。

 委員会終了後、明日の本会議での反対討論とAI推進法の質問及び午後の拉致問題特別委員会での質問の準備や通告。今日、明日の二日間は超ハードです。

〇以下、しんぶん赤旗の記事です。

能動的サイバー防御法案が15日の参院内閣委員会で、自民、公明、立民、維新、国民民主の賛成多数で可決しました。日本共産党と、れいわ新選組は反対しました。

 日本共産党の井上哲士議員は反対討論で、▽憲法が保障する通信の秘密の侵害▽通信情報の目的外利用、国民監視▽警察による「アクセス・無害化措置」の令状なしでの実施▽日本を戦争に巻き込む―などの危険を指摘しました。

 質疑で井上氏は法案について、国民の広範な通信情報を政府が取得でき、取得の対象外とされている内内通信=国内同士の通信を今後取得・分析する可能性も政府は否定していないと告発し、「仕組みがいったんできあがれば、通信情報の範囲や利用が、どんどん緩和される」と警告。石破茂首相は「通信の秘密」に対する制約は「必要やむを得ない限度にとどまる」と従来の答弁に終始しました。

 法案は、協定によらない通信情報の利用はサイバー被害防止に「やむを得ない」ことを要件とする一方、基幹インフラ事業者等との協定による利用には同要件がありません。協定のあるなしで「同じ要件を定める必要があるとは言えない」と開き直った内閣官房の小柳誠二審議官に対し井上氏は、首相の言う「必要やむを得ない限度」の要件を満たしていないと批判しました。

 在日米軍へのサイバー攻撃に対し日本が、米軍が交戦中であっても相手国に「アクセス・無害化措置」を行うとした平将明デジタル相の答弁について、相手国から参戦と見なされる危険があり「意図しない武力行使やエスカレーションといった重大な結果をもたらす」と強調しました。

 IMG_3570.JPG内閣委員会で、能動的サイバー防止法案の参考人質疑。4人の参考人の一人の前日弁連副会長の斎藤裕弁護士は、当事者協定により一方の当事者の同意のみでの通信情報の利用が通信の自由の侵害の恐れがあると指摘。情報の目的外利用を許容する規定は削除すべきと述べられました。
 参院野党国対が開かれ、今後の審議日程や政倫審の今後の進め方など意見交換。衆院で12日に開かれる予算委集中審議について参院でも与党に求めることなど確認しました。
495572651_2974028449422270_1850233042857673686_n.jpg 「学術の終わりの始まり」にするな! ----GW明け初日の今日は、議員会館前でとりくまれた学術会議解体法案に反対する「人間の鎖」に本村、堀川両衆院議員と共に参加しました。
 学術会議法案は衆院内閣委員会で午前中は参考人質疑、午後は対政府質疑が行われました。会館前のリレートークで訴えた後、「戦争への道許さない」「法案は廃案へ」と声を上げ、人間の鎖を作って国会を包囲しました。
 朝は7:30から日弁連の役員の皆さんと国会議員団との恒例の朝食懇談会。民事法律扶助の課題など日弁連から提起があり、後半国会の最重要課題である選択的夫婦別姓や再審法の問題などで率直な意見交換ができました。「憲法価値の実現」という点で共通の土台があることが語られ、「様々な課題での日弁連の声明を一番愛読し、活用しておられのは日本共産党のみなさん」との言葉も。大いにエールもいただきました。
 4026.jpgNHKの「憲法記念日特集」に出演し、憲法改定や「SNS時代の選挙の在り方」について各党代表と議論。「今、必要なのは危機をあおって改憲論議を進めることではなく、憲法原則に沿ってそれに反する政治の現実を変えること」と強調し、消費税減税や選択的夫婦別姓、大軍拡の中止と九条生かした平和の外交こそ進めるべきと主張しました。
●四日付けの「しんぶん赤旗」記事
日本共産党の井上哲士参院議員は3日、NHK番組「憲法記念日特集」に出演し、憲法改定や「SNS時代の選挙の在り方」について各党代表と議論しました。
 井上氏は昨年の総選挙後の世論調査で、取り組んでほしい政策として憲法改定を挙げたのは3・3%だったとし、「今必要なのは危機をあおって改憲論議を進めることではなく、憲法原則に沿ってそれに反する政治の実態を変えることだ」と訴えました。
 自民党の逢沢一郎選挙制度調査会長は、9条への自衛隊明記や緊急事態条項創設などを挙げ、「できるだけ早いタイミングで憲法改正の発議」をと主張。日本維新の会の青柳仁士政調会長も9条への自衛隊明記に言及し「自民党とほぼ同じ意見」だと述べました。
 選挙でのSNSの活用と規制の在り方を巡って井上氏は、有権者が気軽に発信し選挙に参加する上でSNSは非常に重要なツールだと強調。偽情報等の問題は、参政権と表現の自由を保障して国民の声が正確に政治に反映されるようただす中で対応すべきとし、選挙活動の自由の拡大や民意をゆがめる小選挙区制や高すぎる供託金の見直しなどを訴えました。
 ネット上にある偽情報に対抗する手段が現行の公職選挙法で非常に限られ、選挙期間の短縮や立会演説会の減少、テレビにおける選挙報道の減少などの中で検証や反論がされず垂れ流され続けていると指摘。ネット上での対応強化と同時にネット外でただせるよう選挙活動の自由の拡大や、メディアが萎縮せず事実の検証や政党討論会を行うことなどを提案しました。
 井上氏はそのために「べからず法」といわれる公職選挙法の抜本的な改正を主張。日本のように戸別訪問を禁止する国はほとんどないとし、選挙期間中にネット上で候補者名を記載したポスターやビラを拡散するのは問題ないが、対面で渡すと規制されるなど大きな矛盾があると指摘。選挙活動の自由を広げる中で偽情報についても有権者が正確に判断できるようにすべきだと強調しました。
 本会議で「能動的サイバー防御法案」について石破総理に質問。同法案が国民の通信の秘密とプライバシー権を侵害し、先制攻撃に踏み込む危険のある憲法と国際法に反する危険な法案であることを明らかにし、廃案にすべきと求めました。
 以下、質問の全文です。
日本共産党を代表し、いわゆる能動的サイバー防御二法案について石破総理に質問します。
冒頭、昨日の関税問題での日米交渉について聞きます。赤沢大臣は記者の質問に対しトランプ大統領との会見で安全保障の要求があったことを否定しませんでした。
トランプ氏からどのような要求があったのですか。在日米軍駐留経費の増額をはじめとした日本の軍事費増大要求にはこたえるべきではありません。見解を求めます。
 サイバー攻撃から国民の生活の基盤を守ることは必要です。しかし、安保三文書に基づく本法案が、国民の通信の秘密とプライバシー権を侵害し、先制攻撃に踏み込む危険のある憲法と国際法に反する危険な法案であることが衆議院の論戦を通じていっそう明らかとなりました。
 従来のサイバーセキュリティ対策は、サイバーセキュリティ基本法に基づき実施されてきました。各府省においてもその強化が図られてきたはずです。にもかかわらず、本法案を必要とするのはどのような理由からですか。この法案によって、膨大な個人情報を政府が吸い上げる仕組みが作られます。サイバー攻撃を防ぐために、なぜこれほどの通信情報を必要とするのですか。
 総理は、「通信の秘密に対する制約が公共の福祉の観点からやむを得ない限度にとどまる」と答弁し、通信の秘密を侵害する場合があることを認めました。そもそも個人情報の取得・利用は、必要以上に収集せず、利用目的を明らかにし、目的外利用や第三者提供には本人の同意を得ることが大原則です。
 ところが法案は、電気、水道、ガス、金融などの基幹インフラ事業者に加え、自治体、家電や自動車メーカーなどあらゆる民間事業者と協定さえ結べば利用者の通信情報を送受信者の同意なく電気通信設備から取得することを可能としています。ほぼすべての国民が利用者に当たることになります。
日本国内の通信情報は取得の対象外といいますが、外国のサーバーを経由したり、外国の通信事業者を利用している場合は対象となります。しかも、基幹インフラや電気通信事業者などが協定を結んでも、その内容を利用者に公表される規定はありません。結局、利用者本人の知らない間に、政府によって多くの国民の通信情報が取得されることになるのではないですか。
 政府は自動選別により電子メールの本文など、コミュニケーションの本質的な内容が取り除かれ、機械的な情報のみが取得されるので通信の秘密は守られるといいます。しかし、機械的情報とされるIPアドレスや指令情報なども、通信の秘密の保護の対象になると衆院の質疑で認めました。しかも、機械的情報には、サイバー攻撃に関係する「機器などの探査が容易になると認めるに足る情報」も含まれます。政府による恣意的な選別が行われない保障はどこにあるのですか。
 衆院での審議で政府は、法案が、協定当事者の同意があれば、警察や自衛隊が取得した情報をサイバー攻撃の被害防止以外の目的に利用することを可能としていることを認めました。なぜ、目的外利用を可能にしたのですか。
 名古屋屋高裁は昨年九月、岐阜県大垣警察署の公安警察が公共の安全と秩序の維持を名目に、市民の個人情報を収集・保有し提供を行ったことを違憲、違法とし損害賠償と個人情報の抹消を命じました。警察は上告を断念しながら、裁判の中で、「警察の情報活動という事柄の性格上その目的、対応などを明らかにすることができなかった」のが判決の要因だとのべ全く無反省です。このような組織に情報の目的外利用を認めれば、膨大な個人情報が、警察の国民監視に利用されることになるのではありませんか。
 独立性の高いサイバー通信情報監理委員会が、サイバー攻撃による被害防止のための適正な実施を確保するため審査や検査を行うといいますが、そもそもこの機関は国民の人権を保障する機関なのか。内閣総理大臣によって任命された委員長他4名の委員で構成される委員会に独立性などあるのですか。
以上、本法案による情報の取得は、明らかに個人情報保護のルールに反するものであり、憲法が保障する通信の秘密を侵害し、膨大な通信情報が政府に取得され、国民が政府の監視下に置かれることになります
  警察や自衛隊が国外のサーバーへ侵入・監視し、プログラムの停止や削除を行うアクセス・無害化措置は、相手国の主権侵害となる恐れがあります。
石破総理は「アクセス・無害化措置を国際法上許容される範囲内で行うのは当然」などと、「緊急避難」等の国際法の法理を援用して違法性を阻却できるかのように述べています。しかし、そのような国際的合意は、いまだ形成されていないのではありませんか。「緊急避難」の援用が認められるとの見解を表明している国はどこですか。
 サイバー攻撃に適用される国際慣習法を明文化したとされるタリン・マニュアルでも、国の「根本的な利益に対する重大で差し迫った危険」と「利益を守る唯一の手段である場合」という、厳しい要件を課しています。
 一方警職法改正案では、「そのまま放置すれば人の生命、身体又は財産に対する重大な危害が発生する恐れがあるため緊急の必要があるとき」としており、タリン・マニュアルに照らしても違法性の阻却は到底認められないのではありませんか。
 米太平洋軍司令官や国家情報長官を務めたデニス・ブレア氏が、昨年5月の産経新聞のインタビューで、サイバー攻撃は、平時では企業攻撃や世論工作が行われる一方、有事は「ネットワーク上で運用される部隊の作戦が妨害される可能性がある」と述べ、能動的サイバー防御による能力向上は、「自衛隊と米軍の統合運用」を大きく高めると発言しています。警察と自衛隊にアクセス・無害化措置を行わせるのは、自衛隊と米軍の統合運用を高めるため、アメリカから求められたからなのではありませんか。
 2019年4月の日米2+2では、「一定の場合には、サイバー攻撃が日米安保条約第5条の規定の適用上武力攻撃を構成しうることを確認」しています。
その直後の参議院外交防衛委員会での私の質問に、当時の岩屋防衛大臣は、「サイバー攻撃であっても、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により組織的、計画的に行われていると判断される場合には、武力攻撃に当たりうる」、サイバー攻撃による武力攻撃が発生した場合も、防衛出動を命じられた自衛隊が、「必要な武力の行使として物理的な手段を講ずることが排除されているというわけではない」と答弁しています。
 そうなれば、日本が行ったアクセス・無害化措置を、相手国が「深刻な被害」と判断すれば、それを我が国からの武力攻撃と見なして物理的な手段で反撃することもあり得るということではありませんか。さらに自衛隊は、在日米軍へのサイバー攻撃についても同様の措置をとれるとしています。日本への攻撃がないのに日本がアクセス・無害化措置を行えば、それが先制攻撃と見なされるのではありませんか。
 本法案のアクセス・無害化措置は、それを端緒に戦争につながる恐れのある危険この上ないものと言わざるを得ません。25.4.18 サイバー法案.jpg通信の秘密を侵害し、日本を戦争に巻き込むこのような法案は断固廃案にするべきです。
1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11

ページ最上部へ戻る

S