災害対策特別委員会（国土強靱化基本法改定案に対する反対討論）

災害対策特別委員会（能登地震、６月豪雨災害について）

・能登地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市（局地激甚災害指定）は、過疎、高齢化、昨年の地震被害、行革による職員不足があり、「希望が持てる支援」がなければさらなる困難が生じると指摘。「市の要請を待つ従来姿勢から一歩踏み出してプッシュ型での支援」強化を求めた。谷公一防災相は、過疎などさまざまな課題を踏まえて「可能な限り弾力的運用で復旧復興に取り組む」と答えた。また、「被災者見守り・相談事業」を実施するために新規の職員雇用も可能か確認したところ、厚生労働省は「職員雇用や人件費も補助対象となる」と答弁した。／また、台風2号で、昨年9月の台風15号と同じ箇所が決壊した静岡県磐田市の敷地川について、自治会長ら被災住民の声にもとづき、▽今年秋に予定されていた本工事までの間、土のう積みだけの仮復旧工事が適切だったのか納得できる説明▽早急な本復旧工事の着手―を求めた。国土交通省は「住民説明会の実施、早期の本復旧工事を支援していく」と答えた。

財政金融委員会（軍拡財源確保法案ー少子化対策財源のための社会保障費削減やめ、大軍拡の中止を）

・岸田政権は「こども・子育て支援加速化プラン」の財源確保策の提示を年末に先送りした一方で、軍事費は5年後の2倍化を明確にしている。岸田政権が少子化対策の財源策として強調する「全世代型社会保障」の名の下でこれまで行われてきたのは、高齢者に対する給付の削減や負担増だと指摘。「今回も同じか」とただしたところ、岸田首相は否定せず、「改革には、医療提供体制の効率化、介護分野でのＩＴの活用など幅広い取り組みが含まれる」と答えた。岸田政権は大企業・富裕層優遇税制の見直しという税収増の道筋を否定したまま、「使える財源」を探しては軍事費につぎ込んでいるから、少子化対策の財源を社会保障の削減で確保する袋小路に陥らざるをえなくなっていると批判し、大軍拡の中止を求めた。

財政金融委員会（軍拡財源確保法ー軍拡財源のための国有財産の売却について）

・預金・決済・貸付のフルバンク機能をもつ唯一の政府系金融機関である商工中金の政府保有株の「2年以内」の売却を盛りこんだ商工中金法改正案が6月2日に衆院本会議で可決された。岸田首相が軍事費確保のために「国有財産売却を先行」と発言していることを指摘。鈴木俊一財務相に質したところ、軍拡のための「防衛力強化資金」に、商工中金の株式売却で得られた資金を繰り入れることが可能だと初めて認めた。／2015年の商工中金法改正時には、商工中金が担う危機対応業務に参入する民間金融機関がないため商工中金の必要な株式は政府が「当分の間保有」するとしていた。ところが政府は、現在も民間の参入がないにもかかわらず、2年以内の期限付きで売却を急いでいる。安保三文書の閣議決定と同日に発足した「商工中金の在り方検討会」で、検討会委員ではなく中小企業庁から「2年以内」の売却が提案され、法案提出に至った経緯を示し、政府の軍拡財源確保と足並みをそろえて進められていると指摘。大軍拡のために中小企業を支える予算・仕組みまで差し出すなど許されないと主張した。

財政金融委員会（軍拡財源確保法案ー医療の積立金は軍事費転用でなく医療体制の拡充に）

・政府は、国立病院機構と地域医療機能推進機構（ＪＣＨＯ）の積立金を国庫に返納させて防衛力強化資金に繰り入れようとしている。政府はコロナ補助金が原資であることを理由に返納を迫っているが、国や自治体の要請に応えて、一般医療を縮小し、コロナ病床を確保してきたことへの正当な補助金であり、返納を迫る理由にはならない。積立金は職員の処遇改善や医療体制の拡充にこそ使うべきだとただすも、鈴木俊一財務相は「経営上、一定の余力がある」などと答弁した。／また、独立行政法人としての新たな中期計画（2024年4月から5年間）の検討前に積立金を返納させれば、医療機器の更新や病棟の建て替えなどコロナ禍の教訓を踏まえた中期計画の策定が困難になると指摘。中期計画策定前の積立金の返納はやめるよう強く求めた。

財政金融委員会（軍拡財源確保法案ー復興特別税の増税、軍拡財源に転用）

・政府は、5年間で43兆円の軍拡財源を確保するため、東日本大震災の復興に充てる「復興特別所得税」の約半分の年間2000億円を軍事費に転用しようとしている。もともと復興税の徴収は2013～2037年の25年間の時限措置だったのに、軍事費への転用により13年程度延長されると指摘。「復興税の徴収延長で、震災の時に生まれていなかった若い世代が相当期間負担することになる。『将来世代に先送りはしない』としてきた岸田首相の主張と矛盾する」と指摘した。鈴木俊一財務相が「負担感のないよう、構造的賃上げを実現していく」と繰り返したのに対し、アベノミクスで実質賃金が年20万円以上も減少し、昨年度の実質賃金も前年比1.8％減少するなど国民負担が一層増していることを強調。「負担感を払しょくできるというが、何の保証もない」と批判し、地方公聴会を開催して被災地の声を聞くよう求めた。

内閣委員会（孤立・孤独対策法案とNPOへの支援等について）

・孤独・孤立対策推進法案は、行政や社会福祉協議会、ＮＰＯ等で構成する孤独・孤立対策地域協議会で当事者への支援内容を協議し、支援を実施するとしている。孤独・孤立の問題は、原因や背景が多岐にわたるため、協議会における行政と支援団体との関係や支援団体同士の関係は、「官民対等な関係で、多様な分野の団体相互の連携も図られるような在り方でこそ知見やノウハウが生かせる」と指摘。こうした活動を国が責任をもって支える必要があると強調した。

財政金融委員会（軍拡財源確保法案ーFMS・米有償軍事支援の膨張）

・米国が価格や納期を一方的に決定できる武器輸出制度「有償軍事援助（ＦＭＳ）」による武器購入。ＦＭＳによるイージス・アショア配備は、2014～2018年度の武器調達計画である「中期防衛力整備計画」には盛り込まれていなかったが、2017年の日米首脳会談直後に導入が決まり、2018年度予算案に盛り込まれた。ずさんな計画が破綻し、イージス・システムの洋上化が進められているが、総経費は、当初より大幅に膨れ上がっていることを追及。防衛省は「現時点で具体的な金額を示すのは困難だ」と述べるのみだった。さらに、イージス艦が新造されるたびにＦＭＳによる装備品が拡大していることを示し、「政府は、必要なものを積み上げて軍事費がＧＤＰ（国内総生産）比2％となったというが、実際は米国の要求に応えたもの。ＦＭＳによる大量購入で軍事費を青天井にするのは許されない」と批判した。

内閣委員会（孤立・孤独対策法案と生活保護について）

・孤独・孤立の状態に陥る背景に、格差や貧困、非正規雇用の拡大、自己責任論の押しつけなどのゆがんだ社会や政治がある。「孤独・孤立対策というなら、背景にある社会の在り方そのものを問い直し改善すべきだ」との主張に対し、小倉将信孤独・孤立対策担当相は「人間関係の希薄化など社会環境の変化が背景にある」と答弁。これに対し、「孤独・孤立を生み出す社会の在り方は自然にできたものではない。貧困を生み出す不安定雇用を増やしてきた政治が問われている」と強調した。／また、生活保護の捕捉率（収入が最低生活費未満の人が生活保護を受けている割合）があまりに低いことを指摘し、全閣僚で構成する孤独・孤立対策推進本部で制度の見直しを検討すべきだと主張。小倉担当相は「本部の司令塔機能を生かし各省の施策を進めていきたい」と答えた。

内閣委員会（中堅ポスドクの雇用問題）

・大学等の任期付き研究者（ポストドクター）は現在1万5000人を超え、35歳～39歳の約6割にのぼる。1990年代の大学院重点化政策で博士課程修了者が急増したにもかかわらず、法律で任期付きの大学教員を認めたことや、国立大学法人の運営費交付金削減によって教員採用が減ったことなど、政府の政策が招いた問題だと指摘し、「任期なし研究者を増やす方向に政策転換すべきだ」と主張した。高市早苗科学技術政策担当相は「安定した研究環境のために任期なしポストの確保は必要」と答える一方で、大学等のマネジメント強化などと述べるだけで政策転換には言及しなかった。

内閣委員会（医療ビッグデータ法案に対する反対討論）

内閣委員会（医療ビッグデータ法案）

・認定事業者のライフデータイニシアティブとＮＴＴデータが本人未通知の9万4579人分の患者情報を外部提供した問題を追及。医療ビッグデータ法制定からの匿名加工医療情報の利用実績全21件のうち18件が本人未通知の違法な利活用だったと明らかにし、「政府は国による厳格な認定制度と監督で適正に事業ができると繰り返してきたが、重大な問題が生じた」とただした。しかし、高市早苗科技政策担当相は「適切に安全管理措置が講じられていることは確認してきた」として、国の責任を認めなかった。認定・監督に問題ないのであれば制度の問題であり、「利活用を拡大すればプライバシー侵害の危険性は一層高まる」と批判した。

内閣委員会（能登地震の被災者支援、トイレの男女格差）

・石川県能登地方で5月5日に発生した地震に伴う国の被災者支援について質問。同県珠洲市は、住民の半数超が高齢者であり、被災者自ら倒壊建物の撤去を行うことが困難だと指摘し、環境省の災害等廃棄物等処理事業により、倒壊した建物の運び出しから仮置き場への収集・運搬が公費で行えることを確認した。／また、駅や空港、高速道路のサービスエリアトイレなどでの女性トイレの行列解消のために増設を要求。小倉将信担当相は「待ち時間の男女の均等化が図られることが望ましい」と答えたものの、トイレの男女比の目安になる考え方を示すことについては消極的な答弁でした。

内閣委員会（フリーランス取引適正化法案）

・「フリーランス取引適正化法案」は契約時の条件明示義務が規定されておらず、▽報酬が変わらないのに業務が追加される▽解約したくても多額の違約金を求められるなどのフリーランスが現実に直面している問題を解決できないことを指摘。「法案が成立すれば、政府は契約書の作成や契約時の条件明示は推奨しないということか」とただしたのに対し、後藤茂之経済再生担当相は「契約内容が共有されることは望ましい」と答えた。さらに、文化庁作成の芸能従事者向けガイドラインに、発注側・受注側双方が参加して作成した契約書のサンプルが掲載されていることを紹介し、「現場の関係者と各業種を所管する省庁が一体に、業種ごとの標準契約書をつくり普及を図るべきだ」と主張。後藤担当相は「文化庁の取り組みは参考になる。各業界の実態を踏まえ対応したい」と述べた。／また、ハラスメント被害が極めて深刻な芸能従事者を対象とした独自の相談機関の設置を求めた。

内閣委員会（フリーランス取引適正化法案）

・参考人として出席したユニオン出版ネットワークの杉村和美副執行委員長は、出版業界では、正社員と同じ働き方にもかかわらず業務委託契約のため残業代も出ず、簡単に仕事を切られてしまう「常駐フリー」という働き方が広がり、労働者性も認められないと告発。井上は、労働者性の判断を求めた労働者からの申告の3分の2が「判断に至らず」とされた調査結果を示し、1985年の労働者性の判断基準がフレックスタイムや裁量労働制で指揮命令の態様が多様化している実態に合わなくなっているからだと指摘。「現場の実態に即した基準に見直すべきだ」と求めたが、厚生労働省は、「基準が適切なものになっているか不断に確認する」と述べるにとどまった。／また、経済的嫌がらせをハラスメントの類型に加え、周知することを要求。厚生労働省は、「関係者の意見を聞き、指針に盛り込むことを検討する」と答えた。

拉致問題特別委員会（拉致問題解決への外交努力、統一協会と政府・与党の癒着関係）

・北朝鮮は、統一協会創始者・文鮮明の死去に際し金正恩朝鮮労働党総書記が弔電を送るなど、統一協会と深い関係が続いている。韓国外務省が6日公開した外交文書に、1992年の文氏来日の際、入国を拒否する方針だった法務省が、当時の金丸信自民党副総裁の働きかけで、最終的に判断を変えたと記されていることを追及。「法務省の方針変更と、それを外務省が韓国側に伝えていたことが明らかになった」として、外交文書を入手して確認・調査すべきだと求めた。林芳正外相は「外務省としてコメントする立場にない」などと拒否。松野博一拉致問題担当相は「（入国許可の）当時の判断は適切であり、調査は予定していない」との答弁に終始した。これに対し、「確認もせずに適切だったとは言えない」「文氏の訪日により、統一協会の被害は広がった」と指摘し、事実関係を調査し、北朝鮮と親密な統一協会との関係を断つよう求めた。

本会議（インフル特措法改定案に対する反対討論）

本会議（フリーランス取引適正化法案）

・フリーランスの取引適正化と就業環境を整備する「フリーランス取引適正化法案」にかかわって、フリーランスの多くが一方的な報酬カットや契約打ち切りなどの弱い立場に置かれ、最低賃金法や労働時間規制など労働者保護法の対象外となってりいることを指摘。「フリーランスの働き方を保護するためには、取引関係適正化だけでは不十分。労働法による保護を広げるべきだ」と求めた。また、「世界でもフリーランスの労働者性を認めて保護を図る流れが広がっている。日本では、正社員から個人請負に一方的に契約変更された結果、正社員時代と変わらない働き方にもかかわらず労働者性が認められない」として、「労働基準監督署の対応を直ちに改善させるべきだ」とただした。後藤茂之経済再生担当相は「労働者性があると判断されれば、労働基準関係法令に基づき労働者として必要な保護が図られる。労働基準監督署で、労働者性の判断が的確に行われるよう、厳正な監督指導を行う」と述べた。

内閣委員会（インフル特措法改定案に対する反対討論）

内閣委員会（インフル特措法改定案ー医療提供体制の抜本的拡充を）

・新型コロナ第８波で高齢者施設で感染者が急増し、入院拒否されて施設で亡くなる例が相次いだ。岸田文雄首相に対し、医療ひっ迫の原因は医療費抑制政策によって通常の診療が綱渡り状態にされたことにあると指摘し、「コロナの教訓を真剣にいかすというならば、医療分野の人員の抜本的増強なしに、次の感染症危機への対応はできない」とただした。岸田首相は「効率的な医療提供体制の確保や医療費の適正化の推進が重要だ」などと答弁した。